炎炎ノもこたん   作:片腕仙人

3 / 3
新人大会です


3話

さあ!始まりました第何回だか知らない消防官新人大会ッ!実況はわたくし藤原妹紅、解説もわたくし藤原妹紅でお送りいたします。

各隊、一斉にスタート皆さんいいスタートダッシュです。

 

 

なんて....実況することになるもんかと思ったけど別段そういった訳じゃなかった。なんでも屋の仕事で消防官に協力してくれって言われて二つ返事で承諾した。新人大会のお仕事ですって言われて実況とかそういうことかと思えばまさかまさかの救助者役って....。

 

死ねない私への当てつけだろうか?まあ、仕事は仕事、立派に救助されてやりましょう。んー、まだ始まらないのかな?結構待ってるんだけど....ちょっといきなり煙くない?

 

「あんたもそう思うだろ?てかあんたのせいでだいぶ煙たいんだけど」

 

「ほぉ....気がついてたか、いい反応だな男オンナ」

 

突然現れた片眼を隠しハットを被った長身の男。

 

「だからッ!私は男じゃないって....あれ?一応女って分かってるのか?でも素直に喜べないこの気持ち、頭に余計なものがついてるからか」

 

ところでこんな人いたっけか?新しい焔ビト役だろうか....なんて冗談言ってる場合じゃないかな。さっき会った焔ビト役の人がいつの間にか倒れて足元に転がってるし、死んではいない気絶しているだけ。

 

謎の男は咥えたタバコの炎を操りカードの様なものを作り出し一瞬にして距離を詰め妹紅へと斬りかかる。ちょっとッ!?いきなり!?

 

「おっと!いきなり斬りかかってくるなんて酷くない?ほら私はか弱い女だし、お互いに自己紹介ぐらいしてからでも良くない?私は藤原妹紅、なんでも屋と焼き鳥屋をやってる。以後お見知りおきを」

 

「ンン....何がか弱いだ、か弱いヤツが俺の攻撃を避けれるわけねぇだろ。それに焔ビトに抱きつくのもなんでも屋の仕事だったのか?男オンナ」

 

あちゃー、見られてたかぁ....あれ。いや、あの時なんか視線感じるなあって思ったけどコイツだったわけね。

 

「んー、どう思う?目隠し男」

 

「ふっ...まあいい、目的のヤツはまだ来てねえしそれまでお前で暇を潰すか。せいぜい俺を楽しませてくれよォ..男オンナァ」

 

そう言い男は小さな小瓶を取り出し構える。構えた小瓶から砂や灰のような細かな物が宙を舞い妹紅の上半身にまとわりつく。

 

砂...?いやでもこんなに意思を持つみたいに飛ばせるってことはあいつの能力かなんかだろう。ここは避けておくべきだろうけど..あえて避けない。

 

妹紅へとまとわりついた砂のようなものはパチパチと光ったかと思うといきなり爆炎をあげ爆発を引き起こした。妹紅の上半身は完全にその爆炎に飲み込まれてしまった。

 

「なんだよ....暇潰しにもならねェのかよ、期待はずれ....ほぉ」

 

爆発で起きた煙が晴れるとそこには先程と変わらぬ様子の妹紅がなに食わぬ顔で立っていた。だがよく見てみるとシャツの端が焦げて黒くなっている。確実に爆発を受けたらしい。

 

「まったく、またシャツが焦げたじゃないか。新しいの用意するのも大変なんだぞ!それにこれ結構痛いからやめてくれない?この程度じゃ死ぬことも出来ないしさ」

 

「んふふ♠️、そうらしいな。これはあっちのために残しておいてやるか」

 

再度、カードを取り出し構える目隠し男、それに合わせて妹紅も手を伸ばし手刀を作り構える。一瞬の静寂、その次の瞬間二人の姿が掻き消えガキンッ!と金属同士がぶつかり合うような音が響く。それが数回連続し空中では火花が舞っている。

 

一際大きな金属音が聞こえるとそこには手刀と燃えるトランプでつばぜり合いをしている二人の姿が。

 

「おいおい、どういう能力だよ。素手で出せる音じゃねえだろ」

 

「そっちだって紙で出せる音じゃないだろ」

 

「はぁ..かもなぁッ!!」

 

カードを反らし妹紅の手刀を受け流し蹴りを放ってくる。それを空いている反対の腕で防ぎ反撃しようとしたが男の方が速く妹紅の顔面めがけ殴りかかる。

 

「ぐっ!....痛ッ!」

 

だが妹紅もやられてばかりではない。殴られた反動を利用し身体を回転させ裏拳を繰り出す。だがギリギリのところで宙返りで避けられてしまう。男は宙返りと同時に数枚のトランプを放っていた。そのトランプが妹紅の肩、腕、脇腹、顔を切り裂き辺りに鮮血が飛び散る。だが驚いたのはトランプを放った男の方だった。

 

「....!、結構深く切ってやったと思ったんだがなぁ..それがお前の力か?」

 

切り裂かれたはずの深い傷からシューシューと煙が立ち上ぼり一瞬にして元の傷ひとつない肌に戻った。

 

「私のこれは力というよりも呪いって言った方が正しいかな。....それに私だってやられてばかりじゃないよ」

 

そう言って胸の辺りをトントンと叩いて、見てみろよと促してみる。男はゆっくりと胸元を見て深いため息をひとつついて顔を上げる。

 

「はぁ....ネクタイを切るのは酷くないか?結構気に入ってたのに」

 

「そう言うそっちだって女の私の顔おもいっきりぶん殴ったしシャツも焦がして肌まで切ったじゃないか。血って結構落ちにくいんだぞ」

 

たくっ、このシャツは捨てなきゃ駄目そうだ。それにしてもこの目隠し男普通に強い。お互いに本気じゃないのは分かってるけどさっきの裏拳の時にどさくさ紛れに放った手刀。あれおもいっきり肌まで切るつもりでやったのにネクタイしか切れなかった。きっちり反応しやがるとは抜け目のないヤツだよ本当に。

 

それにあのトランプ硬すぎない?私も妖術で手刀を硬化させて受けてたけどめっちゃ痛かった。あれ紙じゃないよ鉄かなんかだよ。

でもやっぱりお互いに本気じゃないってこともあってか一回も殺されはしなかっ――――

 

「なにボーッとしてんだ、よっと!」

 

「ん..?あっ....」

 

いつの間にか放たれていた一枚のトランプ、今までの物とは違って速度がまったく違う。まるで弾丸のように妹紅へと一直線に向かっていき深々と胸の中心へと突き刺さる。だが突き刺さるだけでは終わらなかった。刺さってもまったく速度は衰えず肉を切り裂き妹紅の背中を突き破り壁切り裂き漸く止まった。

 

身体の中心を貫かれた妹紅の身体はぐらりと傾き崩れ落ちる。床に倒れ伏し赤い水溜まりを作り出しピクリとも動かない妹紅。あまりの呆気なさに男も一瞬戸惑った様子。だがすぐに再起動し妹紅へと近づき脚で頭を小突く。

 

「お~い、男オンナ?お~い、死んだのかァ?んだよ折角こっから面白くなって来るって時に....」

 

「悪い悪い、ちょっと油断した」

 

「うおっ!?」

 

背後からいきなり声をかけられとっさに距離を取る目隠し男。声をかけてきたのは長い銀髪に深紅の瞳、床に倒れている人物とまったく同じ容姿の妹紅本人だった。

 

「おいおい、どんな手品だよ」

 

「あー、ちょっと目隠しの旦那?足元、気をつけてくれない?私のこと踏んでるから」

 

「ふーん....確かに死んでんだよなぁ..」

 

ゲシゲシと死んだ妹紅を足蹴にする目隠し男。

 

「ああっ!?ちょっと本人の目の前で蹴るなよ!ちょっ!やめろって!!死体蹴り反対!!」

 

「まあいい、お前にかなり興味が湧いた。このまま本気で殺してみてもいいんだが今回はそれが目的じゃねェからな。これまでにして....ああ?死体はどこ行きやがった」

 

「ああ、それはすぐに崩壊して消えるけど?」

 

そう言って旦那から拝借したタバコを咥えて指先で火を着ける。なんだろう、目隠しの旦那がものすごく何か言いたそうな目でこっちを見ている。そんな目をされても魂が失くなった脱け殻みたいなもんだしそりゃ消えるさ。むしろ今回は結構な時間残ってたよ。タバコの事だったらいいじゃん一本くらいさ。

 

そう思っていると通路の方から人の気配がした。どうやら既に新人大会は始まっていたらしい。現れたのはかなり見覚えのある人物だった。そう、最近組手をしてあげたようなそんな人物。

 

「あっ、あんた!なんでこんな所に!」

 

「おー、シンラくんじゃないか。ちょっと助けてくんない?なんかこの変な人に殺されそうでさぁ」

 

「よく言うぜ、この男オンナ....まあいい、ちょうど目的のヤツも来たことだお前は退場してろ」

 

そう言って私の足元めがけ飛んでくるトランプ。数歩下がるだけで避けれるほどの適当さ。これは本当に、邪魔するなよって意味らしい。そっちがその気なら邪魔はしないよ。ただ私から見て止めないといけないと思った時点で本気で止める。

 

 

そうこうしているうちに何故かシンラと旦那が戦いだした。でもだいぶ旦那が手加減してる。これなら問題――うわっ!?

 

いきなり目の前が爆発して吹き飛ばされてしまった。とっさに腕でガードしたのはいいもののやっぱり痛い。どさくさに紛れて私に攻撃してくるのはやめてくれないかなぁ、目隠しの旦那。

 

「あんた平気か!」

 

「あー、平気平気。ちょっと驚いただけ」

 

「俺よりそっちが気になんのか、やっぱり完全に殺しとくべきだったかもな」

 

やめて?死ねないから。でも殺れるんなら殺ってください。絶対無理だとは思うけど。そこからも旦那とシンラの戦闘は続いていった。今はちょっとお話タイムってところ、ん?また人の気配?

 

「..ゆっくりし過ぎたか、邪魔がきだしたな。最初から邪魔はいたがな」

 

やって来たのはアーサーと水着みたいな服のツインテール女子。

 

「待たせたな焔ビト役、ん?白銀の人鳥も焔ビト役だったのか」

 

なんで私を見たら問答無用で焔ビト役なんだよ。救助者って可能性もあるだろうに。コイツなら自分の身くらい自分で守れるだろうって判断なのかもしれん。

 

「アーサー、競技施設内に不振人物が侵入。危害を加えられた一名の隊員、一般市民が負傷!外の隊長に報告しろ!」

 

シンラにそう言われたアーサーは何を思ったか旦那に斬りかかる。旦那は完全に見切ってポケットに手を突っ込んで避けている。私もあれは出来るな。

 

「その剣を振り回してどう俺を捕まえる気だァ?こっちは二人いるんだぜェ?」

 

旦那?ちょっとおかしくない?あんたは一人でしょ。今私も数にいれたよね。

 

「私を忘れるんじゃねぇぇぇ!!」

 

炎の耳みたいなものと尻尾の生えたツインテール女子が尻尾の炎で旦那を拘束。ついでに私も拘束。だからおかしいって、私は救助者何だって....旦那のせいだぞこれ。旦那はあの粉みたいなものを使ってツインテール女子へ攻撃、それをシンラが間一髪で助けた。そのお陰でこっちの拘束も解除された。

 

「シンラ、お前がヒーローにこだわるんならここにいる全員助けて見せろ。アイツは助けなくてもいいがな。じゃあなぁ、悪魔お前がその気ならこのジョーカーの仲間に入れてやる。お前もな、なんでも屋」

 

旦那、ジョーカーはそう言い残し煙で 『Bye』 と書き残し暗闇へと消えていった。あの灰だか砂だかよくわからないものを部屋全体に充満させて。なんて迷惑なヤツ。

 

この粉の正体を知っているシンラの行動は速かった。アーサーに天井をくり貫かせあのツインテール女子が天井を押し上げ逃げ道を作った。

 

「おいっ!!あんたも速く捕まれ!」

 

「あー、私はいいや。別の出口知ってるし、それより速く行きなよ。爆発するよ」

 

私はシンラの誘いを無視してジョーカーの消えていった方へと歩いていく。別に出口があるわけでもジョーカーに助けを求めるわけでもない。こっちの方が楽だからってだけ。

 

 

あー、でも今回の依頼はタダ働きになりそうだなぁ....それは残念。それにしてもいくら油断してたといっても殺されるとはねぇ。随分久々に殺された気がする。まあ一回だけだったけ――

 

部屋に充満した粉が一斉に爆発、超高熱の爆風と爆炎が部屋中を駆け巡り妹紅もついでといわんばかりに飲み込んでいく。

 

 

 

結果、妹紅はジョーカーに計二回殺されることになってしまった。しかも報酬はゼロ。今日は散々だと死にながら思う妹紅だった。

 

 




ラッキースケベはできなかったよ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。