MasqueradeRe:Lights ~この世界では本の力を持つ仮面の騎士がいる~   作:ダグライダー

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 おはこんにちは。
 カミラ様が出たのでこれでRay4人揃いました。
 後はユズリハだけですね!
 
 しかし今年のホビーショーネットで事前申込が必要だったの知りませんでしたし……うん、来年は確認しておこう。



30頁 師・匠・襲・来

 

 ──突然現れた巨大な本を扉にして彼女は今まさに逃げ出す瞬間だったエレンさんのお腹に、痛烈な一撃を与え彼を吹き飛ばしました。

 

 

 

 

 

 

 

 ━フローラ女学院・医務室━

 

 絶句。その一言以外、目の前で起きた出来事に対し表す言葉が無い程までに衝撃を受けた若き魔女達。

 否、より正確には眼前の女傑を初めて目撃した数人のみがその様な状態に陥っている。

 例外なのは女傑を知るフィレェンツェの魔女であるラトゥーラ、大抵の物事に対し動じる事の少ない魔律人形のあるふぁ、過去の経歴上面識のあるアンジェリカは驚いてはいない。

 無論其々、苦笑、鉄面皮、呆れと反応は違うが。

 

 「わわっ?!エレンっちがスゴい音を立てながら吹き飛ばされたーーー?!!?!!」

 最初に言葉を発したのはラヴィ。最も素直かつ端的に目の前の事象を言葉にしてくれた。

 

 「ひぇ……『恐いっ!?(´;д;`)』」

 

 「どうやらロサ氏はお亡くなりになられたようですね」

 

 「何縁起でも無い事を言ってるのあんたは!!?」

 

 ベリーボードで鼻頭まで隠して怯えた声を洩らすメアリーベリーの真横で、あるふぁが動きを見せないエレンを眺めて思わず溢すと、彼女の主人であるエミリアに頭をすっぱ抜かれる。

 

 「あー、レオナ、レオナさんや?いくらエレンが度々お前さんを謗ったり、修行をサボってたからといって、出会い頭に早々"ソレ"はやり過ぎなんじゃないかな?」

 この場での最年長者として、少女達を気遣い穏当にエレンの師たる亜麻色の髪を靡かせる女傑──レオナ・E・メランドリを窘めんと陳劉玄は彼女の肩をやんわりと掴む。

 

 「ああ、陳。お久しぶり、相変わらず引退し時を逃した面してるわね。そりゃ婚期も来ないわ」

 

 「君も相変わらず酷いね。オジさん傷付いちゃうよ…後、結婚関連で弄るのまじやめてないちゃう」

 最強の剣士、轟沈。

 

 「暴挙。手前はもう少し穏便に出来ないのか?無駄に騒音を立てる、実に不愉快」

 セドリックは耳を押さえながら隅っこでいじける劉玄を一瞥し、レオナに文句を宣う。

 

 「マドワルド?へぇ、珍しい。アンタの事だから電話したらとっとと自分の巣に隠るかと思ったら、まだ居たのね。にしても相変わらずムッツリしてんわねぇ、愛想が無いにも程があるわ。

 勇魚の坊やから聞いたロックモードとやらの方がまだ愛想良さそうよね」

 

 「グッ…!!おのれ界時め、喧伝したな!?沈痛、心が乱れる……!」

 鍛冶師、撃滅。

 

 「言葉だけで警務員殿とマドワルド卿を征しただと!?」

 

 「めっちゃ落ち込んでんじゃん…」

 頼れる年長者達が悉くレオナの前に沈んだ様を見て、アシュレイとラヴィは戦慄する。

 

 「レオ姉ぇ!」

 

 「ん、ラトゥーラ!元気そうね、何よりだわ。バカ弟子も最低限の仕事はしてたみたいね」

 折を見て、ラトゥーラがレオナに声を掛けると、そんな少女を迎え入れる様にレオナは彼女を包容し頭を撫でる。

 

 「あのねレオ姉、ウチらのセンセの事……」

 

 「大丈夫、話はそこでブツクサ言ってるムッツリから聞いてる。それにアンジェリカちゃんが最低限治療はしてくれたんでしょ?後はアタシともう一人で何とかするから安心なさい」

 

 「もう一人……?」

 自身の後頭部に添えられた手が優しくラトゥーラの首を動かし、レオナの身体越しに見える人物を視線に捉える。

 

 「……」

 促され覗けた先には、セミロングのシルバーブロンドを後頭部で結って纏め、左目側を伸ばした前髪で隠す淵の無いノンフレーム眼鏡を掛けた美才女オルガ・ヴァシュキロフが無言で微笑を返す。

 女性は一通りベッドで眠る斗真の身体を触診した後、レオナの元へと歩み寄って来る。

 

 「レオナさま、あちらで横になられている殿方を一通り診ましたのでございます。外科的、内科的な見地でもあんじぇ…リカさんはとてもすばらしい治癒魔法の使い手でございますね、わたくしとても感銘いたしておりますわ」

 一見してクールビューティーと表すに相応しい佇まいと顔付きから繰り出される、とても意外で上品でふわふわしたソプラノボイス。

 眼鏡と髪で隠した傷痕も合間って凛々しい顔であるにも関わらず、口を開いた途端イメージが180度変わる衝撃と来たら、ラトゥーラの中のオタク脳を破壊するには充分な威力であった。

 

 「そ、まぁ事前に聞いてた通り。原因はワンダーライドブック三冊使用のフィードバックで間違い無いわね」

 

 「はい、それは確かでございます。しかし念のため、レオナさまの知見もいただきたいのでございます」

 

 「Bene、こちとらソードライバー経験者。任せなさい」

 ラトゥーラから手を離し、オルガと入れ替わる様に斗真の元に向かう。

 

 「何だか、エレンさんの師匠って言うのがこの短い間で嫌という程分かった気がするわ……」

 レオナの無軌道な女傑ぶりにロゼッタは妙な納得を感じる。

 

 「大丈夫かなエレンさん。あの人に吹き飛ばされたきり、ずっと白眼を剥いて動かないままだけど」

 

 「見たところ生命活動に支障は無いかと」

 ティアラの心配を余所にあるふぁが断言する。

 

 「問題無いっしょ、運ばれて来た中で一番軽症だったんだから、まぁ重症に早変りした訳だけど……うるさく言わない分むしろ有難いし」

 とアンジェリカは軽く手をスナップさせながらティアラ達の方に寄る。

 

 さておき、肝心の斗真の様子を診るレオナ。ペタペタと眠る彼に触ったり、突ついたりしている。

 

 「ふんふん、やー若いって良いわぁ。見た目よりイイ身体してんじゃない。腹筋も……はぁ~綺麗に割れて…堪んないわぁ」

 

 「「「えぇぇぇ……」」」

 ティアラ、ラヴィ、リネットがレオナの行動に思わず声を揃えて、驚愕と失望と茫然とその他諸々の予想外が入り雑じった残念なモノを見た様な反応を出してしまう。

 

 「なんでしょうか…わたくし、あのれおなという方に既視感がある気がします…」

 

 「カエデもです。ツバキお姉ちゃんと似た何かを感じます」

 

 「あら失礼ね、私が欲望を晒け出すのは最愛の妹である貴女達だけよ?」

 

 「その割りには…バレ~部の妹プレイにもノリノリじゃなかったかしら……」

 ナデシコ、カエデが露骨にツバキを見ながら引き気味にレオナを印象付ける。

 ツバキはツバキでお冠なのだが、クラス委員長(バイト貴族ロゼッタ)が溢した発言により妹達からの視線が更に険しくなった。

 

 「ちょ、ちょっと!誰だか知らないけれど、そこのバカは一応アタシ達のクラス担任なの!おかしな事したら承知しないんだからっ!!後そんなベタベタ触って破廉恥なのよ!!」

 

 「はぁ、こんな所で無駄にツンデレを発揮するなんて、まったく仕方の無いお嬢様ですね」

 著しく風紀を乱し始めたと見て、レオナを糾弾するエミリアなのだが、それはそれとして斗真の心配を滲ませる物言いにあるふぁは呆れて小さく息を吐く。

 

 「れ、れおな殿…お戯れは程々に、斗真殿の事で何かお分かりになりましたでしょうか?」

 今まで推移を見守っていたが、これは不味いと判断し哉慥が割って入る。

 

 「おっと、久し振りの若いイイ男についつい……、や、助かったわ坊や。相変わらずカワイイわねぇ~、ホントにあのジジイの直系?真面目で素直で心配なくらい純真、ヤダ撫でたくなってきたわ」

 

 「わっ?!や、止めてくだされーーー?!」

 忍者、陥落。

 

 「わふー、ちょっと羨ましいかも?」

 自身に流れる人狼の血が、哉慥を撫で回す手付きにピクピクと反応を示す。決して犬的アトモスフィアではない。

 

 「それで、結局どうなんですか?ソードライバーを使用していた者としての意見は?」

 事が落ち着くのを見計らって、クロエが眼鏡の位置を直しながら問う。

 

 「ん。ウダウダと長ったらしく講釈垂れてもあれだし結論から言うわ。この子スゴいわ。

 限りなく同色の三冊でこの程度の疲労で済んでる、倒れたのは敵が人間だった事から来る緊迫と緊張が七、コンボの疲労が三って割合ね。ヤバいわ……あーなんでバカ弟子じゃなくてこの子が黄雷を継がなかったのか……」

 斗真の素質を目にして心の底から羨望の声を挙げるレオナ、その弟子は未だ意識無くひっくり返ったままである。

 

 「や、ちょっと待ってよレオ姉!確かにメンドクサがりだし、いちいち一言余計だし、ガサツだし、引きこもりだけど……エレンだってスゴイヤツだし!」

 

 「おやおや?ふーん、そう、そっかぁ、ラトゥーラも色を識る歳になったか~、そっか~」

 

 「いや違っ!違うからっ!そんなんじゃないから!!単に小さい頃から知ってるってだけだから!」

 

 「そうね~アンタが小さい頃はよく遊んで貰ったもんね~。憧れのお兄ちゃんだったのよね~。

 あの頃はまだ素直さがあったのよねこのバカも…」

 ラトゥーラの発現にからかう様な語調で始めて、しかし最終的にどうしてこうなったと落胆する女傑。

 

 「どーでも良いけど、怪我人増やさないでくれる?」

 今の今まで、アルマの治療に専念して沈黙を保っていたアンジェリカ。目ぼしい傷を治し終え、今頃になってエレンの事を言及する。

 

 「ああ、それは悪かったわね。でもコイツも悪いのよ?修行はサボるわ、積極的には戦わないわ、何より人様をババア呼ばわりすふんだから…ま、多少は痛い目を見なきゃねぇ?」

 

 「僭越ながらあん…ジェリカさま。わたくしめもお手伝い致しますでございますですよ?

 魔法による治療はあくまでも細胞の生命力を活性化させ自己の治癒促進を促す物、虫歯や癌等の腫瘍のような要因は切除出来ませんのでございます」

 レオナが弟子を睥睨し謗るのに対し、喋る度にギャップを再確認する存在ことオルガが優雅に挙手する。

 

 「ん、まぁね。なんかアルマの身体に纏わりついてた痣?影?闇っぽいもんの除去に大分魔力のリソース割いたから、正直エレンの方は一人じゃキツかったし有難いわ」

 

 「ぅう…申し訳ない……」

 苦痛から解放され、漸くアルマが弱々しく呟く。

 

 「念の為~、アルマさまにまわたくしの方で包帯を巻いて差し上げますのでございますよ。

 大人しくしていて下さいませー。てりゃ~」

 やはりクールな見た目に削ぐわぬ掛け声で包帯を取り出してアルマへと飛び掛かる(オルガの気持ち的にはであり、実際はぴょんと多少跳ねただけである)。

 

 「んじゃあ、アタシ様はバカ弟子を叩き起こすとしますか……オラォ!何時までもオネンネしてんじゃアねぇぞッ!クソ弟子がぁぁあ!!」

 途端粗暴な言葉遣いとなって片腕でエレンの首根っこを掴み激しく揺らす。

 今更ながらにこの師弟、互いに遠慮や配慮が無い、と妙な納得をする魔女達であった。

 

 

 

 「ゴホッァッ?!な、何が…一体何が起こった!?目の前にブックゲートが出やがったと思ったら、そん中から見覚えのある脚と聞き覚えのある声がして………そうだ!クソ鬼畜外道ババア師匠が来るって──「だぁれぇがクソ畜生鬼畜外道鬼悪魔高齢期喪女独身クソババアだってェ?」──おぅふっ…」

 自身がレオナによって掴まれ宙に浮いていた事も気付かず、ここぞとばかりに怨嗟を込めて悪態を吐けば、真後ろからの声に首を壊れたブリキの玩具よろしくゆっくり動かす。遅くなったけど。

 

 「……クソ師匠?」

 「チャオ~クソ弟子、覚悟はよ・ろ・し・く・て?」

 そうして開け放たれたままになった医務室の扉から轟くギャーと言う絶叫は学院内に残っていた、生徒教職員全ての耳に入る事となったのであったと言う。

 

 

 

 

 

 

 閑話休題(さておき)

 

 

 「お゛お゛お゛お゛……まだ痛ェ……」

 

 「遅くなったけど自己紹介するわね、アタシ様はレオナ・E・メランドリ。フィレンツァの傭兵騎士元締めにして、其処で唸ってるバカの師匠、んで、今現在は聖剣を保有する剣士達の世界守護組織ソード・オブ・ロゴスの訓練教官みたいなモンをやらせて貰ってるわ。それで、さっきのはまぁ、其処で寝てる新しい炎の剣士の子が倒れたって聞いたから、どんな状態かを直接確かめに来たってワケよ。よろしくて?亜人のお嬢さん?」

 エレン以外には比較的、穏やかな態度で──それでもやや高慢にも取れる態度であるが──接するレオナは先程のエミリアの問いに対し今になって答える。

 

 「ではー、わたくしめも自己紹介致しますのでございます。わたくし名はオルガ、姓はヴァシュキロフと申しますですよ。

 今は失われてしまいました煙叡剣狼煙の元剣士でございますね。今は組織の長の秘書兼補佐官等をさせて戴いておりますのです」

 レオナに倣って、オルガも続く。

 別段特別ゆっくり喋っている訳では無いのだが、何故かポワポワとした印象を受ける語り口調がエミリアの気概を剃ってゆく。

 

 「…………貴女達が、不振人物で無い事は理解したわ。でも正直、色んな情報が一気に頭に叩き付けられて今はすごく混乱してる……と言うか、あるふぁ!アンタこの事知っていた黙ってたのね!?」

 

 「まあまあ、そこまで興奮なさらないで下さい。私としましても、これでもお嬢様の為を思って黙秘を貫かせて頂いたのです」

 

 「どうだか!大方黙っていた方が面白そうだとか思ってたんじゃないの?」

 

 「まぁ、そちらの思惑も多分にない訳ではございませんが…」

 

 「アンタねぇ!?」

 

 蟀谷を指で押さえながら苦い顔でこれまでの情報を整理しつつ、自身にその事実を今日まで黙っていたメイドに対し噴飯するエミリア。

 あるふぁもあるふぁで否定しないものだから、結局何時もの主従漫才と合い成る。

 

 「とにかく!他にアタシに対して隠している事は無いでしょうね?」

 

 「(隠している事は)ありませんね。後は大体お嬢様もご存知の事ばかりです」

 ヘルマンについては訊かれていないので別に隠してはいない。まぁそもそも彼女が彼の執事に対面したのは学院に入る前、あるふぁの起動間もない頃、カミラに付随して来た少し年上の少年が居たという程度の幼き日の頃なので憶えていないのだが。

 

 「さて、そこの亜人の娘も事情は周知したみたいだし、そろそろ新しい火炎剣烈火の子を起こしますか」

 

 「兄さま気持ち良さそうに寝てるのに起こしちゃうの?」

 

 「ええ。これからその子とイーリアスの倅であるアルマ坊や、バカ弟子には重大な話があるからね」

 

 「イヤな予感しかしねェ…」

 師の物言いに、経験から不吉な予感を覚える弟子はしかし、抵抗する気力をゴッソリ奪われその一言を口にするだけしか出来ない。

 

 「しかし斗真さんを起こすだなんて…。僕と違って彼は深く眠っています、力ずくで無理矢理と言うのは……」

 

 「安心なさいな。バカ弟子じゃないんだから手荒な真似はしないわ。ちょっと気付けに頸骨に衝撃を送るだけよ!!」

 要するに手刀でトンするアレである。

 創作にて往々にして対象を気絶させる為の手段と取られる手刀で背後から首を叩く行為だが、無論現実にそれが出来る人間は…普通は居ない、普通は。

 だが彼女は出来る。出来るからその逆も然り。

 

 「はーい、ちょっとビリッとするわよ~」

 斗真の上体を起こし左手で背中を抑えながら、右手をブラウン管テレビを叩いて倒すかの如く、秒速0.5秒の速度で青白い微細な稲妻を纏った手刀をお見舞いする。

 

 「ぅあ゛だっ゛!!?!

 当然上がる悲鳴、斗真は背中に電流が走ったかの様に飛び起きる。

 実際、電流が走った。

 

 「ヨシッ!」

 

 「良しじゃないです!何をしているんですかっ!?」

 

 「落ち着きなさいなアルマ坊や、これはアレよ!所謂除細動器の首版よ!医療行為なんだから問題無いわ!」

 大アリである。

 

 「…成る程?」

 しかし、アルマはこの世界の生まれなのでそんな事は判らない。自由化騎士、陥落。

 

 「っぅ……ぅうぅう、ここ…は?」

 

 「先生!!」

 

 「ちょっ、ティアラ?!」

 眼を醒ました斗真にいの一番抱き着いたのはティアラ──と。

 

 「うぇっ!?リッちゃん!!?いつのまに!?」

 まさかのリネットであった。

 

 「…良かったです…先生が目覚めて…私がトキカゼさんから貰った本を見せたばかりに…先生がこんな事になってしまって……」

 どうも責任を感じていたらしく、嗚咽混じりに謝意を溢している。

 

 「あ、えーと、何だか状況がよく掴めないけど…大丈夫だよ。だから二人とも離れて、ね?(さもないと腕と背中に当たる柔らかな感触でどうにかなりそうだから!!)」

 特に背中のメガロポリスは凄まじいのである。

 

 「ハイハイ、お取り込みの所悪いんだけど…お話良いかしら?」

 

 「えっと、貴女は?」

 

 「詳しい事はそこのバカ弟子から訊いて。んで、バカ弟子、アルマ。そして剱守斗真。喜びなさい、アンタ達は暫くこのアタシ様がシゴいてあげるわ!!」

 

 「それはどう言う……?」

 「まさか?!貴女直々にですか!!?」

 「うっわ、やっぱりかよ。イヤな予感が的中しやがった……」

 三者三様にリアクションが返るのを満足そうにしながらレオナは続きを口にする。

 

 「仮面の剣士の先達として、同じソードライバーを用いた経験者からの指導をしてあげるって事。マドワルドのヤツから話を聞いて思ったのよ、バカ弟子に会って鍛え直すってだけじゃなく、若手のホープをマトメて鍛えられるチャンスだってね!」

 

 「それなら忍者だってそうだろうがっ!」

 

 「馬鹿ねバカ弟子、坊やの翠風はアンタ達のとはスタイルが違うからアタシが指導しても良さを崩しちゃうだけよ」

 哉慥とて若手の注目株だとエレンが主張するが、レオナは彼の意見を論外と突っぱねる。

 

 「あの、一応俺は陳さんから教えて貰ってるんですけど……」

 

 「でもねぇ、陳の土豪剣激土って大剣な訳でしょ?基礎程度ならまぁそれでも教えられたでしょうけど、やっぱり経験者の先人からってのは大きいわよ?」

 斗真の控え目な主張に、キャッチセールスよろしく胡散臭く笑う。

 

 「エレンと斗真さんは理解出来ます。けれど何故僕まで…?」

 

 「それは簡単…ってか単純、アンタが今、この学院に常駐してる剣士の中で一番弱いからよ」

 

 「なっ……」

 ズバリの一言に絶句するアルマ。彼のそんな表情を見てレオナは発言の意図を掘り下げる。

 

 「言われるまでも無いでしょうけど、この街近郊にメギドが出現した際の戦闘時に何が起こったかを記録してるのは、知ってるわよね?」

 

 「はい、主にラウシェンさんや僕、斗真さんが報告書を書いていますので」

 

 「つまりそう言う事よ。アンタ達…特にアンタは生真面目に事細かに書いてくれるからその辺イヤでも予測出来ちゃうのよ」

 

 「ですが!それなら斗真さんも剣士としては未だ未熟な部分がある筈です」

 やはり納得いかないとレオナに噛み付く。

 

 「まぁ、純粋な剣技って意味なら積み重ねた時間込みでもアルマ坊やの方が上でしょうね。

 ただまぁ、その上で比較表でも作って著すなら……アンタと特に斗真はやや横並び、でもね総合評価で比べると本の力を引き出せる分、斗真の方が数段上になる…ま、嘗てのアタシや、そこで拗ねてる現役最強から見たらドングリの背比べだけどね。つか、何となく自分でも薄々感じてたんじゃない?」

 

 「……………」

 

 彼の女傑にこうも言われてしまえば、若獅子は黙り込むしかない。

 これには居合わせた少女達も何とも言えぬ空気に気まずくなる。

 

 「レオナ女史、彼を苛めるのはそこまでにしてくれますか?半ば世襲とは言え彼もまた自由騎士という肩書きに相応しく在ろうと努力し、また水の剣士として、お父上にも劣らない成果を果たしています」 

 

 「そーだ!そーだ!りじちょーの言う通り、アルマっちはマルルセイユの英雄として頑張ってるんだー!」

 

 「そうなの!いつも会ったら笑顔で挨拶してくれるの!」

 

 「ちょ、アタシが悪役みたいなんですけど!?」

 

 「少なくとも性悪ババアではあるゴベッ!?」

 クロエを筆頭にマルルセイユ出身の魔女達から非難の抗議を受け狼狽えるレオナ、特に一番効いたのは斗真に密着したままのリネットの無言の困り顔のままの視線。

 そこに弟子が便乗していけしゃあしゃあ嘲笑気味に戯れ言を宣ったものだから、鉄拳制裁しておいた。

 

 「だから怪我人増やすんじゃねーっつてんでしょうが!!」

 

 「あらあら、落ち着いて下さいまし。あ…ンジェリカさま、わたくしめもお手伝い致しますので冷静に。

 クロエさまや皆さまも、レオナさまは別にアルマさまを貶している訳では無いのでございますよ?

 それはそれとしましても、レオナさまも些か言い方がよろしく無かったのでございます。

 今後気を付けて下さいませ?さもないとメッってしちゃいますでございますよ?」

 相変わらずアンジェリカを呼ぶ時だけ、彼女の嘗ての呼称になりそうになりながらも不和の間に割って入り、双方を説き伏せるオルガ。

 そんな彼女の喋り口調に皆一様に毒気を抜かれる。

 

 「オレのフォローは?」

 

 「悪かったわ。アルマ坊やが剣士の中では弱いにしても、祖国で一族含め英雄である事に違いは無かった訳だし、生真面目で礼儀を弁えてる所とかはウチの弟子には無い美点だもの。

 ええ、だからこそ!このままじゃいけないのよ!

 今までは魔獣や格下のメギド、雑魚雑兵のシミーが

殆どだったから良かったけど、これからは同格どころか、以前アンタらが戦ったズオス含めた最上級クラスのメギド魔人や、正体不明のカリバーが敵になるんだもの!今よりももっと強くならなくちゃいけない!

 だからこそ、本の力の方に比重が寄ってる斗真はより剣士としての実力を、総合評最下位のアルマ坊やは剣の腕の他にライドブックの力を引き出す為に、そしてェ!バカ弟子ィイ!お前は言うまでもなく徹底して鍛え直ォおす!!」

 

 「ねぇ姐さんオレのフォローはっ…て言うかババアはオレに当たりが強ェえんだよ!クソがっ!!」

 

 オルガに自分だけフォローが無い事を突っ込みつつも、師匠の言葉に、こちらも喧嘩腰で返す辺り、やはり師弟である。

 

 「でも鍛え直すと言われても…あの、レオナさんでしたっけ?俺は学院の教師としての仕事もあるので、あんまり長い時間拘束されるのは……」

 

 「フッ、そこは安心しなさんな、ってヤツよ。お誂え向きの修行場所がココにはあるでしょ?」

 

 「???」

 学院を示して不適に笑うレオナに、意味が解らず疑問を浮かべる斗真。

 

 「おいおい…まさかあの部屋を使う気かい?!」

 そしてどうやら彼女の発言に心当たりがあるらしい劉玄が、冷や汗混じりに思わず溢す。

 

 「あたぼうよっ!そもそもその為の用途に造られた部屋でしょあそこは」

 

 「確然。手前が言う通りではあるな」

 

 「いやでもねぇ……オジさん達の世代は兎も角、今の子達には酷じゃないかい?」

 

 年長者達が口にするアレだのあの部屋だのに揃って怪訝な顔をする若い剣士と魔女達。

 

 「お三方さま、何事もまずは実践してみてはいかがでございましょう?こう言った時の為のわたくしなのですからー」

 

 「「「………」」」

 オルガの再びの諫言に暫しの沈黙。

 

 「まぁ…なるようにしかならんか」

 

 「同意、先ずは何事も委ねてみる事も必要だ」

 

 「うっしゃ、決まり!さぁて…斗真!アルマ坊や!クソバカ弟子!行くわよ!着いてきな!」

 そう言ってエレンだけは首根っこを掴んで医務室を飛び出るレオナ。

 

 「待って下さい!行くって、何処へ!?」

 

 「決まってんじゃない、剣士の修練場…リベラシオンによ!!」

 

 

 

 TO BE Continued 

 

 





 今回のTip、レオナも若い頃は師匠に反発・反抗ばっかりしてお仕置きされてたのでやはり似た者師弟。

 FGO、シャルル出たけど、私まだロストベルト四章の途中なんですよね…。
 
 アリスギアもコラボの星4あんこ欲しかったのに出なくて…イベント期間終ってしまったし、早々全部思った通りには行きませんね。

 ではまた次回
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