エリー×マリー 〜スキル『TS』が意外と強い〜   作:SHノーマル

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第91話 事前準備

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「……よし、なんとかなりそうだな」

「ひっく、お嫁にイケないのです……」

 

勇者ちゃんの体で色々と実験した。

お陰で様々な事が分かったぜ。

 

「マリーちゃん……。あのね、オネーさんはリュクシーちゃんの尊厳も大切にしてあげるべきだと思うな」

 

なんだよ。

口とかに指突っ込んだりしたのは必要だったからやったんだ。

 

どの距離で魔法が使えなくなるのか、粘膜から魔力移動できるか、血液なんかの体液で魔法使えなくなるかは知っとかねえとマズイからな。

 

決して戦いが不完全燃焼だったからイタズラしたわけじゃない。

 

「いいのです、いいのですよ。リッちゃんに責任をとってお嫁さんにしてもらうのです」

「えっ、僕!? ……えっと、ごめんなさい。もう僕は相手がいるので末永くお友達でいましょう」

「やっぱり私とは遊びだったのですね……。さよなら私の恋……。私は一人で生きていくのです……」

「そ、そんな事ないよ! 僕はいつだって真剣さ! でも、どうしても捨てる事のできない思いがあるんだ……」

「三文芝居をやってるんじゃない」

 

勇者ちゃんめ。

ただのギャンブルに弱いアホの申し子かと思っていたが中々にノリのいい奴だ。

嫌いじゃない。

 

「精霊魔法すら無効化されるのは驚きでした……」

「エリーちゃんは精霊魔法も使えたのね」

「はい、精霊は呼び出しませんが使いこなして見せます!」

 

エリーがニッコリ笑う。

さっきまで精霊魔法の幻覚や魅力も試していたからな。

……まあ勇者ちゃんに直接は効かなかったけど。

 

「わ、私が契約してる、精霊より、強力……? 見たことない魔法、記録して、保存、したい」

「ジーニィさんも精霊魔法を使えるんですか? もしよかったら色々と教えて下さい」

「ち、近、い……」

 

エリーがかけよって地味子の手を握る。

なに顔を赤らめてんだ。

アタシのエリーだぞ。

 

「あはは、ジーニィちゃんは友達作ったほうがいいよー。あ、夜のお楽しみするなら呼んでね? 色々教えてアゲル」

「やらせねーよ」

 

人の女を寝取ろうとするとは。

まったくなんて奴だ。

 

だがエリーが地味子と話すきっかけが出来たようでなによりだ。

地味子は友達少なそうだしな。

 

「精霊、魔法は……、人のつかう、魔法の元祖、精霊魔法を、真似る形で、今の魔法、ある」

「なになに、魔法の話? 僕も混ぜてよ」

 

精霊魔法についてしどろもどろのなりながらも解説する地味子とエリーに、リッちゃんも加わって盛り上がっている。

 

アタシは魔法に興味無いから聞き流す程度だが、仲良くなってなによりだ。

 

「ところで決行はいつにするんだ?」

「そうねえ……。手続きもあるし最短で七日後に移動、十日後に攻撃ってとこかなー? それくらいだと敵陣地も色々動いてると思うけど」

 

アタシ達も準備があるからな。

それくらいの時間は欲しい。

ついでに王都も観光しよう。

 

 

訓練と打ち合わせが終わったのでアタシ達は城下町に出ている。

訓練を積んでもいいがそれより道具の調達を優先だ。

 

「ここが教えて貰った店……だよな?」

「ボロボロだねえ」

「こういう隠れた名店なのかもしれません!」

 

雑貨屋のようだが乱雑に並べられていてゴミ屋敷のようだ。

看板が出てないのもそれに拍車をかけている。

 

「とりあえず入って見て、駄目なら他所にいくか」

 

中は更にごちゃごちゃしている。

店の奥にはやる気のなさそうな店員が一人座っているだけだ。

 

「いらっしゃい。お客さん初めてだね。誰かから聞いたのかい?」

「ああ、ファスの街で『よろづ屋アイザック』という雑貨屋をやってる店からな」

「……ああ、あの店かい。たまにこっから商品を卸してるよ。何がほしいんだい?」

 

「王都の依頼で魔族と殴り合いをしようと思っている。空っぽの魔石と消毒用アルコール、あとは着火剤に爆薬とか毒があればそれもくれ。あとフカフカの寝袋を一つ」

 

アタシは冒険者タグを見せて注文をしていく。

流石に身分証なしだと新参者に売ってくれるか分かんねえモノばっかりだからな。

 

ここで買うのはアタシが戦うために必要なものだ。エリー達は魔法や雑貨を見ていて貰う。

 

「……随分と買い込むね。戦争でも始めるのかい?」

「念の為さ。用心に越したことは無いからな」

 

こっちにはリッちゃんがいるからな。

倉庫としては最強に近い。

持てるだけ持って行くに限る。

 

ついでなので魔法薬の類も見て回る。

ふと珍しいものが目に止まった。

 

「これは強化薬じゃねーか?」

「ああ、全身の筋力を強化する薬だね。これは原液で使っちゃ駄目だよ。効果も強いけど副作用も強いからね」

 

これは副作用が強くてなかなか使いどころが難しい薬だが……。

アタシなら問題ないな。

 

他にも魔法増幅薬や肉体再生薬など、副作用があるが強力な薬が何本も並んでいるな。

いくつか予備に持っていくか。

 

「……これも貰っとこう。あとこれを収納するための魔道具があればくれ」

「あいよ。魔道具の効果は一律三十分、この袋はポケットの中に入れて使いな。激しく動いたりすると落としたり割れたりするから注意だよ。気をつけて」

 

これくらいで買い物はいいか。

 

エリー達も一通り見終わったようだな。

おっとリッちゃん、そのカラフルな丸いやつは飴玉じゃなくて毒消しだから苦いぞ。

 

 

「ふぅー、ここが宿なんだね」

「本当ならもっと早くこっちに泊まるはずだったんだがな」

「いきなり捕まってそれどころではありませんでしたからね」

 

しょうがない。部屋の調整に関しては『ラストダンサー』がやってくれたようだし、ありがたく入って休むとするか。

 

「別に泊まるなら僕たちの屋敷に戻っても良かったんじゃないかな」

「さすがに何度も王城で姿を消していたら怪しまれるだろう」

 

なんてったって王城の中庭だ。

状況的にしょうがないとはいえ、城内にゲートを作ってしまったのは失敗だったな。

場所を城下町にしておけば問題なかったかもしれない。

 

……いや、ホントにしょうがなかったか?

だいぶリッちゃんのやらかしだったような……、まあいいや。

リッちゃんはメイに会いたいのかもしれないが、しばらくは我慢してもらおう。

 

 

「マリー姉さん探しました!」

「冒険者の人に聞いて来たじゃんよ。お城に置いてくなんてひでーじゃん?」

 

声をかけてかたのは獣っ娘たちだ。

……そういえばこいつらがいたな。

城から抜け出してきたのか?

 

「こっちも宿はバッチリ取ってるがお前らは王城に住まねーのか?」

「はい! 宰相さんが『これ以上一緒にいると破産する……』といってマリーさん達と一緒の宿に泊まるよう言われました!」

 

いや、たった一日だろ?

一日でどれだけ貢がせているんだよ。

 

「マリー姉の言うとおり、腕組んで上目遣いでおねだりしたらホイホイおごってくれたぜ」

「名店に行き放題にしてくれた上に、いろんなアクセサリーを買ってもらっちゃいました! マリー姉さんも今度行きましょう!」

「いったいいくら貢がせたんだ……」

「なんか壱札八枚くらいってつぶやいてたじゃんよ。いくらなんだ?」

 

一日で金貨八百枚相当とかやばいな。

価値が良く分かって

 

「へへっ、財布さんのおかけで嬉しくて尻尾出そうになったぜ」

「こらこら、財布だなんて誰がそんな事を教えたんですか」

 

すまねえエリー、財布と呼ばせたのはアタシだ。

やっぱりもうちょいちゃんとした呼び方を教えるべきだったな。

金づるとか。

 

「宰相さんの事を財布と呼んではいけませんよ。パトロンと呼びましょう。たしか教会だとそう呼んでいると聞きます」

 

……それは言い方が丸くなっただけで本質は変わらないんじゃないのか?

あとパトロンは愛人とかそういう意味も隠されてそうだからやめといたほうがいいと思う。

やっぱりロリコン宰相は財布呼びでいいや。

 

しかしあのロリコンがここまでチョロいとは思わなかった。

やりすぎたかもしれない。

 

……もうちょっと別な教育が必要だな。

 

「……正直ここまでやるとは思わなかったぞ。次は加減や恩返しの仕方というものを教えてやるからな」

「はいっ! よろしくお願いします!」

「頼むじゃんよ!」

 

ニコニコ笑顔で答えてくる獣っ娘達。

よしっ、まだ清らかな心は持っているみたいだ。

貢がせるのが当たり前になってしまったら冒険者としてはまずい。

相手が財布でも十貰って一返すの精神は叩き込まないとな。

 

 

「マリー姉。こっちです、早く来てください!」

 

本来なら訓練をするところだが、獣っ娘達がどうしてもというので一日だけ時間を取って王都の観光だ。

アタシ達も観光はしたかったので丁度いい。

 

「見てください! ここのパフェ、絶品らしいですよ!」

「ここにあるクッキーも美味しそうじゃん?」

「ほらほら、あんまりはしゃぐんじゃないぞ」

「そんな事いって、マリーもノリノリでおめかししてるよね?」

 

そりゃ街に出るならそれなりにキメるのが女の子の嗜みだからな。

むしろ普段とあんまり変わらないリッちゃんこそおめかししないとな。

後で王都の服屋を見に行くか。

 

「ふふっ、マリーとお揃いですね」

「……ああ。ピアス、目立ってるかな?」

「大丈夫ですよ。気にする人がいたら見せつけましょう」

 

今回はピンポイントでピアスを片方ずつ、ペアでつけている。

エリーが選んでくれたものだ。

 

そう言えばアクセサリーとかの小物を身に着ける事は普段なかったな。

ペアだとなんだか恥ずかしいな。

 

「マリー姉、顔赤いですよー」

「仲良しじゃんよー」

 

まったく、お前らだって服が色違いのペアなだけで似たようなもんだろうに。

まあいい、たまにはハメを外さねえと……。

いや、獣っ娘達は王都でずっと食ってばかりじゃねえか? 太るぞ?

 

何はともあれ、今日は獣っ娘達と観光を楽しむ。

残りの日数は『ラストダンサー』との連携強化だな。

 

アタシ達が訓練している間、獣っ娘達は軽く勇者ちゃんと顔合わせだけさせている。

アタシ達の練習には参加させられないので、兵士達と戦闘訓練もしくは料理の練習だな。

 

途中、ロリコン宰相が噂を聞きつけて獣っ娘達を見に来ていたが追い出されたらしい。

ホントにどうしようもない奴だ。

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