ドラゴンボールZ──宇宙の危機!極悪人統一決定戦──   作:SHV(元MHV)

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中々長く書けないけど、まあ無理に長い文章書く必要もないわなと気づいた。


その⑤ 暴虐と覚醒

「なんだというんだ……!? この化け物は!!」

 

ターコイズブルーの肌をターコイズグリーンの肌へと変化させる。彼ら──ボージャック一味が得意とする、自らの体内エネルギーを爆発的に増幅する秘術の一つだ。

 

既に全員がその身をターコイズグリーンへと変化させ、力を完全解放している。さらには奪った魂の力も根こそぎ投入し、五人がかりで目の前の相手を雁字搦めにしていた。

 

これこそは魔術によって生み出された“赤い糸”。相手の動きを止め、なおかつその力を吸い取る能力を持つ筈のそれは、()()()()()であったとしてもその動きを確実に止められるだけの威力を持つ。

 

──だが、目の前の相手はそれをまるでただの糸くずと言わんばかりに千切っていく。先ほどから全員で、数多の赤い糸に絡めているにも拘わらずだ。

 

「今のは、なんだぁ?」

 

そんな必死の抵抗を、まるで児戯とでも言わんばかりに、目の前に現れた化け物(悪魔)はその口を歪ませこちらを睥睨している。その巨体は、一味の頭目であるボージャックをして見上げる高さだ。それがまた、彼──ボージャックからすれば気に食わない。

 

「がぁ……!! くそっ、離しやが……ぎゃああああああ!!!」

 

ほんの一瞬だった。僅かに化け物が前傾姿勢を取ったかと思えば、次の瞬間には捕らえられた男──ビドーの腕が千切られていた。

 

「あぎっ、ぎい、あが……!」

 

千切れた腕を押さえ、どうにか体を引きずるビドー。しかし化け物──ブロリーは、そんな彼の背に足を乗せ、すぐには死なない程度に踏みつけ他の面々を手招きして見せる。

 

「どうした! もう終わりかぁ?」

 

エメラルドグリーンの髪を逆立たせ、巨体から溢れる力を噴き出し続けるブロリー。彼こそは、この舞台を用意した存在をして規格外と言わしめた例外中の例外。

 

全ての存在が例外なく有している魂の力。それこそが気や戦闘力と呼ばれる力の正体である。ブロリーは、本来鍛えることで引き出すこのエネルギーを流入させる箍が外れた宇宙における唯一の存在だった。あるいはそのまま成長を続ければ、あの破壊神をも脅かしかねない化け物。であるからこそ、この舞台に彼を招けたことを主催者は僥倖と受け取っていた。

 

無論、相対するボージャックからすればそんな事情など関係ない。否、むしろこんな化け物がいるなど聞いていないと言いたげですらあった。

 

「ひっ……! うあああああっっ!!!」

 

手出ししてこないことを詰まらぬと感じたか、あっさりと胴体を潰されたビドーに続いて、ザンギャが目の前に突如として現れた巨大なエネルギー球に飲み込まれ、消滅する。

 

「こ、こんなはずでは……!」

 

偽らざる本音が、ボージャックの口から洩れていた。本来であれば、この舞台において彼らは絶対的に有利な存在の筈であった。辺境の星において敗北を喫し、死後魂となって地獄へと落とされた彼らだが、かつて界王らによって封印された経験を活かし、その力の大半を温存することに成功していたからだ。

 

さらに魂の力を取り込めるというこの舞台を活かし、無数の亡者どもを打倒して得た力は、もはやあの時のガキをも凌駕する……筈だった。

 

「げぁっ!?」

 

「ぐふっ!!」

 

残った部下の二人、ゴクアとブージンがその頭を掴まれ握り潰される。もはや半端な抵抗をしたところで無駄だろう。

 

──しかし、そんな戦いをやや離れたところから見つめる者がいた。

 

「どういうことだ。サイヤ人でこれほどの力を持つ者がいたとは……」

 

驚異的な遠隔視によって、今にも殺される寸前のボージャックを見つめるのはセル。その姿は未だ第一形態であるものの、その理由はより効率的なパワーアップ方法を求めているからに他ならない。

 

しかしそんなセルとて、ブロリーという化け物を何の策も無しに吸収できるなどとは思っていなかった。

 

なるほど、確かに彼を吸収することが出来ればそれだけで最強と言えるだけの力が得られるだろう。だが、それにはあの化け物を上回らないまでも、近い実力にまでレベルアップする必要がある。

 

……果たしてそれを成し遂げるには、一体どれほどの亡者の魂を食らえばいいのか。

 

セルは、他の者達と違って直接その仮初の肉体ごと生体エキスを吸収している。空気中に霧散するエネルギーすら余さず吸収できるセルの能力はこの場においても有効に働いていたが、正直尻尾の針があの化け物に刺さるとは思えなかった。

 

「せめて理性を奪えれば可能性があるものを……ん? 理性、か。クク、試してみる価値はありそうだな」

 

セルは見つからぬよう気を消し、距離を十分に取ると目の前に掌を突き出し、自身のエネルギーを集中させる。

 

「たしか、こうだったな」

 

ブウン、という音を立てて現れたエネルギー球。その輝きはどこか星の輝きを思わせる、青白い光を宿していた。

 

「はあっ!!」

 

空へと打ち出されたエネルギー球は、見る間に

高々度へと到達する。

 

「弾けて混ざれ!!」

 

セルの号令に従い、空中で炸裂したエネルギー球は急速に凝縮し、小型の太陽──否、小型の月を思わせる輝きを放ち始める。

 

「なるほど、私の体内のサイヤ人の細胞が反応している。これが、大猿の力か」

 

膨れ上がろうとする肉体を押しとどめ、セルはその肉体に溢れる力を進化へと転用し、その姿を変えていく。

 

「ようやく完全体か。だがまだ足りんな。さて、あの化け物は──こ、これほどか……!!」

 

セルは、自らの選択を思わず後悔した。この異空間を食い破るのではないかというほどの、あまりにも巨大な力の暴風。十キロは離れた場所からもはっきり見えるほどの巨体となった、エメラルドグリーンの体毛を持つ大魔猿が、世界を揺るがし顕現していた。

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!!!!」

 

唯一にして最後の逃げる機会。であるにも拘わらず、ボージャックは動けなかった。その心境を表すならば、目の前に巨大な津波が現れた、あるいは火砕流に飲まれる寸前の人間の心理に近いだろう。

 

「あ……ああ……!!」

 

祈る時間すら無く、ボージャックは単なる力の解放の余波に飲まれ消滅した。その波は完全体となったセルの場所まで届き、彼は急いでその場から瞬間移動で離れる。

 

「さてこれで、よりこの舞台は盛り上がるだろう。他のサイヤ人共がどうするか、実に見ものだな。フッハッハッハッハッハッハ!!」

 

高らかに哄笑するセル。彼は未だ切り札を隠し持っていた。その余裕の正体を知る者は、まだ誰もいない。

 

 


 

 

「なんということだ……!!」

 

同じ頃。まったく別の場所から大魔猿が現れるのを目撃したガーリックJr.は、あまりに次元違いの力の差に感覚を麻痺させながらも、この舞台を仕掛けた主催者がどういうつもりなのか問いただすつもりで、ひたすらにその姿を探していた。

 

何故なら、これほどの空間を作るには術者がこの空間内に存在している必要があるからだ。

 

さらに、この場において唯一生者であるガーリックJr.には、この舞台における魂の力を吸収するという法則が働かない。彼が殺されればそれもあるいは可能だろうが、皮肉にも彼は不老不死。それも因果を書き換えるレベルでの不老不死である彼の肉体は、例え完全に消滅しても時間さえおけば必ず蘇る。だからこそ、無窮の牢獄であるデッドゾーンにおいてひたすら死に等しい苦しみを味わい続けたのだから。

 

風として顕現する力の暴風に晒されながら、それでもガーリックJr.は主催者の場所を探し続けていた。今となっては、そこが唯一の安全地帯(セーフゾーン)だからだ。

 

すでにこの舞台で何度か殺されているガーリックJr.だからこそ、こんな場所にいるのはごめんだと思いながら逃げ続けているのである。

 

そもそも、何故自分がこんな場所に招待されたのか。それを問いただす為にこそ、に、()()()()()に会う必要があった。

 

「オオ──オ──オオオ──オオ!!!!!」

 

破れた鼓膜が再生と破壊を繰り返し、気の暴風がガーリックJr.の肉体を破壊しては吹き飛び、肉体は復元した傍から壊される。

 

──ふと、気づけば風が止んでいた。

 

「久しいな、ガーリック」

 

「や、やは、り……あな、た、が……!」

 

復元途中である為上手く言葉が羅列できない。だがそれでも、ガーリックは目の前にいる相手を見上げざるを得なかった。

 

「そうだ。私がこの舞台を用意した」

 

「先代、地球の神──ヂギリ……!!」

 

 




元々先代地球の神は拙作ドラゴンボールCにて登場させる予定だったキャラだったりします。
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