MasqueradeRe:Lights ~この世界では本の力を持つ仮面の騎士がいる~   作:ダグライダー

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 以前読み切りを投稿した際、感想を貰いまして……ええ、溜め込めずに出してしまいました。
 取り敢えずプロローグを書いてしまいました。

 プロローグラピライ側はアニメの流れから入ってますが話の大筋はオリジナルになる予定です。
 読み切りでも書いた通り公式パラレル設定を此方も採用していますので。

 取り敢えずニコニコで玩具の音声動画をリピートしておきたいですね。



 感想にて指摘がありましたので修正を致しました。
 取り敢えず読み切り版の設定を少し弄り加筆。
 
 誤解が無いように言うならば私別に神様転生が嫌いな訳ではないのですが、私は神様にある種のアンチテーゼを持ってもいるので、こういう理不尽ないし原因不明の転移や転生か、神様とは違う善意と悪意を持った超位存在による世界の介入を書いています。



目録 作家と魔女と剣士と……。

 皆さん、ボンヌ・レクチュ~~~~~~~ル!!

 僕の名前はタッセル。

 これからお話する物語は皆さんが知る仮面ライダーの物とは少し……いえ、かなーーーり違う世界の物でございます。

 

 その世界は一風変わった世界で魔獣って呼ばれる怪物がその世界の人々を襲っていたんだ!

 ま~るく可愛い見た目の割りに結構狂暴な魔獣達……ひゃぁ~!大変だっ!!

 そしてそんな怪物と戦っていたのはうら若い少女。

 彼女は音や歌を媒介にして魔法を使う魔女と呼ばれる存在だったのです。

 

 

 

 ──古の時代、魔獣の脅威に曝される人々を後に【暁の魔女】と呼ばれる女性が手を差し伸べ人々に平穏をもたらした。

 そして彼女を守る仮面の騎士と共に幾重もの戦いを超え、この世界の人類は発展していった。

 【暁の魔女】フローラが従えていた剣士達は不思議な力宿した本の力を振るい、聖剣と呼ばれる剣を以て魔獣を討伐した。

 こうしてこの世界は魔獣を退け、人類はフローラと仮面の剣士達を崇め奉ったのである。

 

 しかしこの世界で生まれたフローラと違い、仮面の剣士には謎が多い。

 

 

 

 曰く、彼等は普通の人類ホモサピエンスでは無い。

 

 曰く、彼等に力を与える本同様、彼等もまた異なる世界の来訪者である。

 

 曰く、彼等は皆異なる時代からやって来た。

 

 曰く、彼等の力は本来魔獣以外の存在と戦う為の物である。

 

 

 

 剣士達は多くを語らなかった為、真偽は定かではない。

 そうして、彼等は各々がその世界の国に帰属した。

 ウェールズ、マルルセイユ、ドルトガルド、ヤマト、フィレンツァ、リュウト等々。

 

 やがて時が大きく巡り、仮面の剣士達はその国で子を成して、聖剣と本は次代の者達に託され各々が其々の国で再び人類の生活圏を脅かす魔獣を撃退する為に、魔女達やこの世界の騎士達と共に戦った。

 

 果たして、幾度と無くそういった戦いが繰り広げられてきた。

 ある時、一人の剣士が邪悪な意思に唆されたのか或いは二心を始めから抱いていたのか、国を、仲間を裏切り、世界へ反旗を翻した。

 

 裏切りの騎士を止める為、同じ力を持つ仮面の剣士達は彼と戦った。

 その戦いの最中、多くの命が喪われ、また仮面の剣士達の中にも犠牲が出た。

 結局、裏切りの剣士を討つことは叶わず、彼は姿を眩ませ、残った仮面の剣士達も傷付き、幾つかの聖剣や力持つ本が失われていった。

 

 そんな内乱…もとい大戦が伝説と成り果て幾百年が経った後、世界は再び魔獣の脅威が現れる様になった。

 しかし暁の魔女が発足させた魔女達の学園、フローラ女学院から輩出された五人組の魔女による歌の力【オルケストラ】により魔獣の侵攻を押し留め、撃退に成功する。

 その魔女達のユニットとしての名は【Ray】

 後に伝説のユニットとなる者達、彼女達の類い希なる活躍により再び現れた魔獣達は討ち果たされる。

 その後も彼女達は精力的に活動し、世界を股に掛け、魔獣の脅威に苦しむ人々を救っていった。

 

 【Ray】が華々しく活躍すると共に仮面の剣士の存在はより一層皆の記憶から薄れていき、最早、本の中でお伽噺として語られるだけの存在となった。

 

 そして新たなる伝説を築いた【Ray】…彼女達が解散し、各々の人生を歩みだし再び世代が移り行く頃、それは現れた。

 

 突如として切り取られる世界。本の様に捲られる謎の現象【ワンダー・ワールド】

 従来の魔獣とは違う謎の怪物メギド。堰を切った様に世界各国で発見される来訪者達。

 

 そして甦る伝説の聖剣。

 

 【暁の魔女】が魔獣を鎮めた地で、古より伝わる嘗ての伝説が今、再誕する──

 

 

 

 

 

 

 

 そう!これから語られる物語はその新たなる来訪者と新しい時代の魔女達のお話。

 

 実は此処にその魔女が書いた…かもしれない本があるんだけど、さてさて──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──あの人と初めて出会ったのは、私達が五人になってからの事でした──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━日本━━

 

 東京の何処かの出版社、そこの応接スペースで向かい合う人と人。

 片方がペラペラと紙の束を捲りきると、そっと息を浸いて一言……。

 

 「ボツ」

 

 「え…………」

 

その言葉に何を言われているのか分からないといった顔で固まる青年。

 「だからねボツだよボツ。流行りに乗れとは確かに言ったよ?でもねぇ、在り来り過ぎると言うか……特徴が無いと言うか」

 「で、でも言われた通りチートで主人公が無双する話ですよ!」

 「そういうのネット漁れば大抵見付かるレベルだからね?そこからもう少しブラッシュアップとか差別化出来ないと……正直厳しいかなぁ。もうね、君が学生の頃嵌まってた様な王道は余程の手腕を持った大作家でもなけりゃヒットさせるのは難しい時代なの、分かる?」

 会話からして編集と作家なのだろう、草臥れた中年の編集者が作家の青年に言葉を掛ける。

 「君のデビュー作、正直他にマシな作品が無かったから受賞したようなもんだし、言いたか無いけど、売れたのが奇跡だからね?まぁ元々の志望自体ウチの部署じゃなくて、普通の小説の方らしかったんだっけ?どちらにせよこれだと厳しいよね?分かる?」

 つらつら列べられる言葉に青年は沈んだ面持ちで聴いている。

 

 「あのぅ……と言うことはもしかして……?」

恐る恐る上目遣いに編集を見る青年、恐らく返ってくる言葉は既に解っている。しかし訊いてしまうのは性なのだ。

 

 「今回は縁が無かったと言うことで、またお越し下さい。ってヤツだね、それじゃ」

 テーブルを挟んで対面していた彼等、編集が原稿の束を雑にテーブルに放ると立ち上がってそそくさとエレベーターに向かって行く。

 対して青年は引き留めるでもなく目の前の原稿を眺め、数分の後鞄に仕舞い編集社を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 「はぁ、またダメだった……。バイトの合間に頑張って書いたのに……ライトノベルって結構キツイんだなぁ……」

 とぼとぼと車通りを避けながら歩く青年、彼の名は剱守斗真【つるもりとうま】。

 デビュー作以来、啼かず翔ばずの売れない作家である。

 「嗚呼、いっその事、此処とは違う何処かの世界へ飛び出したい。銀河鉄道にでも乗って彼方の世界へ行けないものか………ははっ…」

 そうして俯いていた顔を空に上げた瞬間、頭に落ちてくる固いモノ。

 「アダッ?!」

 おでこに当たって地面に転がるソレに斗真は暫し身悶えた後、泪を浮かべながら手にする。

 「くそぅ、一体何だって言うんだ……ナニコレ?オモチャの本?」

 手に取って見たものは赤い表紙の片手大の黒い本らしきモノ。

 表紙のタイトルはBRAVEDRAGONと綴られている。

 「ぶれいぶ…ドラゴン?最近はこんな玩具があるのか…!」

 何処か感心しながらまじまじと本を天に翳しながら歩く斗真。

 だからであろうか、彼は前方の路の危険に気が付かなかった。

 「へぇー良く出来てる……ん?」

 気付いた時には足下は穴、斗真は重力に従い落下する。

 

 「うそやん…」

 

 それがこの世界で剱守斗真が最後に残した言葉であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━???━━

 

 牧歌的な雰囲気の街道を馬車が走る。

 御者が手綱を握る馬に引かれながら馬車の中にいる人々はとある街を目指す。

 その中で一際目立った色鮮やかな赤い髪にピンクのリボンが付いた黒く底の浅いホンブルグ・ハットの様なソフト帽、首元にレースがあしらわれた白い半袖ブラウスと紅いリボン紐、緑がやや濃い浅葱色の広い丈長のスカートの少女が睡魔に舟を漕ぎながら馬車の揺れで目を醒ます。

 額を抑えつつ外に出て荷物を受け取り、目的地の城門を潜れば、そこは視るモノ全てが新鮮な世界。

 

 「わぁ~!」

 

 これから始まる生活に高揚と興奮、期待と希望を抱いた声が口から出る。

 白い街並み、活気に溢れる人々、気の良い露店の肉屋。

 

 「あ~む…んん~!美味しい!!」

 

 肉屋の店主から無料で貰ったトルティーヤに舌鼓を打ちつつ、再び街を散策しながら目的地へと進む少女。

 道中、元気の無い萎れた花にちょっとした()()()()()()()()()()をした彼女は目的地である魔女の学舎の園の門戸を叩く。

 

 ブルーサファイアの様に澄んだ青い瞳を決意に滾らせ、いざ夢の学院生活へ!

 扉を開いた先は整然としたホールに城の様な間取りに家具、階段に視線を向ければ案内役であろう女性が立ちずさんでいる。

 

 「いらっしゃいませ」

 との声と共に左手で階段を指す女性、出来ればもう少し愛想良くして欲しいと思ったりしたが口には出さない。

 

 「あ…あの、ティアラと申します」

 兎も角名乗り目的を告げよう。そう思って名を名乗るも女性は顔色1つ変えず言葉を放つ。

 「こちらへどうぞ」

 「その…入学したいのですが」

 「こちらへどうぞ」

 「えっと……はい…」

さて目的を述べたにも関わらずこちらへどうぞの一点張り。

 成る程、さっさと案内に従えと言う事なのだろう。

 女性に何か言いたげに視線を寄越すがピクリとも顔を変えない。人形か何かだろうか?

 ともあれ、階段を上がり、案内に従いとある部屋の扉の前に立つ。

 つまりは此処がこの学舎を統治する長、理事長が居る部屋なのだろう。

 ノックの後返ってくる入室を許す返事。

 魔法によって人の手を使わずに開く扉を超え、入った先には窓辺にて執務机から立ち外を眺める青髪の女性。

 

 「フローラ女学院へようこそ。理事長のクロエです。ティアラさん…でしたね」

 振り向いた彼女はそれは美しい顔立ちに知性を感じさせる眼鏡を携え、片眼を髪で覆った理知的な女性であった。

 クロエと名乗った彼女はティアラを前に静かに見詰める。

 

 「はい!私……いえ!わたくし、是非ともこちらの学院で」

 と精一杯礼儀と誠意を込めて心意気を述べようとするティアラ、頭を下げて

 「学ばせていただきたく」 「分かりました」

 と告げれば被せる様に間髪入れずクロエから了承の返事が来る。

 「ほぇ?」

 「入学を認めます」

 余りに早い返答に呆けて間抜けな声を挙げてしまうティアラ、少し間を起き、クロエの言った事を理解して、いやしかしおかしいのではと疑問をぶつける。

 「あの…試験とかは」

 流石に何の条件も無くあっさり入学など有り得ないだろうと意味を込めて問えば、クロエは顎に手を充て考える素振りをする。

 「ふむ……そうですね。では、その石に触れてみて下さい。魔女としての資質を見極める事が出来ます」

 そうしてクロエが指差す先にはアンティークの箪笥の上に置かれた茶褐色の菱形に研磨された鉱石。

 ティアラがそれに恐る恐る、そして意を決し手を翳せば石は青白く光輝きティアラを照らす。

 そして光を発したという事は、入学するに過分無い資質であると言う事。

 クロエにして曰く、この学院は未来ある全ての者に門戸が開かれるのがこの学院であると言う。

 こうして名実……と評して良いかは判らないが入学を認められたティアラはありがとうございますと礼を述べる。

 対してクロエは静かに胸に手を翳しながら瞑目して告げる。

 

 「星に光を」

 

 その言葉の後に続く言葉はティアラでなくとも魔女を志し、この学舎に来た者であれば誰もが知る言葉。

 

 「あっ…!」

 

 「大地に」

 

 「恵みを」

 

 「「暁の魔女フローラに感謝を」」

 

 両の手を胸元で重ね瞑目し全てに"礼"を尽くす2人。

 

 その感謝を捧げる詠唱が終えられたタイミングで新たに理事長室の扉が叩かれる。

 

 「入りなさい」

 「失礼します」

 クロエの許可と共に扉が勝手に開き入室して来たのは、ティアラにとってとても懐かしい顔。

 「え?ロゼ!!?」

 襟とスカートが蒼い制服に身を包んだこちらも蒼い髪を長く腰まで伸ばした少女。

 少女がティアラの声に眼を見開いて驚き声を洩らす。

 「ティアラ!?様!!?」

 ロゼと呼ばれた少女がティアラを様付けで呼ぶ。

 どうやらティアラはかなりの地位に居る人物のようだ。

 兎も角、久しく逢わなかった友人に逢えた喜びからロゼに抱き着くティアラ。

 

 「会いたかったー!会いたかったよロゼッターーー!!」

 「私もですティアラ様」

 子供の様にはしゃぐティアラを優しく受け止めるロゼ改めロゼッタ。

 会話からして彼女達は主従に準ずる間柄なのだろうか?

 再開に喜びはしゃぐ彼女達を前にクロエがロゼッタに指示を言い渡す。

 内容はティアラに学院内を案内する事、そしてロゼッタが所属する班にティアラを加入させる事。

 前者には忠礼したロゼッタも流石に後者の内容には困惑を禁じ得ない。

 「でもそれは……」

 しかしクロエは頑として言葉を覆さない。

 「これは提案ではありません。決定事項です」

 「うぅ…はい…」

 「?」

 クロエの決定にロゼッタは諦めた様に肩を下げる。

 ティアラは何故親友がそんな態度になっているのか分からず首を傾げる。

 ともあれ揃って理事長室から出る2人、ティアラは最後に理事長室の壁に立て掛けられた装飾品の中で唯一、不自然な迄に不釣り合いな剣の存在が目につき、気にはなったが、親友の案内を優先して剣の存在を頭の片隅へ追いやった。

 

 

 

 

 ロゼッタに連れられ学院を散策するティアラ。

 はしゃぐティアラをロゼッタは優しい眼差しで見る。

 「ホントに久しぶりだよね!最後に会ってからだから……」

 「二年と3ヶ月14日振りになります」

 ティアラの回想に対し正確な月日を返すロゼッタ、中々に重い感じがしなくもない。

 

 「あはっ!流石♪」

 ロゼッタの返しにティアラは特に何とも疑問を挟まず笑顔で褒める。

 

 さて、ロゼッタの案内により中庭へ出れば寛ぐ生徒が数多く、会話に華を咲かせている。

 そんな中でティアラはロゼッタに敬語で話す事を止めるよう懇願する。

 渋るロゼッタに対し、止めなければ先輩を付けて呼ぶと笑顔で脅せば、折れるしかないのがロゼッタであった。

 

 

 兎にも角にも、案内ついでにこれから共に過ごす班員を紹介する為に向かうロゼッタ。

 2人が先ず向かったのは図書室、そこで紹介されたのはミディアムボブカットの翠色の髪の少女。

 名をリネット、どことなく気が弱そうな少女だ。

 

 彼女もまたロゼッタ同様蒼い制服を纏っている。

 ティアラが理事長クロエの指示で自分達が属す班に加入となった事にはとても不審がっていた。

 

 ともあれティアラが図書室の蔵書の量に目を奪われ驚嘆すると先程までの少し引いたリネットの態度が一変、ズイッと食い付く。

 

 「そうなんです!ここの蔵書はすごいんです!遠方から本を求めて来る人もいるくらいなんですよ!!その他にも魔導書とは違う不思議な本があったり!」

 その剣幕にティアラも腰が退ける。

 「えぇ~……本が好きなんだね…」

 「私…物語が大好きで大好きで」

 心底嬉しそうに語るリネット、ロゼッタは苦笑し、ティアラはそんなリネットが閲覧していた本に目を向ける。

 とそこから溢れヒラリと落ちる紙切れを手に取れば、明らかに蔵書された本とは違う内容が綴られたモノが……。

 「さぁ漕ぎ出そう、愛と言う名の……」

 それに気付いたリネットが慌てふためきティアラから紙切れを奪い取り赤面する。

 「違うんです、これは違うんです!忘れて下さい気にしないでください忘却の彼方へ!!」

 どうやら彼女にとって見られてはいけない黒歴史だったらしい。

 

 

 リネットと別れた後、再び学院内を散策、授業の風景を廊下から覗き込みながら進んで行く。

 自由に受ける授業を選択出来るという校風に感心と期待を伴いながら座学中の教室を覗いたり、薬学の実践で暴発する生徒を見掛けたり、校庭に出て魔法によって宙を舞う円盤を扱う授業を見学したり。

 

 そうして校庭を進んで行けば今度はコートにて球技に興じる生徒達。

 どうやらロゼッタの班員が参加しているようだ。

 

 かなりの速度で投げられたボールを軽やかに躱す金髪のツーサイドヘアの少女、ラヴィ。

 

 そのボールを真正面から受け止めた純紫のポニーテール少女、アシュレイ。

 

 この2人にロゼッタと先程のリネットを加えたのがこれからティアラが加入する事となる班だという。

 さて、紹介している内に試合は見る間に展開していき、ラヴィとアシュレイが見事なコンビネーションにより勝利をもぎ取った。

 試合を終え、ロゼッタ達に近付くアシュレイとラヴィ。

 「見ていてくれたのか」

 「ええ」

 アシュレイの言葉にロゼッタが是と返せば、階段を駆けてくるラヴィが自慢気に小さな体で大きな胸を張る。

 「すごかったでしょ!最後のスーパーショット!!」

 そんなラヴィにアシュレイは当然の様に己の活躍を添える。

 「私のパスが良かったからな」

 「いやいやいや。あの程度のパスだったらトムでも出来るよ」

 因みにトムとはラヴィが面倒を看ているウサギの名前である。

 ともあれロゼッタからティアラを紹介され彼女達も名乗る。

 「アシュレイだ」

 「あたしはラヴィ!この学院のエース!」

 「自称な」

 アシュレイの名乗りに続き自信満々に己をエースと言ってのけるラヴィ、空かさずアシュレイが付け加える。

 そして名乗った後にティアラが自分達の班に加入する事を今更理解して驚くのだからこの娘は存外頭の弱い子なのだろう。

 ティアラに抱き着きながら「ちょー愛してる!」などと外面も無く叫ぶのだから人懐っこい部分が見えるラヴィ。

 アシュレイはティアラの加入に胸を撫で下ろす。

 「有り難い。誰かさんと違って聡明そうで助かる」

 「誰かさんってあたしのことか?」

 アシュレイの言う"誰かさん"が自分の事を指したのが判るのか彼女に対し突っ掛かるラヴィ。

 そこまでは良かったが、その後の発言がダメだった。

 「ってか、ソウメイって何だ」

 「まさか分からないのか?」

 アシュレイ、半眼のジト眼でラヴィを睨む。

 「うっ…!そのぐらい知ってるよ。ソウメイでしょ?…そうめい……、要するに…つまり…ハッ!瞑想の反対言葉ってヤツだ!!」

 「………本当にコレと一緒の班で良いのか?」

 文字通り言葉を反対にしただけの的外れな答えに鼻を鳴らすラヴィを前にアシュレイがティアラに後悔しないかとばかりに訊ねている。

 これにはティアラも苦笑して誤魔化す他無い。

 

 

 それから、ラヴィの提案で彼女が飼育しているウサギのトムとシェリーを紹介される。因みにどちらもメスである。

 ロゼッタとの幼馴染みの様な間柄を紹介して、ロゼッタが具体的な年数を告げると2人はドン引きした(寧ろこれが一般的な反応である)

 

 

 

 

 

 

 アシュレイ、ラヴィと別れ再び学院案内に戻るティアラとロゼッタ。

 魔法によるナイフの的当ての実演を観たり、硬化の魔法の耐久試験を観たり、プールで濡れたり……と、周り魔法の矢を当てる射撃場へ赴いた2人。

 実習中の生徒がくしゃみで矢を在らぬ方向に飛ばしたお陰で至近距離で大爆発を目撃してティアラが気絶する羽目になったのは御愛嬌。

 ともあれこれから彼女が過ごす学院は中々に刺激に満ちているらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな学院の敷地内の人の気配が微塵も無い一角で女の園に見合わぬ存在がやる気無く寝転がっている。

 

 「はぁ…若い声は姦しいねぇ。オジさん羨ましいよ…」

 それは…無精髭を顎に蓄えた大柄な男性であった。

 

 他にも彼とは違う場所で中庭のテラスが見える場所を眺める青年、少し息が荒い。

 「お嬢様…今日も何時に無く美しい!嗚呼…お嬢様ぁ!!」

 誰か他に目撃者がいれば通報待ったナシである。

 

 更にはとある一室にて……。

 「新しい娘さんが増えたのかな?もしかしてクロエさんが言っていた子かな?」

 鎚を振るいながら外の状況を把握している青年、彼の眼前には複数の剣が置かれている。

 

 

 或いは学院の何処かにて…。

 「歯車が回り始めた……時は来た…と言う事か…」

 意味深に呟く青年、見上げた先は厚い天井に遮られている。

 

 本来ならば男性が居る事自体異常な事ではあるが、彼等は特別だ。

 彼等は魔女とは別にこの世界に必要な存在であるのだから。

 そして彼等の手許、或いは隣には斗真が手にした物と同じ小さな本が置かれている。

 

 

 

 そしてそんな世界に青い空を絶叫が引き裂く。

 

 

 「ぁぁぁぁあああ!?!落ちる落ちる落ちる落ちる落ちるぅぅぅううう!!」

 

 

 絶叫の主は剱守斗真、その手には例の赤い本。

 

 

 

 

 

 彼がうら若き5人の魔女候補と出会う時、大いなる本を巡る物語が始まる。

 

TO BE Continued……

 

 

──ブレイブドラゴン──




 本当に早く新しいライダー出ないかな。
 一応とじダグ優先なのは変わらないので…。
 後は三人称系なのでもしかしたらリリスカより更新速く出来るかもしれないジレンマェ……。

 ラピライゲームアプリ速くリリースして



 修正如何でしょうか?
 ちょっと不安です。感想で書かれた様な事を巧く反映出来る技量に自信が無いので……。
 でも書いた以上は反省はしても後悔は出来る限りしたくないです。
 モットーの1つが例え駄文と謗られようと自分が産み出した作品を自分で駄文と謗る事はしたくない、と言う心境で書いているので

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