MasqueradeRe:Lights ~この世界では本の力を持つ仮面の騎士がいる~ 作:ダグライダー
いや、こっちしか読まない方も居るでしょうと思い表記させて貰います。
ダイナミックスーパードッジボールかと思いましたか?残念!!フライングソーサーディスクでした!!いや実際、バンプボール回の方は斗真が正式に教師として着任後の方が転がし易いので……。
さて、作中にてシャンペがアルマの家名がマルルセイユで有名と称していますが、2頁目にてリッちゃんはソコに触れていないのは目の前の衝撃的な出来事に気を取られていた事が1つ、そもそも名前を知っていても実際に対面したのはあの時が初めて、と言うのが1つと、2つの理由です。
因みにラヴィですら名前だけは知ってます、うろ覚えですが……。
ミル姉は……まぁアルマがクロエとそれなりに親しい時点で、ラピライを詳しくご存知であればお察しの方も居るでしょう。
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或いは後書きを読んで下さい!
──先生が初めて魔獣を見た時の感想は、思っていたより可愛いでした。私たちからすれば恐怖の象徴である魔獣ですが、先生は『襲ってくるなら確かに恐いけど、見た目は完全にゆるキャラだよね』と仰っていました、異世界の感性って不思議ですね──
━フローラ女学院・グラウンド━
謎の男性からレクチャーを受け、ディアゴスピーディーのワンダーライドブックを起動。即座に元に戻すという愉快な出来事から30分後。
グラウンドには運動着に着替えた乙女達が続々……という程では無いがそれ相応の人数が集っていた。
そして少女達は小脇に円盤の様な物を抱えているのだ。
(教室より人数が少ない…。成る程、受ける授業を選択するのも自由ってのはこう言う事なのか)
芝生の緩い傾斜となった大地の坂に腰掛けながら少女達の様子を眺める斗真。
授業に参加を決めこんだ面子の運動着の色を観れば、圧倒的に蒼…ラピスが多く次いでルージュ、ノワールなど精々5人居れば多い方だ。
これこそが先程女性教師が言っていた参加する授業を選ぶという事なのだろうと納得をする。
此処に居ない生徒は別の授業に参加しているのか、或いは自由に過ごしているのだろう。
座学の際は斗真を特別クラスの面々に紹介するという名目もあり、所属する大多数の少女達が教室に居たのだ。
(それにしてもあの小脇の円盤は何なんだろう)
グラウンドに集まった生徒達が持つ謎の道具、その用途に考えを巡らせる斗真はフリスビーでもするのかな?等と思案する。
その答えは直ぐに解った。
「ふぉぉおおお……」
年甲斐も無く間抜けな声を挙げてしまう斗真。しかしそれも無理からぬ事、何せ少女達が円盤を中空へ投げたかと思えば、各々が指笛なり拍手なりで音を鳴らし、それに呼応して円盤が巨大化する。
その巨大化した円盤の上に生徒達は次々と立ち、更に上昇して空中で浮遊しているのだ。
斗真はまだ知らぬ事であるが、この世界の魔法は基本的に長々とした詠唱を必要とはしない。
無論古い魔道書に記載されている様な術はその限りでは無いが、一般的に魔女が魔法を行使する手段は"音"である。
【エコーギフト】と称されるそれは音であればカタチを問わない。
フィンガースナップであったり、拍手であったり、口笛であったり、それこそ楽器や歌も含まれるのである。
未来の魔女たらんとする乙女達が宙を舞う様は中々に画になる光景である。
さて、そんな外野から授業風景を臨む斗真の後ろよりドタドタと土煙を上げ駆けてくる足音が2つ。
周辺の散った生徒達や授業に出席する順番待ちの生徒は何事かと音の主を探せば、見付けたのは選抜クラスの生え抜きのユニット【supernova】の1人、短く所々外ハネが強い深紅の髪を風に靡かせながら両手にスケッチブックと鉛筆を握り締める少女──フィオナ──が己の前を行く青年を追い掛ける。
「今日こそはスケッチさせて貰うよッ!!」
少女が青年に対し声を張り己の目的を吐露する。
「冗談じゃねぇ!?ゴホッ…事あるごとに脱がそうとする奴に誰が…!ゴホッゴホッ…!くそっ、こういう時に限って似非侍の忍者が居ないっ!やっぱ、外なんかロクなもんじゃねぇ!!」
所々咳き込んでいるのは滅多に走らないからなのか、絶叫しつつ少女から逃れようと手段を模索する青年。
そんな2人のやり取りを物珍し気に見る者と、またかと呆れる者で半々に生徒達の反応が別れる。
「あれは……一体…」
斗真としても後方の騒ぎに嫌が応にも注目してしまう。
「あー、またやってんだ~」
そんな中、騒ぎを見ていた授業中の特別クラスの生徒の1人が斗真の隣までやって来てそんな事を洩らす。
「また?ええっと…」
「あ!ゴメーン、驚いたしょっ?」
戸惑う彼を前に片目を瞑りつつ手を合わせて謝る褐色金髪の少女。彼女が斗真へ己の名を名乗る。
「ウチはラトゥーラって言うし、ヨロシクねトーマセンセ♪」
「あ、うん…宜しくラトゥーラさん。それで…あれは一体何かな?」
見た目通りの明るい性格、それも斗真的にはギャルと言って差し支え無い様な見た目のラトゥーラの気安さに少々怯みつつ、目の前の珍事の詳細を訊ねる。
「それね!まず、追われてる方の名前はエレン…確かフルネームはエレン・ロサリオだったけ?まぁそんな感じの名前だし。んでエレンってば普段引き込もってばっかで滅多に人前に出ないからさ、たま~に外に出るとあーしてフィオナに追われるって訳だし。あ、フィオナってのは追いかけてる方ね」
「へぇ…。因みに何で追われてるのかな?」
すらすらと件の人物達の説明を口にするラトゥーラに感心し、何故追われる様な事になっているのかをも訊ねてみる。
「んー…ウチもあんま詳しくワケは知らないけど……エレンが珍しいモノを持ってて、フィオナがそれに目を着けたのがキッカケだったとか…。ま、今じゃエレン自身をモデルにしようとしてるみたいだけど」
「いや、随分詳しいと思うけど……二人とは知り合いなのかい?」
「二人ともウチとは同郷…フィレンツァの出身だし。フィオナとはあんまり話した事無いケド、エレンとは何度かね。…同人活動毎回手伝ってもらってるし」
と、最後に小さく何事かを呟いていたが、要するにエレンと言う青年は出不精で、フィオナと隣に居るラトゥーラとは同郷であるから詳細な情報が聞けたと言う訳だ。
そして"また"と言う発言からも、この光景は少なからず複数回に渡ってこの学院内で繰り広げられていると言う事なのだろう。
呆れている生徒達はそれを見慣れているから。
逆に物珍しそうな生徒達はエレン自身の出現率の低さからそういった反応になったのだろう。
(何だかツチノコみたいだな…)
エレンの詳細についてそんな事を思う斗真、そこでふと思い至った事を隣の褐色少女に訊ねてみる事にする。
「そう言えば、俺…自分以外にもチラチラと男性を見掛けたけど、彼等はどういった役職なのかな?」
頭にアルマとエレン、そしてあの時忠告をくれた男性を思い浮かべながら話題をラトゥーラに振ってみる。
「う~ん?センセ以外の男の人?ウチが知ってんのはエレンの他にはおじさんとサイゾーくんだけだけど…」
「その…おじさんって言うのは?それにサイゾーって人も良かったら教えて貰えるかい?」
「オッケー、まずおじさんの方はリュウトからの留学生のお姫様のお付きの護衛で…ラウシェンって名前だったと思うし。サイゾーくんはヤマトから来た子で、今日は居なかったけど…ウチらのクラスに居るヤマトからの留学中の三姉妹と仲が良いんだ、って…そう言えばセンセも名前の感じがヤマトの人っぽいね!」
快く斗真の質問に答えてくれたラトゥーラ、彼女は最後に斗真の名前の響きがヤマト人らしいと屈託ない笑みを浮かべて斗真に返す。
「へぇー…後、一応まだ正式に先生になってないからね?」
「良いじゃん良いじゃん♪ウチ、オトコのセンセって結構興味あるし」
途もすれば誤解を生みそうな発言である。
「所で……ラトゥーラさんは他にも見たことは無いのかい?具体的に言うとマントを肩に掛けてる貴族騎士みたいな格好の人とか?」
彼女との会話で影も形も無かったアルマの事を訊ねてみる、しかし彼女は思い当たる節が無いようで、う~んと唸ってしまう。
すると其処に小さな影が2つ、近付いて会話に加わって来た。
「ラトゥーラばっかり先生とお話してズルいの!シャンペ達もまぜてなの!」
「あ…あの…、よろしく…お願い…します…『メアリーベリーだぜ!( ・`д・´)』」
1人はやや薄いピンクに近いオレンジ色の髪をツインテールに括った甘ったるい声と人怖じしない明るさを持った少女、もう1人は空色に近い水色のショートヘアで胸元に奇妙な顔文字が表示され加工された少女の声が発せられるアイテムを持った人見知りがちな少女であった。
「あ~、シャンペ、メア!ちょうど良いとこに来たし!」
3人の少女が並んだのを見て、そう言えばこの娘達は教室でも隣り合って座っていたなと思い出す斗真。
ラトゥーラは2人の友人に斗真の質問を振る。
「二人とも、センセの言ってること分かる?」
「ふぇ?どういうことなの?」
「あぅ…『いきなり言われても何が何だか解らないぜ?(・_・?)』…その、質問の意図が……わからない…と」
今しがた来たばかりの2人が小首を傾げれば、褐色の少女はゴメンと謝り、斗真の質問を彼女達にも教える。
「あ、青い…マントを…羽織った……貴族みたいな…騎士の…男の人?『何だそりゃ?(?_?)』あ…でも…こんな噂なら…聴いたことある…よ?『理事長室に入り浸ってる男が居るって話だぜ!(>_<)』」
メアリーベリーが己の声とボードの電子ボイスで交互に喋る。
「青いマントの騎士なの?もしかして……「僕がどうかしたんですか?」ひゃあぁっ!!?」
シャンペが心当たりを口にしようとした時、件の人物が斗真の隣に立っていた。
「うわっ!?あ、アルマ君…驚かさないでくれよ」
予兆も無く隣に現れた若き騎士に苦言を呈する斗真、アルマも流石に驚かせた事を悪いと思ったのか、斗真、そしてシャンペに頭を下げる。
「申し訳ありません。トーマさんを見付け近付いたら、何やら僕が話題に挙がっていた様なので、そこでついいきなり声を掛けてしまいました。斗真さんの肩を叩くなり、ある程度の距離に近付いたら、其処から声を掛ければ良かったですね。其方のお嬢さんも大丈夫ですか?」
当のシャンペはアルマの登場から謝罪に至るまでの光景に感嘆と畏敬と困惑が入り雑じった顔をして震えていた。
「シャンペどうしたし?」
「ど、どこか…具合が悪いの…『大丈夫か?(´・ω・`)?』」
級友2人が心配を顕にシャンペを見やれば、少女は有名人を目撃した感動に目を輝かせていた。
「本当に本当のホンモノなの……?ホンモノの自由騎士イーリアスなの?」
「おや?僕の家名をご存知とは、もしやマルルセイユの方ですか?」
名を呼ばれた当人も少女の言葉を聞き、彼女がマルルセイユからの留学生である事に気付く。
「有名なのかい?」
感動と感激に撃ち震える少女に恐る恐る訊ねてみると……。
「超有名なの!マルルセイユでその名を知らない国民はいないの!お伽噺の仮面の剣士のモデルになったってくらい有名なの!」
実際にはお伽噺の仮面の剣士そのモノなので、モデルどうこうでは無いのだが、一般的にこの世界の住人の大半が聖剣の剣士達をお伽噺と認識しているので、彼女の様な反応の方が大多数である。
「あー!仮面の剣士ね!ウチの国にもモデルになったって言う傭兵の像があるし!」
ラトゥーラも故郷の首都に奉られる剣士の銅像と伝承を思い浮かべる。
「う、ウェールランドは…仮面の剣士の……伝説、発祥の地…『暁の魔女とならんで有名だぜ!』」
この国の生まれであるメアリーベリーが負けじと起源はウェールランドにある事を頑張って主張する。
「そう言えば、ヤマトとかリュウト、後ドルトガルドにもおんなじような話があるとか聞いたジャン!っぱフローラの伝説と同じくらいメジャーなんだ!」
ラトゥーラがテンション高くその様な事を述べる。
そんな授業そっちのけで盛り上る少女達からアルマに連れられ離れる斗真。
「どうしたんだ一体、あの娘達から離れて……?」
「あまり彼女達の前で話す様な内容では無いので……。トーマさんはこの後、予定等はありますか?」
周囲の喧騒に消える…しかし確実に斗真には聴こえる様な声で話すアルマ、斗真も座学と違い、実技の方は特にこれと言って特別気になる事も無いので、予定は無いと答える。
「良かった、でしたら僕と一緒にとある場所まで着いて来て下さい。トーマさんはクロエさんからディアゴスピーディーを受け取っていますよね?それの使い方を教授も兼ねてこれからも戦いの基本を教えたいと思います!」
アルマのその言葉に息を呑みつつ、ディアゴスピーディーの事は心配無いと答える。
「それは…どうして?」
「グラウンドに出た時に親切にも教えて貰ったんだ、自分の事をオジサン呼びする人に」
斗真が口にしたオジサンことラウシェンの名が出た事でアルマも妙に納得する。
「あの人が……。成る程、引退するなんて何だかんだ言いつつ、面倒見はいい人ですしねラウシェンさん」
「そのラウシェンって、結局何者なのかな?」
本人から名を聞きそびれた斗真がアルマにその仔細を訊ねる。
「リュウトの聖剣、大地の大剣土豪剣激土に選ばれた使い手で、僕よりもうんと前の世代の方です。何よりトーマさんと同じ来訪者ですからね」
その言葉に斗真は一層驚いた。
「え…?って事はその人も俺と同じ世界から?」
「さぁ?詳しくは本人から聞いた方が早いかと、あ、でも名前はトーマさんと同じ様に漢字?でしたか、それで書いてましたね」
確かこんな字ですと胸元のガトライクフォンのメモアプリケーションを起動し、劉玄と入力する。
因みに、フルネームは
「あ、後、あの褐色の…ラトゥーラって娘から聞いたんだけど、エレンと言う人にサイゾー…多分才蔵なんだろうけど、兎に角その二人も剣士なのかい?」
「ええ、サイゾウくんはヤマトの聖剣の使い手で、現役の剣士の中では最年少ですね、それと…エレンに関しては……まぁその、はい、剣士は剣士なんですが……」
サイゾー改めサイゾウの話から一転、エレンの話題に移り、歯切れが悪くなるアルマ。
「あ……引き籠りなんだっけ?」
途端先程のラトゥーラとの会話を思い出し申し訳無くなる斗真だがアルマはいえと首を振り。
「彼もちゃんとした…ええ、一応ちゃんとした剣士です。ただ、フィレンツェは初代以降は一貫して傭兵の体裁を取っていまして、その中でエレンはラウシェンさんやサイゾウくん同様、トーマさんよりも前に現れた来訪者なのですが……、ええ、本当にどうしてこうなったのか…元々先代お墨付きであったにも関わらず、正式に継承する頃には気付いたら引き籠りに…。この学院にも嫌々来たらしく、何でも…フィレンツェの商家貴族のご息女の護衛の為にそのご息女のご両親から雇われたとかで」
それでフローラ女学院に息女が入学したと同時に度々引き籠る様になったのだと言う。
「嘆かわしい事です!聖剣が折角後継にと選んだのに、あれでは宝の持腐れになってしまいます!」
「ま、まぁきっと彼にも色々とあるんじゃないかな!?それより目的地に行こう!」
これ以上は長い愚痴になりそうだったので無理矢理話を切り上げる。
取り敢えず、斗真は自分がアルマと共に抜け出す事を実技の教員に告げてから学院の敷地を後にした。
「それで、戦い方と言うけど……具体的にはどんな?何を相手に?まさかまたあの時みたいな怪物が!?」
マームケステルの外壁を越えた草原でアルマに訊ねる。
「怪物と言えば怪物ですが、メギド魔人ではありません。今回は魔獣です」
「魔獣…って言うと、この世界の人達を苦しめているって言う……」
「はい。此処、マームケステルは暁の魔女の結界もあり、安全なのですが、それ以外の土地や国では昨今魔獣による被害が多数頻発しています。僕達の仕事は出没する可能性が高い場所の魔獣を討伐する事です。それをしないと生徒達が特別実習で校外活動する際に危険ですからね!」
と、アルマの言に成る程と深く頷く。
「でも、そういうのは普通国が何とかするんじゃないのかい?」
そして当然の事を訊ねて、アルマからの返答を待つ。
「そうですね。基本的には師団単位で事に当たります。勿論魔獣の強さも個体により違うので絶対では無いですが、人里等の人口密集地帯は魔獣も群を成して襲って来るので。そうなると人手がどうしても足りなくなる時がありまして、ですが、僕達なら単独でも複数匹の魔獣を余裕を持って倒せます」
フンスとそこで胸を張るアルマ、彼は意気揚々ソードライバーを取り出しながら斗真に語り掛ける。
「魔獣は基本的にメギドよりは耐久性も知能も凶暴性も低いです。勿論、人間の脅威である事に違いはありませんが、変身した僕達なら楽々倒せます。なので!トーマさんにはこれから向かう場所に出没するだろう魔獣で剣士の戦い方をレクチャーします!さぁ、行きますよ!!」
そのままソードライバーのバックルを腰に充て、更に胸元のガトライクフォンを取り出し、画面のアイコンの1つをタップするとそこから折り畳み、手元で何かを捻った後、空中に軽く投げると…何とみるみる巨大になり、人一人跨がれる程の大きさの三輪、所謂トライクルへと変形したではないか。
「えぇ!?」
ディアゴスピーディーの時同様、大きなリアクションと共に驚く斗真。
「驚きましたか?これが僕達剣士の移動手段、ライドガトライカーです!凄いでしょ?」
対してアルマは自信満々の様相で先程までスマホ型ガジェットであったライドマシンへ跨がると、何処から取り出したのかゴーグルを掛け、アクセルを回す。
「さぁ、トーマさんも早くディアゴスピーディーを!」
急かすように言うアルマの言葉に慌てて斗真もズボンに押し込んでいたディアゴスピーディーのワンダーライドブックを取り出し、表紙を開く。
ライドブックから響く声と共に再び金属がぶつかり合う音と謎の歌、変形が完了し真紅の騎馬が斗真の前に降り立つ。
しかし、斗真はディアゴスピーディーに跨がろうとしない。
「??どうしましたか?早く乗って下さい」
「……いや、だってヘルメット無いし………」
異世界で何言ってんだとか、道交法無いだろとか、ツッコミこそ飛んでこないが、曲がりなりにもバイクである。生曝しの頭で乗るには些か厳しい。
「?
躊躇う斗真が洩らした言葉にアルマはキョトンとそんな反応を返す。
「いやいやヘルムって……本当にあるし!?しかもちゃんとライダーヘルメットだし!?何時の間に?!」
一瞬、
何は途もあれ、2人の青年は鋼鉄の騎馬に跨がり、舗装された馬車道を走る。
走る事、約2刻半。
「道を外れます、着いて来て下さい!」
ライドガトライカーにて先導するアルマが声を張り、後ろに追従する斗真へ指示を出す。
斗真はディアゴスピーディーをアルマのライドガトライカーの後に沿ってハンドルを切る。
辿り着いた場所は一見すればとても人類を脅かす怪物が生息している等と思えぬ程平穏な山。
マシンを止め、山を見上げる。
「本当に此処に魔獣が?」
「はい、一匹、二匹なら実習に派遣される生徒でも問題は無いのですが、事前の調査にて少なく見積もっても八匹程が潜伏している事が判りました」
アルマは深刻そうに語るが、この世界に来て日が浅い斗真はそれがどれ程の脅威なのか実感が湧かない。
彼の怪物の基準がアラクネメギドである為、剣士にとってはそこまで脅威にはならないと事前に言われてしまえば、それが師団単位を用いて殲滅する相手であっても精々が猪退治かと思ってしまうくらいだ。
「今回はトーマさんへのレクチャーも兼ねているので、突入は変身してからにしましょう!準備は良いですか?行きますよ!!」
「えっ?!あ、ちょっ!」
既に腰にソードライバーを巻いているアルマに対し、斗真は急いで火炎剣烈火が収まったソードライバーのバックルを腰に充て、ブレイブドラゴンのワンダーライドブックを取り出す。
2人は各々のライドブックの表紙を開く。
共にマシンに跨がったままでバックルにライドブックを挿し込む。
斗真はブレイブドラゴンをライトシェルフに、アルマはライオン戦記をミッドシェルフに挿入しグリップに手を掛ける。
烈火と流水がドライバーのバックルより抜刀される。
炎と水、2つの斬撃が飛び、2人の身体は其々が紅い光と青い光に包まれ、バックルのライドブックが捲れ新なページが姿を見せる。
真紅と紺碧の仮面の騎士が並び立つ。鋼鉄の騎馬が唸りを挙げる。
「……まさかまた変身するとは…って言うか、ええっと…君、アルマ君?」
仮面と鎧を身に纏う己の姿に諦観入り雑じった溜め息を洩らし、次いで隣の青い影の存在がアルマである事を訊ねてみる。
「はい!この姿の時はブレイズと呼んで下さっても良いですよ!!」
「あ、うん。え?じゃあ俺のこの姿も何か名前あるの?」
青い剣士、仮面ライダーブレイズとなったアルマの言葉に斗真は己が変身した姿の名前を誰何する。
「ええ、烈火の剣士はセイバー。そう呼ばれていたそうです」
父の代、或いはそれよりも前の代から伝えられた名を斗真に教えるアルマ。
「セイバー……それが俺の姿…」
「さぁ、感傷はそのくらいに。一気に行きますよ!」
ガトライカーを吹かし山中へ突撃するアルマ、その爆音に山奥に潜む魔獣達が反応する。
「っ…よし!」
斗真もディアゴスピーディーのアクセルグリップを捻り、道なき道を走る。
「もうすぐ、この音に引かれて魔獣達が現れる筈です。まずは僕がお手本を見せますのでちゃんと見ていて下さい!」
その言葉通りに前方から現れる魔獣……ヌイグルミ様な見た目にのっぺりした光る眼が2人の剣士を睨む。
「もしかしてだけど…アレが魔獣なのかい?」
「そうです!あの種は特異な能力はありませんがパワーはあります、僕達のこの姿なら吹き飛ばされたり噛まれても大したダメージにはなりませんが……普通のホモサピエンスには厳しい!」
アルマは鬼気迫る声で忠告してくれているが、斗真には魔獣がそこまでオドロオドロしい獣には見えない、寧ろ──
(どう見てもゆるキャラとかのデザインだよなぁ……。キモカワとかそんな感じの)
そんな斗真を置いてきぼりにアルマは目の前の魔獣をガトライカーで跳ねる。
跳ねられ身動きが鈍った魔獣へ方向転換しガトライカーに備えられた機銃を斉射。
魔獣は断末魔を挙げ死に至る。
そのままガトライカーから降りると流水を抜き構える。
「さぁ、今の魔獣の悲鳴で残った仲間達が集まってきますよ!」
「お、おう……」
斗真もディアゴスピーディーから降り立ち、烈火を抜きつつも、一連のアルマの行動に引き気味である。
そうこうしている内に集まる魔獣達、事前の話では八匹程と言われていたがその数はどう見ても十数匹はいる。
「想定よりも多い、しかし!」
アルマがバックルのミッドシェルフに挿入されているライオン戦記の開かれたページを軽く叩く。
流水を横凪ぎに振るい斬撃が飛ぶ。そしてその斬撃が激流の縄となって魔獣達を拘束する、それと同時に現れた青い獅子が拘束された魔獣の一体へ突撃し絶命させる。
「これがライドブックを使用した技、ライオン・ワンダーです。トーマさんもブレイブドラゴンで同じ様に出来る筈です」
「分かった!」
促され、斗真もまたバックルのブレイブドラゴンのページを叩く。
右腕のガントレット、"バーンガント"から真紅の龍が実体化し目前の魔獣をその
これこそがセイバーブレイブドラゴンのライドブックの固有技、ドラゴン・ワンダーである。
「次、行きます!」
その言葉と共にバックルへ流水を納刀、その状態でグリップのトリガーを1度押す。
「ハァァァッ!ハイドロォッ…ストリィィィィム!!」
流水の刃を水が螺旋を描きながら逆巻き、アルマがそれを縦斜めに一閃する。
するとアルマに群がろうとしていた二匹の影が重なった瞬間、斬撃がその二匹の魔獣を両断した。
「更にこれです!」
再び流水を納刀しトリガーを今度は素早く2度押す。
先程と違い剣を収納した状態での技が炸裂する。
アルマが変身したブレイズの胸部"ブレスライオン"から水撃が放たれ敵を包み檻となって捕らえる。
其処へアルマが跳躍し落下の勢いを使った強力な両脚の蹴りをお見舞いする為叫ぶ。
鋭い飛び蹴りが魔獣の一匹を吹き飛ばし、後ろに居た数匹を巻き込み爆発する。
そしてそれら一連の流れを見て斗真も負けじとアルマを真似て烈火を納めトリガーを押す。
「ぜぇぇぇえいっっ!!」
アラクネメギドを倒した時同様、炎が龍を象って斬撃と共に魔獣を焼く。
「良い感じです!出来れば必殺技の名前も言えばグッドです!!」
「ええっ?!」
アルマが此方を見てそんな事を言うので戸惑ってしまう斗真、だが、まぁ良いかと思い直して残りの魔獣へ今度は納刀状態の技を繰り出す。
「え…と、じゃ、じゃあ!
咄嗟に思い浮かんだ名を叫ぶ斗真、叫びながら跳躍して右脚の飛び蹴りを魔獣へ喰らわせる。
此方も吹き飛んだ魔獣が仲間を巻き込み爆発した。
「ふぅ、何とかなった……」
着地し一息浸く斗真、辺りに魔獣はもう居ない。
「お疲れ様でした。僕としてはまだ教えたい事があったのですが、魔獣は全滅させてしまったので次の機会に取っておきます」
アルマが労いの言葉と共にそんな事を言うので、まだ何かあるのか…と少々辟易しないでもない斗真。
「ではマームケステルに帰りましょう!」
「了解、ゆっくり休みたい……」
変身を解きガトライカーに跨がるアルマ、同じく斗真も変身を解除してディアゴスピーディーへ跨がる、2人はアクセルを吹かし、来た道を戻りフローラ女学院のあるマームケステルへと帰路へ着くのであった。
TO BE Continued!
と言う訳で5頁でした!
前書きの答え?ですが、クロエ理事長とミルフィーユは幼馴染みなので、その関係でアルマが出入りしているのも知っているし正体も知っています。
今回、supernovaからフィオナ、そしてシュガポケの3人が登場。
更に実はエレンのフルネームは目茶苦茶長い設定だったりします。
本人も長いの気にして短くした姓を名乗ってます。
因みにサイゾウ君も実際には才蔵ではなく哉慥が正しい字だったりします。
年齢的には上から順に劉玄>>>>>???>エレン=斗真>アルマ>???>>哉慥となります。
そんな訳で次回でまたお会いしましょう!
後もう2人くらいライダー出ないかなぁ…。