スーパー戦隊このすばメガフォース VS 仮面ライダー剣 サンドリオンウォーリアーズ the end of Cendrillon Warriors   作:伊勢村誠三

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彼は約束は破らない。


発覚/周知

1

放課後、濡れた靴に気持ち悪さを感じながらブレイドは喫茶店に入店した。

はっきり言ってあまり気乗りはしないが、行かないわけにもいかない。

 

「あ、先輩!こっちです。」

 

一足早くついていたかすみが呼んでいる。

テーブル席が無かったのかカウンター席で隣は空いていた。

ブレイドはそこに座る。

 

「早速本題に入っていいでしょうか?」

 

「来たのに何も頼まないのは悪いから注文だけさせてくれ。」

 

カプチーノをデカフェで頼み、それが出るとかすみは話し始めた。

 

「まずはこれを読んで下さい。」

 

渡されたのはイマイチ信憑性に欠ける週刊誌だった。

しかし生地を読んでみて思わず驚いた。

 

『アストライア王室 ユースティアナ殿下行方不明!?』

 

ユースティアナ・フォン・アストライア。

かつてアストルムに置いて二代目仮面ライダーギャレンだった少女にしてブレイドと共に美食殿として過ごした快活な少女だ。

彼女が行方不明?

 

「こんなん…品の無い捏造記事だろ?」

 

「これだけならそう言えばいいです。

けどこれを見れば信じるかもしれませんよ?」

 

そう言って次に見せて来たのはどこかカメラの映像を静止してキャプチャーしたらしい画像だ。

日付は昨日の夕方、丁度ブレイドが家に向かい始めた時間だ。

 

「この子は…キャル!?」

 

「先輩のアパートのカメラの画像です。

入り口が一つしかない筈なのにこれ以降彼女は出て来ません。」

 

次に、と言って見せたのは栗色の髪の小柄な少女の写真だ。

 

「この子の名前は柏崎栞。

記憶を無くす前の先輩とアストルムで交流があった子です。」

 

ユースティアナ、キャル、そして柏崎栞。

3人ともレジェンド・オブ・アストルムをプレイしていて尚且つブレイド、または坂井直人と関わりがあった。

つまりかすみが言いたい事は…。

 

「アストルムプレイヤー連続行方不明事件。

何か心当たりは有りませんか?」

 

 

 

2

気付けばブレイドは店を飛び出していた。

雨が降っているのに傘もささないで走って走って走り続けた。

どこにいるかも知らない、こちらでの名前さえ知らない。

それでもまだ無事な仲間を見つけなければと思ったからだ。

 

(コッコロ!コッコロ!

彼女だけでも、彼女だけでも見つけないと!)

 

時間はもうすっかり夜。

食事も忘れてブレイドは走り回っていた。

ただ1人、ただ1人でもいいから自分をアストルムにいた頃の名前で呼んで欲しい。

そんな思いがブレイドを走らせていた。

ある路地前で立ち止まった時、ガランガランと何かが崩れる音がする。

 

「コッコロ!?」

 

思わず振り返る。

そこに居たのはコッコロと同じ年頃の少女だった。

髪の色は薄い綺麗な水色。

しかし汚れていて服も貫頭衣の様な取り敢えず着せてるだけの様な衣装だ。

 

(何だか、似てるな。ペコリーヌと出会った時と。)

 

初めて彼女とアストルムで出会った時も美しい髪と汚れた姿のギャップに少し怪しく思った事だ。

それだからかは分からない。

だがブレイドはその少女を連れて行く事にした。

もしかしたら自分も坂井直人も知らない彼女なら今の自分を見てくれるかもしれないという期待もあったかもしれない。

 

 

 

3

数日前、彼に殴られた後がズキズキと痛む。

彼女、春咲ひよりは深い後悔を抱いていた。

 

『坂井直人なんてカスみたいなカケラしか残ってねぇよ!

僕はブレイドだ!確かに坂井直人がベースだけど間違いなく俺には覇瞳皇帝に皆と戦った坂井直人とは別の物語がある!

ハジメを犠牲にしてのうのうと生きてる情け無い物語が!

なのにお前らは直人直人直人直人!

僕を裁いてすらくれないのかよ!

僕を救えなかった英雄と蔑むどころか一度はアストルムを救った英雄坂井直人のレッテルを貼るのかよ!

ふざけんな!僕は自分が1番嫌いなのに!

僕が1番なりたかった者を僕に見せるな!』

 

否定出来なかった。

記憶を無くしていた間さえ無意識に何処かで彼に坂井直人を、騎士くんを重ねていた。

 

(そうだよね…1番ハジメ君の痛みを分かってあげれたのにって思ったら辛いよね……)

 

四条ハジメ。

彼とブレイドの関係は最初は敵同士だった。

その後の関わりも多かった訳ではないが、過去を持たない彼にとっては掛け替えない仲間だったに違いない。

 

その上2人とも造りモノ、壊れモノ、偽モノ。

同じ苦しみを舐め合い、支え合うことも出来たのに。

そう後悔しても仕方ないと思いながらも引き摺らない訳が無いと思えた。

 

「今日は、雨かぁ…」

 

遠くのビルは見えなくなるほどの大雨だ。

外歩いてる人間もいないだろう。そう思って道路を見ると

 

(え?ブレイド君?)

 

彼がいた。

荷物を背負って傘もささずに歩いている。

ひよりは傘を抱け持って靴を履くと玄関から外に出た。

 

「ねえ待って!」

 

ずぶ濡れの彼が振り返る。

背負っていたのは荷物じゃなくて彼の上着を着せた少女だった。

 

「ヒヨリ、この子を泊めてくれないか?」

 

自分はずぶ濡れのまま帰る気でいる彼を引き留めてひよりは早速風呂の準備をした。




用語解説
レジェンド・オブ・アストルム
・人工知能ミネルヴァにより運営されていた仮想空間アストライア大陸を舞台としたネットゲーム。
・本物の仮面ライダーブレイド=剣崎一真の混入により、現実と同じく『バトルファイト』の概念があった。
・アストルムで生み出された改造実験体ジョーカー=四条ハジメにより完全に閉ざされた。
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