1人の少女がこれから、高飛び込みをしようとしていた。
周りが固唾を呑んで見守る中、少女は1つ深呼吸をして集中を深め。
そして綺麗に宙を舞い、少しの水飛沫をあげて水の中へと身を潜らせる。
少女が水面に顔を出して観客席から見ていた幼馴染2人へとVサインを送れば、2人は喜びを露わにし、笑みを浮かべて手を振っていた。
少女もその様子を見て嬉しそうに笑みを浮かべていたが、見守っていた人たちが歓声を上げてプールの中へと飛び込み、少女を囲んでしまったため遮られる。
かけられる賞賛の声に応えながらも再び視線を幼馴染の方へと向ければ。
そこでは2人が仲良く楽しそうに話している姿が見え。
少女は先ほどまで感じていた喜びが無くなっていた。
あの頃からだろう。
羨ましいとずっと思っていた。
出会った時期は同じはずなのに、いつの時も彼の隣にいるのは私じゃなかった。
私の周りにはたくさんの人が居たけれど、本当に居てほしい彼はいない。
幼馴染2人が話しているのを人の輪の中から見ているだけ。
そんなはずは無いのに、私へ向けるものより柔らかい表情に見えて。
日に日に胸の痛みは大きくなっていくばかり。
些細なきっかけで彼を異性として意識してからはさらに痛みは大きくなり、苦しんでいた。
こんな気持ちになるのなら知らなければよかったと思う時もあるけれど。
それでもやっぱり、彼から与えられた温かさは胸の内にじんわりと広がっていき、とてつもない嬉しさを感じる。
3人一緒だと、2人も思っていてくれてるはずだけれど。
時たま2人と1人に感じてしまい、私だけが外れているように思えて。
そして、そう感じてしまう自分自身が少し嫌になる。
もう少し、あと少しだけを繰り返していくうち、ぬるま湯にはまって抜け出せなくいたこの関係。
第三者によって強制的に変わらざるを得なくなったけれど。
それでも変わらない関係を築きたいと、思っていた。
思っていたけれど、世の中は思い通りにいかなかった。
いかないのなら。
ずっと、ずっと憧れていた彼の隣に居たいと願うのはいけない事だろうか。
「あ、もしもし」
1つしか空いていないのなら。
どちらかしか、手に入れられないのなら。
「あのね、千歌ちゃん」
他がどうでもよくなるくらい、大切なものなら。
「私ね、優くんと付き合うことになったんだ」
願いを叶える我が儘くらいいいじゃないか。
だって、先に抜け駆けしようとしたのは千歌ちゃんだもんね。
……でも、私はこれからもずっと、3人一緒にいられたらって思っていたんだよ。
『じゅうわめ』で告白「しかけた」とありますが
あそこが告白「した」→「付き合う」「付き合わない」「返事を聞けてない」でそれぞれルート分岐があります
たぶん分岐は書かないのでこれ完結した時にそれぞれどの結末になるかだけ書きます(覚えていたら