ドラゴンボールZ──宇宙の危機!極悪人統一決定戦──   作:SHV(元MHV)

3 / 16
断言しよう……!
チェックしたけど誤字があると……!!

あったらごめんなさい(笑)


その③ 凶気と狂気

何も言わずとも殺しあう者達。

 

原初の混沌を思わせるその光景に、言いようのない嫌悪と美しさを感じながら、“彼”は頃合いだろうと声をかけることにした。

 

『お集りの諸君らに告げる』

 

突如として脳裏に響いたその声に、幾人かの動きが止まる。無論、それでやられてしまったものもいたが、この程度で倒されてしまうならばどの道このあとも生き残ることは出来ないだろう。

 

『この()()は、諸君らの魂を閉じ込めたことによる“存在の圧力”で構成されている。言われずとも実行していることから既に気づいている者もいるだろうが、相手を倒した際に力の昂ぶりを感じただろう。それは諸君らの仮初の肉体に、相手の“魂の力”が宿ったことを示すものだ。私はここに集めた諸君らの力に可能な限り差がないよう調整したつもりだ。一部例外はあるが、それでもより多くの魂の力を取り込むことが出来れば、あるいはかつて以上の力を手にすることすら出来るだろう』

 

一方的な宣言に、怒号を上げる者。殺意を向ける者。興味を向ける者。

 

もちろん、それらを意に介す“彼”ではない。

 

『生き残ったただ一人の存在には、再び現世へと復活する権利を与えよう。無論、ここで手に入れた力はそのままにな。さあ戦え、戦うのだ。自らの存在を証明する為に……!』

 

声はそれきり沈黙し、誰からの声に応えることもなかった。

 

そして、その声に従い早速行動に移した者がいた。

 

「な、なにをするんだターレス……!!」

 

ついさっきまで共闘していたかつてのボスによる裏切りによって、彼に背を向けていた者達5人の内4人までもが一瞬で倒されていた。肉体が仮初のものであるから、“魂の力”の核となる部分は心臓の位置に存在していた。そこを壊されれば、彼らは一瞬で絶命する。これは再生能力を持つ者や高い生命力を持つ存在との差が出来ぬよう施された措置だった。

 

先ほど“声の主”は力の差は可能な限り失くしたと言っていた。だが彼は──ターレスはそんな亡者の中における数少ないイレギュラーの一人でもあった。とはいえ当初その差はほんの僅かに過ぎなかった。しかしサイヤ人の血がなせる本能か、“魂の力”が取り込めることに気づいたターレスは積極的に亡者達を殺し、既にその差はかつてと比しても圧倒的なほどに開いていた。

 

「なあに、殺せば殺しただけ強くなるっていうなら、さっきまで殺しまくってたお前らをまず殺した方が、強くなるには手っ取り早いだろ?」

 

「お、お前……! まさか最初からそのつもりで……!!」

 

狼狽するダイーズが唯一生き残れたのは、あくまで攻撃の順番によるものだ。腐ってもクラッシャー軍団として数多の星々にて繰り広げた実戦経験が、致命傷を避けていた。

 

しかし、ターレスによってもがれた腕を取り戻す方法は今の彼にはない。

 

「ククク……地獄にしちゃ変わった趣向だと思っちゃいたが、まさかこんなチャンスが巡ってくるとはな。ヤツの言葉を鵜呑みにするわけじゃねえが、そんなことで強くなれるなら神聖樹の実を食うよりよっぽど効率がいい……! あばよ、ダイーズ」

 

「ま、待て……!」

 

もはや後ずさるダイーズの言葉を聞くこともない。ターレスの目は、既に次なるターゲットを見つけようと油断なく動いていた。

 

それを油断と断じたか、ダイーズは全力でその場から飛び去ろうとする。

 

しかし、彼は思いつくことすらなかったのだ。確かに“魂の力”そのものの強さはある程度一定ではあった。だが現世においても戦闘力のコントロール力に差があったように、サイヤ人であるターレスは悟空との敗戦を経てそのコントロール力をさらに上げていたのだ。すなわち、瞬時に最大の力を引き出すことが出来るようになっていた。

 

「さあ! お前も俺の糧になりな!!」

 

「タ、ターレ……!!!!」

 

背後から迫る極大の閃光を受け止めようとダイーズは掌を向けるも、僅かに着弾を遅らせることすら叶わず、かつて仲間と思っていた存在によってダイーズは悲鳴すらあげることなく消滅した。

 

「ククク……ハーハッハッ!!!! さあ、お次はどいつだ!!!!」

 

サイヤ人の凶戦士ターレス。かつて神聖樹の実を口にした時をも上回る力を手に入れた彼は、さらなる力を求め激戦渦巻く戦場へと疾走した。

 

 


 

 

より大きく。より強く。より逞しく。

 

かつて地球一の頭脳を誇った天才科学者は、いつしかその肉体が衰え朽ちていくことを認められず、ひたすらに()()を求めたことがあった。

 

地上最強の肉体を!

 

どんな障害をもモノともしない、不朽不滅の肉体を!

 

そう願って止まなかった彼──ドクターウィローは、自ら作った助手であるドクターコーチンに命じて、老いた肉体を捨てた。

 

さらには脳の成長を促進する為、巨大な培養液へと安置した。

 

それによって加速し肥大化する頭脳を活かし、最大まで成長した巨大な脳髄を収めるだけの器を創造した。無論、そこに可能な限りの戦闘力を付与することも忘れず。

 

そして無防備な自身を守るため、いずれもっと相応しい器を得るために、かつてドクターゲロから供与された技術を使って人造人間──凶暴戦士を生みだした。

 

……だが、それら全てを用いても“最強の器”を手にすることは叶わなかった。

 

当然、ではあったのだろう。最強の肉体を求めながら、既にドクターウィローは鋼鉄の器を手にしていた。人の体を求めながら、人の体を捨てた時点で、既に答えは出ていたのだ。

 

それを皮肉ってか、この世界において彼に与えられた仮初の肉体は、かつて自らが忌み嫌い捨てた老人のモノだった。戦士の肉体ですらない脆い肉体。こんな情けない器では、他の亡者達を倒しその“魂の力”を奪うことすら儘ならない。

 

だがあまりに弱かった為か、自身の命を守ることに夢中な亡者の目に映らぬよう、既に倒れた亡者らの死体に紛れることで隠れることは出来た。そして弱いがゆえに、それでもドクターウィローは考えて考え続けた。

 

彼は科学者である。科学者の本質は観察と思考だ。彼は戦いを無意味に見るのではなく、目に映る全てを観察していた。

 

“魂の力”。可能な限り等しく調整されたのならば、今の彼とて他の者達の初期段階と変わらぬ強さではある筈だった。だが、そこには驚くほどの差があった。彼は“魂の力”の本質を、かつて生きていた頃におぼろげながら把握していた“生命の力”と類似した概念ではないかと推察していた。

 

あの“声”は言った。今の彼の肉体は、仮初の肉体であると。死後、あの世へと行った際の記憶は彼にはない。だが腐ってもドクターウィローの頭脳は、既に“魂の力”が持つ本質に気づいていた。そう、彼の本体はこの仮初の肉体ではなく、あくまでこの器に入っている魂なのだ。

 

さらに観察をしていて彼は気づいたが、一定時間が過ぎた亡者達の肉体は消えてしまう。だが今ドクターウィローの肉体を隠している者の肉体がそうであるように、その大半は死体となってもしばらくは周囲に転がっているのだ。それもどうやら、特に強い“魂の力”を有していた個体ほど消滅までの時間が長引いているようだった。

 

で、あるならば。

 

この弱さの象徴でしかない老いさらばえた肉体を捨て、今ここで核となる部分を失った別の肉体を使うことが出来るのではないか。

 

──そう思い至った彼の視線は、たった今仲間によって皆殺しにされたクラッシャー軍団へと向いていた。

 

 




第三話でござる('ω')
既にお察しいただけたとは思いますが、こんな感じで順番に劇場版キャラクターを出していく予定です。
パラレルである最強への道やGT、超のシリーズのキャラクターは多分出ません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。