スーパー戦隊このすばメガフォース VS 仮面ライダー剣 サンドリオンウォーリアーズ the end of Cendrillon Warriors 作:伊勢村誠三
1
その夜、カリザの目的、おおよその現状を把握した一同は取り敢えず敵から身を隠すためにガレオンをオート巡回にして、風雷丸に頼んで隠れ身の術をかけてもらった。
「取り敢えず今は戦力が足りない。
シェフィの持つ力を100%使う為にも対応するレンジャーキーが必要だ。」
それぞれの球に合うキーを探し、それを以って総一を倒して元に戻し、カリザを倒す。
その為に準備が必要ということで、一先ず今日の所は休む事となった。
ダクネスに協力すると約束したブレイド達と、面白そうだし乗りかかった船だからと申し出たトモは客室を一部屋ずつあてがわれたのだが、
(……寝れない。)
枕が変わってるとかじゃなくて、ただ単純に頭の中で考え事が止まらなくなってしまったのだ。
そして、思い出してしまったのだ。
アストルムでの最後の戦い、ハジメがすべてのライダーの力を手に入れるべく仲間たちに牙を剥く姿を。
(きっと海賊たちも…)
仲間と戦うのは、この上ない苦痛だったろう。
自分にとってだって昼間起きていればふとした時に思い出し、夜眠れば夢に見る今でもうずいて仕方ない古傷なのだ。
(なんか飲みに行こ…。)
ブレイドはベッドを抜け出して居間の、キッチンの方に向かった。
するとそこに先客がいた。
同じ茶髪の、日本から来たという彼。
「カズマ?」
「ブレイド、お前も寝れないのか?」
「ああ…、君こそ。ボロボロなんだし寝てた方がいいんじゃないか?」
「俺はこうなると砂糖抜きのホットミルクがないと寝れないんだ。
お前も飲むか?」
「じゃあ、一杯。」
和真は鉄製のポットとカップを二つ用意する。
どうやら寝れないときは毎晩と言うのは本当らしく手馴れた感じでホットミルクを作っていく。
「よし、出来た。ソファーの方で飲もう。」
ブレイドと和真は横に並んで腰かけた。
まず一口。多分現実世界、いや、アストルムでも飲んだ記憶がないから生まれて初めて飲むかもしれない。
「……美味いな。」
「だろ?先輩に奢ってもらってから好きになったんだ。」
へー、と相槌を打ってもう一口。
「…なあ、ブレイド一個良いか?」
「何?」
「お前あの女の子、シェフィって言ったよな?
凄く、お前になついてるよな。」
「ああ。」
「絶対に、絶対に守り抜いてやれよ。
それで、悪い事したらちゃんと叱って、
良い事したらうんと褒めて、
幸せになったら…ちゃんと祝福してやれよ?」
「……。」
一瞬、カズマは出来なかったのか?
と言いそうになったが言わなかった。
「俺からも、一個良いか?」
「なんだ?」
「仲間がどうしようもなく遠くに行きそうで、
戦うようなことになって言葉とかでなくても、
絶対に躊躇うなよ。
そこで言葉がまとまってなくても何か伝えられなきゃ死んでも後悔する。」
「分かった。肝に銘じとく。」
2人は乾杯を指切りの代わりにホットミルクを飲み干した。
2
照りつける太陽に目が覚める。
膝に重いものを感じながらブレイドは目覚めた。
(昨日は確か…カズマと話しててそのままソファーで…。)
起き上がろうとして昨日自分がいなくなったことに気付いたシェフィがやってきてここで寝てしまったことを思い出す。
彼女は彼の膝に頭を預けたまま寝息を立てていた。
「おはよー!あらブレイド、だったかしら?
早起きね。まだシェフィはお眠みたいだけど。」
「おはようアクア。他の皆は?」
「ジョーとトモは甲板で朝稽古。
ダクネスとめぐみんは一日一爆裂に向かったわ。
ルカとリアは朝弱くてまだ寝てる。
カズマはそろそろ起きてくると思うわ。」
「そっか。何か朝の用意とかで手伝うこと有るか?」
「あとでカズマにやらせるわ。
アンタはまだもう少しシェフィを安心させるって仕事が残ってるでしょ?」
そう言ってアクアは出て行った。
顔でも洗いに行ったのだろう。
「んん……おにーたん…。」
「シェフィ?」
「……いか、ないで…」
もぞもぞと顔をうずめながら寝返りを打つシェフィ。
ブレイドは頭を撫でると
「行かないさ。」
ブレイドは短く、だが確かに約束した。
3
同じころ、ブレイドたちの世界。
一人の少女がパソコンの前で固まっていた。
画面には、一人の少年のバストアップが映っている。
その上には『探しています』と大きく書かれていて、その下にはもう一つ枠があり、そこには連絡先やいなくなった時の服装や身体的特徴などが書かれているが、名前だけが空欄だ。
(坂井直人とは書けないし、ブレイドとも書けないよね…。)
ブレイドがひよりを殴ったと知ったその日から少女、草野優衣の心はどんよりと曇っていた。
「ナオ君はもういないし、ブレイド君も、変っちゃったのかな?」
「そんなに気になるなら確かめに行けばいい。」
一人ぽつりとつぶやいたはずの言葉を誰かが返す。
振り向くと誰も居なかったはずの室内に一人の若い男が立っていた。
海東大樹だ。
「だ、誰!?」
「かつて仮面ライダーブレイドだった者の消息を知る者だよ。
どうだい?知りたくはないかい?」
そう言って彼は懐から、ダークモバイレーツと一本のレンジャーキーを取り出す。
「それは?」
「彼に会うために必要な物さ。
別に見送るなら受け取らないでいい。
ただチャンスが二回も三回もないという事は理解してくれたまえ。」
優衣はしばらく迷ったが、やがて意を決したようにそれを受け取る。
「え?あ、あああああ!何!?何これぇ!?」
瞬間、優衣は自分の身体を抱きしめその場に座り込み、アルマジロの様に丸まって震え始める。
「おや?てっきりプリンセスナイトの事で身体に力が流れてくるのは慣れてるのかと思ったけど、スーパー戦隊の力は少々毛色が違ったかな?」
「あ、ああ!助けて騎士、ク……。」
シャキ!と立ち上がった優衣はダークモバイレーツを開く。
中から出た黒い靄が優衣の衣装を部屋着からかつてアストルムでオーキッドアンデッドに洗脳された時に着せられたのと同じデザイン、しかし色は黒いドレス姿になる。
「へえ、いかにも顔出し幹部っぽいじゃないか。
活躍が見かけに正比例することを期待するよ。」
そう言って海東は銀色のカーテンを発生させて移動する。
どこかの倉庫の中、ソファーにふんぞり返るカリザとただ黙って虚空を睨みながら立つ七海総一、そして見覚えのないもう一人の少女が待っていた。
「仕事はしっかりしてくれたみたいだな。」
「そっちこそ。報酬はしっかり用意してくれてるんだろうね?」
「ああ、当然。お前こそ、しっかり最後まで協力してもらうからな?」
「もちろん。そこは信用してもらっていい。
ちゃんと君のご要望通りちゃんと転生特典でアストルムでの力を願うだろう者をあの世界で殺して転生するように仕向けたじゃないか。」
カリザは起き上がると優衣が受け取ったのとは別のダークモバイレーツとブルーマスクレンジャーキーを取り出す。
「これは士条怜に?」
「ああ。酒井直人が苦しむ姿が目に浮かぶ。」
「じゃああっちの方には彼らを向かわせると良い。」
そう言ってキーと交換するように海東は2枚のライダーカードを渡した。
「上手くやれよ?」
「君こそね。」
そう言い合って二人は再び分かれた。