MasqueradeRe:Lights ~この世界では本の力を持つ仮面の騎士がいる~   作:ダグライダー

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 おはこんばんやすみなさい。

 はい、タイトルで察した人はその通り、バスター登場回です。
 まぁバトルはあっさり目ですが…。
 その為セイバーがちょっと微妙な活躍しかしてません、けどまぁお披露目回はその回の人がメインだからしょうがないね!

 今回登場したメギドのアルターライドブックは以前、頂いたアイディアから抜粋しました。
 肝心のメギドについては特に見た目とかは指定されて無かったので好き勝手しましたけど……どんなもんでしょ?如何せん、生物カテゴリのメギドがテレビ本編サンショウウオとピラニアしかいないから他のカテゴリの連中からもインスパイアを得ながら書くしかない有り様で……。
 ともあれアルターライドブックのアイディアは随時募集してますのでメッセージにてどうぞ!



11頁 剛・腕・堅・陣

 ──リュウト、大陸の東に存在する国。その国に伝わる聖剣は大地の力宿す大剣。

 陳劉玄。"堅陣"の異名を持つ大地の聖剣を振るいし剛剣の騎士、彼の存在がリュウトをReyの救援が来るまで魔獣の猛威から持ちこたえた理由、その強さを私達も知る事になるのです──

 

 

 

 

 

 

 

 ━フローラ女学院職員寮・斗真の自室━

 

 バンプボールのリーグ戦式の授業終了後、突如ドルトガルドの剣士へルマンに絡まれた斗真は、劉玄とエレンの助けもあり無事切り抜け大事へと至らずに済んだ。

 因みにあの後、浴場ではティアラがエミリアから激励を受けた際、不用意に手を取ってしまったらしく、湯槽に沈みてんやわんやの騒ぎが起きていたのだと言う。

 勿論男子禁制の浴場に教師と言えども、男性である斗真は関わる事が出来ない。

 そう言う訳で現在彼は自室にてバンプボールの取得ポイント総数にてルージュへとランクアップする事が決まったシュガーポケッツの3名の受理手続きの準備をしているのだ。

 

 「何と言うか……酷い目にあった、色々と…」

 

 「まぁ、蜂に刺されたか蛇に噛まれたとでも思っておけ、アイツの頭は色々とオカシイ」

 

 「その例えはどうなんだ……(そして当然の様に人の部屋に居座ってるし)」

 

 斗真が机に囓り付いている傍ら、然も当然の如くソファに横になっているエレン。

 図々しい同年の存在に頭痛を憶えなくもない斗真であった。

 

 「おっ、そうだ小説家。明日頑張れよ」

 

 「え?」

 

 ある程度寛いで満足したエレンが去り際に妙な事を口にしていたのが気になった。

 

 

 

 

 

 

 

 ━フローラ女学院・理事長室━

 

 片や此方はこの学舎の長が居を構える一室。

 今、この場所には部屋の主たる蒼髪の女性の他に1人の男の姿があった。

 

 「ちょいとごめんよクロエちゃん。明日斗真ちゃん鍛えたいから借りて良いかい?」

 

 「構いませんよ。明日はトーマさんの授業はありませんので」

 

 「サンキューね。いやぁ~明日が楽しみだよ」

 

 斗真の与り知らぬ所で重要な事が気軽に決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━学院付近の森林郡━

 

 「はい、と言う訳でやって来ました、樹海!」

 

 「何がと言う訳なのか分からないんですが、それは……」

 

 翌日、劉玄はクロエに宣言した通り斗真を随伴して森へと来ていた。

 勿論、斗真からしてみれば知らない内にいきなり連行されたので堪った物じゃない。

 

 「まったく…今日は俺の受け持ってる授業が無かったから良いものの……事前の連絡くらいしてくださいよ」

 劉玄に抱えられて連れて来られた所為で頭や肩に着いた葉や茎を払い落とす。因みに連れて来られた当初は縄でグルグル巻きに縛られていた。

 「いや~済まんね、授業が無いのはクロエちゃんから訊いて知ってたんよ。はいこれ、斗真ちゃんの烈火とワンダーライドブックと他諸々の手荷物ね」

 「手際が良すぎる……」

 担いで拉致する間際ちゃっかり聖剣諸々まで運び出していた年長者の手際にいっそ呆れを通り越して感心すら覚えてしまいそうだ。

 「本当に驚きましたよ陳さん!イキナリ部屋にやって来たかと思えば俺の事を有無を言わさず掴まえて担ぎ上げて…挙げ句『今から森に行くから』って」

 俵を担ぐように抱かれながら存外常人離れした速度で動く劉玄の上で簀巻にされていた斗真は無抵抗のまま後ろに過ぎ去って行く景色を眺める事しか出来なかった、酔わなかったのは単に体質の賜物である。

 

 「それで、何が目的なんですか?いくら貴方でも理由も無くこんな事はしないでしょ?」

 

 「さっすが斗真ちゃん!話が早くてオジさん嬉しいよ!でもその前に……お嬢さん方、隠れてないで出ておいで」

 

 斗真の説明を求める質問に答える前に背後の木々に振り返る劉玄。

 すると何やら後ろの方で驚いたかの様な息遣いが聴こえ、暫しの沈黙の後見知った少女達がゾロゾロ顔を出して来たではないか。

 

 「バレたかぁ…」

 「お見事…」

 「ぜぇ…はぁ…」

 「あはは…」

 「すみません…」

 「『ヘナヘナヘナ~…へ(×_×;)へ』」

 

 現れたのはティアラ達いつもの5人組にプラスしてメアリーベリーと言う珍しい組合せ。因みにリネットとメアリーベリーは疲労で息を切らしていたり目を回している。体力が無いからである、その上メアリーベリーはアシュレイにおぶられている。

 

 「えっ?!あれ?!いつの間に!!?」

 担当クラスの生徒が授業そっちのけで自分達に知らず知らずの内に付いて来ていた事に目玉が飛び出る思いの斗真、そんな彼の傍らで劉玄は顎に手を添えながらあちゃーと呟く。

 「斗真ちゃんとか担いだ分、スピードが落ちてたかぁ」

 「え?あれで?!」

 思わず声に出す斗真、声には出していなかったがリネットやメアリーベリー、ロゼッタ、ティアラも同様の事を思っていた。

 実際、追い付けはせずとも視界に捉えられる程度の速度ではあるので、学院から程近いこの森に入った所さえ解れば後を付ける事事態は可能である。

 

 「君達…どうして?」

 劉玄に移動中聴かされた事情を鑑みれば、此処は生徒達にとっても危険な場所、特別クラスは素行や性格に些か難がある者が多い、その分他者より資質が高い者や尖った才の持ち主が在籍している訳ではあるのだが……。

 そういった背景を考慮しても尚、この森は相応の装備や準備も無く入って良い場所では無い。

 

 「いやぁ、なんか先生がグルグル巻きにされてスゴいいきおいでどっかに連れてかれるのが見えたら気になって…えへへ」

 少しバツが悪そうに頭を掻くラヴィ。

 

 「バカウサじゃないが、教官が警務員殿と森の方に向かったと言うのが引っ掛りまして…」

 アシュレイも葛藤したような表情で目を剃らしている。

 

 「ぜぇ…はぁ…ひぃ…ひゅ…はひゅ…」

 リネットは未だ息が整わぬ調子で言葉にならぬ言葉を頑張って口にする。

 

 「えっと……その先生が心配だったので…」

 ティアラがリネットの背中を摩りながら躊躇いがちに恐る恐る理由を述べる。

 

 「私は…みんながどうしてもって言うから心配で…そのごめんなさい、クラス委員長としてきちんと止める立場なのに…」

 真面目さからか深刻な顔で俯きがちになるロゼッタ。

 

 「うん。まぁ…付いて来た事はもう仕方無いけど……ティアラちゃん達は別としてメアリーベリーさんはどうして此処に?」

 仲も良く同じ班の5人が結果的に行動を共にするのは理解出来る、が、メアリーベリー…彼女はどうして態々ティアラ達と共に居るのだろうか?

 

 「……その、前に…ガラクタ市で……『目の死んだあんちゃんの頼まれた先生の持ってた()()の調整が終ったから渡そうと探してたんだ!( *・ω・)ノ』」

 「アレ?あ…ああ!アレね」

 「『本当は昨日のバンプボールのリーグ戦が終わったあと渡そうとしたんだけど…(´・ω・`)』…先生、お部屋に戻っちゃったみたいだから……」

 顔の下半分をボードで隠しながら少女は己がこの場に来た理由をたどたどしく列ねていく。

 

 「アレってなにさ?」

 「そう言えばガラクタ市の時にベリー社のお店で会った際に何かやり取りしていましたね?」

 斗真とメアリーベリーのやり取りにラヴィとリネットが口を挟む。

 「これ…どうぞ…!『目茶苦茶面白かったぜ!(*゚∀゚)=3』」

 クラスメートの視線が集中し思わず眼を瞑ってしまいながらスマートフォンを渡す。

 時と場所とモノが違えば告白の1場面の様に見えなくもない。

 

 「ありがとう、どれどれ………凄いな!?こんな森の中なのにアンテナが立ってる!それに見た事ないアプリも」

 返ってきたスマホの電源を入れ、映った画面を覗けば、感度は良好、更には用途不明のアプリも見られる。

 目の前の少女は本当にこの異世界でスマホを使用出来るようにしてくれたのだ。

 勿論、通話やメール、SNS関連の機能は使えると言ってもガトライクフォンとの相互連動のみであるが。

 

 「教官、それは一体何なんだ?」

 「板に色々四角かったり丸い模様があるわね」

 「数字も書いてある…」

 ラヴィとリネットのみならずアシュレイ達も興味津々である。

 「あはは、まぁその内説明するよ。…って陳さん?」

 自分の周りに集る少女達に苦笑しながらスマホを仕舞えば、劉玄はまだティアラ達が出てきた方向を鋭く見ている。

 

 「奥の方…離れてるからバレないと思ったら検討違いだよ?隠れても無駄だから出てきな」

 先程より少し声音を厳しくして言葉を投げる劉玄。その声に観念したのか1人の少女が姿を現す。

 

 「「「「「えっ?!」」」」」

 

 「うそ…『な、なんで!(; ゚ ロ゚)』」

 

 「君は…」

 

 予想外の人物の登場に驚きの声を挙げる5人とメアリーベリー。

 その人物を遠目に1度目にした斗真は親交が無い為か少女達程驚いてはいない。寧ろ一番大仰に驚いていたのは出てくるように声を掛けた劉玄その人であった。

 

 「……!なんで……此処に…?!御姫さん?!!一体どうして?!?!」

 

 そう、現れた新たな少女は選抜クラス、supernovaのリーダーにしてリュウトの御姫様。

 

 「おじ様こそ、何故こんな森の奥に居るんです?それも……例の新任の教師と一緒にだなんて」

 

 少女──ユエは1度ティアラに鋭い視線を飛ばした後、そっぽを向き劉玄に対し呆れたように口を開く。

 そのまま劉玄と斗真の方に近付き、劉玄に何事かを言う前に斗真へ向き直る。

 

 「初めまして、来訪者の先生。あんたの事はクロエ理事長から聞いてる。ユエよ、もしかしたら授業で顔を会わせる事もあるかもね」

 絵に描いた様なクールな佇まいで名乗る黒髪の少女、その雰囲気は正に孤高。

 「あ、ああ…斗真です。剱守斗真…よろしくユエさん」

 ユエの雰囲気に呑まれそうになりながら手を差し出す斗真、しかし少女はそれを気に止めず彼の横で悪戯が見付かった子供の様な反応をしている劉玄へと詰め寄る。

 

 「説明…していただけるんでしょうね?おじ様?」

 

 「……………………はい」

 

 その普段の陽気な人柄からは想像も付かない程弱々しい返事が陳劉玄の口から飛び出たのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━森の何処か━

 

 斗真やティアラ達が現在居るだろう場所とは違う森の奥で唐突に闇が生まれた。

 その闇から現れたのはローブの人物。

 

 「さて、では実験と行こうか…

 ローブの人物は手にした無地白書のライドブックと淡黄色のワンダーライドブックを見詰め呟く。

 「…ヌゥウン!

 其々両手に持ったライドブックを対面させる様に向き合わせ力を込める。

 すると淡黄色のワンダーライドブックからエネルギーらしきモノがブランクライドブックに注がれる。

 それを確認したローブの人物はブランクライドブックに闇の力を加える。

 ブランクライドブックは忽ちアルターライドブックへと変化する。そのタイトルは"ロコモバッファロー"

 変化を見届けたローブの人物は淡黄色のワンダーライドブックを懐に仕舞い、アルターライドブックを開く。

 

 『ロコモバッファロー!

 

 本が積み重なりその姿を象っていく。やがて生まれたその異形は牛の頭を持った怪物。

 まるでミノタウロスの様なソレはしかし神話に語られるモノでは無い。

 スイギュウを象った頭部の下に人のような顔があるソレは牛の鼻息を荒く吹かし今にも走り出さんとする圧を感じる。

 全身に車輪を象った模様や鉄道レールを鎧にした様な装飾が見られる意匠である。右胸の本の表紙丁装を思わせる装飾に刻まれた印は生物を表すモノ。

 

 「さて…結界の直ぐ近くで展開されたワンダーワールドはどれ程の影響を及ぼすのか、見物だな…フフ。序にと行った実験の方も成果は得られた事だ、貴様にも期待しているぞ?

 そう言ってバッファローメギドに語り掛けるローブの人物。メギド魔人もそれに応える様に鼻息を吐く。

 学院に面した樹木以外の森のほぼ全域が異界に消える。ローブの人物はその直前に再び闇の中へ消え、剣士2人と魔女7人はワンダーワールドへ繋がる異界が生まれた事すら知らずに呑み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━森林郡━

 

 「「!!?」」

 

 「先生?」 「おじ様…?」

 

 突如として顔を上げた2人の反応にティアラとユエは訝しむ様に声を掛ける。

 「陳さん、これって…」

 「うんまぁ…斗真ちゃんが思ってる通りのだね。いやはや参った、本当ならちょっとばかし活発化した魔獣数匹相手に斗真ちゃん自身の力を試す為に来たのに、このタイミングでとはね……」

 何とも間が悪いと吐き捨てる劉玄、彼は本来斗真に渡し訓練に使う筈であったロングソードを抜刀しつつ斗真と少女達に注意を促す。

 「取り敢えず、お嬢さん方は斗真ちゃんの側を離れないように!オジさんが先行するからその後を見失わないように付いて来てくれよ?」

 こうなっては少女達が引き返す事も出来ない為、斗真の側に着かせ対処し易い状態を作る。

 その上で確実に此処を脱出するのであれば、それは原因となった存在を討伐する事にある。

 

 

 

 

 剛剣の騎士は未熟な聖剣使いと若き魔女達を常に意識に置きながら、異界の元凶を打破せんと前に進む。

 途中、異界の空気に充てられたのか…本来の目的であった魔獣が何匹か群がって来たが、特段苦にするでも無く蹴散らした。

 (本当なら斗真ちゃんの練習台にしたかったんだがねぇ)

 片手でロングソードを勢い良く振りながら迫る魔獣を容易く両断する。

 後ろを付いてくる少女達はユエを除き絶句している。メアリーベリーは途中から恐怖と驚愕で気絶してしまったようであるが。

 そうして何処まで進んだのだろうかと言う所、劉玄は足を止める。

 

 「陳さん、どうしました?」

 「来てるね…うん、来る…凄い勢いで、真正面だ。斗真ちゃん、お嬢さん方、ちょっとオジさんの真後ろから左右どっちかにずれて……そうそう、それくらいで良いよ」

 何らかの気配を感じ取った劉玄が振り返り後ろに付いてくる同行者達へ離れ、安全を確保出来る位置に移動するよう促す。

 それを見届けた歴戦の兵は腰だめに剣を振り下ろす様に構える。

 劉玄が構えて1分程、周囲の木々が揺れ始め、大地が震える。

 音の出所は劉玄が見詰めているだろう前方、何かを砕き、折り、土煙を立てて近付いて来る。

 

 「あれはっ…?!」

 「何かが近付いて来る?!」

 「また魔獣!?」

 「どどどーっ!って、すんごい音してるけど!?」

 「いざとなれば私とて騎士を志す者として戦う!」

 「うぅ…恐い…ですけど、私も何かお役に立てるなら!」

 「違う…魔獣じゃない。魔獣ならおじ様は構えない」

 

 待ち構える劉玄と気絶してしまったメアリーベリー以外の全員が土煙が上がる方角を緊張の面持で注視する。

 その中でもユエは劉玄の顔つきが如実に変化した事に気付く。

 

 「斗真ちゃん、今の内に変身しときな。理由は解ってるよな?」

 「ですね。解りました」

 

 

『ブレイブドラゴン』

 

 

「変身!」

 

 

『烈火抜刀!』

 

 

『ブレェイブドラッゴォォォン!』

 

 

 劉玄の提言によりソードライバーを装着、ブレイブドラゴンワンダーライドブックを装填、抜刀しセイバーに変身を完了させる。

 「おぉー!真っ赤か仮面だ!」

 「うむ、見るのは二度目だが…凛々しい姿だ!素晴らしいです教官!!」

 「確か変身したお姿の名前はセイバーでしたよね」

 「何と言うか…本当に先生がお伽噺の剣士の一人なのよね……」

 「先生とアルマさんとエレンさん、それに……ラウシェンさんもなんだよね」

 ラヴィ、アシュレイが2度目となる斗真のセイバーと化した姿に興奮しリネットが以前質問攻めして得た情報から真紅の竜の剣士の名を口にする。

 ロゼッタが改めて目の当たりにする斗真の姿に感慨深げに溢し、ティアラがその上あの時あの場に共に居た男性全員が聖剣の剣士であると明かされた事に両の拳を可愛いらしく握る。

 そしてユエは初めて見る斗真の変身した姿に目を見開く。

 「あんた……おじ様と同じ聖剣の剣士だったの…!?(それに烈火って……ウェールランドの)」

 あらゆる意味でセイバーに思う所あるユエはそれ以上何も言わず黙り込む。

 

 「来るぞ!」

 

 劉玄が叫ぶ。その言葉通り木々を薙ぎ倒し、大地を揺らす、その騒動の正体が顕になる。

 

 「う…うしだぁー!!?」

 「あんな魔獣は見た事が無いぞ!!?」

 「ティアラさん、あの魔獣って…!」

 「う、うん。多分…街で巻き込まれた時の蜘蛛の魔獣やこの間のリスの魔獣…ううん魔人と同じ」

 「ティアとリネットはアレが何か知ってるの?!」

 

 「あれは…魔獣じゃない、けど敵…!」

 

 5人組がメギド魔人について騒々しく言葉を交える中、ユエは唯一人魔獣とは違う脅威に厳しく視線を飛ばす。

 

 「BuoooOOO!!

 

 スイギュウの鼻、四肢に付いた配管の様にも見える装飾、背中から蒸気を吹き出し突進するバッファローメギド。

 劉玄のロングソードと激突し凄まじい轟音が木霊する。

 「っ…ぃヤァァアア!!」

 剣で角を反らし力を逃がす。

 「斗真ちゃん!!」

 

 「はいっ!」

 

 下方へ力を反らされつんのめる様によろめくバッファローメギドへセイバーは烈火でもって斬り掛かる。

 

 「はぁぁあっ!」

 

 烈火がメギドの鋭利な角とかち合う。そのまま魔人の頭部を切り落とそうと力を込めるがバッファローメギドは鑪を踏み耐える。

 猛牛がその怪力を存分に発揮して刃を押し返す。

 

 「っ…!?ぐぅう…!」

 

 「BoooaaaAAA!!

 

 そのまま角に引っ掻けた烈火ごとセイバーを上空へ弾き飛ばす。

 

 「くっ、まだまだぁっ!」

 

 

『ピーターファンタジスタ』

 

 ピーターファンタジスタワンダーライドブックを取り出し、ソードライバーに装填、火炎剣烈火を納刀しブレイブドラゴンを閉じ再び抜刀する。

 

 

『ワンダーライダー!』

 

 ソードローブの左側にコバルトブルーの装甲が装着される。

 セイバーがワンダーコンボ、ドラゴンピーターとなってキャプチャーフックを伸ばし手頃な枝に巻き付けこれ以上飛ばされる事が無いようにと手管をこなし枝に着地。

 「くそっ、パワーが違う…」

 そのセイバーの独り言に魔人は獣の嘶きを止め、静かに笑い始める。

 「クックック…流石の聖剣の剣士も我がパワーには堪えると見える」

 バッファローメギドが嘲る様に言葉を紡ぐ。アラクネメギドの声帯と違い、キチンとした音として聴こえる流暢な言葉の羅列に斗真は驚く。

 「前のメギドよりも声が聞き取り易い!?」

 

 「そこじゃあない!…ふん、まぁいい。Bulll!そこのデカブツが吾輩の突進を反らしたのには驚いたが、それだけだ!炎の剣士たった一人、敵では無い!」

 

 自信満々、歓喜に鼻息荒く吹かすバッファローメギド。しかし魔人がたった今鼻で笑い一蹴した剛剣の騎士は突進を受け歪んだ長剣を魔人に投げる。

 「ボooルu?!何っ?!?」

 

 「勝手に斗真ちゃん一人だけがお前さんの敵だと思ってんじゃないよ」

 スイギュウの魔人を威圧する彼の右手には灰色のワンダーライドブックが握られている。

 

 「あれは?!あれが陳さんの…!」

 

 「おじ様もやる気になったみたいね」

 

 初めて見るワンダーライドブックにセイバーは目を見張り、久しく見る事が叶わなかった己の護衛の本気にユエは嘆息するもどこか喜色が混じった声を洩らす。

 

 「ぬぁにぃ?!」

 そして予想外の展開にバッファローメギドは狼狽える。

 

 

『玄武神話』

 

 それは神獣のカテゴリに分類されるワンダーライドブック。灰色のガードバインディングには漢字で書かれたタイトルと北を司る四神のイラストが描かれている。

 

 

『かつて四聖獣の一角を担う強靭な鎧の神獣がいた』

 

 「さぁて、久し振りに……暴れますか!」

 

 劉玄が玄武神話を左手に持ち替え、右腕を大地に振り下ろす。

 

 「ええぇっ?!あのおじさん地面にパンチしたよ!!?」

 「何を…!?」

 「「「!?!」」」

 ラヴィとアシュレイが劉玄の突然の行動に目を白黒させ、残る3人も驚きに声を失う。

 

 「よっ……こいしょぉぉぉおおおお!!」

 

 構わず気合いを入れ劉玄は大地から()()()を引き抜く。

 

 

 

『土豪剣激土』

 

 割れた地より振り抜かれるは剛岩大地の聖剣、灰褐色の刀身、橙に近い琥珀の刃を持つ片刃の大剣を肩に担ぎ、本来鍔となる位置にある装填機【ゲキドシェルフ】に玄武神話を嵌め込む。

 

 「そのご自慢のパワー、真っ向から叩き潰してやるよ?変身!!

 

 その言葉と共に激土の柄【メインステイヒルト】に備わる引金【ゲキドトリガー】を引く。

 劉玄の背後にエレメントイメージとしての玄武神話が出現、そのページが捲られる。

 

 開かれたページ【テキストオブワンダー】に描かれた大地の剣士のシルエット。

 陳劉玄の前には六角形の岩が亀甲の様に現れ、目の前のソレを剛剣の騎士は激土を振り下ろし叩き割る。

 

 

『一刀両断!』

 

『ブッた切れ!ドゴッ!ドゴォッ!土豪剣激土ォォッ!』

 

『激土重版!絶対装甲の大剣が北方より大いなる一撃を叩き込む!』

 

 

 砕かれた岩盤が【ソードオブロゴスバックル】により展開したソードローブの装甲へ変化する。甲羅を象った胸部・肩部鎧【ブシンゴウラ】、腕部装甲【ライドロックアーム】は左右で僅かに形が違う。

 同様に左右の差異がある脚部【ライドロックレッグ】により大地を力強く踏み締める様は正しく堅牢な要塞のようである。

 頭部の【バスターヘルム】の【ソードクラウン】はソードライバーによって変身する剣士達と違い激土の先端を模している。

 【グラウンドバイザー】はソードクラウンの位置と相まって大地割る様を描いたかのようにも見える。

 

 「大地の剣士、バスター…推参ってね」

 

 【ゲンブシンワマスク】に包まれた口から聞き覚えのある声が発せられる。

 大剣を杖のように立て体を預ける目の前の重剣士は間違い無く斗真の知る陣劉玄なのだと理解出来る。

 

 「先生の真っ赤か仮面、アルっちの真っ青仮面に続いておっちゃんがガキンガキン仮面になっちゃった!」

 

 「おい、バカウサ…もう少しマシな愛称を付けろ」

 

 「あれがリュウトに伝わる聖剣と剣士なんですね…」

 

 「何と言うか、一目で堅い、強い、大きいって感じの姿ね」

 

 「でもこれであの魔人と戦える剣士が二人になったよ!」

 

 「残念だけど、多分あんた達の先生の出番はもう無いわ。あの魔人がどれだけ力自慢か知らないけど、アレ一匹しかいないならおじ様の敵じゃないよ」

 

 ラヴィとアシュレイが度々緊張感を弛緩させる会話を繰り広げる中、3人目の剣士の存在に息を呑むリネットと思わず子供の様な語彙でバスターを表現するロゼッタ、そして戦力が増えた事で斗真の負担が減る事に心の底から安堵するティアラという反応を見せる傍ら、ユエはセイバーの出る幕など無く、バスター1人で事足りると断言する。

 

 

 「だからどうした…それが何だと言うんDaaaAAAAAA!!

 

 新たな剣士の登場に激昂し興奮を顕にするバッファローメギドはセイバーを無視しバスターに向けてその凶角を刺さんと突進する。

 全身から噴き出す蒸気によって向上したパワーがバスター目掛け激突せんと爆進する。

 対してバスターは突進を迎い容れる様に体を開き構える。

 

 灰の要塞と茶銅の重機関車が激突する。

 

 耳を塞ぎたくなる程の轟音が辺りに響き渡る。

 

 蒸気と土煙が晴れていく。

 

 

 「ち、陳さん!?」

 セイバーとなった斗真はキャプチャーフックを使用し枝から地上へ降りながらにバスターの安否を気遣う。

 そして完全に煙が晴れる…その瞬間、趨勢は既に決していた。

 

 「グuuボォoaアアッ?!ば、バカなっ!!バカなぁぁあ!!?吾輩の突進の直撃でビクともせんだとぉぉおおお!!!」

 

 その絶叫の示す通り、バスターの装甲は凹みすらせず、バッファローメギドは彼をその場から一歩として後退させる事すら出来なかった。

 

 「悪いね。オジさん、お前程度に負ける訳にゃいかねぇんだわ。御姫さんも見てるから余計にね。だから…終わりにするぞ!」

 陽気な声から一転、圧力が増す声。左手でメギドの頭部を掴みその体を易々と持ち上げる。

 

 「ヴouぉあ?!」

 

 「ぃ…よいしょぉぉおおお!!

 

 持ち上げられた事により宙に浮いたメギドのがら空きのボディに激土の刃【ダイゲキジン】による斬撃が2度、3度と加えられる。

 

 「魔人を片手で軽々持ち上げるなんて!」

 

 「すごい…あの大剣を片手であれ程自由自在に…!」

 

 「今のは敵も大分堪えたみたいね。次で決まるわ」

 

 ロゼッタがバスターの剛力に、アシュレイがバスター技術に感心している。

 ユエは既に勝敗は見えたとばかりに淡々と述べる。

 

 「さぁて…悪いね斗真ちゃん、オイシイとこ最後まで持ってちゃって」

 「あ、いや気にしないでください。(陳さん滅茶強いじゃん!)」

 ゲキドシェルフから玄武神話を取外しながらセイバーへ申し訳無さそうに謝罪するバスター。

 そのまま激土のゲキドシェルフ上部にある【シンガンリーダー】へ玄武神話ワンダーライドブックの裏表紙に存在する【スピリーダー】をリード(読み込み)させる。

 

 

『玄武神話!ドゴーン!会心の激土乱読撃!ドゴーン!!』

 

 「汝、刮目也。我、必殺一刀!大・断・断!

 

 激土から必殺の一声が轟く、バスターがそれに伴って技の名を吼え、激土を倒れ伏したバッファローメギド目掛け叩き下ろす。

 彼とメギドを中心にして激しい衝撃波が大地に伝わる。

 割れる地面、悲鳴すら岩盤に呑まれ絶命するスイギュウの魔人、激しい揺れに思わず立ち眩むセイバーと少女達。

 隆起した大地が爆発しメギドは消滅、同時にワンダーワールドは解除され、後には土煙の煤で少し汚れただけの無傷のバスターが激土を肩に担ぎ堂々と其処に立ちはだかっていた。

 

 

 TO BE Continued!?!

 

 

 

─猿飛忍者伝─

 




 次回、遂にヤマト三姉妹と忍者出せる!(変身するとは言ってない)
 ウチの忍者は普通に純情ボーイです。

 ユエを出した理由?そろそろ喋らせたかったからです。(それ以外に理由なんて無い)

 煙叡剣狼煙と昆虫大百科で女性ライダーかぁ……サーベラはどうプロット練ろうかなぁ。

 また次回、それでは!
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