ようこそエロゲーの教室へ   作:Monburan

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いけ!沖谷!!

 

 

『97』

『98』

『99』

 

「博士、あと一つで終わりだ」

「今、まさに……」

 

『100』

 

「……長かったがようやく完成したな。博士、よくやってくれた」

「エロ殿こそ見事なお手際でござった。後は、お任せしても?」

「ああ、ここからは俺の仕事だ。博士は朗報を待て。お前の努力を決して無駄にはせん」

「では、拙者は少し眠るでござるよ……」

 

 博士は安心したように笑って、そのまま深い眠りについた。ここ数日寝る間も惜しんで努力してくれたからな、今はぐっすりと眠るがいい。俺は博士に尊敬の意を示すと、襟を正し立ち上がった。

 

 

「さて、行くか」

 

 

 時は4月末日。今日の目的は入学当初からの不安要素であるポイントの入手。10万ポイントで女は買えん。このエロゲーがマネーゲームだとした場合、まずは資金調達が第一目標になる。時間はかかったが、博士(外村)の協力によりようやく準備が整った。ここから俺のエロゲー攻略を、本格的に開始する。

 

「平田、手配は整ったか?」

「うん、エロくん。思ったよりも集まってくれそうだよ」

 

 少し早めに教室へたどり着いた俺は、すぐに平田へと話しかける。昨日頼んでいた件についての確認だ。平田の社交性は凄まじく、入学から僅か一ヶ月足らずで今やDクラスのみならず他クラスにさえパイプを持つ程だ。今回は、それを活用させてもらう。

 

「さすがだな。やはりお前に頼んだのは正解だったようだ。予定通り放課後にカラオケで落ち合おう」

「うん、わかったよ」

 

 平田との会話を終え席へ戻る。池と山内がいつものように騒いでいる中、俺は睡眠の準備を始めた。昨日は博士と徹夜で作業していたからな。放課後まで、ゆっくり休むとしよう……

 

「エ、エロくん。放課後だよ?」

「ああ、沖谷。おはよう」

 

 どうやら思ったよりも疲れが溜まっていたのか、気が付けば放課後になっていた。今日は俺に触れず起こしてくれたらしく選択肢の発動もない。俺は寝ぼけ眼のまま周りを見渡す。

 

「どうやら、準備は万端のようだな」

「う、うん。いつでも出発できるよ」

「なあ、エロ。さっさと行こうぜ。寝すぎだぞ!」

「山内だってさっきまで寝てたじゃんかよ」

「お、俺は起きてたっつの。寝たふりしてただけだしな」

「そうだな、さっさと行くか。ん? 綾小路はどこだ?」

「あ、綾小路くんならエロくんの隣にいるよ……」

「……悪かったな、影が薄くて」

「いや、すまん。まだ寝ぼけててな。さっそく向かうとするか」

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 カラオケ店に到着すると、前もって予約していた平田の名前で部屋に入る。この店舗で一番大きな部屋。パッと見でも数十人が入れそうなパーティルームだ。俺たちが到着すると、既に平田を含めた10名程の男子が集まっていた。

 俺はそのまま前方にあるステージ台の上まで歩みを進めると、平田からマイクを受け取り集まった全員に対して声をあげる。

 

 

「待たせたな、同志よ」

 

 

 俺の言葉に全員が注目する。そこに一切の私語はなく、カラオケ店に似つかわしくない雰囲気がその場を支配した。

 

「同志とは志を共にする者。ここに集まったお前達は同志であると、俺はそう確信している」

 

 ゆっくりと全員を見渡す。どいつもこいつも良い目をしてやがる。俺は視線を前に戻し話を続ける。

 

「さっそくだが本題だ。平田にも聞いているだろうが、今日は俺たちのチームが開発した新商品のお披露目とその実演販売を行う」

 

 息を飲む。そんな表現が相応しいだろう。緊張の面持ちで見守る空間は、息を飲んだ音さえも聞こえそうな静けさだった。

 

 

「では、商品と沖谷を前へ」

 

 

 俺の言葉に、平田が商品の入った重箱を持って歩いてくる。そして、女装した沖谷が女顔負けの脚線美を晒しながらその後ろを追う。

 

 

『おおおお』

 

 

 初めて上がる期待の歓声。静かにして奥深い、そんな渋い歓声が響き渡る。俺は平田から重箱を受け取り、ゆっくりと演説を開始する。

 

「なあ、聞いていいか? お前達は彼女がいるか? それか、いたことはあるか?」

 

 誰も答えない。いや、答えられなかった。10人程の見知らぬ人間を前にして、赤裸々に恋愛経験を語れるヤツなどこの場にはいない。そういうヤツを、平田に集めさせた。

 

「答える必要はない。そして答えはわかっている。だからこそ、俺らは同志なんだ。違うか?」

 

 少しの沈黙を纏い、ついに声が上がり始める。予め打ち合わせしておいた山内と池だ。

 

「そうだ! エロの言う通りだ!」

「彼女ほしいぞー!!」

 

 その声を聞いて少しずつ声が上がり始める。

 

「俺も彼女ほしいな……」

「だよな~。高校デビューしたいぜ」

「エッチしたい……」

 

「お前達の気持ちはよくわかっている。なぜなら、俺も同じだからだ。モテたい。彼女がほしい。エッチがしたい。高校デビューしたい。ハーレムなんてものがあれば幸せだ。だが、知っての通り現実はそう上手く出来ていない。しかしだ、彼女の一人くらい、エッチの一回くらい、そのくらいの夢や希望は持っても、手に入れても、いいとは思わんか?」

 

「そうだ! エロの言う通りだ!」

「彼女ほしいぞー!!」

「俺も彼女ほしい!」

「だよな! 高校デビューしたいぜ!」

「エッチしたいぞー!!!」

 

「よく言った。我が同志よ! そして、今日用意したものはそんなお前達には欠かせない必須アイテムだ。顔じゃイケメンには勝てん。テクニックすら磨ける機会がない。座して待っても何も始まらん。ならばどうする、諦めるのか? 否ッッ!! それら全てを凌駕する道具を手に入れればいい」

 

 俺は重箱の蓋を開ける。中からピンク色の丸い機械が姿を現した。全員が期待の眼差しで見守る中、俺はそれを取り出しみなに見せつける。

 

 

「18禁アイテムが一つ。ピンクローター。

 別名……」

 

 

 

『ぶるぶる君だ』

 

 

 

「ぶ、ぶるぶる君……」

「18禁アイテムとか使用していいのか……?」

「なんか、18禁コーナーうろついて通報されたヤツがいたとか噂流れてなかったか……?」

 

 

 それは俺だ。

 どうやら18禁という言葉に萎縮しているようだな。ここは不安を解消してやろう。俺のいつもより低い声が、ざわめく空間を再び静寂へと変える。

 

「安心しろ。ぶるぶる君は市販の18禁アイテムとは違い、俺たちが自作したものだ。よって、使用用途は小型のマッサージ機。指だけで満足できなくなった者や、いつもと違う刺激を楽しみたい者に販売する。あくまで健全な家庭用品だ」

 

 俺の説明に安堵の声が上がる。それと同時に、緩んだ空気が質問しやすい環境を作り上げた。

 

「なあ、聞いてもいいか? ぶるぶる君を買ったら、俺らにどんなメリットがあるんだ?」

「……お前は、女を指で満足させる自信があるか?」

「い、いや。それは……」

「せっかく彼女が出来たとして、意図せぬ時にエッチの機会が不意に訪れたとして、テクニックとは一朝一夕で身に付くものではない」

「た、確かに……」

「俺たちはモテない。あくまでも現時点ではの話だが、それは全員が自覚しているはずだ。だからこそ、チャンスは何度も訪れない。数少ないチャンスが訪れた時、それをものに出来るかどうかが今後の生活に大きな影響を及ぼすことになる」

 

 周りを見渡すと、納得したのか質問の声は消え俺の言葉を促す視線を感じる。

 

「だからこそ備えろ。チャンスをものにしろ。ぶるぶる君がいればテクニックなど必要ない。左手はそえるだけ、それだけでゴールは目前だ」

「わ、わかった。あんたの言う通りだ……。それで、実演ってのはなんなんだ?」

「ああ、忘れるところだった。ここに沖谷(男)がいる。今からこいつにぶるぶる君を使用する」

「な、なんだとッ!!」

「お、おい。そんな可愛い子に使っていいのかよ!?」

「沖谷、何か問題はあるか?」

「ぼ、僕は大丈夫だよ。こ、これも修行の一環なんだよね?」

「そうだ。男たるもの、如何なる状況であろうと大勢の前で行動できんとダメだ。ヤれるな?」

「や、ヤる!」

 

 全員が沖谷に視線を向ける。俺はぶるぶる君を左手に持ち、沖谷のスカートの中に入れる。そしてちんぽに押し付け最大パワーで振動させた。

 

 

「ブヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ」

「っっぁぁぁぁああああああ!!」

 

 

 

『買った!!!』

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

「ふむ、売れたな」

 

 ぶるぶる君の販売を終えた俺は、次の取引に向け部屋で準備を始めていた。価格は一つ1万ポイント。制作費は一つ1000ポイント。全て売れればいいポイントになるだろう。残り在庫の殆んどを抱え、俺は部屋を出る。次に向かうは南雲の部屋。先日、なずな先輩に頼んで南雲と会った際に持ちかけた取引の為だ。部屋につきインターホンを鳴らすと南雲はすぐに姿を現した。

 

 

「よく来たな。入っていいぞ」

「お邪魔します」

 

 

 部屋は綺麗に整っており、とても同じ大きさの部屋とは思えないほど優雅に、そして広々とした空間になっていた。俺がそれとなく部屋の中を観察していると、南雲は椅子に座り声をあげた。

 

「それがぶるぶる君か?」

「はい、全部で80個入っています。確認してください」

 

 袋に詰めら大量のぶるぶる君を南雲に手渡す。重箱は特別仕様、基本は箱になど入れずそのまま販売する。先日ぶるぶる君の販売を南雲に委託する契約を持ちかけた。2年には南雲を通じて販売してもらう。そして手数料として、南雲には3割引の金額で渡すことになっている。俺から袋を受けとると、南雲はすぐに確認を始めた。主人公補正なのか恐ろしい手際の良さ。品物を確認するだけ、たったそれだけの行動にすらセンスを感じさせる。南雲は全ての確認を終えると、携帯を取り出し操作を始める。その直後、俺の携帯が音を鳴らした。

 

「ポイントを振り込んだ。約束通り80万のうち3割の24万は俺が貰う。80個くらいならすぐに売れるだろうさ」

(入学してまだ1ヵ月。1年に比べ2年のほうが圧倒的にカップルが多い。マンネリを感じている者も多いだろう。それに、この手の物は女にも売れる)

 

「助かります。足りなくなったら教えてください」

 

「ああ、その時は朝比奈に伝える。しかし面白い発想だな。この学校は規律違反には厳しい。こういった物については特にな」

(そういえば生徒会に18禁コーナー付近をうろついて通報された1年がいるという情報が届いていたはずだが、まさか……)

 

「やはりそうですか。先日18禁コーナー付近をうろついただけで通報されたり、購入品についても先生に聴取されましたので……」

(俺はエロゲーが欲しかっただけなのに……。おかげでこんにゃくすら警戒される始末だ)

 

「そうだろうな。あまり目立つ事はしないことだ」

(……やはりおまえか。ある程度のリスクを承知の上で学校の対応を確認するため行動し、この商品が売れるかどうかを見極めたわけか)

 

「はい、そうします。それにポイントも増えましたしね」

(どこで女を買えるか、いくら必要かはまだ不明だがとりあえずポイントは増えた。博士と折半しても30万くらいにはなるだろう)

 

「そうか。動いた時期についても最善だろうな」

(1年は明日ポイントの変動について知らされる。何も知らず、もうすぐ10万が入ると思い込んでいる今なら売れるだろうさ。5月に入ればポイントの変動を憂慮して慎重になるヤツも現れるからな。それに対して2年はポイントについて熟知している。言わば明日が給料日。財布のヒモが緩む時だ。こいつはその辺りのことをよく理解している)

 

「ありがとうございます。俺もそう思います」

(そろそろ生活費がヤバかったからな。綾小路に昼飯おごりすぎた……。ぶるぶる君の制作費も博士と折半したし、一日も早くポイントが欲しかったからな)

 

「明日から5月1日だ。わかってるとは思うが、頑張るんだな」

(ポイントの変動を見越して行動し、見事成功か。こいつには言うまでもない事だったかもな)

 

「はい。ありがとうございます」

(頑張れって、何を頑張ればいいんだ?)

 

 

 

 

 

 

 そして俺は一通りの販売を終えて博士の部屋へと向かう。部屋に入ると、博士は正座で待機していた。その姿はまるで審判の時を待つ被告人のよう。

 

 

「判決を言い渡す」

「ぐほっ、頼むでござる。拙者頑張ったでござるよ! 結果はどうだったでござるか!?」

 

 

 必死に俺へ訴える博士。それもそうだろう。プール授業でメガネは割られ、カメラは粉々に破壊された。もはやポイントなど残っていないはずだ。明日ポイントが入ったところで振り出しに戻るだけ。5万のフィギュアが欲しいやら、アイドルの『雫』だか『すもも』だかの写真集も欲しいなどと叫んでいたしポイントが足りないのだろう。

 俺は判決を言い渡す。博士が求めてやまないであろう言葉を。

 

 

「博士、言っただろ。朗報を待てと」

「そ、それは。つまり……」

 

 

 

「ああ、売れたぞ!!」

 

 

 

 そこからは祭りだった。4月最後の日、大量のポイントを手に入れた俺たちは夜の街へと繰り出した。

 そして翌、5月1日。俺たちDクラスに、ポイントが振り込まれる事はなかった……

 

 

 





エロ「なあ博士、聞いてくれ」
博士「どうしたでござるか?」
エロ「おかげさまでエロゲーの教室も12話目になるわけだが、実はまだ原作1巻の半分しか進んでないんだ……」
博士「な、なんとッ!なぜそんなに進行が遅いのでござるか!?」
エロ「おそらくだが、無駄な登場人物や会話が多すぎる事が原因だ。そこで対策を考えた」
博士「……対策とは?」
エロ「博士は全カット」
博士「鬼畜ッ!!」

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