MasqueradeRe:Lights ~この世界では本の力を持つ仮面の騎士がいる~ 作:ダグライダー
ヒシアケボノデカ過ぎ!?!
はい。回したら出ました。その勢いで書ききりましたダグライダーです。
今回はそろそろ作中のキャラにもそれなりの情報をと思い書いた回という次第でございます。
プロット切ってる途中、あ、これ長くなっちゃうわ。と思い別けました。
一応幾つかカットしたんですけどね
──聖剣とは、仮面の剣士とは何なのか……。何時かの戦いより日々が過ぎ私達は改めて、その疑問を懐く事となりました。
そして私達は先生と共に、その謎を調べる事となり…結果、イサナさん主導の元、数人が彼の主催した講習会…と言う名の暇潰しに付き合わされるのでした──
━フローラ女学院・薬学実技室━
今日も今日とて少女達は立派な魔女になる為に、己が必須と思う授業を選択し、学ぶ事で成長してゆく。
そんな少女達のその中で、一際班員の数が多い一角がある。
それは悪名名高き…とまでは言わないまでも、問題児の巣窟として遺憾ながら名を馳せる特別クラスに属する者達。
魔法の薬品を生成する授業に於いて集中力を擁さねばならない状況で、班員の1人、ロップイヤーの兎を思わせる金髪のツイテールの少女が思い出したかの様にいきなり言葉を洩らした。
「ケッキョクさ~、聖剣とか仮面の剣士ってなんなのさ?」
金髪の少女──ラヴィがそのツイテールと豊満な胸部を躍動させながら頭上のクエスチョンマークと共に首を傾げる。その両手に鮮やかな色の液体が入った薬瓶を持って。
「おいバカ集中しろ!?授業中なんだぞ!!」
そんな彼女の行動を目撃するや否や、机を挟んだ対面に立つ純紫のポニーテールを持つメンバー随一の身長の少女が手を伸ばそうとするも、一足遅く。
薬品は机に置かれたガラス薬器の中へと落ちて混ざり合い、急激にポコポコと音を立てて色を変色させたかと思えば、終いにはボンッ!と言う音と共に小さな爆発を起こした。
「そこの班~!散らかした分はしっかり片付けてくださーい!」
教師の対応も慣れたモノ、常々何かしら問題を起こしている班なので、最早対応も雑と紙一重である。
「あぁ…トーマ先生の授業分で補填出来てた点数が……」
「ぷ、プラスに考えよう!?爆発が小規模で良かったとか!壊れたのが実験器具で済んだとか!!」
「そ、そうですよね!?前だったらもっと爆発は大きかったですし、教室の窓なんかも割っちゃってましたし!その頃と比べたら大きな前進ですよね?!」
ストレス性頭痛に手を当てるロゼッタをティアラとリネットが頑張ってフォローする。正直、励ましになっていないが、ご愛嬌というものだ。
因みに同じ様な失敗をした経験はシュガーポケッツにもあるが器具破壊までは至らなかった。
ともあれ失敗した罪悪感があるのか、ラヴィが申し訳なさそうに合掌して謝罪を示す。
「ごめんってロゼちゃ~ん。でも気になってさぁ~」
「はぁ…。反省してるなら良いけど……、でもまた随分急ね」
「きゅーじゃないよ!この間のアリンコの時から、なんか気になってモヤモヤしてたんだい!」
「それって割りと最近なのでは?」
ロゼッタの言葉に反論した結果、リネットから指摘が飛んできた。
「まぁ、このバカの肩を持つ訳では無いが……私も気にはなっていたな」
「おぉ!アシュレイもそう思ってたのかー!って…誰がバカだーーー!!」
「落ち着いてラヴィ、でもそう言う事ならこの授業が終わったら、先生にみんなで訊いてみる?」
アシュレイの賛同を得られた事に喜び、しかしバカ呼ばわりにプンスカと腹を立てるラヴィと言う何時もの光景を、苦笑しつつも宥めながらティアラが班の皆に提案する。
「そうね、最近は魔獣だけでなく、あのメギドとか言う魔人とも遭遇する事が多くなったし、それ等に対する為にも……その対抗手段である仮面の剣士の事を訊いてみる価値はあるわね」
「私も、あの本…ワンダーライドブックには以前から興味があったので賛成です!」
ロゼッタの理性的かつ有利的な言い分の後に続くリネットの本能的かつ私欲的な理由での賛成に、皆が彼女らしいなと往々に反応する。
「ならば片付けを終えたら早速教官に訊きに行ってみるか」
何だかんだアシュレイも乗り気であった。
その後、授業で出した損失分の減点評価を貰った彼女達は、肩を項垂れつつも、剣士とは何かという目的に懸けて斗真が居るで在ろう職員寮へと足を運ぶのであった。
━職員寮・斗真の部屋━
「コール」
『フルハウス』
「フッ…勝った。ストレートフラッシュ」
本に囲まれた部屋にて、寝具の直ぐ近くに配された執務机の上に置かれた謎の箱、それと対面するように椅子に座り配られた札を見て自信満々に宣言するのは斗真が受持つ特別クラスの生徒、"Sadistic★Candy"のルキフェル。
彼女は相も変わらず勝手に部屋に入り浸っては謎のゲームに興じている。
今遊んでいるのはマジックカードゲームと言う物らしい、UNOから始まり、古今東西のカードゲームをクリアして現在はトランプのポーカー…それもテキサスホールデムをプレイしている。
「えぇと……エレン居ないよ?」
机を占拠され、やむ無くソファの方に腰掛けて筆を走らせる斗真が彼女へ互いの悪友が不在であると述べる。
「別にアイツが居るからワタシも入り浸る訳では無い。先生はワタシのゲームの邪魔はしないだろう?」
「まぁ…ルキフェルさんは俺の授業課題を毎回提出してくれるし……。でも他の先生の授業も出ようね?」
「フッ、前向きに検討しておいてやろう」
(あ、これは駄目だな)
口では検討すると宣うが、態度は一向に変わらないルキフェルに斗真は半ば諦観に耽る。
「で、何で自分の部屋か部室でやらないんだい?」
「最近はアンジェリカが授業を受けろと煩い。まぁアイツはどうとでもなるが…セドリックがいるからな、この間の事で弱味を握ったが、追い詰め過ぎるとワタシが危ない」
「へー、そうなんだ。(この子はどうにも謎が多いなぁ)」
イマイチ関係性が掴み切れないルキフェルとセドリックの関係に思考を耽けながら、この世界の本を片手にメモ帳へと筆を走らせていると上の扉がバタンと開く。
「せんせーいるー?」
「ラヴィさん!?せめてノックしましょう!!?」
現れたのは何時もの5人組。こちらも相も変わらずラヴィが先頭に立ち、何時ものようにノータイム入室、それを窘める残り4人の内の誰かという図式が出来上がっている。
今回はリネットだった様だ。さておき、ラヴィは勝手知ったる担当教諭の部屋、梯子を滑るように降りて斗真の元へとやって来た。
「ラヴィちゃん、今日はどうしたの?」
最早斗真も慣れたモノで注意換気よりも彼女が此処に来た要件を真っ先に訊ねる。
「先生たちが変身してる仮面の剣士あるじゃん、あれとか聖剣ってなんなの?」
「え?いやごめん、ちょっと意味が判らないな…」
前後の脈絡が無いノータイム質問に困惑を隠せない斗真。頭の上でクエスチョンマークが輪舞していて返答に詰まる。
「このスカポンタン!お前はもうちょっと脈絡なり情緒なり気にしろ!」
ラヴィを追い、テラスから梯子を使わず直接飛び降りたアシュレイがラヴィの後頭部に手刀を叩き付ける。
「ぃったぁあっ!何さ!回りくどい話を長々するより早くて良いじゃんか!」
「だとしても社交辞令というモノがあるだろう!」
フィジカルコンビの何時もの喧嘩を呆れながら素通りして、ロゼッタが前に出て代わりに質問を投げ掛ける。
「ごめんなさい先生、ラヴィがいきなり。あの娘が言いたかったのはお伽噺の仮面の剣士…先生達が使っている聖剣の起源と言うか正体が何なのかと言う事でして」
「それは…成る程、でも君達が揃って来たって事は、全員が同じ疑問を懐いてるって事かな?」
「ええ、はい。正直に言えば私も…他のみんなも気になっています、聖剣の事も、先生や他の方が変身した仮面の剣士の事も、あのメギドと言う魔人の事も。なので先生さえ構わなければ、教えて頂けたら幸いです」
「うん、ありがとうロゼッタさん。ただ……残念だけど俺も聖剣や剣士、メギドの事については説明出来る程詳しく無いんだ」
「そうなんですか!?」
「そっかー、先生も知んないのかー」
「どうする?」
「あてが外れてしまいましたね」
「先生が無理となると後は……アルマさん、エレンさん、サイゾウくん、ラウシェンさん、セドリックさんだけど…この中で今居場所がハッキリしてるのはサイゾウくんだけだね、そっちに訊いてみる?」
「なら俺も付き合うよ、聖剣や剣士については俺も前から詳しく聞きたかったしね」
言って、梯子を登り始めたラヴィのスカートから視線をそらしつつ彼女等に同行を申し出た。出たのだが、そこで机でゲームに興じていたルキフェルから声が掛かる。
「そんな面倒な手間をかけずとも、呼べば来るだろう?」
「「「「「「あっ…!」」」」」」
そう哉慥は呼べば来る。何時、何処に、戦闘中以外であれば、どの様な場合と場所であっても学院の敷地内であれば必ず現れる。理屈など無い、何故ならばそれが忍者だからだ。
「よし!なら呼んじゃえ!すぅ……テンゾーくーーーん!!」
「哉慥でござるよらう"ぃ殿ぉ~!?」
足で器用に梯子に掴まり哉慥を呼ぶラヴィ、相変わらず彼の名前を間違える。
そしてそれを当人が現れ訂正する。お約束である。
「ふん、今日は床からか。大概天井からのパターンだったが、流石にバリエーションを増やしたか」
そんな事を頬杖付きながら誰にとも無く説明するルキフェル。
それから───
「──なる程、聖剣と仮面の剣士、ついでにめぎどについて知りたいと……。ですがお恥ずかしながら拙者もあまり詳細は存じませぬ。先代の方々よりの使命であるだとか、世界を守る為…と言う事くらいしか……、ですが!劉玄殿かせどりっく殿辺りに訊けば解るかと!」
「そうか、なら訊いてみよう。あ、でも彼女達が居場所が判らないと言っていたから…どうするか………」
「何も悩む必要は無いだろう。サイゾウと同じで呼べば良い、まぁコイツと違い道具は要るがな。ちょうど二人居るんだそれぞれに連絡を取れば良いだろう」
又してもルキフェルが口を挟む、その物言いの意図に一瞬固まって何の事だか考える2人。ティアラ達は何の事だか全く分からないのか、揃って首を傾げている。
「ん?おい、まさか分からないのか?あるだろうガトライクフォンとか言うのが。先生のは少し違うんだったか?」
「あ、あー。そう言えば通話して居場所なり予定なりを訊けば良いのか!」
理解するが早く、スマホを取り出し登録された一覧から陳劉玄の名をタップする斗真。
対し哉慥はガトライクフォンを両手に持ちながらアワアワしている。
「どうしたのサイゾウくん、連絡しないのかしら?」
「ろ、ろぜった殿……その、そのですね?拙者、カラクリの類いが苦手でして……その、お恥ずかしながら…斗真殿より長くこの地に居ながら…この"がとらいくふぉん"なるカラクリ文を使いこなせないのでござりますぅ~!」
ロゼッタに問われ、最初はいそいそと、最後には涙眼になって縋りつく少年忍者。
その中性的な容姿に涙眼のあざとい破壊力に
「そ、そうなのね。でも私もそれの使い方は解らないから……」
「ええい!まどろっこしい!手間の掛かる!貸せ!」
しかし生憎と、この手の最新鋭科学製品に縁の無いこの世界の住人であるロゼッタにはガトライクフォンの操作など解るはずも無く、それは他の班員も同じでロゼッタの助力を乞う視線に全員が首を横に振る。
そんな彼女達と哉慥のグダグダに見かねたルキフェルが、彼の手からガトライクフォンを奪い取る。
「こんなもんは要はマジックアイテムを扱うのと変わらん!先生が巨漢のオッサンに連絡を取るなら、こっちはセドリックの奴だ」
慣れている様で慣れていない絶妙な手付きで電話帳からセドリックの名を見付けて電話を掛けるルキフェル、後ろで涙眼の哉慥が感動している。
結果──
「駄目だったでござる」
「こっちも…。陳さん今リュウトだって」
連絡を取った2人は現在学院に居らず、劉玄はリュウトに。
セドリックは地球で言う所の南アメリカ大陸にあたる場に外征している。
アテが外れ途方に暮れる斗真と右往左往する哉慥、其所へ新たに扉が開かれ軟派な声の闖入者が軽快な挨拶と共に現れる。
「ちゃす!ちっす!おいーっす!みんな大好き刻風さんちの勇魚くんの登場ッスよ~♪」
「刻風…!?」
「刻風殿!!」
「ダレだっけ?」
「む…確か…トキカゼ殿だったか?」
「はい、イサナさんですね」
「ここ最近学院内で見かける事が多くなってたわよね」
「普段何してるんだろう?」
「ハン、ちょうど良かったじゃないか」
現れた勇魚に斗真と哉慥が驚く傍ら、生徒達は各々にリアクションを取る。
「どもッス、斗真どんに哉ちゃん!勇魚ッスよウサギちゃん。ッスッス、でも下の名前で呼んでくれて良いッスよレイちゃん。んでリッちゃんも相変わらず素晴らしいメガロポリスでスね!いや~学院の中楽しいッスよロゼちゃん。んでティアちゃん、普段は暇してまス♪テヘペロ。んでんでルキちゃ~ん、ちょうど良いって何なんッスかぁ~?」
捲し立てるかの如く各人に返事を返す勇魚。
「実は──」
これまでの経緯を少女達を交えて説明する斗真。会話の最中もニコニコ顔で相槌を打ちながら聞く勇魚、ちょくちょくセクハラを試みるも哉慥の妨害に逢い、段々と会話そっちのけになっていく。
「と言う事で、刻風…頼めるかい?って聞いてる?」
「んふ、大丈夫聞こえってまス、オケオケ。勇魚センセ~にお任せあれッス♪でもそう言う事なら広い場所が良いッスね、後、もうちょい人数ふやしましょ?」
言うや否や勇魚は懐より自分のガトライクフォンを取り出し電話を掛け始めた。
━フローラ女学院・漫画研究部部室━
「お前さぁ、毎度毎度〆切ギリギリまで原稿進まねぇのなんとかなんねぇのかよ?」
漫研の部室でカリカリカリと足高な音を立てる2人の人物、その内の1人…男性、頭頂部だけが茶黒く染まった金髪に褐色肌、ハイライトの死んだ瞳を持つ雷の剣士エレンがぶつくさと呟く。
「うっさいし!だから手伝ってってたのんだんじゃん!」
もう1人、此方は綺麗な絹の様な金髪に、健康的な褐色肌の活発な印象のある少女ラトゥーラ。エレンの護衛対象である。
彼と彼女は今現在、ラトゥーラの趣味の1つである漫画活動(同人)の〆切に追われている。
「で、チビっこコンビがグロッキーしてんのは連日の作業で燃え尽きた…つーこったろ。ったく本当によぉ、毎回最後にオレに泣きつくなら最初から呼べよ!」
「…だってなんか負けた気になるじゃん、それに恥ずかしいし…」
「あん?何だって?!」
「何でもないしっ!!」
当人同士がどうかは別として、傍目から見たら兄妹の様に睦まじい会話を繰り広げるフィレンツァの2人、ラトゥーラから最後の原稿を受け取り背景を描き上げ墨入れを終えたエレン。
《Gatlin♪Gatlin♪》
ちょうどその時、エレンのガトライクフォンが鳴る。
画面の通知は"ペテン師"と出ている。
「あ゛ぁ?野郎…なんちゅう間の悪さ……いや、アイツのこったからむしろ確信犯か?」
正直、出たくは無い。しかしこの場にはラトゥーラやノックダウン中とは言え、シャンペとメアリーベリーも居る。
護衛対象の個人的趣味を手伝って泥のように眠る小さな少女達を起こさぬ様にと、とても遺憾ではあるが通話のアイコンをタップする。
「テメェ、こなクソ。何の用だ?空気読めボケ」
『あらら?機嫌悪い?でも別に狙ってやった訳じゃないんで怒っちゃや~よッス。で、用件なんでスけど、簡単に言うと斗真どんと剣士に関わった生徒さんに聖剣と剣士と、ついでにメギドの説明を講義するんッスけど……ララちゃん一緒に居ます?』
「ほー、言い出しっぺは金髪ウサギか。はぁ…メンドクセ……」
言いながらラトゥーラに視線を寄越せばちょうど視線がかち合う。
「?…なんだし?」
「お前さ、オレが変身した姿の事を知りたがってたよな?」
「うん、まだ話して貰ってないけど…話す気になったワケ?」
「オレが話すんじゃなくオレらの関係者が講義つー形で説明会みたいなモンをこれから開くってよ、んでお前が居るか訊かれたんだが……参加するか?」
「はっ?!マジで!行くし!作業も終わったし、ちょうど良いじゃん!もちあんたも行くんでしょ?」
「出来ればブッチしたいが、お前だけ行かせるのも心配だしな…(小説家と忍者だけじゃ丸め込まれそうだしな)」
「あはっ♪何だかんだちゃんと仕事してんじゃん。メア達はどうする?」
「ほっとけ、只でさえチビ1号は徹夜で発明してたのお前に引き込まれてるわ、チビ2号はキャバ部帰りを引っ張ってこられて修羅場付き合わされたんだ寝かせといてやれよ」
「うん、それは……ゴメン。ウチもちょっとテンパってた」
申し訳なさそうに謝罪を述べながら、額の冷却シートと執筆作業用眼鏡を外して出立の準備に取り掛かる。
すると、物音に気付いたのかシャンペが眼を擦りながら起き上がる。
「…んにゅ、ラトゥーラ…エレエレ…どこか行くの?」
つられてメアリーベリーも眼を醒ます。
「…ぅぁ…『…トイレか…( ・д⊂ヽ゛?』」
「ちょっとね、呼ばれたから」
「エレエレ言うな。あ、そう言うけどやぁ…けどなぁ」
2人してチビっコンビ(エレン命名)に他愛ない返事を返す、その中でエレンが思い出した様な声を出して、しかし言うべきかと悩み始める。
「ちょっと、どうしたし?行くよ?」
「ちょい待ち。おいチビ1ご……あー、メアリーベリー、お前さ、見たよな?小説家とか真面目ちゃんとかオッサンが……変わる所」
ラトゥーラに呼掛けに応じず、メアリーベリーに近付き、なるべくシャンペには聴こえない様に耳打ちするするエレン。
言われたメアリーベリーは眠気に満ちた頭で薄らぼんやり思考し記憶を振り返る。
「むにゃ…先生たちの……あっ!『それってガラクタ市とか森の時に先生達が変身した仮面の剣士の事か!!(/ロ゜)/』」
「あ、おい!声が大きい!?」
憐れ眠気故の迂闊さを甘く見たエレン、メアリーベリーの…と言うよりベリーボードの声の大きさは、折角声を潜めての会話を水泡に帰した。
「へんしん?先生達が?何のことなの?」
「あー……終わった。いやもう良いか、今更一人が二人、二人が三人になったとこで面倒は変わんねぇか」
シャンペの言及に天を仰ぐエレン、傍のメアリーベリーのボードにも『あちゃー(ノД`)』と表示され、彼女が完全に覚醒し己の失態を察した事が判る。
「あ…あ…の…ごめん…なさい…『ワザとじゃないんだよぉ…(;ω;`)』」
当人は今にも泣きそうになり、ボードは既に泣いている。
「ちょっと!メアを虐めて泣かせんなし!」
「虐めてねぇよ!それと怒っちゃいねぇ。兎に角お前ら、全員纏めて付いて来い!」
説明が面倒になって諸々を勇魚の講義に丸投げする事にしたエレンはシュガーポケッツ全員を連れて行く方へシフトした。有無を言わさずシャンペとメアリーベリーを両腕に抱え漫研を出る。
この後目茶苦茶腕が痺れた。
━フローラ女学院・空き教室━
学院の隅にあると思われる空き教室、出入口の扉に貸し切り中・関係者以外立入禁止と思いの外達筆に書かれた看板をぶら下げている。
惜しむらくはそれがまんま日本語である事だろうか……言語体型が近いヤマトの民以外には全く意味を為さない文句である。
そんな教室の中では──
「てってって~♪てってって~♪てれれてってっ♪さぁ始まりました!なぜなにロゴスー!講師のいさなお兄さんでーすよろよろ~♪」
「アシスタント兼マスコットのアンジェリカだよ~♪………って誰がマスコットじゃこんちくしょー!!?!」
セルフBGMと共に子供向け教育番組みたいな格好で教壇に立つ勇魚と、その後に続いてノリノリで名乗った後に着せられた顔出し型のキグルミパンダヘッドを取り外して地面に叩き付けるアンジェリカ。
「あれあれ~?リカちゃんてばどうしたのかなぁ?よい子みんなが困惑しているよ~」
子供に言い聞かせる様にも聴こえる、その手の番組特有の喋り口調でアンジェリカを半ば
因みに"よい子のみんな"とはこの場に集った斗真、アルマ、エレン、哉慥、ティアラ、ロゼッタ、ラヴィ、アシュレイ、リネット、ルキフェル、この花は乙女、シュガーポケッツの面々である。
「な・ん・で!私がマスコットとアシスタントをやらされんのよ!?おかしいだろうが!!」
「えー、だって集まった面子で魔女側から
襟首をアンジェリカに掴まれて尚、涼しそうな顔でヤハハと笑う勇魚。
「ったく…部屋でゆっくりしてたら急に入って来て、なぁにぃが"お手伝いよろしくッス~"よ!こっちが詳しく問い詰める前に無理やり連れて来やがって!」
「リカちゃん口悪いッスよ~」
「うっさい!黙れ!つか避けんな!」
「ヤハハ~い♪」
教壇で良い歳した青年と良い歳になった少女の漫才染みたスパーリングが繰り広げられる中、生徒として集まった側は呆然となる。
詳しい事情を知らないシャンペが取り敢えず斗真へ理由を訊ねる。
「先生ぇ、一体何がはじまるの?それと頬っぺた赤いけどどうしたの?」
そう、彼女の言う通り斗真の頬は赤く腫れている。厳密には左頬だけだが、問われた斗真は遠い目をしながら経緯を語りだした。
「ああ、これ。うん……此処に来る途中でちょっとね、あそこでアンジェリカさんで遊んでる人……刻風って言うんだけどね?彼が"折角だからこの際呼べる関係者全部呼んじゃいましょうよ"って言ってさ、IV KLOREのみんなの所に行ったんだよ」
語りながらその時の事を思い出し目から光が消える斗真。
彼の語る経緯の要点を簡単に纏めるならばこうだ。
1.IV KLORE…と言うより、サルサをこの講習会に参加させようと勇魚が提案する。
2.IV KLOREに偶然にも鉢合わせる。
3.勇魚が「手間省けたッスね~」と斗真の背中を押す。
4.漫画みたいなラッキースケベイベントが発生する(対象はエミリア)
5.男嫌いのエミリアに赤面涙目で思いっきり平手打ちを喰らう。
「──とまぁ、そう言う訳なんだ。で、エレンは何で唸ってるのかな?」
事情を簡単に説明し終えた斗真が後ろの席で先程からずっと唸っているエレンについて訊ねる。
それに答えたのは共に来たラトゥーラであった。
「あー、気にしないで。虚弱のクセに無理した結果だから」
そんなこんなでグダグダしながら勇魚プレゼンツの講義が始まろうとしていた。
TO BE Continued
はい、敢えて講義が始まる直前くらいでカットしました。
今回のTipはヘルマン実は勇魚も苦手、煙叡剣狼煙の持ち主は2006年頃の京都出身。の2本です。
はい、前回疲れてて入れ忘れてた分です。
10月入ったらワクチン打ちに行かなきゃ……、ちょっと怖いなぁ。
ではまた次回でお会いしましょう。