MasqueradeRe:Lights ~この世界では本の力を持つ仮面の騎士がいる~   作:ダグライダー

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 おはようございます
 寝ます。起きたら散髪して機種変します。
 未だにスマホ良く分からないですけど……。

 グリッドナイト君すっかり大人になっちゃって……2代目は今度はお母さん寄りですかそうですか(可愛い)

 加藤国広(ティアラ)、八丁念仏(ロゼッタ)、典厩割(アシュレイ)、浦島虎徹(エミリア)、鶴丸国永(ナデシコ)、城和泉正宗(カエデ)、千人切(ルキフェル)は持っているので後は乱光包(シャンペ)が来れば天華百剣実装済みのラピライキャスト揃うんですよねぇ。
 リーチ掛かってるのはこの花は乙女だけですけど……。鈴木女史の巫剣来ないかなぁ。
 或いは他の人でも良いからもうちょい来ないかなぁ。
 おちフルは揃ってんだけどなぁ。



16頁 真のワンダーライダー

 ──ワンダーコンボ。先生達が持つソードライバーによって発揮される本の力を解放した姿。

 ティアラさんから渡されたワンダーライドブックで新たな力を獲得した先生ですが、ピーターファンタジスタはアルマさんが所持したままでした。

 そしてそれはワンダーコンボの真の力に迫るきっかけとなったのです──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━フローラ女学院・理事長室━

 

 「またしても…ですか」

 窓辺に佇みながらクロエは夜の帳が降りた正門前を見詰める。

 

 「はい。幸いにして僕とトーマさんで早期に対応出来た事や居合わせた生徒さんが迅速に行動を起こした為、取り込まれた街や人は最小限の被害で済みました……ただ、目撃証言から調査した所、メギドを召喚した人物は、身に付けていた物から推察した所、商隊の方らしく、心神喪失状態で発見。その後の更なる調査の結果…その…彼の他に居たであろう商隊のメンバーの方々は残念ですが……」

 報告を述べながら今回の件で発生した犠牲者を悼む、その握り拳からは血が滲み滴る。

 

 「貴方のそういう所が良い所でもあり悪い所でもあります。今はしっかりと休みなさい」

 

 「はい…失礼します」

 

 語気弱く、項垂れた様に理事長室を去るアルマ。

 生真面目ながらも明るい青年が気落ちしている様を見てクロエもまた苦々しく眉間を寄せる。

 そうして、それら一連の会話を今まで黙って見守っていたもう一人が口を開く。

 

 「未熟。まだまだ若輩であるな、奴の父なら割り切ったであろうに」

 セドリックである。温室の修復報告の為、アルマとは別にクロエの元に訪ねて来ていたのである。

 サングラス越しの瞳を若獅子の騎士が去った後の扉に向けながら辛辣な評価を述べる。

 

 「彼が聖剣を引き継いだ時期を考えれば仕方の無いことでは?」

 「手前も中々に甘いな。生徒にも、流水達にも」

 「前途ある若者たちですから」

 「笑止。同い年だろう。そもそも小生からしたら手前も未だ尻の青い小娘なのだがな。それで…流水が言うメギドを召喚したと言う人間だが、手前はどう見ている?」

 

 一頻りクロエと若き剣士や魔女について会話を交えた後、話題をメギドの件へと戻す。

 

 「はい…目撃、調査情報の通り虚ろな状態で頻りに何事かを呟いていた、と言う事は何者かに操られていたのでは?と考えます」

 

 「……となれば、憶測、その商人何某は怪物とやら…十中八九メギドだろうが──襲われ、その後、何者かに操られていたと見るのが可能性の一つか。無論、狂信者の線も全く無いとは言い切れないがな」

 

 「その辺りは追々、此方でも調査させます」

 

 「重畳、期待する。しかしそうなると定例議会への報告も一苦労であろう」

 

 「でしたらご助力して頂けますか?」

 

 「騒々しいのは好かん」

 セドリックが口にした"議会"という言葉にクロエが少々の皮肉を込めての同行の是非を問えば、黒いレンズに隠れて尚判る程にセドリックは顔をしかめ断る。

 

 「此処(学院)も騒々しいと言う意味では変わらないのでは?」

 

 「騒音の種類が違う。若者の日々を過ごす喧騒と、益欲渾沌の坩堝と化し不愉快な嫉妬、怒号飛び交う事もあるあの場所とでは天地の差だ」

 

 「ですが例の…失われた聖剣やワンダーライドブック探索の成果を報告する必要があるのでは?」

 

 「不要、態々議会に併せる必要は無い。どうしてもと言うのであれば手前が代わりに答弁してくれ」

 

 そう言って話すことはもう無いと席を立ち、去ろうとする鍛冶師。

 クロエが呆れつつも最後に訊ねる。

 

 「セドリックさん……今回の様な事はまた起こると思いますか?」

 

 「……それは無いと答えて欲しいのか?それとも有ると答えるべきか?失笑、既に己の中で出ている解答に他者からの太鼓判を求めるなど…無意味。心配せずとも手前も手前の学院も其処で過ごす者達も我等が守るとも、何があってもな」

 ではなと残し、今度こそ立ち去るセドリック、残されたクロエは苦笑するより他に無い。

 

 「ええ、皆さんの事は頼りにしています」

 

 唯一人部屋に残ったクロエの呟きが木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━???━

 

 「おいっ!何だあの女はっ!やる気があるのかっ!!このままでは計画が遅々として進まん!

 

 「"彼女"はあれで良い。何れ、来る時が来れば否応無しに聖剣を手に取る。その為に我々の側に置いたのだ。そもそも人手と言うならせめてあと一人、貴殿と同格のメギドが居れば別であるが…

 

 レジエルのとある人物に対する不満の怒号にローブの人物はワザとらしく辟易した様に答える。

 

 「ぐっ……、チィッ、良いだろう!ならばズオスを起こせ!単細胞の奴ならばストリウスよりは幾らかマシだ」

 

 「(飽くまで己が力を手にする算段か、予想以上に狭量だな……まぁ、でなければ真っ先に起こした意味が無い)承知しよう。それまではくれぐれも自重するよう頼みたいものだ

 

 「ふん、貴様が余計な道草を喰わねば…大人しくしているさ」

 

 「(ズオスだけでは足りないな………予定よりも早いが、アレを切るか。既に"煙"は此方の手の内に。残るは"光"と"無"の聖剣の捜索、"時"の奪取。そして奴等の手にした聖剣を利用し目次録への道が拓かれた、その暁には残る聖剣も我が手に…)では手早く行動起こすとしよう、試したい事もあるのでね

 レジエルの皮肉を込めた物言いも物ともせずローブの人物はその胸中で自らの目的を秘めつつ闇の中に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━マームケステル・ダウヒッチストリート━

 

 事件報告の翌日、アルマはとある人物に帯同していた。

 

 「ごめんなさいねー、わざわざ付き合ってもらって」

 

 「いや、僕も気分転換がしたかったから…」

 

 敬語の彼にしては珍しく、気安い、砕けた口調で会話を交える相手、エメラルドグリーンに煌めく長髪を一房の三つ編みに纏めた線の柔らかい顔立ちに糸目の少女。

 選抜クラス、supernovaの1人、ミルフィーユである。

 クロエの幼馴染みで弟子でもある彼女はその関係から同郷の人間で顔馴染みでもあるアルマとは親しい。

 

 「アルくんがこっちに来てどのくらいになるかしらー?」

 

 「ミルフィが学院に入学してから暫く…君達がsupernovaを結成した時くらいに来たから、大分経つね」

 

 ミルフィーユの買い物で出た荷物を抱えながら答える。

 

 「あら~、もうそんなに経ってたのねー。どう?此処の生活には慣れた?」

 

 「ああ、うん、毎回街の見回りをしていたからかな?露店の人達から良く声を掛けて貰ってるくらいには」

 

 「そうね~、さっきも親しげにお話していたものね」

 

 買い物に際し起きたやり取りを思い返してクスクスと笑みを溢すミルフィーユに対し、少し気恥ずかしいのかそっぽを向くアルマ。

 

 「僕よりもトーマさんの方が大変だと思うよ。来訪者としていきなり知らない世界に来たと思ったら訳も解らないまま聖剣の剣士になってしまったんだから。きっとエレンやラウシェンさんよりも大変だったはず」

 

 「トーマ……ああ!あの新しく特別クラスに来たって言う先生ね!どういう人なのかしらー?お姉ちゃん興味あるわー♪うふふ」

 左手を頬そっと添えながらアルマが口にした名を転がしながら微笑む。

 

 「あまりからかっては駄目だ、目上の人なんだから」

 

 「分かってる分かってる♪アルくんはホント生真面目ねー。少しは肩の力を抜かなくちゃ」

 

 アルマの苦言に笑顔を崩すこと無く、寧ろアルマを丸め込むミルフィーユ。齢17歳とは思えぬ余裕と包容力が滲み出る態度である。

 

 「一応…僕は君より歳上なんだけど……わぷっ?!」

 「拗ねちゃって可愛いんだから」

 

 ぶすっとした顔をするアルマの直ぐ側に近寄り、彼の両手が荷物で塞がっているのを良いことに鼻の頭を摘まんで軽い悪戯を掛けるミルフィーユ。

 端から見れば姉弟の様である(誤字に在らず)、或いはデートとも取れるかもしれない。

 

 「それで今回はどんなモノを作るんだい?」

 手にした荷物──そのほぼ全てが食料品──を見ながら隣を共に歩く少女に訊ねる。

 

 「そうねー、何時も通りユエやフィオ、クロちゃんに振る舞うのは当たり前として、そのトーマ先生にもお近づきの印に振る舞ってみたいわねー。勿論アルくんにもご馳走するわ。後は…そう!デザートも作りたいわね、今回こそは成功させるわ~」

 

 「え゛?!デザート?」

 

 「そうデザート。毎回あんな結果になってしまうんだもの、そろそろ成長した所を見せないとねー」

 デザートとミルフィーユが口にした瞬間固まるアルマ、だがミルフィーユは構わずニコニコと話を続ける。

 誤解の無いよう言えば、ミルフィーユは料理研究会に所属しているだけあり、その腕前は決して下手などでは無い。寧ろ絶品と言えよう。

 デザートにしても不味くは無いのだ。では何故アルマがこの様な反応を示したのか、それはこの場で語る事では無いので割愛する。

 

 そんな会話を繰り広げながら彼と彼女はダウヒッチストリートの中央通りを抜け、西側の広場へ休息の為に向かって行く。

 そんな日常の一幕──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━マームケステル近辺━

 

 アルマがミルフィーユに付き合って広場へと向かったのと同時刻、外壁の外ではローブの人物が手にズルズルと引き摺っている()()を適当な広さの平原に投げる。

 弱々しい悲鳴を挙げる魔獣を一瞥すると手にしたアルターライドブックを、魔獣の口らしき部位に捩じ込む。

 魔獣の抵抗も意に返さず、捩じ込んだアルターライドブックを開く。

 

 『饕餮伝書

 

 魔獣の躯が不安定に膨張する。のっぺりとした体躯が刺々しいモノに変貌してゆく、両生類の様なヌメりを持った脚から剛毛が生え、鋭い爪が大地を確りと掴む。

 背中は角なのか骨なのか見分けが付かない突起に覆われ、腹は縦に走った直線から宝玉の様な眼球がギョロギョロと蠢く。

 一見して可愛いらしくも見えた顔は獅子と蛇と鷹を混ぜた様な不気味な形相に転じる。

 

 それはメギドであってメギドでは無いもの。魔獣でありながら魔獣から外れたモノ。

 魔人の力を内包し既存の魔獣とは一線を画した怪物が産まれた。

 

 「随分悪趣味なモノを造ったな、見掛け倒しにならなきゃ良いが……ま、お手並み拝見といこうか

 そんな様子をローブの人物の背後から眺めていた黒い怪物がせせら笑いながら評する。

 

 「なら見物料を支払って貰おうか?

 

 「へぇ?面白い。オレに何をさせたいんだ?

 

 「なに…そう難しい事では無い。ただ、ワタシが呼び出した時に場を乱してくれれば良い。それ以外は…そうだな余所の国でなら幾らでも好き勝手に暴れてくれても構わない

 

 黒い怪物──唯一顔面だけが紅い仮面(スカルフェイス)を被った、蟲や獣が入り雑じった複数の意匠を持つ魔人──メギド【デザスト】がその異形からは想像も付かぬ程に若い青年の声を発しながらローブの人物に訊ねれば、ローブの人物は暴れろと宣う。

 

 「おいおい、たかが見物一つにえらいぼったくるじゃないか?注文が多すぎだ

 肩を揺らし竦めるデザスト、ローブの人物は何も言わず懐から新たなアルターライドブックを取り出し、黒い魔人にチラ付かせる様に見せる。

 

 「貴殿が此方のオーダーをこなしてくれるのならば報酬に()()を返そう

 ローブの人物が手にしたのは紅い表紙のアルターライドブック。

 それはつまりデザストの命綱その物。

 

 「……だから?はいそうですかって従うとでも?オレからしてみれば直ぐに…それこそお前から奪ってでも取り返すかもしれないぜ?

 

 「ああ、だがそうはならない。貴殿もまた数百年の歳月から目覚めたのだ、先ずは我々の為そうとする事を見届けるくらいは余裕があるだろう?それに早々退屈はさせんさ。それでも尚と言うのであれば()()()を前払いの報酬に付けよう

 そう言ってローブの人物は新たにデザストアルターライドブックをずらし後ろから3冊のワンダーライドブックを見せる。

 

 「フッ…ククク、フハハハ!!良いねぇ、面白い。中々悪くない条件だ……良いぜ、暫くはお前らの茶番劇に付き合ってやるよ

 デザストが上機嫌に良と答えた瞬間、魔人の手目掛け3冊のワンダーライドブックが投げ渡される。

 

 「その3冊と貴殿の力があれば結界の中でも遜色無く活動出来るだろう。が、先にも言ったように今回ばかりは大人しく成り行きを見守って貰おうか

 ローブの人物がその言葉を述べた瞬間、魔獣饕餮が吼える。

 異端の魔獣の声に誘われ、周囲から複数の魔獣が集い群れる。

 獣達は饕餮を先頭に、マームケステルの街へと歩みを進める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━マームケステル・西側広場━

 

 甲高くも軽い金属音が街中に鳴り響く。

 

 「?!これは魔獣が街中に!?」

 広場で休息に伏していたアルマが飛び起きる様に立ち上がる。

 同時に彼のガトライクフォンに着信が入る

 

 「はい!アルマです!」

 『声がデケェよ馬鹿。ゲホッ…その感じならもう分かってんな、ゴホッ…魔獣が街の至る所に出た。お前今どこだ?ゼェ…ハァ』

 電話の主はエレン。怠惰な青年は、彼にしては珍しく息を切らせながらアルマに情報を伝える。恐らくは彼も街中を奔走しているのだろう。

 

 「西側の広場です」

 『なら好都合…ゲホッゲホッ、お前はそのまま西側に出た魔獣を片付けろ。オレは南、忍者が東、小説家が北、ムッツリグラサンとストーカー執事は万が一の為に学院に詰めてる。ゴホッゲホッ、あーシンドイ。で、魔獣の数は南に1、東に2、北に2、お前の居る西に3だ、お前の所だけ数が多い、後多分今まで戦って来た魔獣とは違う感じだが、何とかしろ』

 咳き込みながら現状を伝え終えたエレンはそのまま通話を切る。

 

 「アルくん…」

 ミルフィーユがそっと声を掛ける。

 

 「ミルフィ、なるべく安全な所に逃げて。もうすぐ此処に魔獣が来る。念の為手前で迎え撃つけど……相手は結界を越えるくらいの魔獣だ、そんなつもりは毛頭無いけど…もしかしたら取り逃す可能性もある。だから君は市民と一緒に逃げてくれ」

 ミルフィーユに逃げるよう言い含めながら腰にソードライバーを装着、ライオン戦記を挿入し駆け出す。

 

 

 

変身!!

 

 

 

『流水抜刀』

 

 

 

『ライオンッ戦記ィ!』

 

 獅子の顔を胸に懐き、水流より出でた蒼き剣士がその超人全とした身体能力を駆使し魔獣達へ向かう。

 

 

 

 《Glloooooaaaaaa!!》

 

 三匹の魔獣、その中央に位置する一際異彩を放つ巨獣が猛る。

 

 「…!何だ…あの魔獣、見た事がない!新種?いや…それよりまずは取巻きだ」

 聖剣を片手に、先ずは確実に倒せるだろう通常の魔獣に標的を定める。

 

 ──定めようとして、その刃をリーダー各の新種に阻まれた。

 

 「何っ?!(庇った?!いや…違う!コイツ僕を張り付けにして取巻き達を自由に暴れさせる気だ!)」

 魔獣が見せたまさかの知恵に驚愕するブレイズ。

 何とかしようにも新種──魔獣饕餮──はブレイズを逃がしてはくれない。

 

 (くっ…こんな悪知恵を魔獣が使うなんて!!確かに今までの魔獣とは違うっ!?)

 ブレイズの剣舞を爪で牙で、或いは背中の角で器用に受け躱す魔獣饕餮に思わず歯噛みする。

 

 (不味い…これ以上コイツに構っていられない!早く振りほどかなきゃ、あっちにはミルフィや市民の方達がっ!?)

 しかし奮闘振るわず取巻きの2匹は建物の屋根を踏み砕きながら広場へと抜ける。

 沫やこれまでかと焦るブレイズ。がしかし、天はまだ彼を見捨ててはいなかった。

 

 「わぁ~~~ふっーーーーーっ!!」

 

 2匹の魔獣が広場に到達した瞬間、横合いから独特の叫びと共に小さな影が魔獣の横ッ面を叩く。

 

 「えっ…?今のはまさか…!?」

 

 魔獣饕餮の凶爪を聖剣で防ぎながら突如現れた影に瞠目する。

 

 「あたた…ちょっと失敗」

 魔獣2匹と共に転がった影が土煙の中から立ち上がる。

 煙が晴れたその場所に立つ小さな影の正体、それはフローラ女学院特別クラスに在籍する人狼の亜人、サルサが悪戯っ子の様に舌を出しながら制服の土埃をパンパンと払う。

 

 「君は…トーマさんのクラスの…」

 

 「わふっ!?なーぁにーぃ?」

 

 思わず溢した一言に小さな人狼が反応する。どうやら土埃と喧騒に紛れ良く聴こえなかった様だ、

 

 「君!危険だから逃げなさい!!」

 

 「だいじょーぶ!ボク、強いから魔獣なんて一捻りしちゃうよ!」

 サルサがピコピコ跳ねながら大丈夫だと応じる。

 

 「しかし……」

 尚も渋るブレイズに対し避難誘導の最中であったミルフィーユが声を掛ける。

 

 「アルくん!今は手段を選んでられる状況じゃ無いわ!」

 

 「…っ、分かりました。ですが危ないと感じたら直ぐに逃げて下さい!」

 

 「まっかせて!わっふふ、張り切っちゃうよー!」

 

 右拳を左掌にパシンと軽く当てながら気合いを入れるサルサ。

 未だ生徒を巻き込む事に後ろ髪を引かれつつも、一先ず目の前に立ちはだかる特異点に集中する。

 

 「ぜっ!」

 自重を掛けて押し込んでくる魔獣饕餮の腹に蹴りを見舞い間合いの余白を作り互いの戦況を振り出しに戻すブレイズ。

 敵に機先を差される前に左腰の必冊ホルダーに流水を納刀、居合いの構えを取る。

 

 

『流水…居合』

 

 ホルダーに納めたまま走る。

 饕餮の爪を掻い潜り、牙を躱し、腹に潜り聖剣を一気に引き抜く。

 

 

『読後一閃!』

 

 先の打ち合いで見付けた腹の眼球目掛け必殺の居合い斬りを喰らわせる。

 

 《Gyaaaaaa?!!》

 

 巨体が痛みに絶叫し大きな音を経てて倒れ込む。動かなくなった魔獣を一瞥し、サルサの救援に向かうブレイズ。

 

 「わぁーっふっふっふっふっふぅぅぅうう!!わっふぅーーーっ!!!

 小さな体からは想像も付かない力強いラッシュが残った魔獣の1匹を殴打する。トドメのアッパーカットにより打ち上げられた魔獣が彼方へ飛んで行く。

 これで残る魔獣は1匹。

 

 「後は僕がっ!」

 流水をドライバーに納刀しトリガーを2回引く。

 

 

『必殺読破!ライオン一冊撃!ウォーター!!』

 

 跳躍し必殺のキックをサルサを警戒していた魔獣を背後から強襲する。

 意識外からの一撃に断末魔を挙げる間も無く木っ端微塵になる魔獣。

 

 「おおーっ!スゴーーーい!」

 

 「はぁ…はぁ…これで全部…。他のみんなは?!」

 戦場での高揚と興奮で息が乱れるブレイズ、他の戦場はどうなっただろうかと意識を弛緩させたその時であった、先程自分が魔獣にやった様に今度は自分が背後から強襲を受ける。

 

 「かはっ…!?」

 

 「アルくん!?」

 

 転がるブレイズの姿に思わず悲鳴混じりに叫ぶミルフィーユ。

 一体何が起きたのかとサルサ、ミルフィーユ、そして満身創痍のブレイズが攻撃の出所を探した所、倒れた筈の魔獣饕餮の咥内より煙が白んでいる。

 

 「馬鹿な…!確かに倒した筈!」

 戦慄するブレイズ。その言葉に反応して魔獣饕餮の巨躯が膨れる。

 内側からメキメキと音を立て、まるで繭でも割るように異端の魔獣から魔人が出でる。

 

 「メギドだって!?」

 

 「……やっと表に出てこれたぜ

 

 産まれ出でた魔人が言葉を発する。

 牛と羊を足した様な意匠の身体、虎の牙を模した肩と胸、曲がりくねった2角の角。

 怒りと喜びをない交ぜにしたデスマスク。目元と鼻こそヒトを模しているが口は獣の様に鋭い歯並びである。

 

 「くはははっ!丁度程よく疲れているな!実に好都合…死ね剣士!!

 

 魔獣時のそれと比べれば小さな腕がブレイズ目掛け振り下ろされる。

 

 「っくぅ!」

 

 咄嗟に身を捻り躱す。しかしトウテツメギドはそれを読み蹴りを喰らわす。

 

 「あ゛あ゛」

 怯むブレイズに角から雷撃を発っし更なるダメージを与える。

 

 「ハッハッハッハ!見ろ!剣士が赤子の様だ!これが魔獣の中で負の力を蓄えた成果よ!

 トウテツメギドが高らかに笑いながら、自らが力を得た理由を述べる。

 ローブの人物──カリバーによって魔獣の中で生まれたメギドは魔獣の体内をアンダーワールドと化し、魔獣の糧である人々の負の感情を集束し結界内でも遜色無く動けるのだ。

 

 「ぐぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!(応援が…来るまで…耐えなくては……)」

 そう思うものの果たしてそんな悠長な暇があるのかと考える己が居る事に気付く。

 聖剣と本の力で超人へと変化してもそれぞれの最端からこの場に来るには時間が掛かる。

 ライドビークルを使用しようにもこの混乱で人々は逃げ惑っているやもしれない、そうなれば走行も容易ではないだろう。

 ならばどうすべきか?既にブレイズの…アルマの中で答えは出ていた。

 

 (けれど、やれるのか…?いきなり同色のワンダーコンボ二冊……負担は……いや、やるしかないんだ!!)

 雷撃に打たれながらもブレイズは左手を右腰のホルダーに伸ばし、そこから以前のゴーレムメギドとの戦闘の際から所持したままになっていたピーターファンタジスタを手に取り、震えながらもガードバインディングを開く。

 

 

『ピーターファンタジスタ』

 

 ライドスペルの序文詠唱を飛ばしレフトシェルフに装填、流水を納刀しライオン戦記を閉じる。

 

 うおぉぉぉぉぉぉお!!

 

 激しい雷撃の中、気合で立ち上がり吼えるブレイズ、勢いに任せ流水を抜刀する。

 

 

『流水…抜刀!』

 

 激流渦巻く本棚にオーライメージのライオン戦記とピーターファンタジスタがブレイズの背後に聳えページが捲られる。

 蒼いライオンの胸が描かれたシルエット、その左側に重なる様にピーターファンタジスタの左腕のみのシルエットが繋がる。

 

 

『輝くっ!ライオン!ファンタジスタァァア!!』

 

『流水二冊!!』

 

『ガオーッ!キラキラ!幻想の爪が今、蒼き剣士のその身に宿る!』

 

 斗真が使用した際とは全く違う、独特の殷を踏んだ音声が轟く。

 

 ソードローブの左側がピーターファンタジスタの力に包まれる。

 ブレスライオンを中央に頂き、左肩、左腕、左腹部がコバルトブルーに染まる。

 似通った色の鮮やかなコントラストが幻想的な雰囲気を醸し出すブレイズライオンファンタジスタの誕生である。

 

 「出来た…!これなら!!」

 新たな力を得たブレイズは雷撃を打ち払いメギドへと跳ぶ。

 その跳躍がそのまま飛行へと転じ、蒼き剣士は魔人を翻弄する。

 

 「をおぉぉ゛?!小癪な真似をっ!?

 

 飛行するブレイズからの攻撃に雷撃を連発し対応するも、まるで捉えられない。

 

 『ライオン戦記!』『ピーターファンタジスタ!』

 対してブレイズはドライバーのライドブックをタップし流水で円を描き水の輪を作り、蒼い獅子を喚び出す。

 同時にキャプチャーフックを伸ばし、メギドを拘束、水の輪からシャボン玉が飛び出し魔人を包む。そして蒼い獅子と共に魔人の周囲を回転しながら攻撃、更に完全に身動きを封ずるとそのまま高度を上げメギドごと空中へと上る。

 

 「今度こそ終わらせる!」

 

 今度は己を軸にしハンマー投げの様にメギドを振り回し拘束を外し放り投げる。

 シャボンに囚われたままの魔人に逃げる術は無い。

 

 

『必殺読破!』

 

『ライオン!ピーターファン!二冊撃!ウォ・ウォ・ウォーター!!

 再びトリガーを2度引き、空のトウテツメギド目掛け水撃を放ち突進。

 シャボンは割れ、魔人は落下しながら激流に乗ったブレイズにピンボールの如く打ち上げられたまたしても落下する。

 そしてブレイズは水の炸裂する力を両脚に込め、落下中の魔人の背中へ全身全霊の体重を込めた蹴りを見舞い、急速直下、地面に激突しクレーターを作る。

 

 ギィィャァァァアア!!

 

 魔人は断末魔の絶叫を挙げ爆散、水飛沫が雨のように降り注ぎ、クレーターの中央にはブレイズだけが立ち、勝利を誇っていた。

 

 

 「我がイーリアスと水勢剣流水の名に於いて、僕は負けない」

 

 「ほっ……冷や冷やしたわー」

 

 残心を取るように左腕を横合いに伸ばし、宣誓するブレイズに安心したと言う顔でミルフィーユが近付く。

 

 「わっーふーっ!カッコいい!!わふ?」

 少し離れて見ていたサルサが興奮気味にハネッ毛をピコピコ揺らしていると足元に落ちていた黄色い本に気付く。

 それは目の前でミルフィーユに抱き着かれているブレイズが持っている本に似ていて、何だか気になって拾うサルサ。

 何だろうと思い蒼い剣士に訊ねようとして、しかし先に剣士の方から瓦礫を撤去するので良ければ少し手伝ってくれと言われて、本について訊ねると言う些細な疑問が頭から抜け落ちてしまったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━西側民家屋根上━

 

 「あ~あ、負けちまってやんの。それにしても……水の剣士…ありゃダメだな、つまらなそうだ。臭いで分かる

 広場からある程度距離がある民家の屋根上で黒い魔人が気怠そうに呟く。

 一連の戦いを観戦して、彼はブレイズに対する評価を下し、失敗したかとぼやく。

 「変わり種のメギドだったからこっちの観戦を優先したが……どうせなら他の剣士の所に行きゃ良かったぜ……ん?

 そうこうぼやいていると己の直ぐ背後に現れた気配に首を動かす。

 

 「おいおい…マジか、メギド居るし。しかも只者じゃ無い感じビンビンじゃねーか!何だよ今日はよぉ、魔獣は結界越えるわ、しかも何時もよりしぶとい上に強いわで大分時間食うわ…更には真面目ちゃんの所にオレが一番乗りだわ、だと思ったらもう終わってたわ、かと思えばヤバげな気配するわで確認しに来たらこれだよ……今日のオレの運勢終わってね?」

 担当地域の魔獣が1匹だった為かいち速く駆け付けたエレン。そんな彼が微かに感じた悪寒を頼りに屋根上を伝って見れば見馴れぬ赤い仮面の様な形相に甲虫の顎が生え、両肩は猟犬か狂犬を模した意匠を持ち、顔と同様の赤いマフラーをたなびかせる漆黒の魔人がアルマ達を観察しているではないか。

 

 「ふーん。この臭い…お前も剣士か……それも雷の。なるほど…へぇ…お前ちょっと面白そうだな、どうだ?オレと遊んでかないか?

 

 エレンから感じる封印される前に殺した剣士や先の水の剣士とは違う空気に誘いを掛けるデザスト。

 しかし今代の雷の剣士は魔人の誘いを鼻で笑い一蹴する。

 

 「ハンッ、冗談はよしこちゃんてな。オレは今日はもう充分働いたっての、援護ならまだしも…誰が進んでお前みたいな厄ネタって判りきった野郎と戦うかよ」

 自嘲気味に息を吐くエレンにしかしデザストはどうでも良いように振る舞いながら、突如として剣を振り抜きエレンへと襲い掛かる。

 

 「そうかい、なら普通に此処で死んでおけ!

 

 漆黒の痩躯にしかしプリン頭の怠惰な剣士は腰に装着したままのソードライバーを逆手で素早く抜き放つ。

 

 雷鳴が駆ける──

 

 交差は一瞬──

 

 倒れ、しめやかに爆散するデザスト──

 

 電光が一瞬だけ仮面の剣士の姿を象るも、次の瞬間には霧散しエレンの姿となる。

 

 「あー…だからシンドイんだってんだろうがクソッタレ」

 手にした聖剣をクルクルと回しながら既に居ない魔人に対して愚痴を溢す雷の剣士。

 

 その神業を知るものは居ない。

 

 

 

 

 とぅびぃこんてにゅ~。

 

 

 

─猿飛忍者伝─

 




 はい。16頁でした!
 何とか一話内で納められた…筈。
 今回のメギドはちょっと特殊なパターンでした。この結果も踏まえた上でこっちの人間製メギドは…ゲフンゲフン!

 そして次回、エスパーダ登場かと思った?残念剣斬です!
 一応今回の話の最後にエスパーダ、雷の光のシルエットで一瞬出ましたけどね!

 序でにTip、ミルフィーユはアルマの母親と雰囲気が似てるらしい。具体的にはあらあらうふふ感が似てる。
 でも母親の方がぽわぽわしてる。

 では次回!チャオ!
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