中二病の黒魔術師   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第9話 契約

可愛いリアマリアちゃんを買うと決め、いよいよ契約のお時間です。首輪に契約の魔法陣が込められているので解析すると、私の知ってる悪魔と使い魔契約を結ぶ魔法陣と酷似しているところもある。

 

主人への攻撃禁止、逃走禁止、命令違反禁止と、その他諸々の条件を盛り込んでいるので魔法陣は大きいし、契約書が分厚い。それでも騙されないようにするため、契約書は隅から隅まで読み込む。このことは、お父さん(真人間)から教わったことだ。サラリーマンで他社との契約書を作成、他社からの契約書をチェックする立場にいたお父さんは、契約について本当に口煩かった。

 

特に責任の所在がどこにあるのかを明記されてないと、後々に問題になるという。例えば今回の契約で、奴隷が主人の命令なく殺人や強姦などの犯罪をした場合、購入後半年までは店側に8割の責任があるらしい。半年後は店側の責任が2割になり、1年後には主人が全責任を負うことになるとか。

 

……要するに慰謝料とかは、主人が払わないといけないよってことだね。罪自体は犯罪をした奴隷本人が背負うけど、弁償とかする場合は、購入後1年までは店側の懐からも出るということ。他にも色々と細かな規定があるので、質問を繰り返していたら日が暮れて来た。

 

最終的に、全部を読み込んで問題ないと判断したので無事契約。これでリアマリアちゃんは私のものになった。これからリアマリアちゃんをどう扱おうが、私の勝手ということだね。いきなり「私の尻を舐めなさい」と命令しても何の問題もない。

 

店を出て、人目のつかない場所へ移動し、一旦リアマリアちゃんを亜空間の中へ入れる。私の亜空間は、世界一安全な場所だからね。昨日ボコった冒険者達や、その他様々な刺客が私を狙って来る可能性はあるから、大事なものはしまっておく。これ大事。

 

 

 

霞に買われたリアマリアは、自己紹介もそこそこに手をつながれ、路地裏まで案内される。そこで霞が腕を縦に振り下ろすと、空間に裂け目が出来、中から瘴気のようなものが漏れ出した。

 

「じゃ、しばらくはこの中に入ってて。安全そうな宿屋が見つかったら出すから、それまでのんびりしてていいよ」

 

霞が安全そうな宿屋を探すと言うが、そもそもここは王都であり、治安は基本的に良く、宿はどこも安全である。瘴気の漏れ出す亜空間よりは、外の方がよっぽど安全なように思えるが、そもそも亜空間を生み出せる霞に驚いているリアマリアはそこまで思考することが出来ない。

 

霞に背中を押され、入れられようとする亜空間の中から、ひょっこりと下級悪魔が数匹、顔を覗かせる。レッサーインプが何匹もいることを目にしたリアマリアは顔を強張らせ、小さく「ひっ!?」という悲鳴を出し、そのまま霞に亜空間の中へ押し込まれた。

 

すぐに後ろを振り返るが、既に入って来た道はなく、レッサーインプ達に囲まれるリアマリア。翻訳魔法を受けていないため、彼女には周囲の悪魔達の言葉が通じず「ギャギャギャ」「グシシシャヒ」というおぞましい鳴き声にしか聞こえない。「姫様のペットだ」「丁重にお迎えしなくては」などという会話をしているとは、夢にも思わないだろう。

 

思わず目を瞑り、両手で耳を塞ぐリアマリア。そのまま座り込み、殺すなら殺せと言わんばかりに丸まる。しかしレッサーインプ達はそんなリアマリアを不思議そうに見つめた後、もてなすためにお茶を入れ、椅子に座布団を敷く。

 

最終的に、自身に危害を加えるつもりがないと判断したリアマリアは、レッサーインプ達に促されるまま椅子へと座る。霞にお茶入れを仕込まれたレッサーインプの出すお茶は美味しく、リアマリアの精神を落ちつけた。

 

その直後、亜空間の中にどす黒い魔法陣が描かれ、そこから青白い肌をした鬼が現れる。2つの角と3つの目が特徴的であり、背丈は3メートル近くある。そのあまりの巨体と恐ろしさから、リアマリアは失禁した。

 

霞のお気に入りのクッションが汚れたことで、頭を抱える下級悪魔達。身震いし、目の焦点が合っていないまま死を覚悟した少女。そんな有様を見て、青い鬼はそっと少女の頭に手を乗せる。恐怖のあまり、リアマリアはビクンと身体を跳ねさせるが、直後に何か、気味の悪い物が流れ込む感覚を覚える。

 

「これで、我々の言葉は通じるか?あまり怖がらなくても良い。ここにいるのは、全て霞様の僕だ」

「カスミ様の、僕……?」

「貴様と同じようなものだと思ってもらっても良い。それと、一々異形の怪物が出たぐらいでお漏らしをしていると、身体が持たんぞ?」

 

それは翻訳魔法であり、リアマリアは青い鬼と会話が出来るようになった。ついでに下級悪魔達とも意思の疎通が出来るようになり「クッションの洗濯をするから早く立て」「お茶の飲み過ぎだ」という言葉を話していると分かるようになる。

 

そして自分を買った主人が、この辺にいる悪魔全員を僕にしているということを理解し、リアマリアの身体は硬直した。

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