ドラゴンボールZ──宇宙の危機!極悪人統一決定戦──   作:SHV(元MHV)

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予約投稿を超久しぶりに使ってみるのです。
失敗したらめんご!


その② 管理者/蟲毒

この宇宙とはなんと不安定(もろい)ものなのだと、かつて“神”であった私は思った。

 

容易く星を砕くほどの力を持つ者らが際限なく現れ、半端な知恵をつければ、あるいは他の星を侵し、滅ぼし、その領域を拡げていく。

 

管理すべき神々の力も大したものではない。そも神とは、()()が現れるまではせいぜいその星において最も強い者に与えられる、単なる称号に過ぎなかったのだから。

 

……それを連中──宇宙の管理者を自称する一族である芯人らが界王を名乗り、神を名乗る者達を自らの傘下として治め始めた。初めの内はそうおかしいことはなかった。これまでと同じように、強い者による一時的支配に過ぎないと、誰もが思っていた。だが連中は思い上がり、宇宙を管理し始めた。神々として相応しい心をと、神を任命するのを各銀河を管理する界王らに一任したのだ。

 

──これが間違いだった。界王の一人一人がどれほど優れていようと、すべての星々を管理することなど叶わない。ましてや強さなど、ほんの10年もあればあっという間に世代交代してしまう星さえある。さらには神となった者は常より長寿たる権能を界王らによって与えられ、これによる弊害が各宇宙で起こり始めた。

 

するとどうしたことか。

 

界王らは自身らが崇拝する宇宙の意思に肉体を与え、幼子と変わらぬ理性を持つ宇宙のリセット装置たる全王を生みだした。しかもそれによる宇宙全体の崩壊を防ぐため、奴らは宇宙そのものをいくつもの宇宙へと切り分け、さらにはその力をいくつにも細分化し、宇宙をも破壊する力を持つ神──破壊神と、それを創りあげる天使をも創り出した。こうして無数に増えた宇宙において、界王や神が対応できない存在は破壊神によって()()されることとなった。

 

無論、破壊神自身の力は強大過ぎた。しかし芯人らは暴虐と呼べるほどの力と引き換えに、彼らが暴走しきらぬよう一部の界王とその命を対にさせた。これが界王神と呼ばれる者達の最初である。

 

わたしはこれが、これら全てが許せなかった。

 

宇宙を混沌に戻したいだなどと、そんな大それたことを考えているわけではない。だが、連中による支配はあくまで界王を名乗る芯人による支配を前提としたものだ。

 

より強い者が生まれることそのものを防ぎ、さらには自らが管理する枠組みに入れようとする。かつてこれほどの暴虐がありえただろうか。

 

私は長い時間をかけて、僅かにそのことに賛同してくれた神々と協力し、その中でも龍神と呼ばれる男──ザラマと協力し【願い玉】なる超越具を創造した。宇宙の法則そのものへ介入するこの力を使うことによって、私は全ての破壊神に休眠期を設けることは叶えられた。だが破壊神そのものを消すことも、全王を元の宇宙意思に戻すことも出来なかった。しかも我々の企みを知った天使らは、二度とそのようなことが出来ぬよう、星ほどもある願い玉の半分を別の宇宙へと運んでしまった。

 

だが私自身は絶望しなかった。私とザラマは破壊神によって破壊されてしまったが、この事態を予測していた私は私自身の記憶を地球という星に残しておいた。銀河の辺境、それも強さという点においては到底界王達が興味を抱かぬであろう程度の星だ。

 

やがて私の記憶を継承した者と一つになり、再び新たな神となった私は今度こそ失敗せぬよう、長い時間をかけることにした。無論、直接芯人らの支配に反旗を翻せばあっという間に破壊神による破壊が待っているだろう。記憶の継承がばれてしまえば、それ自体を壊されてしまいかねない。奴らに抵抗するには、長い、長い時間が必要だった。その長い時の流れにおいて、一度は地球を失わぬ為界王らに警戒されかねないほどの強さを持つ英雄を育てたが、彼は星を襲った脅威と相打ちとなり今ではあの世における達人となっていると聞く。

 

彼からすれば私は師にあたるが、その体の使い方、気の使い方から私を推測することは大界王を名乗るあの男ですら適うまい。

 

やがて地球の神となって数千年が過ぎた後、他の星より飛ばし子が現れた。私はその出会いに運命を感じた。何故ならば、その者はかつて私と共に芯人らの支配に立ち向かったザラマの子孫だったからだ。

 

自らの名も知らぬ幼いナメック星人。私は彼を育てる為、敢えて悪の心を持った魔族の者と競わせ、その内にある悪の心を刺激し、やがては二人に分かたせた。

 

そうして生まれた善の心を持つ神、と言えば聞こえはいいが、そも本来彼の心にあった大きな感情は寂しさだ。ゆえに大魔王を名乗る分身自身も星を壊すようなことはせず、自らを捨てた次なる神である分身に自らの存在を示し続けるような態度を取り続けた。

 

とはいえ、そのままではいずれ星は疲弊してしまう。なので私は地球人の男に前もって封印術を教えておいた。思惑通り、彼の実力では命と引き換えとなったものの、次なる神はその半身を封じられ、神としての役割を黙々とこなすこととなった。

 

私が彼を、カタッツの子を名乗る彼を神とした理由はただ一つ。新たな願い玉──ドラゴンボールを作らせる為である。

 

 

 


 

 

 

 

「……蟲毒、だな」

 

抑えた声量で、岩陰に身を潜めながら付き従うガーリック三人衆へ、今起きている現状を自分なりに分析した結果を独り言ちる男──ガーリックJr.。

 

二度に渡る戦いに敗れ、本来であれば不老不死であることから未来永劫デッドゾーンにいる筈の彼が何故ここにいるのか。それは彼自身知りたがっていることでもあったが、恐ろしい力を持つ者達が無数に入り乱れて戦う様を見て、思わずそう呟いてしまっていた。

 

「ガーリックJr.様、ここはまさか地獄では……」

 

見た目とは裏腹に不安そうな面持ちで語りかけるのは、ガーリック三人衆において最も巨漢であるサンショだ。

 

「ふん、本来我々魔族は死後も時間さえあれば復活する。であればこそ、我らに殺された魂はあの世に行くことさえないのだ。ゆえに死んだところで我らは地獄に落ちることはない」

 

「な、なるほど」

 

サンショとは対照的に小柄なジンジャーがその答えに納得するが、だからといって地平線を埋め尽くすほどの人数が殺しあっているという光景に納得できる筈もない。身を隠しているとはいえ、大半が自分達よりも格下である連中だが、中には恐ろしいほどの力の持ち主がゴロゴロしている。

 

このままでは逃げることすらままならないだろうことは優に見て取れた。

 

「ガーリックJr.様、先ほどの蟲毒とはなんですか?」

 

比較的冷静さを保っているニッキーが、先ほどの発言が気になり尋ねる。

 

「蟲毒とは、壺の中に毒を持つ無数の生き物を閉じ込め、そこで殺し合わせて残った一匹を持って呪いとする一種の儀式だ。この空間を観察していて気付いたが、大きさは地球よりも大きいものの外へ出ることが出来ないよう閉じられている。……恐らく、デッドゾーンを介しても無理だろう」

 

デッドゾーンとは、ガーリックJr.が持つ切り札である。魔凶星という星を故郷に持つガーリックJr.は、この暗黒惑星と繋がっている亜空間を自在に開閉することが可能な能力がある。空気すらない異次元でもある為普通ならば入ることは死を意味するが、応用すれば別の銀河へと瞬時に移動することすら可能な超空間でもある。

 

今のガーリックJr.ではそれをすることは出来ないが、あるいはその方法を用いても無理であろうことが彼には理解できた。そして、同時にこの空間を作ったのが誰であるかも。

 

「ほほう、面白いことを話しているな」

 

「誰だ!?」

 

突如として響いた声に全員が戦慄する。どこか虫に似た外観を持つ()()は、先ほどまで話していたサンショの首を持ち彼の背に刺した尻尾のような部位から中身を吸っていた。

 

「ガ……!! カカ……!!」

 

助ける間もなく、苦悶の声を上げてサンショはミイラとなってその場に崩れ落ちた。乾燥しきったせいか、手足は千切れあちこちがボロボロに崩れかけている。

 

「貴様、何者だ……!!」

 

圧倒的強者。歯向かってもどうにもならないだろうことは理解しているが、ガーリックJr.はこの場において唯一優位に立てる部分があった。彼の認識が変わっていなければ、彼は不老不死のままだからである。

 

「これは失礼を。私の名前はセル。ドクターゲロによって作られた究極の人造人間だ。さて、まずは誰から吸われたい?」

 

「カッ!!」

 

閃光がその場を支配する。口腔から放った眩い光によって目潰しを行使したガーリックJr.が打ったのは、無論逃げの一手だった。不老不死であると自負してはいるものの、得体の知れない手段で封印や吸収などされてしまう可能性もある。無窮の牢獄において閉じ込められた日々は、彼に誰よりも強かな性根を与えていた。

 

「……ふん、まあいい」

 

「ゲゥッ……!!」「ギィッ……!!」

 

地平線を埋め尽くす大乱闘へと逃れていくガーリックJr.の背中を見つめながら、セルはニッキーとジンジャーの首をそれぞれの手でへし折り、ゆっくりとその生体エキスを吸いながら逃がした相手の強かさに微笑む。

 

「フム……やはりそういうことか……」

 

そして彼はこの饗宴の場において、恐らくもっとも早くここにおける“ルール”に辿り着いていた。

 

「ククククク……面白い……!! 誰が仕向けたかはしらんが、これは実に面白いぞ!!!」

 

哄笑するセルの視線は、眼下で戦う無数の亡者達へと向けられていた。

 

 

 




一人称だったり三人称だったりするのは気分。
そしていきなりのネタバレである!!わかる人には今回の黒幕が速攻でわかったはず('▽')

あ、界王とか全王に関する設定はわたしが帳尻合わせるのに妄想したオリジナル設定ですので公式ではありませぬ。
「俺の宇宙では鳴るんだよ」理論ですのであしからず。
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