MasqueradeRe:Lights ~この世界では本の力を持つ仮面の騎士がいる~   作:ダグライダー

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 うーん大分迷いに迷い、何とか仕上げました。
 今回は顔見せでブレイズの本格的な戦闘は次回かな…。
 如何せん、他の作品と違いこれだけは原作の情報が2つともまだ少ないので明確にオチが決まって無いんですよね。
 他は始めにさわりの部分とオチをきっちり決めてから中を肉付けして書いてるので……。
 まぁ、その中の肉付けが一番時間が掛かるんですが……。
 取り敢えず二話目書いたのでまた暫くは展開を見つつ、主流で書いてるとじダグを中心にそろそろリリスカも書かなきゃならんので、時間が掛かりますかね



2頁 来訪者【フォリナー】

 

 ──ずっとお伽噺の中だけの存在だと思っていた仮面の剣士。

 それがあの時、あの不思議な場所で私達の目の前に現れ、怪物との戦いを繰り広げたのです──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うぉぁぁああああ!!」

 

 真紅の剣士となった斗真が眼前の魔人にソードライバーから抜刀した聖剣、"火炎剣烈火"を無我夢中で振り下ろす。

 型も何もない我武者羅な攻撃だが、それでもアラクネメギドからすれば脅威に等しい。

 先程とは比較にならぬ身体能力で間合いを詰めアラクネメギドの肉体を切り刻む。

 

 「ゴッォ?!バ、バカな……!何故?!

 過去の大戦の折、失われた筈の聖剣が復活しあまつさえ新たな使い手を見出だした。

 アラクネメギドにとっては想定外も良い所であろう。

 彼とて生み出されたばかりの存在だが、邪魔者の存在は()()()()()

 であればこそ、現れる筈の無かったイレギュラーに動揺し圧倒されている。

 なまじ我武者羅であるが故に反撃に移りずらい。力任せの素人剣術によってダメージを受け転がるアラクネメギド。

 斗真は聖剣を手にした瞬間に頭の中に流れて来た情報に従い、右手に握る烈火をソードライバーへと納刀、グリップに付いたトリガーを引く。

 

 

必冊読破!

 

 ソードライバーから鳴り響く必殺の宣告。

 納めた烈火を再び抜刀、同時に聖剣を炎が包む。

 

 烈火抜刀!ドラゴン一冊斬り!ファイヤー!

 

 構える斗真の持つ刃に渦巻く炎が竜を象る。満身創痍で立ち上がるアラクネメギドに向け走り駆ける。

 一方のアラクネメギドもこのまま黙ってやられてなるものかと頭部の蜘蛛の腹を模した箇所より噴出した糸を重ね硬質化させた2本の手槍で迎え撃とうとする。

 左手の槍を真紅の剣士目掛け投げる。

 刃で防ごうものならその挙動で出来た隙にもう一方の槍を喰らわせてこの場を凌ぐ。

 そう考えていたアラクネメギドであったが、その思惑は斗真が斬撃を飛ばす様に烈火を振るった事で脆くも崩れ去る。

 投擲された糸の槍を炎の竜が呑み込みメギド魔人すらもその顎で噛み砕く。

 炎に罷れ、火達磨になったアラクネメギドに聖剣が迫る。

 異形に刻まれる紅き剣閃。横一線に振るわれた刃を返す刀で縦一文字に振り下ろす。

 

 「オォォアアアァッ!!?

 

 異形の蜘蛛は断末魔を挙げ爆散した。

 後に残るは炎に照される真紅の剣士──仮面ライダーセイバーとなった斗真と彼の戦いを茫然自失と見守っていたティアラとリネット、そして彼女達よりも遠方から一連の出来事を見ていた青い肩掛けマントの青年のみ。

 

 「ハァ…ハァ……倒した…のか?」

 

 剣に誘われるまま夢中で戦っていた斗真は肩で息を切らしながらやっとの事で自らの状況を省みる余裕が生まれる。

 「………………なんですと?」

 その生まれれた余裕で己の手足を見れば、その姿は異質な鎧のソレ。

 本能が情報の供給過多と疲労で真っ白そうになりそうな所をギリギリ理性がストップを掛け留まる。

 「変わってる……何かこう…全体的にちょっと鋭くなってる……これは…本当に俺なんでせう?」

 烈火をバックルに納刀し、変質した手でベタベタと己の顔から体まで触り、拍子でベルトと化したソードライバーにセットされたブレイブドラゴンを閉じた事で、そう言えばと赤い本(ブレイブドラゴン)の存在を思い出しドライバーから抜き取る。

 同時に変身が解け、その肉体は"元の人間"剱守斗真へと戻る。

 「ぉうっ?!戻った…」

 おっかなビックリ手許の本を見つめる。

 「っ!そうだ!?ティアラちゃん!リネットちゃん!大丈夫?!怪我してない?!」

 そして共に居た少女達の存在に思い至り、彼女達の側に駆け寄る。

 「…はい…大丈夫…です…」

 真紅の剣士の姿から再び人の良さそうな青年に戻った彼に声を掛けられ何とか声を搾り出すティアラと未だ呆けているリネット。

 「リネットちゃん?おーい、大丈夫かい?」

 「……っ?!ひゃ、ひゃい!だいじょうぶれす…」

 反応が返って来なかった為に顔を近付け手を彼女の顔の前に翳した結果、正気に戻ったリネットが大きく飛び退いて噛み気味に返事をする。

 その反応に斗真は悪い事をしたなぁ等と思いつつも2人共、目立った怪我も無くホッと一息衝き、胸を撫で下ろす。

 「さて…後はこの世界からどうやって出れば良いのかだけど…」

 ともあれ脅威は去り、少女達は無事、残るはこの不可思議な世界から脱出するだけとなったのだが、斗真にはてんで手段が無い。

 困り果てる彼と少女達、未知の現象に頭を悩ませた結果、人影が迫っている事にすら気が付かない3人。

 その人物は斗真に声を掛ける。

 「安心して下さい。メギドが倒れた以上、そう暫くしない内に元の場所に戻ります」

 「へぇーそうなのか…物知りだね……って誰?!」

 真後ろからの声に驚き振り向けば、爽やかな笑顔を浮かべる中世貴族の様な格好の美青年が居るではないか。

 

 「そんな事は後で良いです。さて、そこの貴方!!」

 青年が笑顔から一転、真剣な顔に変わり斗真に詰め寄る。

 「え?あ?俺?」

 「はい、貴方です。お名前は?」

 「斗真です。……剱守斗真

 いきなり現れた謎の青年に名前を問われ、答え、しかしフルネームを小さく呟く。

 きっとまた名前を間違えられるんだろうなと思い、小声になったのだ。

 「ツルモリトーマさんですね。では失礼ですが貴方を逮捕、連行します!」

 「え?今普通に名前…って逮捕?!」

 一瞬、ちゃんと名前を呼ばれた事に感動しつつも青年が出した手錠をガチャリと手首に嵌められそのまま連れ去られる。

 「ではティアラさん、リネットさん、僕達はこれにて失礼します」

 「ちょ?!ちょっと!!?」

 45度のお辞儀をして斗真を引き摺って行く青年。本の様なモノにそのまま真っ直ぐ突っ込んだかと思えば、斗真共々その場から消え去った。

 

 「なんだったんだろう……」

 「さ、さぁ…」

 後に残された2人は青年の一連の行動にそれくらいしか言葉が出てこなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 青年が斗真ごと元の街並みがある世界に帰還する。

 「ちょっと…ちょっと待ってくれ!」

 「何です?」

 斗真が青年を必死に止める。

 「何で彼女達を置いていったんだ!?一緒に連れてけば良かったじゃないか?!」

 「先程も言いましたが、後暫くもしない内に元に戻ります。なので放置していても問題ありません。僕達が先に出たのは貴方をこれからある場所に連れて行くからです」

 テキパキ歩きながら斗真の必死の質問に答える青年。

 彼はそのまま人気の無い路地に入り、胸元から"BOOKGATE"と書かれた小さな本を取り出す。

 「それは……!」

 「ショートカット、時間短縮です。行きますよ」

 そう言って適当な民家の扉を開き中に入って行く。

 「え?何が?って…ぇぇぇええ?!!」

 続いて引き摺られながら斗真が扉──正確には扉の先の不可思議な異空間に呑み込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━フローラ女学院・理事長室━━

 

 「──ぇぇぇええ?!!ってあれ?」

 扉を潜り、気付けば見知らぬ部屋に出た斗真。青年は彼のリアクションを気にも止めずに目の前の女性に恭しく礼をする。

 「只今戻りましたクロエさん」

 「ご苦労様ですアルマ。其方の男性は?」

 自分を連行した青年──アルマと言うらしい…彼はクロエに斗真の事を含む先程まで起きていた異変の事情を話す。

 

 「──と言う訳です。幸い生徒さん達は無事でした」

 「成る程…それで彼を此処に」

 アルマからの説明を聞き、斗真を見るクロエ。眼鏡越しに値踏みする視線に些か居心地が悪くなる。

 (いや待て…よくよく考えてみれば、あのアルマとか言う人……あの時の事見てたんなら助けてくれても良いじゃないか!?)

 思わず視線を下げながらクロエとアルマのやり取りを回想し、アルマがあの時あの場に居た事に対し心の中で愚痴をごねる。

 そんな斗真の胸中を知ってか知らずか、クロエが口を開く。

 「トーマさん…でしたね。生徒達を助けて頂きありがとうございます」

 「あ…いえ、そんな、夢中で剣を振ってただけですし……」

 「それでも助かったのは事実です。流石は来訪者ですね」

 クロエの口から出た謝礼の言葉に思わず慌てて否定するが、次いで彼女が発した言葉に眉を上げる。

 「ん?ふぉ、来訪者?何ですそれ?」

 斗真の怪訝な顔にクロエはアルマへ振り向く。

 「アルマ?まさか教えていないのですか…」

 「???教えるも何もこの御仁は来訪者の方なんですか?」

 まさかのアルマの答えにクロエも唖然とし眼鏡がズレる。

 「……」「……」「……」

 3人共に暫しの沈黙、居たたまれなくなった斗真が口火を切る。

 「えっと…それで来訪者と言うのは…?」

 「そうですね…簡単に言ってしまえば、この世界とは異なる世界より来たる者の総称です。聖剣に選ばれ抜く事が出来るのは、来訪者と彼の者達の血を色濃く受け継ぐ人間のみ。アルマの話と貴方の身形から半ば推測ですが、そう結論を着けたのですが……改めて問います、貴方はこの世界とは別の世界で暮らしていた人物ですね?」

 斗真の問いに居姿を正し眼鏡を直すクロエは努めて冷静に答える。

 そしてクロエから来訪者の話を聞かされ、改めて己が異世界に居る事を自覚する羽目になった斗真は天を仰ぎ見る。

 

 「俺はこれからどうすれば良いんだろう……」

 

 訳も分からぬ内に異世界に来たかと思えば、訳も分からぬ内に謎の剣と本によりよく分からない姿に変身し、訳も分からない内に知らない場所に連れて来られ、最早彼の頭はキャパオーバーである。

 そんな斗真を見かねてかクロエがある提案をしてきた。

 「お気持ちはお察します。さて、そこでもしよろしければトーマさん、我が学院で教鞭を取ってみませんか?」

 「ほ?教鞭……!つまりココで先生をやれと?何故?」

 「貴方は着の身着のままで放り出されたのです。行く宛も無いのでしょう?聖剣の事もあります。でしたら考える時間も必用でしょうから、貴方が良ければ暫く此処で過ごしてみては如何でしょう」

 そう言うクロエの顔を見据える斗真。彼女は善意から言っているのだろう、しかし何か思惑を感じないでも無い。

 

 「……………いやでも、教鞭と言われても大した事を教えられませんよ?」

 寝床、食事、もしかしたら風呂の保証もある以上、斗真に断る選択肢は存在しない。が、教鞭を振るう事には全く自信が無い、それでも良いのかと意図を込めて視線を投げれば、クロエは構いませんと口にする。

 「此処とは異なる世界の話、文化等を知るのも彼女達の糧となると私は思っています。無論、貴方が引き受けてくれればですが」

 「えっと…因みに、このアルマって人じゃダメなんですか?」

 チラッと隣を見ればアルマは斗真の視線に気付き腕でバツを作る。

 「残念ですが僕の身元、所属はマルルセイユ本国にあるので許可されていない事は出来ないんです」

 アルマから出た新たな単語に疑問符を浮かべ首を傾げるとクロエから補足が入る。

 「彼はこの学院があるウェールランドとは別の国家に属する特任騎士と呼ばれる存在なのです。彼が国より受けた任は学院に通うマルルセイユの者の護衛と先刻貴方が遭遇したメギド、そして魔獣の対処、後はとある人物の代理ですのでこれ以上を望む事は私からは出来ません。ですが…」

 「異世界から来たばかりで行く宛の無い自分なら、何ら問題無い……そう言う訳ですか、成る程、理由は解りました。ついでにもう1つ質問良いですか?」

 「構いませんよ。何か?」

 「結局、この剣と本って一体何なんですか?」

 どの道、受ける事とは言え、アルマが駄目な理由に一応の納得を見せ、今度はソードライバーにワンダーライドブックについて訊ねる斗真。

 クロエはそれに一頻り沈黙した後、何事かを決めたのかアルマへ一度視線を寄越し、改めて斗真の質問に答える。

 「それは私から話すよりもアルマに訊いた方が早いでしょう。彼も貴方と同じ様に仮面の剣士へと変身するのですから」

 クロエの答えに今一度アルマを見やる斗真、見られたアルマはフンスと胸を張る。

 「ではアルマ、トーマさんを例の場所に案内して差し上げなさい。その後の事は追って連絡します、それまでは貴方の好きにするように」

 「はっ!騎士アルマ、これより来訪者トーマ殿をベースへと案内致します!では失礼致します!」

 右手を心臓の辺りで添える敬礼をすると彼は斗真の手錠を外し、そのまま理事長室を後にする。

 斗真も慌てて後を追うように退室、困惑が残りつつもアルマの元へ走る。

 部屋には理事長たるクロエが1人残される。

 

 「まさか……烈火が再び現れるなんて……エリザ、貴女が知ったらどう思うのかしら……」

 

 物憂げに独り語ちるクロエ、光を反射する眼鏡の奥で彼女の瞳は僅かに揺れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━フローラ女学院・図書室━━

 

 先を行くアルマを追って共に歩けばいつの間にか途轍もなく膨大な蔵書量を誇る図書室の奥へと進んで行く。

 その圧巻なまでの量に圧倒されながらも前を行くアルマに斗真は先のクロエとの会話で気になっていた事を訊ねる。

 「あのさ……さっきの女性が話してた感じ、君も俺と同じ様な剣と本を持っているのかい?」

 先程の会話で出た、聖剣を抜けるのは来訪者とそれに纏わる血筋の者と言う話。

 あの時の会話でクロエは、アルマに与えられた任務は何某の代理、護衛、そして魔獣と()()()()()()()()()()()()()

 それが事実であれば目の前のアルマもまた、聖剣に選ばれた者と言う事となる。

 果たして彼から返ってきた答えは──

 

 「はい、そうです。このライオン戦記のワンダーライドブックとマルルセイユに伝わる聖剣、水勢剣流水を代々から受け継いでいます」

 アルマは胸元より青い表紙の小さな本を取り出し、斗真へ見せる。

 「代々……って事は、君はこの世界で生まれたの?」

 「はい!僕の両親は父方が来訪者の一族、母方がマルルセイユの貴族になります」

 「来訪者の一族?そんなものまであるのか!?」

 アルマの口から出た来訪者の一族と言うワードに関心を見せる斗真、その反応にアルマも誇らしそうに語り始める。

 

 「この世界には過去、多くの来訪者が現れては文化的、技術的に貢献してきた歴史があります。父の一族は流水を受け継いでいた者と、それとは別に国の発展に尽くした者で成り立った血筋なのです」

 「つまり君は由緒正しい家柄って奴か」

 アルマの説明で来訪者がどういう存在かは何となく理解してきた斗真。

 そうして話し込んでいる内にいつの間にか景色が変化している事に気付く。

 (なんだ…?この周辺だけ本の並びが妙だ?)

 規則的に不規則に棚に並べられた蔵書に違和感を感じる斗真。そんな彼を尻目にアルマは棚の本を並び替え始める。

 幾つかの本を入れ替え終え、最後に豪奢な綴装の本を真ん中に差し込めば、カチリという音と共に本棚が大きく動き扉が現れる。

 「さぁ、行きましょう。この先が僕達の本拠地にして、今後貴方が暮らす事になるであろう場所です」

 振り返ったアルマが道を指し示す。

 2人の青年は扉をくぐった。

 

 

 

 図書室の奥、秘密の扉をくぐった先に広がっていたのは古いながらも綺麗な大理石の床と壁。

 まるで本に出てくる城か洋館の様な様相だ。

 

 「ここは?」

 「嘗ての聖剣の剣士達の拠点にして我々現代の剣士の拠点でもある場所です」

 アルマが先導しながら斗真の問いに返す。

 何でも、初代の剣士達がこの世界に降り立った際、生活や剣士としての諸々の活動の為、彼等の元の世界に存在したノーザンベースといった其々の拠点をモデルに作り出した場所だと言う。

 この学院自体が暁の魔女フローラ、そして聖剣の剣士に所縁の地と言う訳だ。

 其所を更に現代に聖剣を受け継ぐ剣士達が改良を加え、居住性を高めたのだとか。

 「でも、あの入り口とかここの生徒に見つかったりしないの?」

 「奥の書庫へは許可が無ければ入れませんし、あの棚の本も特殊な術を施して僕達以外に反応しないようになっているので問題ありません。と…着きました」

 そのままアルマがある一室で立ち止まり、扉を開ける。

 「トーマさんはこの部屋を好きに使って下さい。僕はこれからマームケステル周辺に魔獣かメギドが居ないか調査に行きますので」

 「ちょ?!まだ全部話を聞いてないっ……?!」

 一仕事終えたとばかりにそそくさと立ち去ろうとするアルマを止めようとする斗真。

 「止めておいた方が良いですよ?そろそろ身体も心も限界でしょう?」

 アルマがそう発言した途端、斗真は自身の足に力が入らなくなっている事に気付く。

 思い返せば、この世界に降り立ち、空腹で宛もなく彷徨、果ては変身して戦って、色々な話を聞かされて、斗真は心身共に疲労の限界に達していたのだ。

 それを見たアルマがやっぱりと呟く。

 「今日はもう休んで下さい、食事は後で持って来ますので。積もる話は明日以降にしましょう。紹介しなければならない人達もいますからね」

 そう言うと斗真に肩を貸し、部屋のベッドまで運んでくれるアルマ、改めて斗真を横に寝かせ布団を被せるとアルマはでは失礼と言い残し退室する。

 斗真の意識はアルマが部屋の扉を閉める姿を目撃した所で途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━マームケステル周辺━━

 

 拠点に斗真を案内した後、アルマは改めて学院を、そしてマームケステルの街を出て、街道を外れた雑木林の中に居た。

 

 「ふむ……雑な気配だ。メギド…じゃないな、シミーか。既にメギドが倒されたのにまだ残っているなんて、何か企んでいるのか?」

 目を閉じ、周囲の気配を探る彼。その腰には斗真の物と同様のバックルが装着されベルトが展開している。

 ただ、敢えて斗真の物との相違点を挙げれば、そのバックルに収まっている剣の柄、特にガードにあたる鍔の部分に施されたエンブレムの装飾が青く、ナックルガードの様に片側だけ伸びている事だろうか。

 此こそが清き水の聖剣"水勢剣流水"。

 普段はフローラ女学院の理事長室にて飾られている聖剣だ。

 アルマは手に持った青いワンダーライドブック、ライオン戦記を開く。

 

 

『ライオン戦記!』

 

 「まぁ何が目的でもここで倒してしまえば良いことさ」

 

 

『この蒼き鬣が新たに記す気高き王者の戦いの歴史』

 

 斗真のブレイブドラゴン同様、荘厳な声で本のタイトルが読み上げられた後、概要が語られる。

 アルマはライオン戦記を再び閉じ、ソードライバーの3つあるスロット【シェルフ】と呼ばれる箇所の中央、ミッドシェルフに挿入する。

 そして烈火とはまた違った軽快でありながらも清廉さを醸し出す音が木霊す。

 

 

「変身…!」

 

 その掛け声と共に流水のグリップを握り、ソードライバーより聖剣を抜くアルマ。

 

 

『流水抜刀!』

 

 アルマの周囲の空間が多くの本棚に変わり、足下は彼が立つ大地以外が荒れ狂う水面へと変化、アルマの背後には石柱が現れ、巨大なライオン戦記がソードライバーの物と同調する様に捲り開かれる。

 流水を横凪ぎ一閃。刃の飛沫が半月状に飛ぶ。

 

 

『ライオンッ戦記ィ!』

 

 

『流水一冊!百獣の王と水勢剣流水が交わる時、紺碧の剣が牙を向く!』

 

 アルマの身体が変質する。

 全身をライオン戦記の力が宿ったソードローブに変質、中央─ライドミッドと呼ばれる箇所に獅子を象った鎧が装着される。

 その胸部、"ブレスライオン"からソードライバーのバックル下に連なる様に下半身は"メインドイル"と呼ばれるライオン戦記の力宿した前掛けのような装甲に覆われ、両足にはノーブルソルトと呼ばれる蒼い装甲が纏われる。

 斗真の姿が右側に本の力を具現化したものならアルマのこの姿は中心に本の力を具現化したモノとなる。

 最後に半月状に飛んでいった斬撃が顔面に仮面となって装着されれば、其処に現れたる騎士は正しく紺碧の獅子。

 アルマことアルマ・神明・イーリアスは仮面ライダーブレイズとなり剣を振るう。

 

 木々の影より現れたシミーと呼ばれるヒトガタの怪人。

 メギドとは違い顔は魚の骨にも見えるフルメイルの兜の様な鉄仮面。

 ズタズタの襤褸を纏った下は黒い身体に白い模様が入っている。

 その数は凡そ数十といった所。しかしブレイズは怯む事すらせず踊る様に華麗に流水を振るう。

 シミー達も"ロット"と呼ばれる短剣と銃が一体となった武器で対抗するも、紺碧の騎士は然したる苦戦も無く、必殺技すら使用せず全て蹴散らし討伐せしめた。

 

 「うん、これで全部だ。これなら街道も安心!魔獣もこの近くに居ないようだし、今日はこの辺で帰還しよう。トーマさんの食事も用意しなきゃいけないしね」

 1人ウンウンと納得し聖剣を納め、ライドブックを閉じ、取り外す事で変身を解いたアルマは街へと戻る。

 

 《Gatlin♪Gatlin♪》

 

 アルマの胸元から奇妙な電子音が轟く。

 取り出されたそれは一見すればスマートフォンの様な物。

 「あ!クロエさんどうしました?…え?僕は今しがた調査に出てシミーを倒したところです。はい、はい…ええ、大丈夫です。全部倒しました。暫く危険はありません。え?トーマさんですか?彼には明日話をする事になってます。ええ、()()()()()()()()()()。はい、では…」

 通話を終え、端末を仕舞うアルマ。その顔は少し興奮している。

 

 「もしトーマさんが仲間になるなら僕が色々教えてあげよう!」

 

 青年は子供のように気分を高揚させ学院への帰路に着くのであった。

 

 

 

 

TO BE Continued…。

 

──ディアゴスピーディー──

 





 そう言えば、感想でオリジナルのワンダーライドブック云々の話が出ましたが、あちらでも書いた通り、ワンダーの方はオリジナルは出しません。
 アルターの方を出します。
 そしてオリジナルの案を贈って頂いたので頑張ってアルターライドブックとオリジナルメギドとして出番を作り出したいと思っています。

 それはそれとして……あー、早くオジサンと忍者出したいなぁ。
 プロローグの目録じゃ忍者は台詞無かったしなぁ……。
 忍者とナデシコの絡み書きたいなぁ……。
 自称従者は仮面ライダーセイバーの方が進展したら色々固まるんだけどなぁ…。

 ではまた次回
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