MasqueradeRe:Lights ~この世界では本の力を持つ仮面の騎士がいる~   作:ダグライダー

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 こんば改めおはようございますからの私は寝ます!

 先に此方のアイディアが纏まりプロットを作り書き上げてしまったので、今回は此方から投稿します。

 忍者哉慥くんとヤマトの三姉妹この花は乙女が登場です。

 序でにとある御仁も登場です。

 人手が欲しいよぉ~!仕事の人手が欲しいよー!

 ミホノブルボンも実装されたし、後はラピライのゲームさえリリースされてくれればウマ娘も始められるんだけどなぁ。





12頁 Return to YAMATOSisters&NINJYA

 ──ヤマトに伝わる伝説……風が影に溶け込み魔を切り裂く。変幻自在の刃は、個であり郡。

 風の聖剣の使い手は私達もよく知る少年でした。私よりも幼く見える彼が先生達と同じだとはあの時までは思ってもいなかったのです──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━海上・とある帆船の甲板━

 

 波を切り海の上を進む極東の島国(ヤマト)からウェールランドに向かう木造式の大型帆船、その船頭の甲板に佇む薄桃色混じった銀髪の少女。

 物憂げな色を顔に滲ませる彼女が身に纏った衣服はフローラ女学院"ルージュ"の制服。

 既に目と鼻の先まで見える海の向こうに聳えるウェールランドの大地。それを眺めている少女の傍に近付く長い茶髪を後頭部で纏めた長身の少女、銀髪の少女に声を掛ける。

 

 「ナデシコ」

 

 「あ……間もなくウェールランドに着きます」

 

 「ようやくね」

 

 茶髪の少女に名を呼ばれ憂いを消して明るく応える銀髪の少女──ナデシコ。

 対して茶髪の少女でナデシコの姉──ツバキは船での長旅が終り、再び戻って来た異国の地を眺めながら息を浸く。

 そんな姉にナデシコは再び眉をハの字に寄せて先程から憂いていた原因の進展を訊ねる。

 「カエデは?」

 その短い一言に込められた意味を理解して、無言で首を横に振るツバキ。

 その仕草にナデシコは残念そうに俯くも、一転眼に強い輝きを宿し力強く拳を握る。

 「わたくし諦めません!必ずカエデを説得してみせます…「ろっくんろー!!」」

 ロックな事を可愛らしく叫ぶナデシコ、併せて甲板の何処からか変声期の少年の声が聴こえる。

 

 「あら?」 「はて?」

 

 同時に首を傾げるツバキとナデシコ、その彼女達の反応を見てマストから小さな影が落ちて来る。

 

 「はわわ!?申し訳ございませぬナデシコ殿!拙者…つい何時ものように合わせてしまい申した」

 

 影が大慌てで甲板に額を擦り付ける様に頭を下げる──ようは土下座である──それは小柄な少年であった。

 ツバキよりは低く、然りとてナデシコと並んでも些か低い。

 「あら、サイゾウくん盗み聞きなんてワルい子ねぇ」

 「あわわわわ!?堪忍でござる、堪忍でござる!?悪気は無かったのです。カエデ殿も一人になる時分が必要かと思い拙者も此方に参った次第なのですが、そこでナデシコ殿が何時もの"あれ"を叫んでおられたので……つい…」

 目まぐるしく百面相で慌てる少年に意地の悪い笑みを浮かべるツバキの傍らでナデシコが苦笑しながら頭を上げる様にと手を差し出す。

 「わたくし達の事を元気づけてくれようと考えていてくれてたのですね。ありがとうございます」

 「も、も、も、勿体無きお言葉にござる!拙者、魔女殿を守る事がヤマトは帝より賜った一族の使命なれば!ナデシコ殿のお心の不安も取り除く事もまた然り!でなければ当代の御当主様や歴代のお歴々、更にはユズリハ様、お三方のご両親、先代剣士殿、果ては嘗て我等が仕えた上総ノ守様に申開きが出来ません故!」

 ナデシコが差し出した手をまるで貴重品でも扱うかの様にワナワナと震える両手で掴み、半ベソを掻きながら仰々しく言葉を並べ立ち上がる。

 

 「大袈裟ねぇ、でもサイゾウくんの気持ちはありがたくお姉ちゃん頂いておきます」

 「はい、サイゾウさんの為にもわたくしも頑張ります!ではもう一度参りましょう!」

 「承知!ニン!」

 

 

 

「「ろっくんろー!!」」

 

 改めて甲板に面し…可愛らしい叫びが木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━フローラ女学院・飼育小屋前━

 

 晴天映える青空の少ない雲が風に流される中、西日へと傾きつつある空の下人気の少ない飼育小屋から空気を切り裂く音が鳴っては消える。

 

 「そうそう、いい感じだよ斗真ちゃん」

 

 「うーん、こんな簡単な訓練で良いんですか?」

 

 「いえ!基礎は大事です!何事も積み重ねが大事なんです!!」

 

 音の主は木剣を振る剱守斗真。そしてそんな彼を見守る或いは見届けているのは大地の剣士バスターこと剛剣の騎士陳劉玄と水の剣士ブレイズこと自由騎士アルマ・神明・イーリアス。更には──

 

 「警務員殿や自由騎士殿の言う通りです教官!教官の筋は悪くありません、そして基礎の型を知らずに実戦をこなし続ける事は危険が付き纏います」

 

 「イケイケ!頑張れ!レッツゴー!レッツゴー!せんせーい!!」

 

 ──アシュレイとラヴィが各々で声を掛ける。

 

 さて、何故斗真が木剣を素振りしているのか?それは昨日の森での一件が関わっている。

 メギド魔人を倒した後、ワンダーワールドと繋がった異界は解除され、生徒達を寮へと返した斗真と劉玄。

 結界の外とは言え、間近で異変が起きたとなればクロエに報告しない訳にはいかない。

 直ちに理事長室へ向かい、事の一件を報告。その後御破算となった斗真の訓練を何が起きてもある程度の対応が取れる学院内の早朝の僅な時間と担当授業の無い数時間に宛がわれ、訓練指導を学院の警務員(体裁上の職ではあるが)をしている劉玄とマームケステル全域を巡回しているアルマが行う次第となった。

 それが昨日の夜の事。

 

 そして偶然剣士達のそんな訓練風景を落ちこぼれ5人組(byエレン)の2人が彼等を見付け理由を聞き出し今に到る。

 

 「うん。アシュレイ嬢ちゃんも言っていたけど、筋は悪く無い…いや寧ろいい方だね。初めての素振りで体幹がここまで安定してるなんて凄い事だよ」

 巌の如き手で拍手を叩きながら笑みを浮かべて斗真を褒める劉玄。

 

 「ええ、流石初陣でメギドを倒しただけの事はあります。何か特別な事でもやっていたんですか?」

 同じ様に拍手をしながら感嘆の声を洩らし疑問を挟むアルマ。

 

 「特別な事って訳じゃ無いけど、元の世界に居た頃、小説のネタ探しでよくフィールドワークに出たりして、作中の設定に添うにはどうすべきかとか考えて取材にスーツで富士山登山を結構したり、ダメ元で宇宙飛行士選抜試験受けに行ったり、知り合いに頼み込んでその人の持ってる土地の山道で走り屋よろしく(バイクだけど)レースみたいな事をした事はあるかな」

 

 「ほう…所々よく分からない単語がありましたがトーマさんは見た目以上にバイタリティに溢れる人だったんですね!」

 

 「うーん、斗真ちゃんマトモな人種かと思ったら別方向でぶっ飛んでたタイプかぁ」

 

 「なんかよくワカンナイけど、先生がスゲーって事であってる?」

 「うむむむ、お二人の反応から察するに恐らく…」

 斗真の返答にアルマは純粋に感心するばかりな一方、劉玄は何とも形容し難い顔になる。

 そしてそれを横で聞いていたラヴィ達も分からないなりに自分の中で斗真の来歴が凄いのだと納得する事にした。

 

 「いやおかしい、おかしいだろ。突っ込めよオッサン」

 其処へ新たに掛かった声は斗真達同様、この学院にて生活しているフィレンツェの剣士(現・引きこもり)のエレンことエルヴィレアノ・(以下略)・鳴美。

 相も変わらず死んだ魚の如く濁った瞳でボソッとツッコむ。

 

 「そうなんですか?」

 

 「そこんとこどうなの?」

 

 「おかしいいんでしょうか?」

 

 この世界で育った3人がこの場の最年長者に揃いも揃って訊ねる。

 

 「いやぁ、うん。まぁ、そうね…おかしいちゃおかしいし、普通ちゃ、普通…なのかな?少なくとも斗真ちゃんからしたら普通なんだと思う…よ?」

 だよね?と視線で訴える劉玄に斗真ははいと返す。

 「ところで普段引きこもってばっかのお前さんがこんな陽も高い内から何しに来たんだい?」

 当人からの肯定を貰い、これ以上この話題は触れないでいようと決めた中国片田舎出身の護衛の仕事していない不良中年、話題を変えようとエレンの方にシフトする。

 「(オッサン、コノヤロウ…)別に。オマエがチビッ子からスマホ返して貰ったってから、オレもガトホ返して貰っただけだ。そう言や忍者が帰って来るよな」

 濁った瞳を半眼にしながらガトライクフォンを軽く翳しながら思い出した様にとある少年の事を話題に出す。

 

 「忍者?それって……ヤマトの風の聖剣の剣士だって言う…」

 

 「ええ、僕達剣士の中で最年少の剣士ですね。素直な子なのでとても助かっています」

 

 「割りと人懐っこいんよね。時代的にはオジさんより圧倒的前の人間らしいけど」

 

 「あれだ、一言で言うとあざとい。しかも狙ってやってないから余計あざとい。野郎のあざとさなんざ誰得とか思わなくも無いが、タッパは小せえわ、美少女顔だわ、ガキだわで属性が渋滞してる」

 

 マルルセイユ、リュウト、フィレンツェの剣士達が揃ってヤマトの剣士の事を語る。

 そんな彼等の言葉からややあって、誰の事を語っていたのか理解した2人の魔女が会話に加わる。

 

 「もしや今、教官達の話題に出ているのは購買の彼ですか?」

 「ニンニン言ってる人だよね、たしか名前は……さ、さ?し?す?あっ!ハンゾーくん」

 

 「哉慥だね」「サイゾウですね」

 

 アシュレイ、ラヴィ、2人して思い浮かべた人懐っこい笑みを浮かべる少年の顔、惜しむらくはラヴィが彼の名をマトモに憶えていない事か。

 

 「そうそう、それそれ!」

 「アホウサ……」

 

 「購買?それはもしかして学院で見かけるあの用途不明が多い雑多なラインナップの購買部かい?」

 少女達の言葉で斗真は学院内で度々通りがかる何に使うのかよく分からないモノが店頭に置いてある一角を思い浮かべる。

 「一応…アレらは授業に使用するマジックアイテムです教官………兎も角。ええ、その購買部です」

 マジックアイテムに縁が無い斗真からしてみれば用途不明でも学院の生徒からすれば重要なモノである(マジックアイテムで無い物も普通に売っている)。

 「それで、哉慥君?とは親しいのかい?」

 態々購買部と言う学生に関連深い場所でよく目撃されているのならまぁ親交はあるだろう憶測する。

 「んとね、親しいって言うか、こう…購買部のマスコット的なカンジ。あと、すんごい速いから購買部の子たちからはかなりちょーほー?されてる」

 ラヴィが説明する、斗真が学院に赴任する前に良く見た光景。ニンニン口にしながら購買部の生徒が不在時は代わりに店番を任されていたのだと言う。

 

 「逆に想像出来なくなってきた……」

 

 濃い。圧倒的に濃い人物像に妙な頭痛がしてくる斗真。

 此処に居る剣士達やへルマンも大分濃い人物であったが、哉慥少年はそれ以上の人物であるらしい。今から会うのが不安になって来た、そんな胸中であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━ウェールランド・港━

 

 そしてそんな話題の渦中たる少年は久方振りの異国の地にてバク転、空中三回捻り等、体操選手も斯くやのアクロバティックな動きで大地の感触を踏み締めていた。

 その後方ではヤマト三姉妹──ツバキ、ナデシコ、そして末妹のカエデが甲板から波止場に上陸し船旅で海の揺れに慣れた身体を陸に馴らしている。

 

 「ようやく陸ね」

 

 「はい、皆さんとまた会えるのが楽しみです!ね、カエデ」

 

 「……そうですね」

 

 姉妹でも一番背が低いカエデはナデシコのその言葉にむすっとした顔で返事を返す。

 どうやらまだ説得は叶わない様だ。

 

 「ツバキ殿、ナデシコ殿、カエデ殿。大変心苦しいのですが拙者、これより先行し、ふろ~ら女学院に顔を出し申します。然らば──」

 

 

『猿飛忍者伝』

 

『とある影に忍は疾風!!あらゆる術でいざ候…』

 

 「失礼致しまする!忍!」

 

 小さな本が読み上げられたと同時に一迅、風が吹き荒ぶと哉慥の姿は既に其処には無かった。

 「相変わらず疾いわね~」

 「とっても"ろっく"です!」

 (そう言えばサイゾウお兄ちゃんは何時からニンニンと口にするようになったのでしょう?)

 姉2人が暢気に哉慥を見送る中、カエデは今更ながらの疑問を懐いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━図書室・旧ベース通路━

 

 国内最高峰の蔵書を誇る書庫の最奥、嘗ての剣士達の拠点"ノーザンベース"を改良した隠し部屋の通路を歩く剣士4人。

 「その…特訓の時の事なんですけど、哉慥って子が陳さんより前の時代の人間って?」

 斗真がふと先程の話題に触れる。

 「うん?何て言うかね、どうも来訪者ってのは現れる際、必ずしもその時代通りに現れる訳じゃ無いみたいでねぇ、ヤマトに現れた来訪者の中に一族ごと来訪したのが居たらしくてね」

 手振りで説明を始める劉玄、アルマが補足する様に口を挟む。

 「僕の両親の先祖もそうですね。マルルセイユに一族ごと現れたそうです。哉慥君の一族とは時代は違いますが」

 「アルマが言った様にちょくちょく数世紀のジェネレーションギャップ?だっけ?があるんよ」

 そこで年長者と生真面目な若者はエレンの方に顔を向ける。

 後はお前が同い年のよしみで説明しろと言う事だろう。

 「チッ、しょうがねぇな。あれだ、忍者は戦乱が収まってから天下統一された後くらいの時代にあたる年代の人間らしい。でまぁ、アイツが五歳くらいの時に住んでた里ごとこっちの世界に現れたみたいでよ、アイツの曾祖父が三代目風の剣士で、間にオレっち達と同じ21世紀の人間を挟んで五代目が忍者の奴なんだよ」

 ざっくばらんに述べるエレンに斗真は目を丸くする。

 「また随分奇妙な経歴だな、でもどうして彼が今の風の剣士に?」

 至極真っ当な疑問をぶつけてみると、エレンはとても面倒臭そうな顔をして渋々口を開き始める。

 「詳しい事は本人に訊け。オレが知ってんのは風の剣士の継承は徹底実力主義って事、アイツがそれだけ候補者の中で、継承出来る程才覚があったって事だけだ」

 

 そうこう会話を交え歩いている内に、剣士達が普段集う本の間の扉前に辿り着く彼等。

 先頭の斗真が扉を潜ると其処には見慣れぬ人物が居た。

 

 「え?誰?」

 

 「不審。それは小生のセリフだな、手前こそ誰だ?見ない顔だ」

 サングラスを掛けた恐らく歳上だろう人物がこれまた中々に特徴的な喋り口調で返す。更には──

 

 「動くな。でござる」

 

 背後から首筋に当てられる金属の感触。まず間違いなく刃物であろうソレを当てて来る人物の声は若いを通り越して幼い。

 しかしその声に振り向けば即座に首を落とされかねない。

 「(声変りするかしないかのギリギリの高音…語尾がござる…そうか)君が哉慥少年か……」

 「ニン?!な、なななななな!?何故拙者の名前を!!?」

 背後で慌てふためく声が聴こえる。正直、勘弁して欲しい。

 当てられた刃が薄皮を通り越してザックリ食い込みそうで恐い、と冷や汗混じりに思う斗真。

 

 「おい、アホ忍者、さっさとソイツから剣を離してやれ。敵じゃねぇ」

 

 「ござっ?!えれん殿!それに劉玄殿にあるま殿お久し振りでござる!」

 後ろからの助け船に哉慥は元気良く反応し、言われた通りに刃を離す。

 そうして安全が確保出来た為、存分に振り向けば小柄な少年が翠色の片刃の剣を腰に戻していた。

 

 「(小さい!ラヴィちゃんよりはある。リネットちゃんよりも少し高い……けど、俺より小さい!155…いや6か?!)えっと初めまして、剱守斗真です。此処で教師をしています。火炎剣烈火の剣士やってます」

 歳下とは言え、異世界歴、剣士歴では先輩の少年に丁寧に挨拶をする。すると少年では無く、サングラスの人物が斗真の言葉に反応した。

 

 「何?確認、手前は今烈火の剣士と言ったのか!?」

 その言葉に後から入って来たエレン達が彼に気付く。

 

 「あ?ムッツリグラサンじゃん。お前も帰って来たのかよ」

 

 「お久し振りです!セドリックさん!」

 

 「おお、お前さんも戻ったんだね。これでアルマとエレンが分担してた聖剣のメンテと他のアイテムの整備諸々が楽になるねぇ」

 

 「憤慨、訂正具申。小生はムッツリでは無い。この色眼鏡も視力保護が目的である。ふむ、聖剣の整備に関しては任せて貰おう。騎馬は雷鳴剣が扱いが雑な以外、問題無かろう。それよりもツルモリ何某とやら、手前が火炎剣と言うのは事実か!」

 

 先程の剣呑な声は何処へやらサングラス越しに眼を輝かせる。

 「あの…貴方は?」

 「失敬。名乗りがまだであったな、セドリック・マドワルドⅢ世(ザ・サード)。音銃剣錫音の剣士兼鍛冶師である」

 此処に風と音、新たなる剣士が現れたのであった──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━ダウヒッチストリート━

 

 夕暮れのマームケステル市街、中央通りのマジックアイテム専門の店舗内で陳列された品を眺めてティアラが感嘆の声を洩らす。

 

 「面白そうな物ばっかり」

 

 髑髏、ライターらしきモノ、藁人形の山、謎のランプ、etc.etc……。

 地球からの来訪者が見れば用途が分からない、解らない、判らないの三重苦であるが、魔女にはそうでは無いらしい。

 そんな中でロゼッタが棚に陳列された品の中から眼鏡を取り出し、掛け、ティアラに訊ねる。

 

 「どうかしら?」

 「うん、似合ってるよ。魔法は何か仕込まれてるの?」

 

 キラリと輝く叡智の結晶、それに施された魔法が何なのかとティアラが質せば、ロゼッタは少しばかり悪戯を思い付いた様に眼鏡の魔法を発動して答えを返す。

 「これは…分析能力があるみたい。身長156フィンチ、体重45ストン、バストが8じゅ……「ちょっとロゼ?!」うふ、冗談よ」

 「もうっ!知らない」

 

 「こんにちは」

 気安い相手同士だからこそのやり取り、そんな風に2人して盛上がっていると、ユエが店の扉を開けて入店しようとして、しかしティアラを見付け店に入るのを止める。

 「あっ…supernovaのユエさん、でしたよね!この間はちゃんとお話出来なくて…あ、この前のオルケストラ見ました。とっても良かったです!」

 

 「別に…昨日のあれはおじ様に用があっただけ、それにあんたに誉められても嬉しくない…。」

 昨日同様、ティアラに対して当たりが厳しいユエ。しかし彼女のそんな態度にも臆せずティアラは果敢にコミュニケーションを取る。

 

 「あの…何か成績を伸ばすアドバイスを貰えないでしょうか。私達…」

 「あんたの班退学寸前なんだってね」

 「え?」

 「醜態晒して、エリザ様に悪いと思わないの?」

 「…え……?」

 最高ランクノワールからの助言を貰おうと声を掛ければ返ってきたのは苛立ちと嘲り混じりの冷淡な声。

 ユエと言う少女はどうにもティアラに思う所が多いのか兎に角対応が厳しい。

 そのまま言うべき事は言ったとばかりに去っていく。

 

 「大丈夫?」

 店を出て2人で通りを歩く、ロゼッタは親友を気遣い声を掛ける。

 「でもユエさんがあんな事を言うなんて……知り合いだったの?」

 「ううん。でも…向こうは私を知ってるみたい」

 ティアラがこの国の第二王女だと学院で知っているのは、ロゼッタを除けばクロエだけ(ティアラ達は劉玄が自分達の素性を周知している事を知らない)、それ故、まさかユエからあんなキツい言葉が出るとは思っても見なかったのだ。

 「…そうみたいね。…あら?」

 受けたショックを笑顔で隠す親友に何とも言えぬ顔になるロゼッタ、何か話題をと思った矢先に道端で見知った顔を見掛ける。

 

 店頭のショーウィンドウから覗く水晶等の占い道具を見詰める楓の葉の髪飾りを付けた小柄な少女。

 ティアラはロゼッタの反応に少女を観察する。

 

 「知り合い?」

 「あの子はカエデ、ヤマトからの留学生よ」

 簡潔に素性を紹介する。そう言えばと真紅の王女はクラスに不在の席があった事を思い出す。

 

 「お帰りなさい」

 

 「あ…ロゼッタさん」

 

 クラス委員長として率先して声を掛けるロゼッタ、彼女にティアラも追従する。

 カエデはカエデでそんな彼女達に気付き意識を店から久方振りの学友達に向ける。

 

 「いつ帰って来たの?」

 

 「ついさっきです。あの……そちらの方は?」

 

 「少し前に入学した…」

 

 「ティアラです」

 

 カエデが見慣れぬティアラに若干の怪訝を覗かせつつ訊ねるとロゼッタが委細を述べ、ティアラ当人が名乗る。

 成る程と納得したカエデはならばと佇まいを正しティアラに向き直る。

 「はじめましてカエデです」

 

 「よろしくね」

 

 「はい」

 しっかりとした挨拶。此方が気軽に宜しくと返せば微笑みを以て応えてくれる。

 

 「ここは何のお店なの?」

 「占いの小道具屋です」

 「カエデは占い研究会なのよ」

 「へぇ~」

 小道具屋の矢面で3人の会話が弾む。話題のタネは学院の部活動だ。

 「そう言えば…ティアはまだ部活に入っていなかったわね」

 入学してからいきなり退学寸前の班に組み込まれるわ、メギド魔人と仮面の剣士との戦いを目撃するわで暇が無かったとも言える。

 「そうなんですか?でしたら一緒にどうでしょう」

 カエデがならばと暗に占い研究会を薦める。

 「ロゼもどこにも入ってないよね?」

 「私はバイトもあるから…。でも、もし入るならじっくり考えた方が良いわよ」

 カエデの誘いに、しかしロゼッタも未だどの部活にも所属していない件を持ち出せば実家の都合故か苦学生となった親友の苦笑とアドバイスが返ってくる。

 そしてそれはカエデにも何やら刺さったモノがあるようで……。

 「そうですよね。じっくり考えた方が…」

 そんな少女の如実な変化にお人好しを発揮しカエデに何か困り事があるのかと訊ねる。

 「どうかしたの?」

 「実は……ナデシコお姉ちゃんが…」

 その好意に甘え、己が抱えているモノを吐き出さんと口にしかけた所で悩みの種の元凶がカエデの名を呼ぶ。

 

 「カエデー!先に行きすぎですよー?あら?」

 

 果たしてその細腕で本当に平気なのかと疑いたくなるような大きな鞄を両手で持ち歩き、背中には唐草模様の風呂敷からはみ出た鞄に入りきらなかった傘等が背負われている。

 

 「お帰りなさいナデシコ。新入生のティアラよ」

 カエデの悩み事はさて置いて、取り敢えずの紹介を済ませる。

 「まあ!そうなんですか!カエデの姉のナデシコです。ろっくんろー!」

 ナデシコのその見た目からはそぐわぬ言葉にティアラが目を白黒させる。

 「ろ、ろっくんろー?」

 その反応にナデシコは嬉しそうに語り始める。

 「うふ…わたくし"ろっくんろーる"が大好きで」

 

 「初対面の人におかしな事言わないで下さい」

 しかしそれを側で聴かされるカエデの機嫌は忽ち悪くなっていく。

 ナデシコを置いてズンズンと独り速足で学院の方へ逃げて行く。

 

 「はわわ…カエデ~!」

 何処かの忍者少年と似たような言葉を洩らしながら去り行く妹を追おうとするナデシコ。その前にティアラ達に向き直り挨拶を交わす。

 「それでは、後程学院でお逢いしましょう!」

 

 「あ…はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━学生寮・共用談話室━

 

 入浴上がりの魔女達が己の御髪を手入れする傍ら会話に興じるサロンでティアラ達は寝巻きに着替え各々過ごしていた。

 

 「ふふふんふふふん~ふふんふんふんふんふーんふーん♪」

 いつものツーサイドを解いたラヴィがソファの1つを占拠して鼻唄をご機嫌に口ずさむ。彼女は4人が着ているラピス共通の寝間着ではなく、アシュレイがプレゼントしてくれた可愛らしいワンピース。

 

 「ラヴィはどうして着替えないの?」

 

 「べっつにー?ただなんとなく~」

 

 「着たまま寝たらシワになるぞ」

 

 「それは困るな!着替えてくるー!」

 

 ティアラの質問に気分で答えアシュレイに注意を受ければ慌てて部屋に取って返す。頭に着けた短いリボンがピコピコ動いて髪を解いても尚ウサギのようである。

 

 「どうしたんでしょう…あれ?ツバキさん?」

 「ん?こんばんは」

 

 文字通り脱兎で駆けて行くラヴィを見送ったリネットが代わりに此方に近付くツバキに気付くとアシュレイも気付き彼女へ挨拶を交わす。

 

 「戻って来てたんですね」

 「久し振りだな」

 久しく顔を見なかったクラスメートに2人して歓迎を口に出す。

 「みんな相変わらずみたいね。貴女がティアラ?」

 「?ええ…」

 「三姉妹の長女、ツバキよ」

 そんな変わらない学友達に微笑みながらツバキは目的の人物、ティアラに近付き誰何すると自ら名乗る。

 

 「三姉妹?」

 「ナデシコとカエデのお姉さんよ」

 「あぁ…!」

 ティアラは急に現れて三姉妹と口にしたツバキに小首を傾げれば、隣のロゼッタが夕暮れに出会った2人の少女の身内であると教えてくれた。

 それに伴いツバキは改めて軽い会釈でティアラに微笑む。

 「お見知り置きを」

 挨拶が済み、話題の口火をアシュレイが切る。

 「スランプからは抜け出せたのか?」

 「それがね~?打開策は見つけたんだけど…」

 2人の会話の意味に図りかねていると又々ロゼッタが補足してくれる。

 「ツバキ達はオルケストラをやってるの」

 「え、じゃあsupernovaみたいに?」

 オルケストラと言う単語からティアラが知るユニットと同様に彼女達も歌うのかと喜色で訊ねれば、しかしそのツバキは困った顔で右手を頬に添える。

 

 「ええそうよ。ただ…いまいち盛り上りに欠けてきてて……」

 

 そんなツバキへリネットが不在であった理由を訊ねる。

 

 「自分探しの旅に出たと聞きました」

 

 「ただの帰省よ。でもそこでナデシコが新境地を見出だしたの。だけどカエデが乗り気じゃなくて……サイゾウくんも頑張ってくれたんだけど…何とか二人の溝を………」

 不在の間に話が大きくなっている事に苦笑して大それた事では無いと否定を織り混ぜ訳を話してゆく。その話の途中で妙案到りと思い付いたか、ツバキがティアラに目を付ける。

 

 「貴女、どの部活に入るか決めかねているそうね?」

 

 「ええ…まぁ…」

 

 それがどうしたのかと意図を含めた生返事、ツバキはそんな彼女を見下ろしながら悪戯っぽく笑うのであった。

 

 「だったらちょーっと、お姉さんに協力してくれないかしら」

 

 「へっ?」

 

 ツバキの申し出にティアラは只々困惑するばかり。果たして三姉妹の長女が思い付いた秘策とは何なのであろうか?

 

 

 TO BE Continued…忍!

 

 

─猿飛忍者伝─

 




 はい!前編です。
 次の回でセイバーの章は終了です。そしてブレイズの章に移行します。
 
 哉慥くんちっちゃいですね!実はオジさんと並んでお気に入りだったりします。
 作中カエデが疑問を呈した哉慥くんのニンニン口調の原因…元凶はエレンです。

 これを読んでいる読者の皆様はどの剣士がお気に召したのか私気になります!
 もしかしたら章移行する前に行間で剣士達の軽いプロフィールを載せるかもしれません(望む声があればですが)

 ではまた次回でお会いしましょう。
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