【完結】機動戦士ガンダム外伝 ノエル中尉奮戦記   作:B.I.G

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MISSION 11 「キャルフォルニア・ベース奪還作戦」

 オーガスタ基地襲撃作戦から数日経ち、トロイホース隊に下った命令は北米大陸沿岸地帯に存在するジオン軍の大規模拠点、キャルフォルニア・ベースを奪還する作戦への参加命令だ。

 

 キャルフォルニア・ベースはそもそも、地球連邦軍本部ジャブロー防衛の要だった場所だ。ジオン軍の第二次降下作戦で抵抗虚しく占領され、以後はオデッサと並ぶジオン地上軍の最重要拠点となっている。

 (実際にはキャルフォルニアにある本部だけで無く、本部から南西部までの一帯に存在する二十近い基地の総称こそが、キャルフォルニア・ベースだ)

 

 先のジャブロー降下作戦で大量に投入されたガウもこの場所から飛び立っており、降下作戦の失敗で戦力が枯渇。

 オデッサ作戦とジャブロー降下作戦に勝利を収めた地球連邦軍は、その勢いのままにキャルフォルニア・ベースの奪還を目論んだ。

 

 襲撃を受けたオーガスタ基地だが、基地守備隊はともかく大部分の設備は無事だった事が幸いした。

 ジャブローに戻る事なく、そのままオーガスタ基地で機体の整備と補給を終えたトロイホース隊は、命令に従って現地へ向かう事となった。

 

 

 

「聞きましたか、隊長。ジャブローで見た蒼いジムの話」

 

「特に聞いていないけど……そもそも蒼いジム自体、連邦軍のデータベースを調べても出てこないのに」

 

「なんだ、また噂話か?」

 

「まあまあ。ちょっと知り合いのヘリ乗りから聞いた話なんですが……」

 

 トロイホースのブリーフィング・ルームに集まっていたデルタ・チームだが、アニッシュがいつものように噂話から仕入れた話題を切り出す。

 情報源はイマイチ胡散臭いのだが、今までの噂話で全く見当違いなものは無かった。まさかアニッシュが実は諜報部所属だった、なんて事もあるまいし、仮にそうだったとしても特に問題があるわけでも無いのだが。

 

「なんでもキャルフォルニア・ベース近郊にジオンのミサイル基地が確認されたらしく、その破壊に例のジムが駆り出されたらしいんです」

 

「ミサイル基地?……確かにキャルフォルニア・ベースに侵攻する部隊が狙われたら厄介だけど……一機で?」

 

「そりゃそうですが、ミサイルですよ?ピンポイントでこちらだけを狙える訳じゃ無い。残ってる友軍部隊まで巻き込む可能性があるだから、そうそう撃てるもんじゃない。それに一機で基地を破壊するなんて出来るもんか」

 

 ミサイル基地がある事自体はさほどノエルにも驚きは無い。旧世紀から存在していた基地をジオンが占拠し、本部の防護を固める為のものだろう。

 

 だがラリーの言う通り、仮にミサイル攻撃を行うにしてもその攻撃はジオン軍側にもかなりの損害を与える事になる。いくら追い詰められているとは言え、そんな事をするだろうか?仮に司令部がミサイル基地を危険視したとしても、今は一機でも多くのMSをキャルフォルニア・ベース奪還作戦に送り込みたい時だ。

 

 だからと言って本当に一機で基地破壊任務など論外だ。成功する筈が無いどころか、作戦と言えるものではない。

 あの蒼いジムのパイロットがシミュレーションとはいえ、アムロを倒す程の手練れである事を差し引いても、あり得ない話だ。

 

「……成功したそうです。配備されてたMSは勿論、地上要塞のダブデまで破壊して、基地の破壊もやり遂げたって話です」

 

「そんなバカな事……」

 

 確かに不気味な気配を感じた機体ではある。

 だがMSはただのマシーンであって、そこにオカルトな要素が介在する余地は無い。そう考えた時、オーガスタ基地に併設されているニュータイプ研究所にあった書籍のデータをコピーしていたのをノエルは思い出した。

 

「Do Human Evolve Into "EXAM"──人類は"EXAM"になれるのか?なんですか、これは?」

 

「ニュータイプ研究所にあった書籍のデータよ。ニュータイプ論が書いてあるからって研究所の……ええと、ローレンさんに聞いたの。それにこのEXAMってワード。例の蒼いジムの右肩にマーキングされていたのと同じよ」

 

「EXAMになれるのかって言われてもな……大体EXAMってのは?」

 

(EXAMination──裁く?誰を裁くの……ニュータイプを?)

 

 不穏な空気を感じたままで、トロイホースは戦闘空域へ侵入する。ブリーフィング・ルームに艦長であるヘンケンの声が響いた。

 

 

 

【BRIEFING】

 

 ジオン掃討作戦の一環である、キャルフォルニアベース奪還作戦への参加命令が正式に下った。

 我々トロイホース隊は基地中枢部から離れた宇宙基地を制圧する。現在マスドライバーにて、ザンジバルが打ち上げ態勢に入っている事が確認されている。

 

 これほど切迫する状況下で打ち上げを強行する事から、このザンジバルには何かしらの重要物資が搭載されている可能性がある。

 今回のミッションは、ザンジバルの打ち上げ阻止が第一目標となる。撃破では無く足止めが目標となるので、船体や後部ブースターユニットへの直接攻撃は避け、ブリッジ部分のみを破壊してくれ。

 

 難しいミッションだが、十分注意して欲しい。

 なお、アレックスはホワイトベースへ移送する機体の為、出撃は出来ない。機体のシューフィッターであるマッケンジー中尉も同様だ。

 敵部隊からの苛烈な抵抗が予想される事から、トロイホースは後方の司令部でビッグトレーと共に待機する事となる。こちらの防衛は考えず、ザンジバルへ急いで向かってくれ。

 

 各員の健闘を祈る!

 

 

MS1 ノエル・アンダーソン中尉《デルタ・リーダー》

FA-78-01[FSD-G]フルアーマー・ガンダムFSD(陸戦型) 二連装ビーム・ライフル

 

MS2 ラリー・ラドリー少尉《デルタ・ツー》

RGM-79SP ジム・スナイパーll ビーム・ライフル

 

MS3 アニッシュ・ロフマン曹長《デルタ・スリー》

RGM-79SC ジム・スナイパーカスタム 二連装ビーム・ガン

 

 

作戦成功条件:目標のブリッジ破壊

作戦失敗条件:部隊の全滅、目標の破壊

 

 

─ MISSION START ─

 

 

『ザンジバルの打ち上げを阻止しろと言われても、こうも乱戦じゃあ!』

 

『デルタ・スリー!フォーメーションを崩さずに防衛戦を突破します!後続部隊の露払いもするのよ!』

 

 キャルフォルニア・ベース奪還作戦の先陣を切って、デルタ・チームは先頭に突入する。

 目的はマスドライバーで宇宙に射出されるザンジバルだが、それを簡単に許すジオン軍では無い。今基地防衛に出ている部隊は決死隊だ。艦長はザンジバルに重要物資が搭載されている可能性があると言っていたが、宇宙に逃げる為に乗り込んでいるジオン兵も多い筈。

 

 このキャルフォルニア・ベースを失えば、ジオン地上軍は宇宙へ帰る手段を失う。間違いなく、今戦っている兵士は宇宙へ帰れない。

 それでも、一人でも多くの兵を宇宙に上げる為に彼らも戦っている。だが、それを黙って見逃すわけにはいかない──そう呟いてノエルはトリガーを引く。

 

『こちらデルタ・ツー、敵機発見。──いや、友軍機の砲撃で敵機の撃破を確認した。ガンダムタイプだ』

 

『──ガンダム6号機!』

 

『すげぇ火力だ!ウチのガンダムと良い勝負だぞ』

 

 ラリーが発見したザクの小隊を一瞬で破壊したのは、ジャブローで開発された六番目のガンダム。通称マドロックと呼ばれる機体だ。

 

 マドロックは固定武装の強化をコンセプトとして開発された機体で、ランドセルに300mmキャノン砲を装備した他、砲撃時に発生する衝撃波や電磁パルスの影響を防ぐ為に装甲を強化。

 増加した機体重量で機動性の低下を防ぐ為、脚部に可変式スラスターユニットを増設する事によってホバー走行を可能とする事で、高い機動性と攻撃力を両立する事に成功した。

 

『ジャブロー防衛戦で損傷したって聞いていたけど、完成していたのね。デルタ・ツー、スリー!今のうちに突破よ!アロー・フォーメーションを維持!』

 

『デルタ・ツー、了解』

 

『デルタ・スリー、了解!』

 

 意図してやっているのか、それとも実戦の空気に興奮して歯止めが効かなくなっているのか……手当たり次第に敵機に撃ちかかるマドロックだが、敵がそのまま放っておく筈が無い。

 グフやドムといったザクよりも機動性に優れる機体が率先してマドロックに仕掛けるが、アニッシュが感嘆するように馬鹿げた火力で強引に敵機を撃破する。

 

 後々の事を考えれば基地施設を過度に破壊する事は避けるべきだが、戦闘中にそんな事を気にかける余裕がある筈も無い。マドロックが勢い余ってザンジバルを破壊する事が無ければ良いが、とノエルは思いながら、僚機と共にマスドライバー周辺へ機体を走らせた。

 

 

 

 

「こいつは……MAか?」

 

「いえ、こいつはゾック。こんなデカさですが、れっきとした水陸両用MSです。合計9門のメガ粒子砲を装備した色んな意味で重量級の機体ですよ、シュタイナー大尉」

 

 防衛に出撃するMSやザンジバルに乗り込む負傷兵でごった返す基地内部。格納庫に鎮座する大型の機体の前で話すのは、サイクロプス隊の生き残りであるハーディ・シュタイナー大尉と整備兵だ。

 

 MSM-10 ゾック。頭部含め合計9門のメガ粒子砲を搭載し、ズゴックのものよりも更に高威力かつ連射も可能。搭載された大型ジェネレーターの出力はザクIIの実に4倍を誇る超重量級の機体だ。

 

「この機体なら、例の"凶鳥"を仕留められるか?あの黒いガンダムを」

 

「"ジャブローの凶鳥"……大尉ならやれますよ!」

 

 基地に設置されたカメラや、既に出撃した兵士達からの報告で"ジャブローの凶鳥"と呼ばれる機体がいる事は確認出来ている。オーガスタ基地で辛酸を舐めさせられた"黒いガンダム"がそのような呼び名で恐れられている事をシュタイナーは初めて知ったが、散った仲間達の為にも二度は負けられない。

 

 キャルフォルニア・ベースは海に面している為、基地内部にもMSが通れる水路が何本も通っている。

 機体を冷却しながらメガ粒子砲を連射出来れば、いかにガンダムが重装甲だろうと必ず勝てる。

 

『ハーディ・シュタイナー、ゾック出るぞ!』

 

 四脚を備えた異形の大型MSのジェネレーターが唸りを上げ、激戦が繰り広げられる戦場へ現れる。

 ジオン決死の防衛戦はまだ始まったばかりであった。

 

 

 




今作に出てくるMSのデザインは、PS2版戦記に出てきた際のデザインを踏襲しています。
ブルーの肩のロゴや、四脚のゾック等はゲーム版だけなので。
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