中二病の黒魔術師   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第8話 相討ち

勇者の心情を読み取るようセバスに言うと、全くもって読み取れないとのこと。勇者としての力か何かかな?しかし周囲の女3人の心は朧気ながらも読めるそうなので、読ませる。

 

『……どうやらあの女は、勇者が魔王を倒した後、勇者を殺す算段のようです』

(どの女?)

『すぐ勇者のすぐ隣にいる、鎧を着た女性です。どうやらこの国の王女のようで、騎士でもあるようですな』

(王女で騎士?姫騎士ってわけね?その姫騎士が、勇者を利用するだけ利用して殺そうとしているのね。……あの笑顔も、勇者に寄り添う姿も、全部虚構ってわけ?)

 

勇者とパーティーを組んでそうな女性3人は、王女と盗賊と魔法使いかな?どうやら盗賊は王女の元奴隷で、魔法使いは王女の元家庭教師。そして3人とも、勇者を後ろから刺す気満々という。

 

中央の勇者は、女性に言い寄られて頬を染めてるけど、前髪が長くて目が隠れているせいで表情が読み取りにくい。んー、これ最終的に殺されるのが本当なら、可哀想ってレベルじゃないね。

 

(過去に勇者と魔王が相討ちした例があるのか、調べてみようか)

『勇者と魔王の戦いなら、広範囲を調べれば一人は引っかかるでしょう。試してみます。

……どうやら過去4回の勇者召喚があり、2回目以外は魔王と相討ちですな』

(思っていたよりも酷かった。3回目と4回目は、後ろから刺して処分したのかな?)

 

まだ詳しく調べてないけど、もう私はこの国が嫌いになりそうだよ。通貨単位が円なのも、年に数回は来る異世界人や召喚された勇者をだますためのものにしか思えなくなってきた。

 

朝から元気が無くなったけど、とりあえず奴隷を買おうか。勇者?可愛い女の子なら真実を伝えて助けていたかもだけど、別に良いかなって。魔王倒すまでチヤホヤされてて。私自身が勇者じゃなかったこと、魔王でもなさそうなことにショックを受けてるから。

 

そして奴隷のお店を探すこと約30分。無事に大きな奴隷商店を見つける。昼前に見つかって良かった。途中、露天で買った焼きそばパンもどきを頬張りながら入店。店員が常識知らずを見るような目で見て来たけど、もう少しで飲み込めるからちょっと待ってて。

 

「あの……奴隷ってここで買えるんですよね?」

「はい。低価格の奴隷であれば十数万円から購入可能ですよ」

 

まずは受付の男性に声をかけるけど、爽やかなイケメンで声が良い。しかし彼も奴隷である。この国では奴隷は首輪がついているから、一目で奴隷だと分かるようになっている。奴隷商店の受付が奴隷って、それで良いのかな。

 

十数万円で奴隷を買えるとのことだけど、十数万円で買えるのは男性の奴隷で、しかも身体のどこかに欠損がある死にかけの奴隷のみとのこと。女性の奴隷は欠損ありでも50万円はして、正常な女性の奴隷だと不細工でも100万円はする。やっぱ高い。

 

「猫の獣人族の小さい女の子であれば、幾らです?」

「幼くてもよいのであれば、200万円前後からかと」

(セバス、この人はぼったくろうとしてない?)

『していませんぞ。世間知らずにはオプションを少々高値で売るように教育されてはいますが、200万円を205万円で売るレベルに目くじらを立てる必要はないでしょう』

 

セバスに読心させると、ちょっと高値で売られそうになっていることは分かる。やっぱりセバスの力は有用だね。たまに抵抗力の強い人相手だと読めなくはなるけど、基本的には貫通するから相手の心情が手に取るように分かる。セバスは私に嘘つけないしね。

 

会話をしていると身分証明書の提示を求められたので、冒険者カードを見せると受付の男性の顔が困ったような顔になる。この人の主人が出て来るのは、預金が500万円以上ある人だけみたい。手持ちの所持金を含めても、500万円にはならないからこのまま奴隷の男に案内されることになるかな。

 

……身分証明書に残高が書いてあるから、そこの金額に応じて接客を変えるということね。この冒険者カードに預金額が書いてあるの、デメリットはあるけどメリットもあるから扱い方が難しいな。とりあえず手持ちで300万円ほどあることを伝え、受付の男を安心させる。その後、獣人族がいる部屋へと案内された。

 

予想と反して、売られる奴隷は檻には入ってなかった。大きな窓のある小部屋で寝転んでいたり食事を食べたりと、思っていたよりも悪い扱いは受けてない。中には泣いている子とかもいたし、部屋の隅っこで蹲っている子とかもいたけど。

 

値段は部屋の前に書いてあって、大体15歳から16歳の巨乳な子が高い値段になってるね。400万とか500万とか。このシステムだと、ぼったくりは難しいかな。獣人族の子は短命で安いらしいけど、最高値が15歳から16歳って……。

 

そう思っていると、これより高い奴隷は別の通路に置かれているそうで、そっちの案内が主人担当らしい。となるとこの辺には少ない17歳から19歳辺りが最高値かな。11歳から14歳までの子は、15歳から16歳までと比べると少し安いけどそれでも高い。

 

一方で、私が求める8歳から10歳ぐらいの子はそこそこ安かった。可愛い猫耳尻尾付きが、お値段なんと250万円。買うしかないでしょ。いくつかの部屋を回って、リアマリアちゃんを240万円で購入。銀色のロングヘアーに、ちょこんと飛び出ている猫耳が可愛い。顔も可愛い。ぽっぺたをツンツンしたくなる。

 

リアマリアちゃんは、私に買われてなんかホッとしていた。男の人に買われたら、どういう扱いを受けるのかは知っているらしい。短命の種族だけあって、精神は早熟なのかな。身長は140センチ程度で、9歳にしては大きめ?私が158センチだから、頭半分ぐらい下だね。


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