MasqueradeRe:Lights ~この世界では本の力を持つ仮面の騎士がいる~   作:ダグライダー

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 やっとこさ3頁目、ダグライダーでございます。
 眠いので寝ます。
 今回はまぁ前回のラストにブレイズを入れた急展開の分、ゆっくり目にした感じです。
 主にディアゴスピーディーは登場こそすれ発動はしてない所とか……。


3頁 毎号特別加速、創刊ディアゴスピーディー

 ──あの人も最初の頃は大分混乱していたそうです。

 特にそれを加速させたのはとあるライドブックであったとか──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━フローラ女学院・図書室━

 

 ウェールランド国内最高峰を誇り、国外からも閲覧者が押し寄せる程の蔵書数を持つ学院の書庫。

 その最奥、生徒達ですら滅多に寄り付かない場所にその扉はある。

 扉と言っても、人々が普段目にする様な在り来りの物では無く、本棚の体を成した仕掛け扉であるのだ。

 そして、その扉の奥…広大な空間を有するその場所はこの世界で伝説に語られ、市勢にお伽噺と親しまれる仮面の剣士達の拠点が存在する。

 現在、その居住空間を擁する拠点には新たな住人が己が置かれた状況に困惑を懐きながらもこの世界で初めて身の安全が保証された部屋での朝陽を眺める。

 

 「うん……やっぱり夢じゃ無かったか……」

 

 窓から射し込む陽射しに眼を細めながら、改めて口にする事で現実を受け入れる青年、剱守斗真。

 昨日、謎の怪物に襲われ、突如目の前に現れた剣を本能に導かれる儘に手にしたかと思えば、超人宛らの仮面ライダーなる剣士へと変身するわ、いきなり現れたアルマと名乗る青年に乙女の園たる女学院に連れて来られるわ、そこの理事長から教師をしてみないかと誘われるわ、1日の密度が途轍もなかった。

 

 あの後一度、夜に目が覚めたらベッドに寝かされていて、すぐ側の小さなデスクには食事が載せられた盆が置いてあり、恐らくはアルマの仕業だろうというのは解った。

 丁度空腹ではあったので、多少躊躇したりもしたが、欲求には勝てず有り難くいただく事にした。

 そして、今日、こうして再び目覚めれば否応なしに己の現状を把握するのだから、まぁ気が重い。

 「それでもお腹は空くんだよなぁ…」

 昨晩は遅くに食事を採ったにも関わらず日が替われば軽く小腹が空いている自分がいる。

 このまま待っていればアルマがまた食事を運んで来るのだろうか?

 

 それはそれとして、自分はどうするべきか……。

 クロエと言う女性から教師にならないかと誘われた訳だが、果たして自分の様な三流小説家崩れの物書きが他人にモノを教えられるものだろうか?

 どうにも悪い方に物事を考えてしまうのは、あの日自分が持ち込んだ小説がボツを食らった所為なのか……等と思考が巡り始めたが、思い出したように空腹が襲って来たので、アルマを大人しく待つのを諦め、思い切って部屋を出る事にした。

 扉を開けた先は幅の広い中央に赤く長い絨毯が敷かれた廊下、自分が居る部屋以外にも幾つか扉の見られるが人の気配はしない。

 当然見ず知らずの建物内であるからして、地理に自信は無い。

 であれば昨日、アルマに案内されながら通った道を己の朧気な記憶を頼りに進む他に無い。

 

 「まぁ…だからと言って、食事が出そうな場所を見付けられる訳じゃ無いけど……」

 迷路ではないが左手の法則で壁に手を着きながら歩いて行く斗真。

 数分か、或いは数十分歩いた先に一際大きな両開きの扉を見付けた斗真。

 知識と経験上、こういった扉を持つ部屋は大抵大きい間取りの何らかの目的を持って作られた部屋だと彼は考える。

 「……さて…(これといって食欲をそそる臭いがするでも無い、少なくとも食堂では無いだろうけど……他に宛も無いし、人が居るなら何らかの情報は獲られるだろう)うん、ダメで元々…こうなれば当たって砕けろだ!」

 意を決して扉の取っ手を掴み開けば眼前に広がるのはエントランスの様な部屋、その中央に巨大なテーブルともとれる台座。

 台座の意匠は本を模した様な装飾とファンタジーな異世界には不釣り合いなテレビジョンモニター。

 更に奥に目を配らせば本棚があり、壁面よりに左右から延びた階段が2階の中央に向かっている。

 2階にも本棚があり、吹き抜けよろしく踊場となっている場所は台座を含め、斗真が今いる場所を眺める様にレイアウトされている。

 例えとしては秘密基地の司令室がイメージと近いだろうか。

 (それにしては色々アンティークが過ぎる気位もあるかな……)

 部屋を睥睨しながらも人の影を探す。

 然りとて人は見当たらず、ならばと本棚の間にある奥の部屋の扉に近付いて行く。

 斗真がノブに手を触れようとした所で2階からガチャリと戸の開く音がする。

 「良かった…人が居たのか」

 安堵の声を洩らし、数歩後ろに下がって上を見上げれば其処には昨日見掛けた美しい蒼髪の女性──フローラ女学院理事長クロエが一冊の本を小脇に抱えているところであった。

 「おや……トーマさん」

 「あ…ど、どうも……」

 昨日の今日で未だ答えを返せないでいる斗真としては非常に気まずい心境であるのだが、クロエの方は特に気にもせず接してくる。

 「昨夜はよく眠れましたか?」

 「ええ…まぁ、お陰様でそれなりには」

 「それは何よりです。ところでトーマさんは何故此処に?」

 「えー…少々小腹が空きまして、自分を此処に連れて来た彼が待っていればまた食事を持って来てくれるかなぁとか思ったりもしたんですが……」

 「一向に現れ無かったか…と。成る程、それで耐えきれず散策に出てこの部屋を見付けたのですね」

 「はい……その…済みません…」

 別に後ろめたく思う必要など無いとクロエは思うが、斗真としては客分の立場故か、どうしても畏まってしまうのだ。

 「頭を下げる必要はありません。そうですね、良ければ私とご一緒しませんか?」

 これには斗真としても驚いた、未だ態度をはっきりさせない上、何とも消極的な返事を返していると言うのにクロエはは自分を食事に誘ったのだ。

 どうにせよ、ここまでされては断れない。斗真は頷き、クロエの後に続く。

 

 

 

 ━フローラ女学院・食堂━

 

 クロエの先導に従ってたどり着いた場所は学内の食堂。

 早朝から多少時間が経ったからかチラホラ学院の生徒の姿が見られる。

 正直、居心地は悪い。

 「どうぞ、此方に腰を掛けて待っていて下さい」

 周囲の視線に耐えながら視線を下げて歩いていたら、クロエが窓辺近くの席の椅子を引いてくれた。

 (ああっ!?女性に席を引いてもらうなんて…情けない)

 食事の席で女性にエスコートされた情けなさに思わず胸中で己を詰る斗真。しかしながら折角の好意を無視する訳にもいかないので軽く手を挙げ礼を表す。

 そのままクロエが2人分の食事を取りに消え待つこと数分、如何にも朝食全としたサンドイッチとコーヒー、スープとサラダを乗せた食器を持ってくる。

 「どうぞ」

 「どうも…」

 周囲の乙女達の好機と不審の視線に晒されつつも食器を受け取る。

 対面にクロエが座るのを見届け斗真も食事をいただく為に手を合わせる。

 「いただきます」

 日本で暮らしていた人間としてごく自然に出た行動、しかしクロエには物珍しかった様だ。いや、クロエのみならず食堂にいる全ての生徒が斗真をよりまじまじと見る。

 「あれ?え?な、何か…おかしかったですか?」

 「いえ…トーマさんの行動が皆物珍しいのですよ」

 どうやら掌を合わせる合掌からの"いただきます"はこの世界では珍しい行為に入るらしい。

 大抵の人間は言葉だけを口にして食事を摂るし、この学院に通う魔女やそれを目指すもの、或いはその恩恵に預かる者達はそれ相応の作法があるのだとか。

 斗真がどんなものなのかと気になっていると、クロエが目の前で実践してくれた。

 

 「星に光を、大地に恵みを、暁の魔女フローラに感謝を。それではいただきましょう」

 

 右手を鎖骨と胸の間の辺りに持って来て次に左手を右手に重ねる様に合わせ、最後にそのままの状態で瞑目しながら感謝を述べると言う一連の動作にある種の感心を抱く。

 周囲の視線やクロエの手前、慣れないテーブルマナーに四苦八苦しながら食事をする斗真。

 互いに特に会話も起こらず黙々と咀嚼する。

 そして残す所、スープとコーヒーだけとなった頃合いにクロエの方から話題を振ってくる。

 「改めて、昨日は我が校の生徒を助けて頂きありがとうございます」

 「いやぁ、昨日も言いましたけど…本当に無我夢中だったので……」

 「それでも前途ある若者が救われたのは事実です。トーマさんとしては些か複雑な状況化であったにも関わらず」

 眼鏡越しの視線は鋭い様で、しかし思い遣りを感じる物だ。

 「まぁ、……見ず知らずの土地で訳も分からないまま危険な目に遇う羽目になったのは確かですけど」

 「そこで昨日の件なのですが、もしその気があれば此方で出来うる限りのサポートをさせて頂きます」

 食事を全て終えたクロエが真っ直ぐ此方を見詰める。

 「…………正直、住む場所も帰る手段も無い身としては、もの凄く有難いお話です。けど…自分は本当に人様に物事を教えられる様な人間ではないですよ?」

 些か迷いながら拙く言葉を発し始める斗真、だがクロエはそれでも構わないと頷き、彼へ答える。

 「資格を持っているから教師にと誘った訳ではありません。貴方にしか伝えられない…教える事が出来ないモノがあると思ったからお誘いしたのです」

 「………」

 黙り考え込む斗真。クロエはそれを暫く黙って見ていたが、どうにも周りの生徒達が頻りに此方を気にし始めたので流石に大々的に聴かれるのは不味いかと思い立つ。

 「失礼、考え込んでいる所申し訳無いのですが…場所を変えましょう。理事長室に着いて来てください」

 斗真に声を掛けつつ席を起つ彼女に慌てて自分も残った食事を口に含み席を後にする。

 

 なるべく意地汚く無いように咀嚼しながらクロエの後を追って階段を登り理事長室へと入る斗真。

 斗真が入室したのを見届け魔力によって扉を閉めるクロエ。宛ら自動ドアの様だ。

 「わざわざ連れ回すような真似をして申し訳ありません。それで先程のお話の続きですが……如何でしょう?」

 再三のクロエの問いに対し斗真は返答を口に含みつつも頭の中では全く別の事を考えていた。

 (異世界転生とか召喚の主人公って凄かったんだなぁ……物語の流れありきとは言え、直ぐに順応して八面六臂の活躍なり無双なりしてんだもん。ウジウジして長ったらしく考える時間が無い分、そりゃティーンにウケるよ……)

 小説家としての斗真がそんな事を思考の片隅で考え、一般的な人間としての斗真がクロエの誘いの問いにそれならと答えを紡ぎ始める。

 「取り敢えず……いきなりは無理なんで、お手本と言うか……軽く見学なんかさせてもらえると嬉しいかなぁ……なんて…ダメですかね?」

 日和見染みた答えだが、クロエとしても早々ぶっつけ本番で勤まるモノでもないのは解っていたので、斗真の返答を承服する。

 「構いません。此方としてもいきなり教鞭を執ると言うのは難しいでしょうと考えていましたから。しかしそうですね……ならばトーマさんには特別クラスをご覧になって頂きましょう」

 「特別クラスですか?それは……名前からして如何にもなエリートが居そうですね…」

 腰が引けた青年の反応に思わず吹き出すクロエ。

 「え?あれ?え?なんか可笑しな事を言いました?」

 「いえ…失礼、トーマさんに非はありません。ただ、貴方が想像したようなクラスは選抜クラスと呼ばれています。特別クラスはどちらかと言えば、クセの強い個性的な生徒を集めたクラスになります」

 冷静沈着な美女が初めてその顔を大きく崩した光景を見て何とも様々な感情がない交ぜになったリアクションをとってしまう斗真。

 「個性的なクラス…ですか……(それって所謂問題児クラスなのでは?それはそれとしてこの人もこんな風に笑うのか…)」

 一頻り笑った後、改めて斗真へ向き直るクロエ。その顔はいつも通りの理事長としての顔に戻っている。

 

 「ともあれ、そう言って頂けると言う事は…脈はあると受け止めても宜しいのですね?」

 「えっと…はい、自分のような若輩者でお役に立てる様ならそれに越したことは無いので…その為にも此処がどういう場所なのか見せてもらえたらなと思ってます」

 今度ははっきりと己の考えを述べる斗真に目の前の女性は分かりましたと頷き、応接用のソファと5人の少女が描かれた絵画の辺りにある伝声管に近付き、その1つの蓋を開いて2、3言伝をすると、今度は中央のデスクの引出しから何らかの物を取り出す。

 

 「今し方、特別クラスまでの案内をする人員を呼びました。彼女が到着するまで些か時間があるので()()()()渡しておきます」

 そう言うクロエの手元に握られていたのはワンダーライドブック。

 それは斗真の持つブレイブドラゴンともアルマのライオン戦記やブックゲートとも違うライドブックだ。

 まず全体的に見た目が他のライドブックより一部大きい……と言うよりも何かヘンなモノがはみ出している。

 具体的に言うとタイヤの様な……。

 (いやいやいや……そんな馬鹿な)

 これには思わず己の眼を疑う小説家だが、こんな言葉がある。

 

 "──事実は小説より奇なり"

 

 既に異世界という有り得ない状況に自分が変身した戦士や怪物、果ては魔法があるのだから今更疑うべくも無い筈なのだが、それだけは見た瞬間、真っ先に二度見してしまうくらいには衝撃だった。

 その上でこの本のタイトルを読んでみよう……。

 

 

"ディアゴスピーディー"

 

 眼を擦る、もう一度表紙のタイトルを、今度はゆっくりと、声に出して読む。

 

 「ディアゴ…スピーディー……」

 

 「はい、これは貴方が持つブレイブドラゴン同様、仮面の剣士にしか使用出来ないワンダーライドブックです」

 斗真の半ば独り言染みた呟きに肯定を返すクロエ。

 認めよう、最早今更何度も現実逃避は意味が無い。

 彼女が取り出した小さな本には間違いなく記されているのだ。

 表紙のイラストだってデカデカ描かれているじゃあないか、この世界に不釣り合い甚だしい鉄の騎馬──バイクの存在が。

 正直斗真は本の形状よりもタイトルに対して色々物申したい気分であったが、そう言えば昨日の説明でワンダーライドブックを始めとしたこの謎ツールの類いもまたこの世界のモノでは無いと語られていたのを思い出した。

 ならばそう言う事も有るのだろう。

 タイトル的には大分ギリギリを攻めてる感が無いでも無いし、自分だって昔この手のシリーズを買った事があるのでそう言うモノだと受け入れる。

 「あの…因みにコレはどうしてクロエさんが?」

 一応素朴な疑問を呈してみる。

 「我が学院に常駐している剣士達は皆、他に移動手段を所持しているのです。貴方も既に見たとは思いますが……こちらです」

 その言葉と共にクロエが新たに取り出したのはアルマがあの時持っていたスマホであった。

 「これはガトライクフォンと言って、剣士達の連絡用端末兼移動手段なのです」

 「????なるほど?」

 連絡手段と言うのは解ったが移動手段には疑問以外湧かない斗真、しかしクロエは構わず話を続ける。

 「彼等はガトライクフォンがある為、ディアゴスピーディーを所持する必用が無く、その為私に預けられたのです」

 「それをどうして自分に?」

 「貴方は既に連絡手段をお持ちの様でしたので、後は移動手段だけかと思い、預かっていたこちらを譲る事にしました。私が持っていても宝の持ち腐れですから」

 正直益々意味が理解出来ない。クロエが持っていても意味が無いのは解る、ワンダーライドブックである以上聖剣に選ばれた騎士の所有物と言うのも解る。

 ガトライクフォンとやらに対してはまぁ一旦隅に置いておくとしよう、問題はこのライドブックが何故移動手段となるのかが解らない。

 バイクが描いてあるのだからそれに関連した能力があるだろう事は想像に難くない、しかしイコール移動手段が結び付かない。

 

 (もしかして、あの本をバックルに挿すと脚が速くなるんだろうか……)

 

 そんな馬鹿馬鹿しい事を考えながら斗真はこの黒くメカメカしい綴装のライドブックをクロエから受け取るのであった。

 

 彼がこのワンダーライドブックの真価を知るのはまだ少し先の話である。

 

  さておき、斗真がディアゴスピーディーに困惑している間に、クロエから呼び出された教師が理事長室に到着し、そんな彼女達から声を掛けられ斗真は正気に戻り今度はその教師の先導に従って、彼は何れ己の教え子となるであろう少女達が待つ教室へと向かうのであった。

 

 TO BE Continued…?!

 

──ディアゴスピーディー──





 さて、テレビの方は賢人君が大変な事になったり、セイバーが新フォームになったり、次回はブレイズが新フォームになったりしますね。
 それはそれとして、高橋PはやはりOVとか劇場版とか撮影スパンが短い短編向きのプロデューサーなのでは?と思わなくも無いこの頃。
 それにしても福田脚本は色々と巡りが悪い。
 高橋、福田タッグはゴーストの時も色々言われちゃってたりしましたからね。
 いっそ高橋Pメインに添えるならサブに誰かスケジュール管理能力が高い人を付けたら良いのにと思わなくも無い。
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