MasqueradeRe:Lights ~この世界では本の力を持つ仮面の騎士がいる~ 作:ダグライダー
取り敢えずね、1話だけでもと思い、プロローグの目録に続き1頁目を投稿。
まぁテレビのセイバー本編の進行度合いやラピライのリリースを待ちながら幾つかプロットを用意しつつ、対応出来れば良いなぁなんて思っています。
ジャオウドラゴン格好いいですね。でもワンダーライドブックの形状からするとソードライバーの方だと展開出来ないのかな、アレは?
後、スラッシュに変身する為の聖剣、音銃剣錫音。
ああいうタイプの銃剣…良いですねぇ…ロマン武器は好きです。
1頁 復活の火炎剣烈火!
──私達五人とあの人……先生との出会いがあの戦いの始まりだったのかもしれません──
━━マームケステル━━
フローラ女学院を擁する魔女の街。
朝陽登る青白い空の下、街を往来する馬車が入れ替わり立ち替わりと走る。
その城門前に何処かで拾った適当な木の棒を杖代わりにしてボロボロの青年が辿り着く。
「や…やっと、人が居そうな場所に着いた……長かった…」
ひぃひぃぜぇぜぇと声を上げ息を切らし城門に着いた瞬間、倒れ込む青年。
近くに居た定期馬車の人々が何事かと騒ぎ出す。
倒れた彼のもう片方の手には小さな赤い本が握られていた。
━━フローラ女学院・学生寮━━
ティアラが入学し、5人班となったロゼッタ、リネット、ラヴィ、アシュレイ。
部屋の都合からロゼッタがティアラと共に2人部屋に移り学院での生活に適応し始め早数日。
「ん~~~~!」
カーテンを開き窓から射し込む陽の光を全身で浴び、大きく伸びるティアラ。
「おはようティア、随分早いわね」
そんな彼女に2段ベッドの上にいるロゼッタが起き上がり声を掛ける。
「おはようロゼッタ。うん、ちょっと目が覚めちゃって……」
「大丈夫?あまり無理をしてはダメよ、昔より元気になったとは言え、油断は大敵なんだから」
ティアラの苦笑混じりの答えにロゼッタは心配を込めた声色でやんわりと忠告する。
そんな幼馴染みの親友の思い遣りにティアラは心配症なんだからと少し拗ねた顔を作った後、平気と返す。
「大丈夫だよ、ちょっとおかしな夢を見て目が覚めちゃっただけだもん」
「おかしな夢?よかったらどんな夢を見たのか教えてくれる?」
ティアラの言うおかしな夢が気になったのかロゼッタは彼女に訊ねる。
「う~ん…何て言えばいいのかなぁ?昔、お姉ちゃんと一緒に少しだけお城の外に出た時の夢なんだけど……此処じゃない何処かにいつの間にか居て、気付いたらお姉ちゃんともはぐれて…」
「エリザ様とはぐれて、どうなったの?」
「見たことも無い魔獣に襲われそうになって……その時、不思議な鎧を纏った仮面の騎士…ううん、剣士かな?その人に助けて貰ったの……それで私は安心したのか気を失っなって、次に目を覚ましたら」
「寮のベッドの上って事ね」
「うん。でも…私が小さい頃にそんな事があったなんて記憶に無いんだ……だけど妙に現実味があって…ごめんね!ロゼッタ、夢の事だし心配しないで!」
嫌に生々しさが伴う夢を見て不安な顔をしてしまい親友にまで心配され慌てるティアラ。
わたわたと手を振り自分が至って心身共に健康であるとアピールする。
「分かってるわ。それにしても仮面の剣士だなんて…昔、二人で読んだお伽噺の絵本みたいね」
ティアラの態度に微笑を溢しながら夢に出て来た剣士の特徴的な容姿にロゼッタは幼少の頃に目にした絵本を思い出す。
「あ、やっぱりロゼもそう思う?」
「まぁ、夢だからお伽噺の英雄が出てきてもおかしくは無いけどね」
「そうかな……うん、そうかもね。良し!じゃあ今日も頑張ってポイントをゲットして退学回避しようね!」
ティアラがいっそう奮起して宣言する。そう、今し方ティアラ自身が告げた通り、彼女が配されたロゼッタ達の班は度重なる問題行為等から減点を受け、退学の危機にあるのだ。
この事を知った時のティアラの表情は意も言われぬモノであった。
具体的に言えば、瞳から光が消え失せ、思考を全て放棄する程である。
それが食事の時に伝えられたのだから、手許のスプーンを落とし暫く茫然自失してしまい、班員達はそれはもう後ろめたい気持ちであっただろう。
ともあれ現状を打破する為にもティアラは加入当初、張り切ってポイントを稼ごうとしたのだが、そこは問題児が集う班。
その後もなんやかんやあり、得点は増減……まぁ減点が勝っているが、増減を繰り返し今日に至る。
「そ、そうね…今日こそは何としても減点を回避、いえ…ポイントを加算しなくてはね……!」
在りし日と言う程でも無いが、それほどに濃い数日間を思い出しロゼッタも危機感と共に拳を握る。
此処には居ない別室の3人も気持ちは同じであろうと信じて2人は寝間着から制服へと着替えるのであった。
━━マームケステル・詰所小屋━━
「はっ!!?」
椅子を利用されて作られた
周りに目を配れば日本とは建築様式の異なる白い石壁に囲まれた外国の様な小屋。学生時代の修学旅行以外で日本から出た事が無い彼はその光景に狼狽える。
「お?目覚めたかい兄ちゃん」
そんな青年に声を掛けたのは中年の男性。状況から見て小屋の主だろう、そんな彼が苦笑しながら何があったのかイマイチ判然としない青年に丁寧に説明してくれる。
何でも、朝も早くに物流や人員の馬車が往来する城門前、石橋が掛かる土手の辺りでボロボロになった自分が倒れているのを何人もの人々が見掛け、騒ぎになり、比較的平和なこの街で早々出番の無い門兵が騒ぎを聞き付け自分を此処に運び込んだそうだ。
そして、この中年男性はその門兵の1人だと言う。
「兄ちゃん、この辺じゃああまり見ない格好だなぁ?旅人か?にしちゃあ無用心だけど……っとそう言やぁ名前も訊いてなかったな。兄ちゃん名前は?」
中年門兵は青年の格好──ウインドブレーカーに合成繊維のYシャツとその下に着込んだノースリーブシャツ、赤いスラックスという様相に首を傾げながら旅人だろうかと当たりを付けつつ名前を訊ねる。
「え…あ、えと…」
「名前だよ、名前。何だぁ?もしかして訳ありか名無しか?」
「い、いえ!斗真です!剱守斗真!」
青年はどう見ても日本人に見えない外見の中年門兵があまりに流暢に日本語を話す様を見て一瞬呆けるも直ぐ様名乗る。
「テュリーモラ・トーマ?変わった名前だなぁ?トーマの方がファーストネームなのか?」
苗字のアクセントが大分間違って伝わったが名前は一度で覚えて貰えた様である。
「テュリーモラではなく剱守です。つ、る、も、り!」
「んん?ツルモォリャー?よく解らん。名前の感じと見た目からして兄ちゃんヤマトの人か?だとしたら凄いな!船旅から歩きだなんて無謀も良いとこだ!」
よく解らんと一蹴された事にショックを感じつつヤマトと言う言葉に反応を示す斗真。
「(ヤマト?ジャパンとかジャッポーネとかじゃなくて?)……えぇ、まぁ、そんな所ですけど……あの、つかぬことお訊きしたいのですが、此処は何処でしょうか?」
「ん?おいおい、まさかなにも知らないで来たのか兄ちゃん!?此処はマームケステル、暁の魔女フローラに所縁のある地さ!」
「マームケステル?それがこの国の名前……?」
門兵の言葉にやはり聞き覚えが無い斗真は首を傾げるが門兵は違う違うと首を振る。
「マームケステルはこの街の名前さ!国の名前はウェールランドってんだよ」
「ウェールランド……(ダメだ全然聞いたことが無い。歴史や地理はそれなりに勉強したけど…思いあたる節が無い!?)」
そこまで思考して斗真はまさかと言う結論を導き出す。
(待てよ、あの人は何て言った?暁の魔女フローラ?魔女?科学全盛の時代に?そもそも考えてみれば馬車って言うのがおかしい…!見た感じこのオジさんの服装も21世紀にはそぐわない。コスプレ?違う。あのシワは日常的に身に付けてなきゃ出来ない。それにヤマト、船旅……もしかして、いやもしかしなくても……此処は異世界なのでは?)
この間僅か数分、門兵から見たら急に黙りこんでコロコロと顔色が変わるものだから、どこか調子でも悪いのかと心配になる。
「おい兄ちゃん、本当に大丈夫か?医者呼ぶか?」
「っ?!いえ!大丈夫です!ちょっと考え事しただけなんで……ってあれ?リュックは?!」
門兵の心配に慌てて否定する斗真。そこで改めて自分が背負っていたリュックが無い事に気付く。
「兄ちゃんの荷物ならこっちだ」
慌てふためく斗真に門兵は自身の机の下から斗真のリュックを取り出し、投げ渡す。
「あ、ありがとうございます……良かった無事だ」
渡されたリュックのファスナーを開き中身を確認し胸を撫で下ろす斗真。
「兄ちゃんの鞄、変わってんなぁ?ヤマトじゃそんなのが流行ってんのかい?」
門兵に言われて斗真もハッと気付く。
此処が異世界でしかもよくある中世風なら自分のリュックは中々にオーバーテクノロジーの結晶と言えるのではないかと…。
「ええ!はい!そんな感じです!」
幸い、門兵はそこまで造詣に深い人間では無かったのか、深くはツッコまれなかった。
「まぁ、何にせよ意識が戻ったんなら良かった。改めてようこそマームケステルへ。ここは良い街だ、兄ちゃんもきっと気に入るぜ!」
人の良い笑顔で肩を叩く門兵。斗真は笑みを浮かべてやり過ごす事に決めた。
━━マームケステル・商店区画━━
街で暮らす人々や観光客で賑わう場所を見下ろす様に臨む屋根の上。
そこから見える人々は活気に溢れ、その存在など気にも止めない。
「さぁ、始めようか…新たなる世界。その始まりの狼煙を」
頭まですっぽりと覆い隠したマントを身に纏う謎の影が手にした小さな白い本に力を注ぎ、邪気に満ちた黒い本へと変貌させる。
本のタイトルは"アラクネの糸"。本が開かれ人間大の蜘蛛の怪物が生まれる。
「こいつで世界を我らの色に塗り潰せ」
マントの人物が怪物へもう1つあった白い本を渡す。
蜘蛛の怪物は無言で頷き眼下を見下ろすと渡された白い本を開いた。
一方、退学回避の為に手近な事から……有り体に言えばボランティアに手を付けたティアラ達。
街に出て誰か困っている人は居ないものかと散策する。
「まぁ、だからって早々見付かりませんよね困っている人なんて……」
緑色のショートボブの少女、リネットが溜め息混じりに呟く。
「ま、まぁ良いことだよ!困ってる人が居ないって事は平和な証拠だし」
そんなリネットを何とか励ますティアラ。横では金髪ツーサイドの少女ラヴィが唸っている。
「なんかこう……ピンチ!って感じで困ってる人がいたらイイのに!」
「バカかお前は!他人の不幸を願ってどうする!!」
「な、なにおー!?あたしはただ困ってるなら力になれるから居たらイイナァとか思っただけだ!」
「言い方があるだろ!」
ラヴィの無自覚な発言にすかさずツッコミを入れるアシュレイ。背の高い彼女と低いラヴィが互いに顔を突き合わせて言い争うのは何時もの光景だ。
「あの……あそこにいる男の人、なんだか困ってるように見えません?」
と、そこでリネットが何かに気付き指を差す。
他の皆がその指をの先を辿り、視線を巡らせれば其所には辺りをキョロキョロ所在無さげに見渡す青年の姿。
「ホントだ!なんかスッゴいキョロキョロしてる!怪しい!!」
「観光客かしら?それにしても少し妙な格好ね…」
「困ってるなら声を掛けてみない?」
「悪漢であれば私が成敗してくれる!」
ラヴィが青年のあまりの挙動不審さにオブラートに包まずに思った事を口に出し、ロゼッタが他の人間とも違う一風変わった服装に首を傾げ、ティアラが天使も斯くやと優しさを発揮し、アシュレイが万が一にも不埒な輩であれば投げ倒さんと言う眼をする。
さてそうと決まればと5人揃って青年に近付く、青年も近付いて来たうら若き乙女達に気付いたのか、一瞬だけビクリと体を揺らし彼女達と視線を合わせる。
「あの~…何かお困りですか?」
開口一番、口火を切ったのはティアラだ。多少の警戒を含めつつも、あからさまに怯えている態度はせずに青年に声を掛ける。
「はい?!あ、俺か……。え、ええ、困ってます。行くところが無くて……」
青年──剱守斗真は声を掛けてきた見目麗しい美少女に見とれつつも掛けられた言葉の意味を理解し、嗚呼、この娘さん達はいい人だなぁと心中で溢しつつ、端的に今の自分の状況を口にした。
「え?」
返ってきたのは困惑の声。
「え?」
そしてその返答に己も困惑。
「「「「え?」」」」
赤髪の少女の連れも困惑と疑問の声を挙げる。
「ふーん、そっかお兄さん迷子なんだ~」
斗真とティアラ達の邂逅から数分後、先程の内容をより事細かに話す斗真。とは言っても異世界云々は信じて貰えそうに無いと思ったので話してはいないが……。
「そう…なるのかな。えぇっと……」
「あたしラヴィ!」
「ティアラです」
「り、リネットです…!」
「ロゼッタと言います」
「アシュレイだ」
名前が解らない為、言葉に詰まっていたところ彼女達は律儀に自己紹介してくれた。
「俺…じゃなくて僕は剱守斗真。よろしく」
ならばと己も名乗り返す斗真。しかし──
「つるつるトーマス?」
ラヴィがとんでもない間違いをしたので変な声を挙げてしまう。
「バカウサッ!」
「ア゛ダッ!!?」
その反応にアシュレイが取り敢えずラヴィが粗相を仕出かした事だけは理解して彼女の頭を叩く。
「あー、うん……それじゃ、斗真で呼んでくれて構わないよ」
先程の門兵の事も思い出し苦笑しながら名前呼びを許す斗真、その反応に少女達も彼が悪人で無い事を理解してか其々微笑んだりして警戒の度合いを下げる。
「それじゃトーマさんは気が付いたらウェールランドの何処かに居たんですね?」
「うん。それで馬車が行く方向を目指して歩いたら……」
「このマームケステルの街の前に着いて倒れてしまった…と」
「なんだか不思議ですね。ヤマトから船に乗って来た訳では無いんですよね?」
「そ、そうだね。何て言うかいつの間にかだから」
「他に何か手掛かりは無いのか?」
「手掛かり……」
ティアラから質問が始まり、ロゼッタ、アシュレイが斗真に次々質問を繰り出す。
リネットは皆と会話に参加はすれども、斗真にだけは些か遠慮がちになり、アシュレイとロゼッタの間に隠れてしまう。
ともあれアシュレイの質問。手掛かりと言う言葉で自分がこの世界に来る原因となった存在を思い出しポケットから取り出す。
「恐らく、だけど…これが唯一の手掛かりかな」
それは小さな本。
赤い表紙に英語表記らしき言葉で"ブレイブドラゴン"と記されている。
そして斗真が持つそれを見た瞬間食い付く
「そ、そ、そ、その本詳しく見せて下さいませんかっ!!?」
「ホワッ?!」
これは斗真もかなり驚いた。先程までの引っ込み思案な雰囲気を出していた少女は何処へ消えたのか、グイグイ迫ってくるものだから思わず引け腰になってしまう。
大の大人の男が15、6歳頃の年端もいかぬ少女に圧されている様は何とも情けない。
何より斗真は学生の時分より異性との交友経験が少ない為、内心かなり動揺している。
更に更に、このリネットと言う少女は5人の中でも特に立派なモノを胸部に誇っているので詰め寄られている斗真としても気が気で無い。
「リネット落ち着いて、ね?」
「はっ…!す、すみません!!私ったらつい…」
「あー…いや、うん何と言うかキニシテナイヨ?」
内心、ご馳走さまでしたと思いながら震える声で動揺諸々を誤魔化す斗真、リネットの肩を軽く叩いて止めたティアラ共々苦笑する。
そしてそれが起きたのはそんな和気藹々としかけた瞬間であった。
斗真、ティアラ、リネットとロゼッタ、アシュレイ、ラヴィとの間に突如遮るように現れる光の境界線。
彼と彼女達がそれを認識した瞬間、斗真と彼と共に居た2人は光に包まれた。
「ティアラ!?」
「りっちゃん!?!」
斗真達が光に目を眩ませている一方で僅かに離れていたロゼッタ達は何が起きたのかを認識していた。
突然現れた光の境界線がそのままティアラ達諸共、開いた本が捲れる様に下から上に捲り上がり消えた。
彼女達は知る由も無いがマームケステルの街の一角が、巨大な本の幻影に取り込まれたのである。
そして斗真とティアラ、リネットはソレに巻き込まれた。
「な、何が起きたんだ……?!」
アシュレイが唖然とした顔で目の前で起きた現象に言葉を洩らす。
「何いまの!?何かの魔法!?」
「解らないわ…転移にしてもこんなモノは見たこと無い……」
友人2人と会って間もない青年が消えてしまった事に驚き、焦り、戸惑う3人。
彼女達が今出来るのはせめてもの無事を祈る事だけである。
「あちゃー、遅かったかぁ……。うん、しょうがない!今動けるのは僕だけだし、頑張って
ロゼッタ達から離れた場所で駆け付けて来たのか肩掛けの短いマントを羽織った青年が額に手を当て呟く。
彼はそのまま腹部に奇妙なバックルを充てると目の前に現れた扉大の本へと飛び込んだ。
━━???━━
「眩しっ?!………な、何が起きた?」
光から目を守る為、手を顔の前に出し俯き背けていた顔を挙げる。
同時に自分の近くに居た2人の少女の存在を思い出す。
「ティアラちゃん!リネットちゃん!無事か!?」
声を張りつつ光に慣れてきた目を開けば其処はトンデモ無い光景が広がっていた。
「……………なんじゃあこりゃぁぁああ!?」
「っ…トーマさん?」
斗真の叫びに近くに居たティアラから声が掛かる。
「ティアラちゃん?!無事かい?怪我は無いか?」
「は、はい!私は大丈夫です。リネットも」
そうして横を見ればリネットも目を擦りながら斗真と同じ様にその光景を見て言葉を失くす。
彼等の目に飛び込んだ光景、それは虹色の雲と見た事も無い植物郡、空を飛び交う竜と魚。
浮遊する大陸という、輪を掛けてファンタジーな光景。
「一体、これは何なんだ……この街にはこんな事が何時も起きているのかい?」
「分かりません!私達もこんな事、初めてで…」
斗真の問いにリネットが首を振る。
自分がこの世界に落ちてきた時もファンタジーであったが、今自分が目にしている光景は彼女達にもファンタジーな事らしい。
そうして暫く呆然としていると何処からか騒しい爆発の音が聴こえてくる。
「何だ!?」
「何かが大きく破裂する音?あっちから!」
ティアラが音の在処の方へ駆け出す。
「待って?!ティアラさん!危険です!!」
リネットの制止も虚しくティアラは火中の方向に飛び込んでいく。
「彼女は俺が連れ戻す、君は此処で待ってるんだ!」
見かねた斗真がリネットに向き直り、諭す。しかしリネットは一瞬、躊躇を見せるも斗真の目を真っ直ぐ見詰め直し、震える声で口を開く。
「わ、私も…一緒に行きます!ティアラさんを放っておけません!」
「………分かった。でも何が起きるか解らない、危険だと思ったら君は直ぐに逃げるんだ」
恐怖を押し殺し友の為に動こうとする少女の想いに折れ、共にティアラを追いかける。
数分もしない内に斗真はティアラを見付け追い付く、リネットは……かなり後方でヒィヒィ言いながら本人としては走っているのであろう、覚束無い足取りで此方に向かっていた。
「ティアラちゃん!」
「あ……トーマさん……あれ…」
ティアラが追ってきた斗真に気付き、眼前の光景を震えながら指差す。
斗真がその指が示す先を見て息を飲む。
赤黒い人間大の異形が頭部とおぼしき部位からナニかを撃ち出し建物を爆発させる。
異形の姿はまるで蜘蛛の様、人の手足が蜘蛛の巣の様な模様をとり、胸は8本の蜘蛛脚を組んだような意匠、頭部は先程の通り蜘蛛の腹を象っている。
そしてその怪物が此方に気付いた。
「うん?命知らずの獲物がやって来たか?」
明らかに人間の言語を喋るのに向かないであろう蟲顎の口からおぞましい声が響く。
「逃げろティアラちゃん!!」
その声を聞いた瞬間、斗真は即座にティアラを庇うように連れ走り出す。
「きゃっ?!」
少女が短い悲鳴を溢すがそれを無視しても一刻も早く目の前の化物から逃げる。
途中、息も絶え絶えになったリネットと交錯、慌てて彼女の腕も引っ張り逃げる。
何処まで走ったであろうか?自分でも解らないくらい息を切らせながら周りを警戒し、怪物が追って来ていない事を理解しホッと一息を浸いた瞬間、タッと軽い着地音が前方より聴こえる。
「鬼ごっこは終わりか?」
逃げ切った筈の怪物が目の前にいる。
「ひっ!?」
怪物を見た瞬間、リネットが腰を抜かす。
「あ…ぁ……」
ティアラも怯え小さく声を洩らしている。
「っ……!南無三!」
そんな怯えすくむ少女達を守る為、なけなしの勇気で恐怖心を抑え斗真が怪物に向かって組み付く。
「俺がコイツを抑えるから!君達は何とか逃げて誰か助けを呼ぶんだ!」
組み付く間も怪物は斗真を拳や肘、膝で滅多撃ちにする。
「がっ?!…逃げろ…ぐっ、早くぅ…ぁが!」
が、奮闘虚しく地面に転がる斗真。弾みでブレイブドラゴンが落ちる。
そして、蜘蛛の怪物は斗真が落としたブレイブドラゴンを目にした瞬間、驚愕し動きを止めた。
(何だ?…あの本を見た瞬間、奴が止まった……あれに…何かあるのか…?!)
怪物の異変に自身が持っていた物が関係あると見て這う這うながらもそれを手にする斗真。
その時、彼の脳裏に膨大な情報が流れ込む。
「ぅ…ぐぅぅぅぅぁああっ?!」
頭を抱え転がる斗真。
蜘蛛の怪物はそれを見て己を取り戻し斗真に迫る。
怪物の脚が彼の頭を捉えた瞬間、空を割り大地に炎が逆巻く。
「何ィっ!」
怪物が吹き飛ばされ、斗真の前には地面に突き刺さった剣が現れる。
「剣…?」
斗真と怪物、ティアラとリネットの場所からやや離れた位置に本の扉を伝ってマントの青年が現れ、彼等の様を目撃する。
「あれは…!ウェールランドの失われた聖剣、火炎剣烈火!?」
マントの青年が驚く傍ら、斗真は藁にもすがる希望で剣に触れようと弱々しく近付く。
「コイツで…あの怪物を…どうにかしなきゃ…」
そうして剣を手にした瞬間、斗真は炎に包まれる。
「?!ぁぁああああ!?」
全身を熱と炎に焼かれる感触、悲鳴すら挙げられるのが奇跡の様。
「いけない!この世界の純血の住人ではあの剣は……!」
マントの青年が何事かを叫ぶ。
「ぁぁぁあ!?熱い!けど……あの子達を守らなきゃ……友達の所に返して…あげなきゃ…だから…抜けろぉぉぉおおおお!!」
炎に焼かれながら気合いで剣を抜く斗真、そしてその声に呼応したのか剣はあっさりと地面から抜け出る。
斗真が剣を掲げると炎が刀身に集束しその姿を変えていく。
「これは……」
剣が姿を変えたのはマントの青年が腹部に充てた物と同様のバックル。
斗真は自らの体の赴くままにそれを腹部──腰の辺りに充てる。
『聖剣ソードライバー』
バックルから荘厳な声が響く。斗真は本能に従いブレイブドラゴンの表紙を開く。
『ブレイブドラゴン』
『──かつて世界を滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた……』
開いた本を再び閉じ、斗真から見て右側のバックルに空いたスロットに本を差し込む。
すると何処からともなく不思議なメロディーが木霊する。
「まさか!?変身出来るのか!?」
「トーマ…さん…?」
「何が起きてるの……」
マントの青年、リネット、ティアラが各々に言葉を洩らす。
蜘蛛の怪物は瓦礫を掻き分け、立ち上がりに斗真が為さんとする行為を止めんと駆け出す。しかし彼が行動を起こす方が早い。
斗真の発した変身の声と共に彼の姿が変わる。
上体中央を除き、右半身が赤く、右肩に竜を象った意匠、中央部は白く刃の様な突起が装甲中央に見られ、左半身は黒く、頭部は炎の剣閃をクロスさせたバツ十字に黄色い複眼を備え、頭頂部位は剣先の様な鋭い意匠。
非対称な姿ではあるが、その様は正に騎士。
「夢で見た、仮面の……剣士……」
「嘘…仮面の剣士…お伽噺じゃ……」
ティアラとリネットは斗真のその姿に絶句している。
「本当に変身した…!セイバーに……彼は一体…」
マントの青年は斗真の氏素性に興味を抱く。
「はぁ…はぁ…うぉぉおおおお!!」
そして無我夢中で変身した斗真は己の変化に気にも止めず怪物に向かって行く。
失われた聖剣が再びこの世界に現れ、青年を戦士に変えた。
真紅の騎士は少女を守る為、果敢に敵へ立ち向かう。
TO BE Continued…!
まぁ仮面ライダーモノは二次創作は色々言われるだろうなぁと思いつつ、やりたくなったんだから仕方無いと開き直ります。
私は自称コンニャクメンタルなので、誹謗中傷は心にキますが評価での批評はそういうのもあるのかと受け止めるくらいにはまぁ打たれ慣れてます。
ガラスじゃ無いので簡単には砕けませんが、だからといって文章に意見を反映出来るかと言われたら……まぁ微妙ですね。
そもそも創作なんて言うのはある程度他人の目に触れるとは言え、ある種の自己満足ですからメリハリを付けつつ好き勝手やらなきゃ書けるもんも書けませんからね。
言うなればプロであれアマチュアであれ、作家は皆心に厨二力を秘めているんだと思っています。
長々語りましたが、また次回てお会いしましょう。