MasqueradeRe:Lights ~この世界では本の力を持つ仮面の騎士がいる~ 作:ダグライダー
語られる歴史前編的な回ですん。
いやぁ勇魚はホント書き易い、でも次の章から帰っちゃうんですよね……。次の出番は何時になるか…。
スパロボ30予約して来ました、序でに余裕があったらBLUE REFLECTION帯も買っちゃうかなぁ。
と言うか詩ちゃん思いの外人気だったなぁ(山田の方もまぁ人気でしたね)、私も嫌いじゃないですけど…。
宇宙船最新号読んで来ました、ゴリラとジャッカルゲノムあんな感じになるんですねぇ、バイス。
━フローラ女学院・空き教室━
「はい!改めて、いさなお兄さんッスよー!よろしくぅ!」
「マジか…おま、マジでそのノリで続ける気か!?正気か!!?」
アンジェリカの拳のラッシュをのらりくらり躱しながら笑う勇魚に思わずエレンがツッコむ。
「マジッス!ぬぬぬマジッス、マージ・マジ・マジーロッス!マジかマジでマジだショーターイッス!」
「ヤメロォ!色々アウトだからヤメロォ!!」
「二人とも一体何を言ってるんだ……」
「申し訳ありませぬ、拙者にも何が何だか…」
「取り敢えずトキカゼがふざけているのだけは分かります」
エレンと勇魚の会話の応酬に疑問を浮かべながら呆れる斗真、哉慥、アルマ。
そんな一向に進まない中で教室に新たな人影が現れる。
「おや、どうやら盛り上がっていますね」
「わふ!楽しそう!」
あるふぁとサルサ、IV KLOREの亜人2人である。
「サルサにあるふぁ?エミリアはどうしたんだ?」
同郷のアシュレイが2人に訊ねる。
「お嬢様はお身体を殿方に思いっきり触れられたショックで寝込んでしまわれましたので、丁度良い…失礼、陳情の抗議を申すついでに講義に私共も参加しようかと馳せ参じた次第です」
明確に視線を斗真に注ぐあるふぁ。ポーカーフェイスが逆に彼の良心を滅多刺しにする。
「う゛っ!!ごめん…ごめんよ…わざとじゃないんだ……」
「まぁ建前なんですが」
ダメージに沈む担任を眺めながら掌で口元を隠して本音を溢すあるふぁ。
彼女にとってはエミリアの次に楽しめるオモチャと言う認識となったのかもしれない。
「はいは~い、新しく来たお友達も席に着いて下さいッス~」
「はぁ…はぁ…こん…ちく…しょう…!何時か、憶えてなさいよ!」
後ろ手にバテバテ疲労困憊のアンジェリカを置いて、あるふぁとサルサの背中を押して着席を促す勇魚。
「んじゃ、第一回?なぜなにロゴス!教えていさなお兄さんを始めまース!今回の議題はーーーーーー?」
自らセルフドラムロールを立てながら黒板の上下を入れ替える。其所に書かれていた言葉、先程勇魚自らが言い宣ったなぜなにロゴス云たらの下に聖剣と仮面の剣士、ワンダーライドブック、メギド魔人について等と色付きチョークで華々しく書かれた文字が踊っている。
「ズバリ!仮面の剣士諸々について!質問の発端はウサギちゃんことラビラビ!」
「はーい!てか質もーん!」
「はい、ラヴィくん!何かね?」
「なんでパンダ?」
「良い質問ッス!実は当初はユエっちにも参加を打診してたんッスよ、けど参加者を聞いたら断られたッス~シクシク悲しいッス」
((((絶対思ってない…))))
態とらしく"泣き"の仕草をする勇魚、ラヴィは理由に納得したのか挙手を下げ着席する。
その隣ではティアラがユエの名に微細な反応を示して僅かに顔を伏せる。
「ま、参加しないもんはしょうがないッスけどね」
教壇からそういった少女達の僅な反応を目敏く観察しながら、ケロッと嘘泣きを止める勇魚。
「茶番の方も止めろよ」
「やだなぁナルミッチ、遊び心はあってナンボッスよ?語り手はともかく内容はクッソッお堅い真面目な話になっちゃうんだからせめて外郭だけでも楽しく飾りましょうよ」
「自覚ある分クソタチ悪いわお前」
エレンの吐く悪態も何のそのニヘラと暖簾に腕押しの態度の勇魚。
それじゃあと柏手を打ち、改めて皆の注目を浴びる。
「さて、どっから話したもんッスかねぇ、取り敢えずみんな自分の故郷の国に伝わってる仮面の剣士の伝承は知ってるんスよね?」
少女達が知る一般的な仮面の剣士の伝承…要するにお伽噺であるが、その知識の有無を問う。
「ええ、それぞれの国によって差異はありますが…魔女フローラと共に聖なる力宿した剣を振るう仮面の剣士、ないしは騎士が魔獣を調伏したと伝わっています」
その問いに優等生全とした解を返すロゼッタ。彼女のテンプレートとも思える答えに満足しながら勇魚は話を続ける。
「ッスねぇ、お国によって登場する剣士が違いまスけど概ね魔獣を祓っただの邪悪な魔人を討ち取っただの言われてるんッスね~。そこで斗真どんに問題でース!此処、ウェールランドに伝わる剣士伝説はどういったモノでしょーか!?」
「え?!あー…確か赤い仮面の剣士がフローラを護り、聖なる焔を以て悪しき魔を焼き払った…要約するとそんな話だったかな?」
「正解!赤い仮面の剣士…まぁ言うまでも無く炎の剣士セイバーの事ッスね。で焔を以ての方は火炎剣烈火の様を著してまスん。でもでも?あれれ~おっかしいなぁ~?魔女フローラ縁の地、来訪者招来の始まりの地なのにどうして炎の剣士しか登場しない話しか伝わって無いんだろ~?」
「!…言われてみれば確かに…」
「そう言われてしまえばおかしな話ね、国を跨げば剣士の所はガラリと変わる…何か理由があるのかしら?」
「ひ、広場の像もフローラと隣あってる剣士の像はひとつだった…気がする…『なんでだ?Σ(゚◇゚;)』」
ウェールランドを生地とする少女達が今更ながらに疑問を懐く。
(おんやぁ?ティアちゃんは知らないんッスねぇ?エリちんも過保護だなぁ。それはそれとしてティアちゃんが王族なの知ってるのはこの中だと侍従してたロゼちゃんと、ロゴマスの付き人してた自分くらいッスかね?ナルミッチはどうせ儀典とかサボって出なかったでしょうし)
思考を回しながら次の質疑の為の解答を述べる。
「まぁその辺は国の威信なり、組織の体面なり諸々の事情から秘密になってる所もあるんですが…(ドルトガルドとか)」
「そうなのか……」
「そうなんッス。で、この世界魔獣の脅威がメッチャパナイんでまぁ物理的な戦争なんてやってる暇無いんッスよね、やっちゃうと負の感情から魔獣生まれちゃうし」
黒板に武器を持った棒人間を描き、その頭上に紫色のチョークで負の感情の円を描くなど図解を伴って解説してゆく。
「見た目ゆるキャラなだけの超凶暴生物だからな」
「対抗手段が限られているのも妖の様で厄介この上ないでござる」
「来訪者や魔女フローラが台頭する以前は酷かったとも聞きます」
其々の剣士が聞き齧った、或いは本で目にした歴史を途々と語る。
「ととっ、話ズレたッスね。剣士が国によって異なる理由なんでスが、これ実は最初の伝記だとちゃんと複数記されてんッス」
「そ、その話詳しく教えて下さいっ!!」
話を本来の軌道に戻した勇魚、彼が吐いた言葉にリネットが興奮して食い付く。
「おぉう?!リッちゃん食い付き良いッスねぇ」
流石の勇魚も少したじろいでいる。
「す…すみません…」
「ではその話に入る前に問題でス。デデン♪聖剣の数はいくつでしょうか?!リカちゃん時計よろしこ」
「あー、はいはい」
疲労から復帰したアンジェリカが巨大なアナログタイマーを取り出す。
「制限時間内に解答ヨロシクゥ!な訳でラビラビ行ってってみよう!」
「オーキードーキー!先生、アルマっち、エレエレ、おっちゃん、サンセー、チケゾーくんの六人!」
「哉慥でござるよ!?」
「ぷひゃ!チケゾー…くく…チケゾーってマジかヤハハハ!この世界競馬無いっしょ、なのにヤハハハ!」
ラヴィの解答がツボに入ったのか大笑いする勇魚、横でアンジェリカが呆れている。
「笑い過ぎでしょ、取りあえずラヴィは不正解だから」
「えっ!?あれー?だって六人しょっ?」
「ラヴィさんの言う通りです!トキカゼ、あまりおふざけが過ぎる様だと僕も怒りますよ!?」
「解ったの!イサナお兄さまも入れて七人なの!」
不正解に納得がいかないラヴィが何度も首を傾げ、アルマが同調を示す中、前の座席のシャンペが解答を重ねる。
「お兄さま……良い響きッスね、お兄さまかぁ…カエちゃんはお兄ちゃん呼びしてくんないからなぁ、もう正解にしちゃおうかなぁ」
「アホかっ!ちゃんと講義しなさいよ!!」
有頂天な褐色軟派野郎の後頭部に、何処から取り出したのかハリセンを振り下ろすのはアンジェリカ。尚パンダの頭はとっくの昔に外している。
「ありがとうございます!?!!」
頭頂部より白煙を立てながら感謝の言葉を口にして教卓にヘタリ込む勇魚、中々に図太い男である。
「やぁ痛かった痛かった……いやしかし、そっか、アルマっちは知らなかったんでしたっけ?哉ちゃんもかな?ナルミッチはおおよそ察してるでしょうし、斗真どんは多分最初っから自分が聖剣の剣士だと思われてたみたいなんで、取りあえずお見せしましょうや!いざ、刮目せよ!これが自分の聖剣でござんス~!」
虚空に伸ばされた手はまるで海から物を引き上げる様に腕から先が消え、かと思えば次の瞬間には布でぐるぐる巻きにされた
「アレは確か…以前、見た記憶がありますね」
見覚えがある物体の登場に淡々と述べるあるふぁ、対して他の面々は反応に程度は在れど皆一様に驚いた顔をしている。
「なっ?!それは何ですか!?トキカゼ!!」
「布に巻かれて全容は判らないけど…アレが刻風の聖剣……」
「刻風殿…、組織付きの剣士となったのは聞き及んでおりましたが、新たな聖剣の剣士であったとは……!?」
「アレが野郎がやたら気配ゼロで他人様の後ろに回り込める理由って訳か……」
剣士4人が特に興味を持って驚く中、ラヴィが溢した言葉がある種の核心を突く。
「おお!おっちゃんの聖剣の出し方に似てる!それってやっぱ本の能力も込みなヤツだったりすんの!?」
「「「「!!?」」」」
(言われてみりゃそうだ……オッサンが地面に普段激土を収納してんのと同じ原理じゃねぇか)
(しかし一体何処に?嘗て刻風殿が拙者の翠風を用いていた時は風を巻き起こし其所に翠風を収納していたと聞き及んでおりましたが……先程の行動はどちらかと言えば海面に手を入れる感覚に近い…)
雷と風の剣士が考察に明け暮れる一方で炎と水の剣士は生徒達と共に感想を述べる。
「凄いな、陳さん以外にも自然?の中に収納出来る人が居たのか…」
「僕はあんな聖剣の存在は知りませんでした……父からも教えて貰ってはいません」
「イーリアス様でも知らないなんて、イサナお兄さまって実はスゴい人なの?」
「イーリアス卿やその御父上である公爵殿が知らないとは…つまりそれだけの聖剣と言う事か」
「や、でもアルマっちってどっか抜けてる感じするし知らなくてもしょーがない感じしない?」
「流石にそれはアルマさんに失礼では?」
ガヤガヤと波立つ教室、その喧騒に勇魚が満足そうに笑いながらではでは~と、布をほどいてゆく。
現れたのは刀身が細長く刃は金色、先端が鏃の様な両刃の黒い細剣、差し色に水色と桃色2色、シェルフが存在する鍔の部分にやや特徴があるものの、スタンダードなタイプに見える。
聖剣を掲げ、芝居掛かった口調で勇魚は告げる。
「改めてジャジャ~ん!これが自分の聖剣!時国剣界時ッス~!んでまぁ、アルマっちやアルマっちのお父さん…ミハイルパイセンも知らないのは無理無いッス、この聖剣は秘中の秘で、知ってんのは三世とこの一族とロゴマス付きの近衛剣士とジッさま方、後はオッちゃん含めた古株の剣士の極一部の一握り。と言う訳で所在がハッキリしてる7本、諸事情で行方不明というのは名の紛失が3本、封印が1本ってのが現状の聖剣の数ッスね」
曲芸の様に界時を玩びながら聖剣の絵を黒板に描き記していく。
((((((((う、上手い…!))))))))
((今度漫画のアシスタントに誘おう))
「すごーい!イサナお兄さまとっても絵が上手なの」
「器用とは聞いていたけど、写真と比べても遜色無いわねぇ」
約2名、職業病染みた事を思っているが概ね皆驚いている。
「わふ、せんせーでしょ、アルマくんでしょ、おじさんでしょ、サイゾーくんでしょ、さんせーにイサ兄と…後は……ぼく達のドルトガルドに伝わるヤツで、えっとえっと…」
「失くしたってのが3本でふーいんが1本だから、よし!合計13本!」
「わふ~!」
「「イエーイ!!」」
サルサとラヴィが話を聞いてから数を数えて自信満々に答える。が──
「合ってないぞ」
「間違って数えていますよサルサ様」
アシュレイとあるふぁから否とツッコミが入る。
「えっ!?うっそだぁ!?」
「あれれ?違うの?」
「紛失3の内の1つがドルトガルドの闇の聖剣なんだろう。ワタシもそれなりに聖剣の逸話は知っているからな(何せ後見人がヤツだし)、闇の聖剣が月闇と言う名なのは知っている。時国剣とやらの銘は界時。ドルトガルドの剣士はヘルマン。しかし界時の使い手はそこでふざけている軟派野郎だ」
頬杖を付きながらルキフェルが面倒そうに溢す。
そしてルキフェルの言葉にあるふぁ以外の少女達が息を飲む音が轟く。
「!…もしやあの時父が頭を悩ませていたのはこの事だったのか……」
ドルトガルドの陸戦騎士団ガートランド師団の団長を父に持つアシュレイが幼き日に見た父の姿を脳裏に浮かべ謎が解けた顔になる。
「おっ、ガートランド騎士団ッスか、確かにジークハルトパイセンも所属してた事がありまスね」
「ジークハルト!?闇の聖剣の剣士の正体はあのジークハルト・ウェルナー卿だったのですか!!?」
先代闇の剣士の名にも覚えがあるのか、アシュレイが勢い良く立ち上がる。
『有名人なのか?(゚Д゚≡゚Д゚)゙?』
「ドルトガルド民ならば、知らない者は居ないと言っても過言では無い御仁です。但し、既に故人として悼まれる立場ですが」
「んじゃ今度はその辺含めてまずは剣士の起源について話てきましょうか」
黒板を入れ替えて世界図を貼り出す。大陸等斗真の知る物と差異はあれどその地図は紛れもなく地球の物だ。
「昔むか~し、地球の方で多分ウン千年とか数えるのも馬鹿になるくらい前ある所に何かこう…目茶苦茶スゴい力を宿した大いなる本って呼ばれる本があったんッス」
(((((((((((((((((…雑?!!)))))))))))))))))
「んで、とある女性が2つの世界…ワンダーワールドともう1つ初代剣士達が居た世界の事ッスね。なんで、この世界じゃ無いッス、そもそも初代の人らが自分らと同じ世界出身かも怪しいッスけど…なんせ資料は多い上に古いんで探して確認するの面倒なんッスよねぇ…兎も角、2つの世界を繋げて、ワンダーワールドに降り立った五人の人間、始まりの五人って呼ばれた人らが居たッス」
「その話は僕も知ってます」
「クソババアから嫌って程聞かされた、耳タコだぜ」
「とても興味深い御話でござる、拙者も初めて聞いた時はわくわくし申した!」
「成る程、と言う事はその地図はその始まりの五人の人間が生きていた時代の地図なのか」
「ッスッス、んでその内の一人が剣士達の組織の始祖を創り、もう一人はワンダーワールドに残ったらしいッス。ヤバいッスね!」
重要な話の"さわり"の部分をヤバいの一言で片付ける現組織付きの剣士、それで良いのか。
「あの…、後の三人はどうしたんですか?」
「はぁい!リッちゃん良い質問ッス!答えは単純、人間欲深いもんで力に魅入られちゃったんッスねぇ。そんでこう…バァーってなって大いなる本の一部を奪ったらしいッス」
「奪ったって……まさかっ!?」
「イエ~ス、こうビリビリっとページの一部を破って「なんて罰当たりな事をっ!!!」……ビックらこいたぁ~、リッちゃん落ち着いてッス」
「あ……、ご、ごめんなさい!?本を破ったと聞いてつい……」
「いや気持ちは分かる。本って言うのは先人の知識、経験、思想、人の願望、希望なんかを文章として書き記した物だ。それを破るなんてとんでもない!」
「斗真どんもッスか、本好き嘗めてたッス……。それはそうと続き話ても?」
「「あ、はい」」
勇魚の苦笑しながらの伺い言葉に思わず口を揃える斗真とリネット。
「んじゃ続きッス、まぁ何をどうしたかは詳しくは知らねッスけど、残った三人はメギド──大いなる本の力に引寄せられた本の魔人──を利用し残った書物を狙いに来たッス。それを剣士の組織の始祖創った五人の内の一人と、意思とか教義に賛同的な…言うなれば自分らの大先輩…違った、大パイセン方が本の残りを守る為に立ち上がったんスね。んでウン百、ウン千年戦いを繰り広げてたんッス、その最中で大いなる本はバラバラになっちゃいまして──」
バラバラと言うワードを聞き、顔を青くするリネット。そのままお手本の様な立ち眩みを起こして隣のアルマに支えられる。
「ま、バラバラになったページはコイツらが持ってるワンダーライドブックに変化したんだけどね」
そこでアンジェリカが補足としてワンダーライドブックの存在に言及がてら懐からセドリックより押し付けられた【ブレーメンのロックバンド】を取り出す。
「お前が持ってんのかよ、グラサン相当堪えたんだなアレ」
「噂に聞く、パンキッシュロックモードッスか?ん?デスメタルの方ッスかね?」
「知らん」
「それはもう!ろっくでございました!」
互いに言葉尻を食い気味に言い放つ、前回のスラッシュの戦闘風景の感想。
この場で知らぬ数名とリネット、ラヴィを除き、黙っていた面々は苦笑するばかり。
「ウワーめっちゃ見たかったッス。ま、それはともかく…そのバラバラになった影響でもう1つの世界への穴と言うか入口?が出来ちゃったんスねぇ」
言って、地球、ワンダーワールドに加えこの世界を表す円図を書く。
「それがフローラと出会った、そういう事なのか」
「ッス。それがこの世界で言う二百年とちょっと前の事でス。んで、この世界で初代剣士呼ばわりされてるのは元の世界では何代目かの人らッスね」
「ウッソ!?そうだったの!!」
「はぁーん、要はこの世界では珍しい…ってか破格の聖剣を持つ初めての異界の剣士だったから"初代"な訳か」
「それじゃあ初代様達の前も、剣士だった方々がもっと居らしたんですね」
勇魚の言葉に頭の中で色々情報が整理出来て来た為感心する斗真、その後の説明で初代剣士が実は初代でなかった事が衝撃的だったラトゥーラ。
理屈が解ってアホらしいと嘆息するエレンとメモを録りながら歴史に想いを馳せるカエデ。
(実は聖剣と剣士の中でも名前も素性も不明、解ってんのは聖剣の属性だけって言う光の聖剣があるんだよなぁ…代替わりしてんのかも解らんし、いやでも、もしかしたらこっちで後継を知らん内にこさえてる可能性もあるのか……どっちにしても
「──ともかく、そうして最初の話題……この世界での仮面の剣士の伝記に戻るんス。んでまぁバラバラになった影響で来たのでメギドも一緒に来ちゃったんッスね、だから魔獣討伐のついでにメギド退治もしてたんッスね。で、我らが剣士の組織【ソード・オブ・ロゴス】もこっちの世界に併せてもっかい組織体系を組み直したんでス」
思考の中だけに留めた事実から切り替える様に、話をこの講義が開かれた主目的へ持っていく。
「伝記では組織の名前は敢えて伏せられてまスがフローラと剣士達を支援した存在として示唆されてまスね。んでんで、魔獣相手ならウン百万匹程度なら変身した状態なら苦にもなんないッスけどここにメギドが混ざると能力よっては厄介でして、特に厄介なのがこの間斗真どん達が苦戦して、ナルミッチ参戦で何とか倒せた様なメギド…ズオスを始めとした上級メギドッスね」
デフォルメされたズオスを描きながらエレン達に視線を投げる。
「あぁ、あの獣畜生か」
「確かに…途轍もなく強かったでござる……」
「あの時先生くん達を追い詰めていた獣の様な魔人ね。そんな名前だったのね」
「他にもレジエルとストリウスってのがいまス、これにさっきのズオスを加えた三体が上級メギドッス。因みに自分が此処に来る理由になったナルミッチから調べるよう頼まれたメギドは別口らしいッス、解ってんのは名前とどういうカテゴリのメギドかってのでスね」
ズオスの図の隣に紅い仮面のメギド──デザスト──を描き加える。
「あんた…そんな事頼んでたの?」
「大分前にな。あったろ、街中に奇妙な魔獣が出た事件が」
「ああ…アレもそっち関係だったんだ…ウチはお店を守るの協力する様に店長に言われてあんま詳しくは知らなかったし」
ラトゥーラは以前の魔獣襲撃、トウテツメギド出現事件を思い返す。
「で?結局あの紅生姜黒野郎は何モンなんだよ」
「アレは神獣、動物、物語三種のアルターライドブックを掛け合わせて造られたメギドだそうッス、名前はデザスト。あのキメラ紅生姜、調べてみたら結構剣士を殺してまス。例えばナルミッチの師匠の姐さんの更に師匠だった先々代雷の剣士と煙の剣士、先々々代風と音の剣士が毒牙に掛かってまス。他にも聖剣の剣士じゃない組織の剣士もかなりの数殺られてまスね」
「ほ~ん思ったよりヤバい奴だったのか…良く勝てたなオレ」
「ホントだし、良く生きてるじゃん。結構強かったんだ」
「わふ、エレンて強いんだね!!」
「エレン兄さまスゴの!」
『ソンケー(。・Д・)ゞ』
「確かにソイツの強さは中々のモノらしいとあのサングラスも溢していたな」
「人は見掛けによらないんですね。ただお兄ちゃんやサイゾウお兄ちゃんと違ってお兄ちゃん呼びは出来ませんけど」
ラトゥーラを除く評価の言を下したのが全て小柄な魔女達ばかりで何とも言い難い顔になるエレン。
(それでも現状実力的にはリュウトのおじさんが一番強いらしいけどね)
チビッ子達から良し悪しは兎も角、評価を受ける現雷の剣士の様を教壇側から眺めながらアンジェリカが勇魚を除く学院の剣士の番付を思い浮かべる。
「ま、そんな訳でデザスト含め上級メギドはこっちの世界来てから大戦が終わる頃には封印されたんッス。とまぁ此処までなら多少脚色はあれどお伽噺にも書かれてる所ッスね」
「なんで?これでめでたしめでたしじゃないの?」
「それだとどうして国によって剣士が一人しか登場しないのかって問題の答えにはならないよ」
「あ、そっか」
ラヴィの純粋な問いにティアラがこの話に至った発端の疑問を提示して、言われて思い出したかの様に納得するラヴィ。
「そうなんッスよねぇ、現実もそこで終わっときゃ美談としての英雄譚物語で済んだッスけどね~。そこはやっぱ、剣士も人間だったんッスねー。居たんですよ、魔が差しちゃった人が」
再び芝居掛かった動きとなる勇魚、地図を何度目かになる黒板スライドをして地球の地図の上にこの世界の古い地図を貼り付ける。
「さて、ご存知の通り自分らの大パイセン方はこのマームケステルからそれぞれ世界に散って上級メギド三体とデザスト封印した後も野良メギドや魔獣から人々を守る為幾人かの組織の構成員共々各々国に根を張った訳ですが……その中でも地球で言うとアフリカにあたる地理の国の1つに居着いた聖剣の剣士がどういう訳か世界中に宣戦布告しましてね?まぁてんやわんやなったらしいんッスよ」
貼り付けた地図のアフリカ大陸にあたる部分の1部にマルを付けてヤレヤレと肩を竦める。
「…その剣士の名前は……?」
「アジハド・ルイ・イムハタール……【無銘剣虚無】の剣士ですね」
斗真の問いに答えたのは勇魚ではなくアルマ。
「でス。ルイと呼ばれていた結構な腕前の剣士らしいッスね(聞くところによればルイ氏の前にも虚無の剣士が居たらしいッスけど、閲覧出来た情報で解ったのはルイ氏の前の人は光の聖剣と闇の聖剣によって封印されたとかなんとか…まあルイ氏の話には関係無いッスけど)」
続けて勇魚が詳細を一部伏せながら情報を開示してゆく。
「無銘剣……」
「…虚無」
「全然知らないっ!」
「ええそりゃ知らないでしょ、その人の所為で今の仮面の剣士のお伽噺が出来たんッスから」
知り得ぬ聖剣の登場に少女達が困惑と動揺をみせる中、いけしゃあしゃあ結論を言ってのける。
「さっき、聖剣の総数を話題にした時、封印された剣があるって言いましたよね?それがその無銘剣虚無、そしてその使い手アジハド・ルイ・イムハタール──」
一度言葉を切って参加者達を見回しながら、勇魚は自らの言葉の続きを紡ぐ。
「決して死なない…不死身の剣士ッス」
TO BE Continued
勇魚が語っている歴史は意図的に曲解されたモノを更に幾つか情報を伏せて語っています。
本人は閲覧出来る情報に限りがあると胸中で自宣していましたが、情報閲覧の機密レベル的には作中内では賢神に次いで高かったりするんですねぇ。
後こっちでも聖剣の剣士以外の剣士も組織にいますし、練度も高いので魔獣相手なら4、5人小隊でガートランド師団並みの戦果を出せます。ので聖剣が無い国には彼等が常駐しているんですね。
今回のどうでも良いかもしれないしそうじゃないかもしれないTip、これまでの界時の剣士は次代に聖剣が継承された事を見届けた場合、界時の能力の秘密を守る為に自刃します。故に勇魚の前の界時の使い手だった人は既に故人です。
水着なぎこさん欲しかったなぁ、ハロウィンクリーク欲しいなぁ。次回でお会いしましょう。