IF世界の小日向さん   作:ミネラルいろはす

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よろしくお願いします。


並行世界のお日様は…

肌を焼くように熱い快晴の下、私は一人ベンチで佇んでいる。

なぜ一人なのかというと、今回新しく発見された平行世界に私たちは、クリスちゃん、翼さん、そして私、立花響の三名で来たんだけど…

 

どんな世界なのか知る前に、新型のノイズにより強襲を受けた私たちは、何とかノイズを退けることはできたものの、私のガングニールが破損してしまい、ギアをまとうことができなくなってしまったのだ。

 

恐らく新型ノイズのせいだとこちらの世界の了子さんの見解で、クリスちゃんと翼さんの二人は今回の世界の報告に一足先に元の世界に帰還しているため、ギアが治るまで私一人だけこの世界に一人残ることとなったのだ。

 

こちらの平行世界のことについて話を聞かせてもらったけど、私たちの世界と比べて特に変化がなく、しいて言えば私たちの世界よりも時の流れが遅いくらいだってことだけだと思う。

 

今までのことを思い出していたらわいわいガヤガヤと騒いでいる声が聞こえる。

騒いでいる方向を見てみると、並行世界の商店街の人達の活気あふれる声だった。

こちらの世界の商店街はルナアタック事変が起きていないので、私たちの商店街と違い、きれいなままだった。

もしかしたら、こちらの世界にもふらわーがあるかもと思ったけど、持ってきたはずの財布をどこかで落としたのか、入れていたポケットの中からなくなっていたことに気づいた私は、仕方なくこうしてベンチに座ってボッーとすることにしたのだ。

 

「はぁ、平行世界でも財布を落とすし、私だけギア壊しちゃうし、私呪われてるかも!?」

 

この間も未来とのお出かけの途中で本部から呼び出されてお出かけも中止になっちゃったし、放課後出かける約束も補修でいけなくなっちゃったし、ほんと私ついてない。

そのお詫びとして、今回の並行世界の問題が片付いたら、一緒にどこか遊びに行こうと約束していたのに、私一人だけ取り残されちゃうし、ついてなさすぎない私!!。

 

そんな愚痴をこぼしながら並行世界の商店街の人たちを眺めることぐらいしか今の私にはすることがない。

こちらの翼さんは歌手にノイズの殲滅に大忙し、ギアがまとえたら戦闘のお手伝いもできたんだけど、ギアも纏えない私がいてもみんなの邪魔だと思ったので、こうして並行世界の本部から、商店街近くのベンチに座っている。

 

「はぁ、早く未来に会いたいなぁ、未来ぅ~」

 

ギアが治れば、ギャラルホルンを通って元の世界に帰れる。

未来が待っている部屋あの暖かい陽だまりに。

 

そうだ!!帰ったら久しぶりに未来と二人で遊園地にでも行こう!!

補修も課題も来る前に私にしては珍しく終わらせてきたし、SONGの仕事もこの前のお休みに呼び出されたお詫びに休みを少し貰っている。

多分師匠が前回のお出かけの途中で呼び出してしまったのを気にしてくれたんだと思う、さすが師匠。

でもこれで、緊急時以外の呼び出しはないはず、未来と一日遊園地で遊びまくることができる!!

よっし一日中遊び倒すぞぉ!!なんて気合を入れても今できるのは何のアトラクションに乗るかを考えるだけ。

 

「ふん~ふ~んふふん♪」

 

それでも、鼻歌を歌うほど幾分と気分が高揚しているのが自分でもわかった。

 

それに私のとりえは元気なことだけなのに、いつまでも落ち込んでたら私らしくないよね、と自分で自分に発破をかける。

 

 

けれど、私の不幸はそれだけでは終わらなかった。

 

やはり、私は呪われているのだと実感することになった。

 

 

 

 

 

 

 

ドッッッン

 

 

 

 

突然の爆発音があたりに鳴り響く。

いきなりの爆発で私はびっくりして、ベンチから転がり落ちてしまった。

 

「いたた…今の音はなに…?」

 

地面から起き上がり、お尻についた泥を払いつつ、ゆっくりと音のした

驚いた私は音のした方向を向いた。

「確か音の方角的に確か商店街が‥‥」

 

 

 

 

 

「きゃぁぁぁぁぁ助け‥‥」

 

「死にたくない、死にたくない、誰か‥たすけ」

 

「いやだぁぁぁぁ‥」

 

そして、そこでみたのは阿鼻叫喚とかした商店街の人たちだった。

 

先ほどまで楽しそうにしていた商店街の人々がノイズによって炭へと還っていた。

 

「っつ、なんとかしないと」

 

私は急いで、商店街の方へと向かう。

そして、胸元にあるペンダントを取ろうと手を伸ばすが‥あるはずのペンダントがそこには無かった。

 

「しまった!!ギアはエルフナインちゃんに預けたままだった‥‥けど、ギアが無いからって民間人を見捨てるわけにはいかない」

 

拳を強くにぎり締め再び商店街の中奥へと向かう、今度は戦う為ではなく助けるために

 

「時間が経てばこちらの世界の奏者たちが来てくれるそれまでに商店街の人たちをノイズから引き離せれば」

 

そう考えている時声がきこえた。

 

「ママぁぁぁ!!どこに行ったのぉぉ!!こわいよぉぉ!!たすけてぇぇえ」

 

泣いていたのは1人の少女だった。

その子は路地裏で足を抱えて泣いていた。

私はすぐにその子の方へと向かった。

 

「大丈夫?」

 

私は女の子へ手を伸ばした

 

「ふぇ?おねぇちゃんだれ?」

 

「あなたを助けに来た正義の味方ってところかな、立てる?」

 

「‥‥うん」

 

うーむ私の冗談はそこまで受けてはいなかったが、なんとか立たせることはできた。

あとはここから逃げるだけだ。

 

 

けど、世界はそう甘くは無い。

 

そして、女の子の泣き声に反応したのは私だけでは無かった。

 

「‥‥ッツ⁉︎しまったノイズに囲まれた」

 

ここは路地裏しかも行き止まり、唯一の出口と入口となる場所は先ほどまでいなかったノイズで埋め尽くされている。

 

後ろはコンクリートの壁、前はノイズの群れ

ギアも無く、女の子1人を連れて逃げなければならない。

 

まさに絶体絶命、2人で助かるのは中々に厳しい状況だ。

 

けど、この子1人なら助けられるかもしれない。

隣で震える女の子の頭を軽く撫でる。

 

「大丈夫だよ、あなたは必ず助けてみせる。だから安心して」

 

「‥‥おねぇちゃんは?」

 

「‥‥‥」

 

私は彼女の問いには答えなかった。

 

私はノイズ目掛けて突っ込んで行く。

ノイズの数は多いけど隙間はあるそこを抜けられれば、なんとかなる!!

 

ノイズとノイズの間を文字どうり縫うように走り抜ける。

 

「っつ」

 

ところどころ、ノイズの触手が服をかすっているが、身体には当たらないように細心の注意を払っている。

 

「ほんと、よかった来る前に師匠と特訓しといて」

 

そう、こちらの世界に来る前に彼女はフットワークを磨くための特訓を司令と行っていた。

ギアを纏えば常人よりも早く動ける彼女はこの特訓に疑問を覚えたが師匠が言うことなら無駄なことでは無いと思い。

特訓を受けていた。

 

「ほんとに、帰ったら師匠にお礼を言わないと‥きゃっ」

 

油断はしていないつもりだったが、ノイズの触手が靴にかすっていたようで靴が炭とかし、そのままバランスを崩した私は転倒する。

 

しまったと思ったが、時はすでに遅い起き上がろうと目の前を見ればノイズに囲まれている。

先ほどまでとは違い逃げられるスペースもない。

唯一の救いは女の子の方にノイズが行っていないことだろう。

 

「‥ここまでかな、ごめんねみんな」

 

わたしが奏さんから最後にもらった言葉

生きるのを諦めるな!!か、すいません奏さん。

私ここまでみたいです。

でも、私最後まで足掻きました。

クリスちゃん、翼さんにSONGのみんなごめんなさい

 

迫り来るノイズに私は覚悟を決めていた。

 

 

未来‥もう一度会いたかったなぁ

 

 

「生きるのを諦めないでぇぇぇ!!!」

 

誰かの叫びとともに私の周りのノイズがチリへと還っていた。

 

私が知っている人とよく似た声をしていたが、違うような気もする。

 

そして、私の前に立つのは1人の少女

 

「‥‥えっ?ガングニール?」

 

私を助けてくれた少女が身にまとっているのは、色合いや形状は多少私のガングニールと違うとはいえ、恐らくガングニールだと思われる。

紫色を基調としたそのギアを身にまとっているのは‥‥

 

「‥‥未来なの?」

 

しかし、彼女は答えない。

先ほど叫んで助けてくれた彼女とは雰囲気が違う気がする。

 

「‥‥さっさっと逃げて、次は助けない」

 

私を助けてくれたのは、冷たい言葉に冷たい眼差し、私が知らない未来だった。

知らない眼差し、冷たい言葉、外見だけは未来にそっくりなその子はその言葉を残してその場を去っていく。

残された私には一瞥もくれずにその場を後にした彼女に声を掛けようとしたけど、私の知ってる彼女と違いすぎて私には彼女をその場に縫い止めることができなかった。

 

残されたのはノイズの残骸となった塵と路地裏に吹く冷たい風だけだった。

 

「……未来」

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