MasqueradeRe:Lights ~この世界では本の力を持つ仮面の騎士がいる~ 作:ダグライダー
今回どういう話でピーターファンタジスタを絡めようかと思案した結果、プロットを前後編に別けての物となりました。
ついでにさらっと登場?してる哉慥くん、何気にカエデからお兄ちゃん呼びされるくらいには仲が良いという…。
年齢的にはカエデよりは上ナデシコより下なのです。
そして此方もさらっと登場キャバレー部、シャンペは可愛いからね。仕方無いね!
さて、セイバーの方は11本の聖剣が出てきた訳ですが……烈火の左隣、無銘剣虚無ですよね?と言う事は、ファルシオンを除けば少なくとも新規ライダーが後2人登場すると言う事になる訳で…早く剣共々出てきてくれないかなぁ…。
あ、後、鬼一さん正式加入頑張ってた時に回したら景清さん普通に来ました。
物欲絡んで無い上に特に狙ってもいない時は普通に来るんだよなぁ……。
──その日は先生が正式に私達の先生となった日でした。なんでも、クロエ理事長から教師をするに当たってお部屋を頂いたそうです。後にガーネットさんが入り浸る事になるとは先生も露程思わなかったでしょうけど……。
かくいう私達も気軽に遊びに行っていましたけれど──
━図書室最奥・旧ベース━
嘗ての剣士達の拠点、ノーザンベースと呼ばれていた今や学院の一部と化した施設の大広間……剣士達が集う本の間。
その場所で斗真は蒼髪の美女からある事を告げられた。
「はぁ…部屋、ですか?」
「はい。トーマさんが我が学院で正式に教職に就くに当たって、私共の方で協議した結果、教員寮の一室を提供させて頂く事となりました」
持ち上がった話題にイマイチ要領を得ない返事をする斗真にクロエは知性を感じさせる眼鏡を僅かに光らせながら決定事項を伝える。
「あの…
そんな彼女に斗真はこの拠点の居住区画ではいけないのかとクロエの顔色を窺いながら訊ねる。
「残念ですが、此処の存在は貴方の様な特異事例を除けば私と一部の教員しか知り得ません。ですので対外的にもトーマさんには教員寮に入って頂く必要があるのです」
淡々と言葉を列ねるクロエ。それを受けて数秒の思考の後に成る程と納得を見せる斗真。
そんなやり取りを聞いて残念そうに肩を下げるアルマと面白そうにニヤける劉玄、そして無理矢理アルマに引き摺られて来た為床に突っ伏していたエレンが顔を上げる。
「うぅ…残念です。折角新しい仲間と共に切磋琢磨出来ると思ったのに…」
「いやぁ、別に二度と会えない訳じゃないんだから、そんな大袈裟な反応しなくてもいいんじゃないのよ?ま、お前さんくらいしか此処の部屋を常用してないから仕方ないかもしれんがね」
「はっ、別にココがバレても問題無いと思うけどな。どうせ別段正体隠してる訳でもねぇんだから」
エレンがいい加減床に寝転がるのを止めて立ち上がり階段に腰掛けると今この場に居る者達に向けて己の本心を述べる。
「いえ!それはダメです!万が一!億が一と言う事もあります!クロエさんの様な人なら未だしも、僕達以外がこの場所に立ち入る事は看過出来ません!」
「チッ…真面目ちゃんはこれだから…」
エレンの言葉を即座に否定したアルマに視線をアルマから逸らしながらエレンは小さく舌打ちをする。
「やれやれ…。ま、兎も角だ。クロエちゃんの言うことは妥当だわな?オジさんもそこの引き隠りも此処の部屋とは別に表向き暮らしてる所があるからね」
この場の最年長者がエレンに噛みつかんばかりのアルマを宥めながら剣士達の普段の暮らしを語る。
「へぇー。そうなんですね…所で今更なんですが、他の剣士の人とかは?」
劉玄の言葉に感心しながら斗真はこの場に居る面子を見回して、これで全員なのかと暗に訊ねる。
「う~ん、一応ヤマトに帰省してる哉慥の坊やを除けば後二人ばかし居るんだがね……一人はちょいと問題アリな性格だし、もう一人も所要で不在がちになる事が多いんだね、これが」
「オッサンよぉ、そんなオブラートに包む必要無いだろ?良く聞け小説家、似非侍の忍者以外はストーカーとムッツリ偏屈野郎だ。どっちもかなり変人だからな?ま、ムッツリの方がストーカーや忍者と比べたら割合良識的ではあるけどな」
「エレン!仲間をそんな風に言うなんて許しませんよ!大体、あの人はムッツリじゃなく物静かなだけです!」
劉玄が斗真の問いに苦笑しながら返答すればエレンは皮肉気に笑いながら斗真に対して残る剣士達を偏った……概ね偏ったイメージで語り、それに憤慨するアルマがエレンに喰って掛かる。
━ヤマト某所━
「……くしゅん!」
「風邪ですかサイゾウお兄ちゃん?」
「むむむ…否、これはえれん殿が拙者の事を語っているのでござる」
「エレンさん?それはもしかして例の部屋から出てこないひきこもりの人の事ですか?」
「然り。きっと拙者が居なくて寂しいのでござるな!皆、元気であろうか?」
「所でサイゾウさん、先程サイゾウさんのろっくな"がとらいくふぉん"でしたっけ?それが震えていましたよ?」
「むむ!何と!!?拙者、未だにこの手のカラクリの扱いは苦手なので気付かなんだ!忝ないでござるナデシコ殿」
「いえいえ、ゆっくり慣れていけば良いんですよ。それよりも、サイゾウさんもろっくに参りましょう!」
「承知……ではなかった、おー!でござる」
「サイゾウお兄ちゃん、姉様に律儀に付き合わなくても良いんですよ?」
「何を仰る!ろっくとやら実に深いでござる。カエデ殿も共に参ろうぞ!」
「「せ~の!ろっくんろ~♪」」 「……ろ~」
「お姉ちゃん、サイゾウくんに妹たちを盗られて悲しいわぁ~…シクシク…チラッ」
「ツバキ姉様はふざけてないでちゃんとして下さい!」
「はーい♪」
ヤマトにて、とある剣士と三姉妹の一幕──
━図書室最奥・本の間━
「ん?今なんか変なの挟まなかった?」
「何言ってんだお前?」
「特に変な気配等はありませんでしたけど?」
「斗真ちゃん、緊張してるのかね?」
何処から途もなく虫の報せのを感じ取った斗真、しかし他の皆はそうでは無いようだ。
改めてクロエの方に向き直り、話を進める。
「お話は分かりました。それで自分はその部屋に移れば良いんですよね?」
「ええ、おおよそ必要な物は揃っています。もし他に何か生活用品等で足りない物が有れば言ってください、少ないですが此方で経費を出します」
クロエからの破格な対応に何だか申し訳なくなる斗真、しかし今更断るのもそれはそれで失礼なので、申し訳無さを出しつつも有り難く受け入れる。
クロエとの会話に一段落付いたと見てアルマがならばと自らも斗真に餞別としてライドブックを手渡す。
「では僕からも一つ贈り物を…」
「…これは?」
手渡された物は以前、アルマが自分をフローラ女学院に連れて来た際に見かけたワンダーライドブック。
「ブックゲート、移動用のワンダーライドブックです。扉ないし窓を介して此処と繋がっています。因みに僕のゲートは此処の自室と理事長室に繋がっています、トーマさんの場合はご自身が生活する教員寮の自室と此処になりますね、他に行きたい場所があればイメージして下さい、行った事があれば楽に移動出来ますよ?」
「バイクあるのに?」
「バイクにしろトライクにしろゲートが開けない場所に向かう足だろうし、ブックゲートはまぁあくまで扉のある場所で急ぎの時に使えば良いんだよ、難しく考えなさんな。それにこっちじゃバイクなんざ珍品極まるモンだしね」
アルマのブックゲートの説明に対しディアゴスピーディーを取り出しながら疑問を投げれば劉玄がクックッと笑みを溢しながら補足を付け加える。
「そう言う事なら有り難く受け取らせて貰うよ。しかし部屋かぁ、私物になるような物って何処で買えますかね?」
己が暮らす事になるであろう部屋を想像しながら、生活必需品を何処で買う事が出来るのかと皆に訊ねる。
「そうですね……基本的にはマームケステルの街の商店に大概の物は揃っていますが……トーマさんにお渡しする金銭では物高になってしまうかもしれませんね」
クロエが口元に手を添えながら考え込む様な仕草を取る。
「確かになぁ~、給料じゃなくて教師就任のお祝いみたいなもんだしね、斗真ちゃんに渡したお金が足りなくなる可能性はある」
劉玄も困った困ったと呟きながら額に握り拳を充て考える。
「んぁ?んな難しく考える必要は無いだろ?今日から何日かガラクタ市があるじゃねぇか?」
そこで死んだ魚の眼を見開きながらエレンが何とも無しに言ってのける。
「ガラクタ市?」
当然、この世界の知識が浅い斗真は聞き慣れない単語に首を傾げる。
「ガラクタ市ってのはね、このマームケステルのダウヒッチストリートを抜けた所にある中心広場ロランパークで定期的に開催されてる露天市だね、普通の店で買うより安く買えたり、値切りし易かったり、掘り出し物が多かったりするバザールみたいなもんさ」
「ほらアレだ小説家、前にオルケストラを見たあの噴水がある広場のとこだ」
この世界の生活が長い先輩来訪者2人がガラクタ市の事を語ってくれる。
「成る程ね、日本じゃてんで少なくなった様な寄りモノ出し物市って訳か。それなら手持ちが少なくても良さそうな品が手に入るかも…」
斗真が得心と共にさて何を買おうものかと今から思案し始める。
「考えるよりも行動ですよ、トーマさん!僕も一緒に行きますから!」
アルマがウキウキした顔で眼を輝かせる。その様子は子供の様だ。
「じゃ、折角の機会だし…オジさんも行くかね」
「おう、さっさと行っとけ行っとけ、オレぁ部屋に引きこもらぁ」
劉玄が物のついでとばかりに2人に同行を申し入れれば、エレンは清々したとばかりに手をシッシと振れば青き騎士と剛剣の騎士がその両肩を掴む。
「あん?何だこの手は?」
「何って決まってるだろうよな?」
「貴方も一緒に行くんですよエレン?」
2人揃って顔に満面の笑みを浮かべる、それに対してエレンは物凄く嫌な顔を作る。
「ざっけんな!?どうしてオレまで!」
「オジさんはお前さんや斗真ちゃんと違ってスマホとやらどころかケータイとかの知識が無い時代の人間だし、アルマは言わずもがな、斗真ちゃんが欲しがりそうなモノと近しいのが分かんのはエレン、お前さんだけだ」
劉玄の言う通り、彼は中国の片田舎…それも197X年代の人間であり、アルマはそもそもこの世界の生まれなので近代の来訪者が欲するモノがイマイチ理解出来ない。
また、ヤマトの哉慥も21世紀の人間では無いのでどの道居ても役には立たなかっただろう。
そういう事情もあってか有無を言わさず連行されるエレン。暴れようにも劉玄とアルマと言うバイタリティ溢れる2人からは逃げられない。
斯くして、4人の男達はクロエの苦笑を傍目にロランパークのガラクタ市へと向かうのであった。
━中央通り・ダウヒッチストリート━
マームケステルの中心街の商店街道、ダウヒッチストリートを進む4人の人影。
約一名、必死に足を動かすまいと抵抗しているが両脇を組む2人に引き摺られてズリズリという音を発てる。
そしてダウヒッチストリートのとある店前まで通り掛かると、ちょうどすぐ横の店の扉が開かれ見覚えのあるツインテール少女が飛び出して来る。
「ほぇ?トーマ先生?」
「あれ?シャンペさん?」
少女──シャンペが逐一あざとさを醸し出す動作で小首を傾げて剣士一行から斗真を見付け声を掛ける。
斗真もこんな時間にこんな所で生徒に会うとは思わなかった為驚く。
「ほほー、シャンペお嬢ちゃんじゃないのよ。お久しぶり」
「おや、あの時のお嬢さん。こんにちは」
劉玄はとある理由によりちょくちょく見掛ける顔に、アルマはつい先日遭遇した顔と知って挨拶を交わす。
「ラウシェンおじ様、久しぶりなの。それにイーリアス様もお久しぶりですなの!」
小柄な身体を元気良く動かしながら綺麗にお辞儀するシャンペに3人は微笑ましくなる。
「ところでおじ様達が挟んでるヒトは誰なの?」
笑顔で応えながら頭を上げ、改めてアルマと劉玄の両脇に後ろ向きで抱えられたエレンに誰何を抱く。
「オカマイナク」
そしてやはりカタコトで合わせてもいない目線を逸らしながら返答するエレン、そんなに他人と関り合いになりたくないのだろうか。
「まぁコイツの事は気にしなさんな、それでシャンペお嬢ちゃんは部活動中かな?」
劉玄が抱えた腕で器用にエレンを小突きながら苦笑する。
「にひひー♪そうなの、今日は夕方からの活動の為の準備なの!」
と、シャンペは胸の前で手を組ながら人好きする笑みで揚々と答える。
「部活?このお店でかい?」
当然、未だにフローラ女学院の全てを知る訳では無い斗真は疑問を浮かべる。
シャンペが出て来たのは何ともファンシーな看板を掲げた2階建ての小振りな建物。
材質は周囲の建築同様、白い石造りの壁と材木骨子の家。
明るいオレンジ色の屋根には煙筒が生え、窓から覗く内装はピンク一色と言っても過言では無い飲食店らしきモノ、しかしシャンペそして劉玄は言った、部活だと……であれば如何なる活動内容であろうか?気になるのは小説家としての性かはたまた野次馬根性か。
「バレ~部なの」
「バレー部?」
「ああ、うん、そうね…(キャ)バレー部なんだよね、此処」
シャンペが笑みのまま答えれば、現代日本人の斗真からすれば一体何処に球技と関係があるのかと訝しげな声が溢れ、劉玄は間違っちゃいないなとばかりに微妙な歯切れで同意する。
実の所この中年、暇を見付けてはちょくちょくキャバレー部に客として入り浸っているそこそこの常連なのである。
国許か隣のアルマに仔細が知られれば仕事をしろとツッコミが入るだろう事は間違い無い。
そして幸運な事に看板のCabaretのCaの文字が店の育ち過ぎた観葉植物の手により絶妙に隠されている。
「ダウヒッチストリートにこんな店があったんですね。僕もこの街に来てそれなりに経ちましたが知りませんでした」
アルマは純粋に感心している。彼は街を巡回する際に、今までシャンペ含めた部員と遭遇する事が幸運にも無かったのである。
しかしシャンペがそこに爆弾を落とした。
「よかったら先生もイーリアス様も今度一緒にどうぞ!サービスしますなの♪」
キャバレー部エース部員、妹にしたい魔女No.1の発言に劉玄、目玉を飛び出さんばかりの衝撃を受ける。同時に冷や汗が大量に流れ始める。
「ん、まぁ機会があったらね」
「ですね。その暁には是非ともお願いします。後、その様に畏まらなくても…アルマと呼んでくれて良いですよ?」
何となく察した斗真は短く返すが、気付かないアルマは純粋に好意として受け取り、シャンペが先程から畏まった呼び方をしてくるので、それも提訴する。
「わぁ!ありがとうございますなの!その際は当店のご来訪是非お待ちしてますね♪」
劉玄がエレンを引っ張る力を強める、話しは済んだのだから早く行こう、今すぐ行こう!とばかりに足を勇む。
「さぁ行こう!直ぐ行こう!超行こう!早くしないと掘り出し物とか失くなっちゃうよ!?」
「痛デデデデ!!?オッサン加減しろ!?痛いんだよ!!」
「どうしたんですかラウシェンさん?いきなり?」
引っ張られるエレンは悲鳴を挙げ、理由が解らないアルマは疑問符を浮かべながら取り敢えず言われた通り進むのであった。
「あ、あはは…」
後ろに付いていく斗真は只々苦笑するのみである。
━ロランパーク・ガラクタ市━
ダウヒッチストリートを抜け、先日のsupernovaによるオルケストラが行われた噴水が見える広間に市場のテントが所狭しと建ち並んでいる。
「到着です!此処がロランパークで定期的に開催される市場、ガラクタ市です!」
アルマがどうですか?どうですか?と態度で示す様は犬のよう、獅子なのに犬とはこれ如何に?
きっとドルトガルドの亜人の生徒サルサとも仲良くなれるだろう。
ガラクタ市は広場の噴水から少々距離を空け、展望エリアへ続く道程の途中、整理された芝や草木が生い茂る十字の交差路を囲う様に拡げられている。
噴水広場手前側から本や花が覗き見える事から本当に色々な物が売られているらしい。
「凄いな……!ここまで盛り上がっているなんて、確かにこれなら色々面白いモノが見付かるかも………うん?」
感心の息を吐きながら市場を見回すと見知った緑色の頭を見掛ける。
「もしかして……リネットちゃん?」
3人から先行して見掛けた人物へ声を掛けると、少女はビックリしたのか身体をビクッとさせた後、顔の眼前に近付けて広げていた本を下げ、恐る恐る声を掛けて来た相手たる斗真に振り向く。
「と、と、トーマさん?!いえ…先生!!?」
何やら見られてはいけない場面に出会したのかリネットは矢鱈滅多ら慌てふためき本を後ろ手に腰の辺りに隠す。
「あー、取り込み中だったかな?なんかゴメンね?」
言うなれば母親が息子の粗相の最中、ノックも無しに部屋に入って目撃してしまったかのような気分となりゆっくり後ろに下がろうとする斗真。
「い、いえ!ち…違うんです!!?まさかこんな所で先生と会うなんて私思ってなくてだから違うんです!誤解しないでください!!?」
顔を真っ赤に染めながら必死に捲し立てるリネットに少々気圧される。
助けを求めて3人を見れば、ニヤニヤ嫌らしい笑みを浮かべるエレンと、悪ノリして面白そうだからとアルマを足止めしながら同じくニヤける劉玄。
(ちょっとぉぉぉぉお?!)
心中にて非難混じりの悲鳴を挙げながら天に助けを乞う斗真、それを聞き届けてくれたのか、横合いから別の少女の声が掛かる。
「もぉ、リッちゃんってば勝手に先に行っちゃダメだってば!」
ぷりぷりと頬を膨らませながらリネットを批難する小さな背丈に大きな双丘を持つ金髪ツーサイド、ラヴィが腰に手を充てて其処に立っていた。
「ラヴィさん!?す、すみません…」
「アシュレイもティアちゃんもロゼちゃんも勝手にどっか行っちゃうしさぁ…って、トーマ先生じゃん!先生も買い物に来たの?ってオジサン達誰?」
リネットに愚痴を溢しながら斗真、そして彼の後ろに佇む3人に気付き漫画の様な仕草で首を捻るラヴィ。
「あはは…どうもラヴィちゃん。実はね──」
「ふ~ん先生、ガッコーの先生用の寮に住むんだ。ならさ、あたし達と一緒にみんなを探すついでにまわろうよ!」
ナイスアイディアとばかりに指を鳴らすラヴィ、その思い付きの衝動ままを行動に移す才は正しく十代が若さの特権である。
「良いんじゃないかね?オジさんも野郎ばかりでむさ苦しいと思ってたし、お嬢ちゃんの好意に甘えようよ斗真ちゃん」
「陳さん……、あー、それじゃあお言葉に甘えてよろしく。ラヴィちゃんリネットちゃん」
「やった!これで楽にみんなを探せる~!」
「ラヴィさんったら…」
斗真の返事にはしゃぐラヴィと苦笑するリネット、斯くして4人の男と2人の少女はガラクタ市を共に巡る事となった。
噴水広場から数えて正面の本屋、時計屋、グリフィン工房なる工房、対面の店は花屋、スナック菓子専門店、ケーキ店と来て一行は見知った顔を見付ける。
「あれ?メアちゃん?」
いの一番にラヴィが少女の名を呼ぶ。
「ひゃい?!…あ、ど……どうも」
ベリー社と銘打たれた店舗のテントにポツンと座るラヴィよりも小さな少女、メアリーベリーが恥ずかしそうに挨拶をする。
「こんにちはメアリーベリーさん、こんな所で会うなんて奇遇だね?」
シャンペに続きラトゥーラと共に居た印象的な少女との再会に会釈をする斗真、メアリーベリーはそんな見知った顔、見知らぬ顔の混合集団の視線に晒されてか大慌てで椅子の下から何時も首に架けているボードを取り出す。
「せ、先生…『久しぶりだな!( ・ω・)ノ』」
辿々しい肉声の後に自信に満ちた電子音声が続く、何時ものメアリーベリーだ。
「何とまぁ、面白いお嬢ちゃんだ」
「確かにユニークなアイテムです!」
劉玄とアルマはメアリーベリーのベリーボードに関心の目を向けマジマジと少女を眺める。
「あ…あぅ…ぅ…『そんなに見られると恥ずかしいぜ(///∇///)』」
「はーん、ナルホド…チビちゃん、ベリー社の関係者だったのか………、!!」
エレンも自身が護衛を引き受けた人物の友人が名高いマジックアイテムで有名な会社の人間と知って感嘆すると共に何かを思い付く。
「おい小説家、耳貸せ!」
そして何を企んだのやら、斗真の側に近寄り耳打ちを始める。
「え?何、急に?」
「アホ、もう少し声を落とせ」
急な事であった為、つい素で返してしまったら頭をひっぱたかれた。
「お前、デゴスピ貰ったからガトホじゃなくてスマホのまんまだよな?」
「まぁ…クロエさんもスマホがあるなら大丈夫って言ってたし」
エレンが改めて小声で会話を振るので此方も合わせる斗真、途中出たデゴスピやガトホやらの単語は恐らくディアゴスピーディーとガトライクフォンの略称だろう。
さて、エレンの話を要約すると──
1.アルマも劉玄もスマホの知識が無いので、ガトライクフォンと普通に通話が出来ると思っている。
2.そもそも現代なら未だしもこの異世界では電波が飛んでないので普通のスマホの通話機能は使えない。
3.故にクロエもその事を知らずガトライクフォンを渡さなかった為、もしもの場合、斗真に緊急の連絡が取れない。
4.最初はエレンが余ったガトライクフォンか、ガトライクフォンに搭載されたスマホで言う所のSIMカードを入れて無理矢理対応しようとしていた。
5.しかし万が一不備があると困るし不必要にガトライクフォンを減らすと叱られるので悩んでいた。
6.ベリー社はマジックアイテムの大手、そして目の前の少女は個人でボードの様な高性能アイテムを自作出来る非凡な才能の持ち主。
「つまりはお前のスマホをチビちゃんに渡せば、あら不思議!あっという間にこの世界でも自由に通話出来て、ついでにゲームも出来る様になるかもしれないぜ?」
肩に腕を回したエレンがニヤリと笑う。通話は兎も角ゲームは無理じゃないかと思いつつも、そう言えば結局スマホの件が話せていなかった斗真には渡りに舟な話ではある。
「確かに、結局スマホに教えて貰ったアドレス?を入れて電話してもそもそもアンテナ立って無かったし、君の言う通り彼女がスマホを此処でも通話出来る様に改造してくれるなら有難いけど……」
果たして生徒にそんな真似をさせて良いものだろうかと考え込んでしまう。
「かっ!お前も真面目だな。案外、チビちゃんノリノリでやってくれるかもだぜ?」
仔細は話終えたと言わんばかりに、声量の大きさを戻して喋るエレン。
そうこうしている内にラヴィ達は世話話を終えた様で2人に声を掛けてくる。
「先生ー!次に行こうよー!」
「ゴメン、ラヴィちゃん!俺はちょっとメアリーベリーさんと話があるからみんなで先に行ってて!」
「オレも残るわ。コイツのフォローしなきゃならんし」
斗真がラヴィに手を合わせ謝罪すると横合いからエレンが更に口を出す。
その物言いにフォローされんのはお前さんじゃないのか?と劉玄は思った。
そして、いきなり名前を出されたメアリーベリーはメアリーベリーでビクッと震える。
彼女も往々にして人見知り、引き隠り、コミュ症と言う三拍子が揃った人物である為自身の名が飛び出た事に酷く驚いていた。
「な、なんですか…?!『先生はもしかしてソッチの趣味なのか!?(;゚Д゚)』」
「うん違うよ?取り敢えず落ち着こう?深呼吸して」
4人が斗真の意図を汲んで離れたのを見計らってメアリーベリーが口を開くととんでもない事を宣ったので訂正しておく、ついでに彼女に落ち着くように言い聞かせる。
数度の深呼吸の後、落ち着きを取り戻したメアリーベリーが斗真とエレンを交互に見やる。
「あの…メア……わたしに何か用ですか?」
か細くもボードに頼らない真摯な声が斗真の耳に届く。
「何時も通りの喋り方で良いよ、実はね、メアリーベリーさんに見て欲しいモノがあるんだ」
対して斗真も彼女を怖がらせない様に優しく語りかける。
そして取り出したるは自身のスマホ、電源を入れて小さな発明家に渡す。
「これ……!?『おいおい!?ナンだよこの不思議アイテムは?!!!!(゜ロ゜ノ)ノ』」
本人からは困惑と好奇心の声、ボードからは驚愕と説明を求む声が飛ぶ。
「それはスマホ…スマートフォンと言って……簡単に言えば遠く離れた人と会話が出来たり景色とかを残せたり、音楽を聴けたりするツールなんだけどね」
斗真が簡単にスマホの機能を説明する。
「スマホ……『先生はこれをどうしたいんだ?(´・ω・`)?』」
「うーん説明が難しいんだけど……この世界じゃ電話…つまり離れた人と通話する機能が使えなくて……後充電もちょっと厳しいかな」
概要を聞いたメアリーベリーが自分に何を求めているのかを訊ねると斗真がしどろもどろになりながら、理由を述べる。
「要はチビちゃんの才能を見込んで、コイツをこの世界でちゃんと使えるようにして欲しいんだよ。そうだな……
エレンが珍しく真っ直ぐメアリーベリーを見詰めながら斗真の言葉を補足して助け舟を出す。
何より本来秘奥のガトライクフォンまで取り出してだ。
「コレ…似てる…?!『兄ちゃん何モンだ?(-ω- ?)』」
「通りすがりの引き隠りだ、憶えなくて良いぞ」
メアリーベリーからの誰何に何とも締まらない答えを返すエレン。メアリーベリーは暫し考え込む様にブツブツと小さな声で何事か呟くと決心したのか2人を正面から見据える。
「ま…、任せて、下さい……一週間、ううん……三日で何とか…してみます…!『バリバリだぜ!( ・`д・´)』」
メアリーベリーとベリーボード、双方の顔がやる気に充ち溢れている。
「三日、まぁ妥当な所か?」
「十分過ぎる。もっと時間が掛かっても大丈夫だからね?」
メアリーベリーの答えにエレンはどうだと斗真に視線を寄越せば、無理をするなと少女を諫める。
しかし小さな発明家は俄然やる気の様で直ぐにでも作業に取り掛かりたくて仕方がないと言った様子だ。
「ま、これなら大丈夫だろ。さて、オレは帰る……と言いたい所だが、折角のガラクタ市だ何か買ってくとしよう。それに今バックレるとアイツらが煩いしな」
「ははっ、ならみんなと合流しよう。それじゃメアリーベリーさん、宜しくね?」
エレンが今帰宅するのと皆で帰宅する状況を想定してリスクが少なそうな方を選ぶと、何だかんだ付き合いが良いなという笑みが出る斗真、最後にメアリーベリーへ労いを掛ける。
「が、頑張り…ます!『ベリー工房の真髄を見せてやる!(>ω<)/』」
少女のその言葉を背中で聞き2人はラヴィ達の元へと向かった。
それから暫くして、ラヴィ、リネット、アルマ、劉玄と合流を終えれば、既にアシュレイが加わっており、一体この生真面目そうな少女が何処に居たのかと訊ねようとすればラヴィが口を開こうとした所をアシュレイが必死に誤魔化して塞ぐという珍事があり、割りと見慣れた凸凹コンビの何時もの喧しいやり取りが繰り広げられ、その一方でリネットが再び本の虫となり、すぐ側の小さな露店の本屋で品を漁っていた。
「これは…!絶版になった魔導書!!こっちは異国の初版本!!?」
目を輝かせて次から次に本を手に取る少女はそこであるモノに気付く。
「………えっ?これって………!」
本とは思えぬ小ささにしかし確かに本であると確信させる存在感。
コバルトブルーの表紙に何やら少年らしきキャラクターが夜空を飛ぶ様なイラスト、タイトルの文字は英語の綴りで"PeterFantasista"と書かれている。
それは、そう…正に己の背後でルームメイト達を止めようと四苦八苦する新任教師が持っていた赤い本と同様の【ワンダーライドブック】と呼ばれる物でであった。
To Be Continued…?
前編はピーターファンタジスタが影薄いって?仕方無い、メアリーベリーにスマホを預ける下りはやっておきたかった。
実際、Twitterで更新された情報にメアがスマホを元に製作したベリパことベリーパッドが登場しましたし…。
そろそろ宇宙船も最新号発売してくれないかなぁ、セイバーの情報もだけどゼンカイジャーの情報も公式ネット以外でも確認したい。
キラメイジャーまさかのシンフォギアコラボですよ、しまりんヨロシク目玉が飛び出ました。
装甲娘戦記、私は好きですよ、あの感じ。
ブルボンの勝負服姿のレースが見れて満足、バカコンビのやり取りはツボりました。
救いはないんですかbotと化したドトウちゃん、ストーカーと化したライスちゃん、勝負服で手を振ってたタンホイザの雰囲気完全にほわんちゃん。
史実同様、結局走れなかったオグリパイセンの今週のヤンジャン。
からのショバスタ、シンガンキャンセルは笑わせて貰いましたよ。
ではまた次回