MasqueradeRe:Lights ~この世界では本の力を持つ仮面の騎士がいる~   作:ダグライダー

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 こんばんは。9月に入って少しはやる気が戻って来たダグライダーです。

 遂に…遂に、ラピスリライツリリース前事前登録が開始されました!長かった……。当然事前登録しました。
 ウマ娘含め、この為に機種変更したと言っても過言ではない!
 元々プレイしてたアプリ以外はその為に追加してませんし!
 まぁ…天華百剣ととじともサービス終了と言うショッキングな事もありました。未だ天華百剣のアイコン消せない……分かっていても残してしまう…。
 とじともはオフライン版があるだけ救いですが…。

 兎も角、容量は多分、きっと、恐らく、メイビー…問題無い筈です。



22頁 貴方の力に──。

 

 ──新たな力を得た先生とセドリックさん、私達はそれをエレンさんと言う盾越しに目撃しました。

 赤き龍が空を駆ける翼を得たのです。

 そして私達がワンダーワールドに巻き込まれている間、外の世界、マームケステルにもメギドの魔の手が迫っていました──

 

 

 

 

 

 

 ━マームケステル近郊━

 

 異界と繋がり、切り離された大地より数メートル離れた人の気が無い平原に現れる()()()()()()

 本の扉を通って青草生い茂る大地に降り立ったのは何かに怯える少女、年の頃は17~8、丈は168と同年代ではそこそこ高い方、艶のある濡羽の鴉色の黒髪はしかし裏側だけ臙脂色に染められている。

 肌は健康的で程好く色白、細身ながらも出る所は出ているスタイルと…此処まで美少女全とした要素を備える彼女のその全てを駄目にしているのは怯えた様な態度と額から目元までを隠した孤面。

 更に彼女の服装はアオザイ、リュックを背負い右手に赤銅と金色のサーベルレイピアと、よりチグハグ差が増している。

 

 「ぅぅ…帰る為…これも帰る為なんや……かんにん…かんにんな…せやけど、うちははよ元の世界に帰りたいんどす」

 ややゆったりとした関西訛りで己に言い聞かせる様にブツブツと呟く彼女は1度、手にした赤銅のレイピアを地に突き刺し、リュックを手前に持ってくると中から幾つかのアルターライドブックを取り出そうとする。

 

 「一日でも早く…帰る為に…」

 

 そうして手にした邪本を開こうとして、しかしすぐ側の異界との境に変化が現れて慌てて剣を手に近場の林に逃げ、隠れ潜む。

 

 「な、なに?!なんなん?!」

 

 飛び込む様に隠れた樹の陰から半身を出して様子を伺えば草原と異界の境界より巨大な蟻が顔を覗かせたではないか。

 

 「ヒッ……虫?!」

 

 自分の倍以上の大きさの蟻を目にして思わず口を押さえて吐き気を耐える。

 少女とて普段目にする程度の大きさであればここまで生理的嫌悪を出しはしなかったが、大きさが大きさ故に仮面の下の瞳は涙が貯まる。

 

 (もういややぁ…!)

 より一層帰りたいと心の中で愚痴る少女。そんな彼女に巨大蟻こと巨大アリメギド"達"は気付かぬまま、マームケステルの街へと侵攻すべくゾロゾロと数を増やしてゆく。

 

 しかし──

 

 

 

『激土乱読撃!ドゴォォォオン!!』

 

 

『翠風速読撃!ニンニン!!』

 

 境界から飛び出たアリメギドの頭を地を割く大剣の断刀と、疾風の双斬が斬り落とす。

 

 「やれやれ何とか間に合ったかね?」

 

 「刻風殿が仰った通りでござりますね、皆様無事でしょうか……にん……」

 

 立つは双璧。陳劉玄"堅陣"剣士バスター、祭風哉慥"風迅"剣士剣斬。

 

 「取り敢えずねぇ、オジさんが此処引き受けるから哉慥はあん中で何が起きてるか確認しに行ってくれるかね?」

 

 「承知。しかし……本当に御一人で?」

 

 「うん?オジさんの実力を疑ってんのかい?悲しいなぁ」

 

 「めめめ、滅相も御座りません!劉玄殿の御力は長より聞き及んでおりますれば!ニン!」

 

 

 

 (うわぁ…!あんなに余裕で話ながら、あのおっきい虫を軽々倒してん……うち、あの人らとも戦わなならへんの…?嫌やぁ、うち帰りたいだけやのに…もう今日はこのまま隠れてやり過ごしたい…てか、そもそも…うちが何かせぇへんでも、街襲われとるし…戻ってもええよね?)

 まるで近所を散歩するノリでメギドを蹴散らしていく2人の剣士の戦い様に戦慄する少女、彼女が持つ剣とて2人が振るうモノと同等以上の剣なのだが、如何せん彼女は戦いとは縁遠い生活の直中に居た為、考えが常に後ろ向きである。

 

 そうこうしている内に緑…翠色の剣士が異界へと飛び込んで行く。後に残るは灰褐色の巨漢が1人。

 未だ増え続ける巨大アリメギドを前に肩を軽く回して彼は言う。

 

 「オジさん護るのは得意なのよ、だからまぁ…お前等ごときには遅れは取らんのよな…!」

 

 轟音が大地を震わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━ワンダーワールド━

 

 寂れたハイウェイ、正しくSFのポストアポカリプスの様な世界で、灼熱の嵐が有象無象の巨大アリメギド達を巻き上げ蹴散らしてゆく。

 

 「力が…溢れてくる…!これが相性の良いワンダーライドブック同士の力か!!」

 

 荒ぶる竜巻の目より天へ翔び上がるのは赤き炎の剣士、セイバーこと剱守斗真だ。

 剣士セイバーとなった彼のその姿は何時もの様な赤い龍を右肩に頂いただけのモノでは無い。

 そのソードローブ中央に象られた朱色の猛禽の意匠──胸部【ブレスイーグル】、そして其所から延びる尾羽の前垂【ウインガメイル】背部の【バーミリオンウイング】がセイバーに大空を舞う飛翔能力と竜巻を生み、操る力を与える。

 幻獣の王に荒野を翔る大空の王者が合わさったその姿の名は、仮面ライダーセイバードラゴンイーグル。

 

 「ぜぇぇぇええいっ!」

 

 バーミリオンウイングを広げ、巨大アリメギドを跳ね除ける。

 さらに──

 

 「 Destruction!!果てろ!滅びろ!メギド共ォ!」

 

 激しい絶叫と共に爆音の弾丸が巨大アリメギドを粉々に撃ち砕く。

 

 「ええっ?!」

 

 「伯爵!!?」

 

 「なんかキャラ違くない?!」

 

 「ハッ!面白いじゃないか」

 

 「ふぁ~!!ろっく!とてもろっくです!!わたくしも負けていられません!ろっくんろ~!!」

 

 「 Yeah!そのSession乗った!吐いたからには遅れるな小娘!Rock'n roll!!」

 

 先程まで冷静ながら言葉の節々に熟語を挟むスラッシュ──セドリック・マドワルド三世──が、まるで真逆の感情を激しく打ち出した荒ぶり様で英語混じりにナデシコの提案に乗る。

 錫音の弾丸とギターを通したナデシコの魔法が重なりあうサウンドで巨大アリメギドが近付く隙を与えない。

 激しく銃奏モードの錫音を乱射するスラッシュのシルエットは非対称となっている。

 左肩から腕にかけてのみ変化しており、その左腕部分は錫音に装填されたブレーメンのロックバンドの力を現出しているのだ。

 左肩のスピーカー【ブレーメンボールド】の機能により音を広範囲拡散、または任意方向・物体に対し指向性のリリースをが取れる。

 そして腕から二の腕にかけてブレーメンの動物と各々が担当する楽器を模した装甲【ギグアーム】が命懸けの演奏を奏で変身者の戦闘能力、戦意を上昇・高揚させる。

 恐らく彼の急激なキャラ変…もとい口調の変化はそれが原因である。そもそもの所、このワンダーライドブックの朗読文には以下のように記されているのだ。

 

 ──お菓子の家にて動物たちは、おかしなメロディで熱狂する──

 

 と…。何より、ヘンゼルナッツとグレーテルにもそちらに言及したような文が記されている。

 

 ──迷い込んだその先で聞こえたメロディは、愉快な動物たちへの物語へと導いた──

 

 これらの記述からスラッシュヘンゼルブレーメンと化した影響故、セドリックの急激な変化も致し方無い物と言えなくも無い。

 

 「Go without hesitation!此処は任せろ、貴様は首魁を討て! Hurry up!」

 

 スラッシュがセイバーを促す。地上がメギドに埋め尽くされている以上、空を進む事が出来るセイバーがこれ以上無い適任者だからだ。

 

 「分かりました!生徒達を頼みます!」

 

 「Off course、此方にはいざと言う時の肉盾がある。貴様の方こそ、油断するなよ!」

 

 「肉盾ってのはオレの事かよ!もう少しなんか…こう扱いあんだろ!!」

 

 戦力的に役に立たないエスパーダを顎で指しながらスラッシュは任せろと謳う。

 セイバーはそれを確認しエスパーダの抗議を聞き流しながら、恐らく女王にあたるアリメギドが居るだろう居場所を前額部に追加された【ストームイーグルマスク】を用いて捉える。

 

 「あれか!?何か緑色のも居るみたいだけど……兎に角、倒さないと!」

 見付けたが早く、目にも止まらぬ速さで空を翔る。

 目標まで数メートルの所に差し掛かったセイバー、烈火をソードライバーに納刀しトリガーを二度引く。

 

 

『必殺読破!』

 

『ドラゴン!イーグル!二冊撃!ファ・ファ・ファイヤー!!』

 

 空中で姿勢を変え、目標に向かって蹴りを叩き込む形で突っ込む。

 

 「火龍蹴撃破!

 

 龍の炎と荒鷲の翼が巻き起こす竜巻を纏った飛び蹴りが女王目掛け突き刺さる。

 あまりの衝撃にハイウェイは大きく崩れ、分断される。

 寂れた鉄筋とアスファルトはものの見事に罅割れ、最早ハイウェイはその役目を果たす事は無い。

 赤き剣士が多くの黒蟻と共に落下していく。

 そして肝心の女王(推定)アリメギドはと言えば──

 

 「くっ…!手応えはあった筈なのに…!周りの兵隊を盾にしたのか!!?」

 

 荒野の大地に着地したセイバーが敵の方を見やる。

 ストームイーグルの力を受け強化された火龍蹴撃破──名称を新たに付けるならば火龍蹴撃破・嵐と言った所か──は確かに強力な一撃であった、しかし女王(推定)アリメギドもセイバーの危険性を理解してか慌てて周囲の巨大アリメギドを自らの上に団子の様に重ね難を逃れたのだ。

 そして、その団子状の盾によって身を護ったのは女王(推定)アリメギドだけでは無い。

 

 「シャァァアッ!!

 

 「っ…、さっき見えた緑のっ!?」

 

 既に事切れた巨大アリメギドを跳ね除ける様にしてセイバーへ飛び掛かる緑色の影、それは直翅目の特徴を持った魔人、飛蝗の様にも見える顔の顎下にこれ迄のメギド同様、人間の顔の一部を模した意匠が覗く。

 肩は直翅目の腹を模し、尻部位の様な所から爪が飛び出るデザインとなっている。腹も同様に腹を模した意匠となり、脇辺りより翅の様な装飾品を垂らし、胸部中央には物語を示すメギドのエンブレムが施されている。

 両腕からは直翅目特有の後ろ足を落とし込んだ形のブレードが生えている。

 そのブレードでセイバーを斬り付けようと強襲するが直前に気付いたセイバーがバーミリオンウイングにて翔び上がり、両脚の【ストームソルト】で迎撃し弾く。

 仕留め損ねた魔人は小さく舌打ちしながらもセイバーに向け自らの氏素性を明かす。

 

 「シャッシャッ!俺の名はキリギリスメギド!女王を護る騎士とでも言うべき存在よ!

 

 「成る程…騎士ね…ちょっとした嫌味だな(護衛か…兵隊の巨大アリより厄介そうだな、兎に角隙を見て女王の方を倒さないと!)」

 

 以前遭遇したメギド達と比べ、吟う様に喋るキリギリスメギドを間合いを計りながら会話を交えるセイバー、再び抜いた烈火を卸し手に構えながら機を窺う。

 

 「ククッ…こんな所で時間を喰っていて大丈夫なのか?

 

 「生憎…セドリックさんと…ついでにエレンの事も信じているんでね!あの二人は今の俺よりずっと強い!生徒達の事も守りきってくれるさ!」

 

 「ああ、それについては此方も予想外だった。俺に与えられた命の一つは魔女をワンダーワールドに閉じ込める事だったからな、まさか三人も剣士がついてくるとは思わなかったぞ?だが、俺が言っているのはそう言う事じゃ無い。今頃貴様らが拠点にしている街はどうなっているだろうなぁ?

 

 互いに動きを警戒する中で、キリギリスメギドが嘲笑う様に口火を切る、セイバーはそれに対しスラッシュとエスパーダが側に居る以上、魔女達は安全だと断言し一蹴に伏すが、螽斯の魔人は"ああ、此方はそう言う状況だったな"と言う口振りで嘲りながらしかしもう1つの与えられた目的を暗喩する物言いをする。

 

 「……どう言う意味だ?!」

 

 「気になるか?だがこれ以上は教える義理は無い!精々焦れるが良い!!」 

 

 中々に嫌らしい物言いをする魔人に内心、焦燥感を懐きながらも仲間を信じようと考えるセイバー、そんな彼の元へと一迅の風が新たなる影を運んで来る。

 

 「───ぉ!」

 

 始めは小さな声が…、

 

 「────殿ぉ!!」

 

 近付くに連れ、

 

 「─────真殿ぉ!!」

 

 段々と鮮明に、

 

 「──────斗真殿ぉ!!」

 

 その成形(なりかたち)を伴って、

 

 「斗真殿ぉぉぉぉぉおお!!」

 

 正体が明らかとなる。

 

 「何っ!?新手だと?!

 

 「何だ…?あれは…哉慥…少年!?」

 

 キリギリスメギド、セイバー双方共に声の主を探して視線を巡らせれば荒廃した空にはあまりに不釣合な存在が此方に向かって流れて来るのだ。

 それはキリギリスメギドと違い綺麗な翡翠の如き緑色をした軽装の仮面の剣士。

 

 風の剣士剣斬が、いつぞやの温室での事件の際に、使用していた凧を小器用に操る姿であった。

 凧はセイバー達が対峙する地点やや手前まで来ると、操具より剣斬が手を離し、重力に任せて落下、クルクルと回転し着地を成功させた。

 かなりの高さであったこの戦場を、ソードローブを纏っているとは言え、易々と着地し、あまつさえ平然としている剣斬はそのまま翠風を腰より抜き、魔人に最大限の剣気を飛ばしながらセイバーの隣に立つ。

 

 「ご無事でしたか斗真殿」

 

 「少年…どうして此処に?」

 

 「実は…刻風殿が拙者と劉玄殿に敵が現れた事を報せてくださったのです。そして街の外へと出て見れば…!なんと驚く事に巨大な蟲けらの大群が押し寄せて来るではありませぬか!?それを拙者と劉玄殿で討ち取っていたのですが、劉玄殿が拙者に斗真殿達の様子を見てくる様に申したのです。拙者、些か迷い申しましたが、劉玄殿を信じこの場に参った次第」

 

 セイバーからの質問に剣斬は軽く会釈気味に顔を動かしながら語り始める。

 

 「道中、何やら普段と様子の違うせどりっく殿とぎた~を手に激しく勇むナデシコ殿、えれん殿を盾にしながら矢を射るツバキ殿や式で撹乱するカエデ殿、何か出来る事は無いかと地に転がる礫を投げるあしゅれい殿やろぜった殿、らう"ぃ殿。てぃあら殿はらとぅ~ら殿と共に皆を鼓舞しておりました。るきふぇる殿は寛いでおりましたが……。拙者、最初は其方に助太刀しようかと思いましたがせどりっく殿が流暢な南蛮語……いえ英語でしたか?意味は良く分からなんだですが、雰囲気から斗真殿の方へ行けと仰っておりましたので馳せ参じた次第でござります」

 

 「な、成る程…経緯は理解したけど……陳さん一人にして本当に大丈夫だったの?」

 

 「拙者もそう思い申しましたが、劉玄殿は現役最古参にして籠城戦、防衛戦にかけては一騎当千の猛者なりますれば、巨体ばかりの有象無象には遅れは取りませぬ。本人が豪語した以上、未熟な拙者は従うまでです」

 

 と剣斬が語り終える。するとそれを黙って聴いていた魔人は肩を揺らして笑い出す。

 

 「ふっ…何をほざくかと思えば。いくら剣士と言えどあの数のアリメギド相手に一人で持ちこたえられる筈が無いだろう!?風の剣士、判断を見誤ったな!まぁ安心しろ。直ぐに貴様らも後を追わせてやるよ!!さぁ!奴らを蹂躙するのだアリメギド達!

 状況から自らの勝利を疑う事の無い魔人の嘲笑、しかしそれを聴いても剣斬は怒りに乱される事は無い。

 

 「ふむ?先程より気になってはいたのですが…達とは?この場には拙者と斗真殿、そして貴様と先の折から踞ったまま動かぬ巨大蟻が居るだけだぞ?」

 寧ろ冷静に魔人へ指摘を返す。

 

 「な…に…?ははっ、何を馬鹿な…!

 言われ、その発言を一蹴に伏しようとするも振り返り背後を見れば、剣斬が言う通り女王アリメギドは一切の動きを見せない…どころか、兵隊アリメギドを生み出す事すらしない。

 

 「何故だ?!本物の女王がやられたのかっ?!!

 

 「本物…?」

 

 キリギリスメギドが慄く、彼の言う本物の女王とは、マームケステル侵攻に駆り出た巨大アリメギドを率いていた女王アリメギドである。

 そしてキリギリスメギドが護衛していたのは影武者、女王が健在であれば影武者も胸の本の意匠を通じて兵隊アリメギドを増産する事が出来る、しかしその女王が討たれればそれも不可能。

 そもそも増産能力は本来"()()()()()()()()()()()()宿()()()()()()()()()()()()()"によって得られるモノだ、しかしそれを補う為に女王アリメギドには彼等を生み出した青年から大量の人間の魂を取り込んだブランクライドブックを糧として擬似的にその能力を再現した。

 では、その女王アリメギドを誰が討ち果たしたのかと言えば───

 

 

 

 

 

 

 

 ━マームケステル城壁前━

 

 「ふぅ~、ちょっと疲れたけど…まぁ一人でやるならこんなもんかね?斗真ちゃん達は大丈夫かねぇ。ま、哉慥を向かわせたし、セドリックの奴も居るし無事ではあるだろうね」

 

 戦闘によって砕け、競り上げた大地に腰掛け土豪剣激土を肩に担ぎ、空を仰ぎながら呟く陳劉玄。

 彼の背後には塵となって消えてゆく大量の巨大アリメギドの姿があった、無論その中にはキリギリスメギドが言う本物の女王アリメギドも含まれている。

 目下、この中年の悩みは仲間の安否よりも…激しく荒れた草原をどう片付けるかにあった。

 

 「あー……ティアラ王女辺りに頼むかなぁ。取り敢えずクロエちゃんに報告しないとなぁ」

 

 鉄壁の堅陣は無傷でマームケステルを守り通した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━ワンダーワールド━

 

 「ふむ…敵の慌てようを視るに、どうやらこれ以上蟻のめぎどが増える事は無いようです。劉玄殿が全て倒した様ですな」

 

 「そうか…流石は陳さん。と言う事はセドリックさん達の方も」

 

 「ニン!ご無事であるかと。しかし兵隊と女王が消えても影武者はまだ残っております。螽斯の方も何を仕出かすか分かりませぬぞ」

 

 敵の一挙手一投足に警戒しながら外の状況を推移する剣斬とセイバー。

 対し、キリギリスメギドは一頻り地団駄を踏み頭を抱えた後、後ろで沈黙する影武者女王アリメギドが消滅してゆく──実の所、あの時のセイバーの一撃は影武者にも致命打を与えていたのだ──を見て、次にセイバー達の方を見やる。

 

 果たして魔人が取った行動は──

 

 「クソがっ!やってやれるか!

 

 「なっ!?」

 

 「むむっ!?」

 

 逃亡であった。これにはセイバー、剣斬双方とも面を喰らう。

 物語カテゴリーでありながらバッタ目に見られる特徴である跳躍能力と飛行能力を生かしてどんどんと逃げてゆくキリギリスメギド、既にハイウェイに飛び上がり高架の上を跳躍を繰返しどんどんセイバー達から離れてゆく。

 

 「逃がすか!」

 バーミリオンウイングを開き、セイバーも高架に戻る。

 同時に空白となっているソードライバーのレフトシェルフにディアゴスピーディーワンダーライドブックを装填し烈火を引き抜く。

 

 

『発車爆走!』

 

 発車爆走のライドスペルと共にワンダーライドブックが鋼鉄の騎馬へと変形してゆく。

 召喚されたマシンディアゴスピーディー、セイバーは即座に跨がるとアクセルを全快にしてキリギリスメギドを追走する。

 

 「待てぇぇえ!!」

 

 「ちぃっ!追ってくるか、しつこい奴め…待てと言われて待つ馬鹿はいない!

 

 後ろから猛スピードで追い付いて来るセイバーの声に返しながら必死に逃げる魔人。しかし最早差は幾ばくも無い。

 

 「これで…!」

 

 

『必殺読破!!』

 

『ドラゴン!イーグル!二冊斬り!ファ・ファ・ファイヤー!!』

 

 残った僅かな距離をディアゴスピーディーから翔び飛行して肉薄するセイバーはそのまま必殺の一太刀を発動する。

 

  「火炎っ竜巻斬!!

 

 炎の竜巻を纏った剣を横薙ぎに振るう。普段の炎のみの斬撃よりも広い範囲の一閃にキリギリスメギドは躱す事が叶わない。

 

 「《font:262》くっ…クソォォオオ!!ギャァァァアアア!!?」

 

 断末魔が炎に呑み込まれ魔人は塵も残さず消滅する。

 そして原因となる魔人が全て倒れた事により、ワンダーワールドは元の世界に姿を戻してゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━マームケステル城壁前・平原━

 

 「おっ?どうやら無事倒したようだね」

 異界が消える様を外から見ていた劉玄が笑いながら言う。

 彼の目の前には異界に取り込まれていた剣士と魔女達が現れる。

 

 「よっ!おかえり。元気そうで何より……ん?どうした?」

 戻って来た者達へ労いの声を掛ける劉玄、しかしセドリックが沈んだ顔をしているのを見て訝しむ。

 

 「猛省、羞恥、黒歴史……この本は出来れば二度と使いたくない」

 

 「まぁまぁ…」

 

 「そのお陰で私たちも助かりましたし」

 

 落ち込む彼をリネットとロゼッタが必死に宥める。

 

 「あれは衝撃的だったぜ…」

 

 「マドワルド卿には悪いが私も暫く忘れられそうに無い」

 

 「恥ずかしいだなんてとんでもありません!とってもろっくでございました!」

 

 「お姉ちゃんそれは逆効果です…」

 

 「寧ろトドメを刺しちゃってるわねぇ」

 

 それを外目にラヴィ、アシュレイがヘンゼルブレーメン時の衝撃が脳裏に焼き付いて離れず、ナデシコは落ち込むセドリックへ追い討ちの様に興奮冷め止まぬまま褒め言葉を贈るが、それが余計に彼を塞ぎ込ませる。

 カエデとツバキはそんな彼女に片や呆れ、片や苦笑する。

 

 「まぁ…あれはしょうがない。オレからしても意外だった」

 

 「拙者、経緯はよく解らぬのですが…ナデシコ殿が喜んでいるのは喜ばしい事でござる!」

 

 「サイゾーくんて取りあえずウチらの言うこと全肯定するよね」

 

 「うん、何だか詐欺とかにも騙されそう」

 

 「そもそもあの小僧は既に多分に身内から騙されいるがな」

 変身を解除して大地に寝そべるエレンが主張するのに続き、哉慥がナデシコの発言に好色を示す。

 そんな哉慥を見てラトゥーラとティアラが、この男の子は純粋過ぎて果たして大丈夫なのかと不安に思い始める。

 そこへ哉慥がエレンや勇魚に遊ばれている事を知るルキフェルがボソッと溢す。

 

 其処へ斗真がディアゴスピーディーを回収しつつ近寄って来る。

 

 「あ…先生」

 

 「やぁ、みんな傷一つ無く無事で何よりだ。良かったよ」

 

 「"良かったよ。"じゃねぇよ!こっち見ろや!オレが無事じゃねぇ!」

 

 「ハイハイ、あんたは少し黙ってるし…っ!「ゲボァッ?!」……よし。じゃあティアラ、頑張るし」

 

 寝そべって動けないエレンにエルボーを噛ましてズリズリと引き摺って行くと、去り際ティアラに耳打ちしていく。

 

 「ラトゥーラ!?」

 

 「ティアラちゃん?どうしたんだい?」

 

 「あっ、えっと……先生!」

 

 「はい?!」

 

 「何か悩んでいるのなら教えてください!私達は先生より子供かもしれないけど……力になりたいんです!だから一人で抱え込まないで下さい!私達に出来る事は少ないかもしれないけれど、私にはそれしか思い浮かばなかったから……」

 段々と言葉尻がしどろもどろと化し尻すぼみになる。そんな彼女を見て斗真何だか少し可笑しくなって思わず噴き出してしまう。

 

 「っ…ぷっ、あはは!…はぁ…そうか俺はそんなに落ち込んで見えたんだね。ああ…君達にそんな心配をさせるなんて……俺は教師失格だなぁ」

 

 「そんな事ありません!」

 「そーだよ!せんせーは良くやってるぞ!」

 「お前は何様だ!……コホン。兎も角教官は決して教師失格などではありません」

 「みんなの言う通りです、先生。特別クラスはみんな先生の事を慕ってますよ」

 

 「先生はとてもろっくな生き様をしております!」

 「私も先生くんの事は妹達の次にサイゾウくんと同じくらい好きよ?」

 「私もです!それでその……もし良かったらお兄ちゃんって呼んでも良いでしょうか?」

 

 「サキュバスのお嬢はまだデレって無いけどな」

 「あんたはイチイチ茶々を入れない!ま、ウチも先生の事気に入ってるし。ここには居ないけどシャンペもメアも先生の事結構慕ってるし。多分何だかんだエミリア達も先生を憎からず思ってるじゃない?」

 

 「ワタシとしても数少ないオアシスが無くなるのは遠慮したい。アンジェリカは知らん」

 

 斗真の自嘲にリネットが声を荒げて反論したのを皮切りにラヴィ、アシュレイ、ロゼッタが次々と言葉を重ねる。

 更にはヤマト三姉妹が続き、痛みから復帰したエレンに再び鋭角突きを決めながらラトゥーラがユニットメンバーの分も代弁しつつIV KLOREの面々もきっと同じ気持ちになっているんじゃないかと語る。

 最後にルキフェルがこれからも部屋に入り浸る事を宣言しながら相方の気持ちは無視する。

 

 「言われちゃったねぇ斗真ちゃん。オジさんとしてもさ、悩むのは悪い事じゃ無いけど、誰かに話せたらきっと楽になると思うよ?あ、後ね、うちの御姫さんも斗真ちゃんの事何だかんだ気に入ってるからさ、これからも学院に残って仲良くしてやってよ」

 

 劉玄がニヤニヤ笑いながら斗真の肩を叩き、一転優しい顔で諭す様に語り、ついでとばかりにユエの事も話題に出す。

 

 「痛っっぅ…クソ、思い切りやりやがって……いいのが入っちまったじゃねえか……。ゲホッ…、あー、アレだ。お前が居ねぇと真面目ちゃんがうるさいからな。それと…ほらアレだよアレ、フィオナの奴から追われた時の隠れ家とか身代わりとかでもお前は重要なんだよ」

 

 エレンが再び痛みより復帰しながらどこか気恥ずかしいそうに頬を搔きながら彼なりの理由をアルマやフィオナを出汁に語る。

 

 「小娘共に同意するつもりはないが…小生としても手前を失うのは可惜(あたら)と感じている。と言うか手前が抜けると小娘達は色々危なっかしい事この上無い、何より黄雷なり翠風なり界時なり、月闇候補など問題児の割合が増える。そうなれば蛙鳴蝉噪、小生の平穏が遠退く」

 

 セドリックが気を持ち直して斗真に彼なりの発破を掛ける。

 

 「みんな……。ありがとうございます。そうだね、ティアラちゃんの言う通り、お言葉に甘えようかな?」

 

 「…じゃあ!」

 

 「でもまずは街に帰ろうか、色々あって今日は何だか何時もより疲れたし」

 

 「ま、小説家はワンダーコンボ使ったしな同系統の」

 

 「そうだねぇ、斗真ちゃんもお嬢ちゃん達も疲れただろうし、クロエちゃんへの報告もあるし帰ろ帰ろ」

 

 「はーい!」

 

 皆の言葉に心の蟠りがほんの少し解れた斗真、その目尻は僅かに光っている様に見えた。

 その斗真が疲れを口にしたので、エレンがドラゴンイーグルが原因だと補則する。

 そして怒涛の1日に皆疲労があるだろうと劉玄が締める。

 最後はラヴィの割りと元気な返事が木霊した。

 

 

 TO BE Continued

 





 リバイスってバイスタンプのゲノム云々の設定はアサルトリリィと相性良さそうだなぁとか思いました。
 まぁ設定とかストーリーとか始まったばかりだから…流石に直ぐに書く人は居ないでしょうが…誰か書いてくれないかなぁとか思ってます。前述の理由からラスバレプレイしてないのですがね!

 あ、某百合の間に──読んでます。面白いですね!

 ガーネットですがエスパーダの章からの出番ですので今暫くお待ち下さい。
 ではまた次回お会いしましょう。
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