スマブラルールでワンピース無双   作:はじめのウッホ

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通貨バナナ制

 ゴア王国に海軍基地はない。衛兵は弱い。これほど大きくて組織立った王国が何故? 1つの理由は、腐敗により衛兵がやる気を無くしているから。もう1つの理由は、腐敗によりガープやドラゴンやサボのような実力者が逃げたから。もう1つの理由は、腐敗により海賊を使ったりしているから。うむ。腐敗。腐敗とは何だろう。腐ったバナナだな。

 ゴア王国の乗っ取り。俺は王だと名乗ったが、世界は認めるだろうか? サクラ王国ではドルトンが新王になっても特に問題なかった。ドレスローザはドフラ奪っても特に問題なかった。理由はよく分からん。俺も問題ないのか? 順当に考えると町民さえ納得すれば問題ない気がするが。ならばこれからの内政次第だよな。

 

「貴族という形の格差の廃止。弱肉強食制の導入。それに伴う軍の一新。独自通貨としてのバナナの導入。このあたりか」

 

 俺側に着いた平民の衛兵達と共に、今後の方針を話し合う。

 

「何故バナナが?」

 

 平民出身だけあって頭の悪いやつが多い。

 

「全てはバナナによって規定される」

「えっ」

「ベリーというのはベリー1粒で通貨1ベリーと交換する形から始まった。だが食糧に多様性が生まれた現在、ベリーだけでは経済の実態を捉えることはできない」

「おおっ! そういうことなのか!」

「ゴリラさん、賢いんですね」

「ゴリラは、森の賢人だ」

「なるほど!」

 

 白熱していく議論。思いつきにより明日の朝発表する暫定制度が次々と決まっていく。

 ふと、女のあくびが聞こえてきた。ここの部屋にいる女は1人だけ。

 

「アラ? どうしてアタシはここで寝ているのかしら?」

「目覚めていきなりだが、俺は衛兵達に認められ正式にこの国の王となった。ダニエルだ」

「あっ! 思い出してなくもないことよ! 何をしているのあなたたち! 捕まえないといけなくもないでしょう!」

 

 とりみだす元王妃。衛兵達はにやにや笑っている。

 

「どうします? 野生の掟で考えると戦いに勝ったオスはメスを手に入れる物だと考えますが」

「当然の理だな。それが生命の真理というものだ。しかし、あの女が欲しいかと言われれば……」

 

 顔は、悪くはないんだが下品でアホっぽい。身体は美しい。まあいいか。

 

「お前の身体に流れる血が、どこかで何かの役に立つかもしれない。ゆえにお前を俺の王妃にしてやろう」

「いよっ、ダニエルさん男前!」

「結婚おめっとさん!」

「ダニエル様ばんざあああい!」

「ゴリラ! ゴリラ! ゴリラ! ゴリラ!」

「えっ? えっ? これはどういう? えっ?」

 

 庶民は笑顔で俺と王妃を祝福した。王妃は困惑しながらも祝福されて悪い気はしないようだ。

 その後、彼女は特に何も反論せずこの流れに流された。つまり俺の妻となった。この日の夜は、おいしくいただきました。

 

「前王は軟弱で頼りない男だったろう?」

「今にして思えばそう思わなくもないわ!」

「俺を見ろ。これが男のたくましい筋肉というやつだ!」

「まあ素晴らしい! 野性的な筋肉ってかっこよくなくもないわね!」

 

 俺のドラミングに王妃は大喜び。単純で助かった。いや、これが自然の理か。女は強い男に惹かれるものなのだ。

 明朝、俺は衛兵を遣わして広場に全国民を集めるようにと通達した。特に正装はせずに時間が来るまで待ち、町の広場へと降り立つ。

 

「諸君、新しくこの国の王となったダニエル・コングである」

「えっ」

「ゴリラじゃん」

 

 やはりゴリラに風当たりはよくない。笑っている衛兵もいる。だが、俺の強さを知っているため、衛兵は逆らわない。町民も衛兵が従っているのを見て渋々付き合っている。だが、貴族は待たなかった。

 

「何をバカなことを! あの痴れ物を捕らえろ! お前達!」

 

 貴族達が自分ではなく手下を使って俺に攻撃してくる。その攻撃を、庶民出身で俺の方針に共感した衛兵達が防ぐ。

 

「アウトルック卿! 何をしてらっしゃるの!」

「ナントカネット様こそ何をしておられる! ステリー王がどこかへと飛ばされたとは言っても、王妃のあなた様がいれば」

「ステリーなんて軟弱な男は王失格でなくもないのですよ! あなたも同罪です! 軟弱なアウトルック卿は貴族にふさわしくなくもなくない!」

「そんな……」

 

 サリーの言葉にアウトルックは絶望したような表情になった。所詮権力だけがとりえの男。自分より権力が上のサリーが敵に回った時点で、何もできなくなる雑魚だったのだ。それは他の貴族も同様だった。

 まったく、こんな雑魚共がどうして今までデカい面をし続けられたのか謎である。

 

「先ほど我が妻サリーからも話があったが、この国は大幅に軍を一新し、何弱者ばかりとなった貴族制を廃止する!」

「えっ」

「そんな……」

 

 絶望し、崩れ落ちる貴族達。庶民は不安と希望と半々と言った形だ。

 

「だが俺は、無能の面倒を見ると言っているわけではない。新しい国では力を持つ物に権力を与える。その権力で、無能を守りたい者は守ればいい。そこまで強制する気はない。だが、俺の与える権力そのものが無能を守ることはない! それが腐敗となり、貴族を生むからだ! 成功は、自らの手で勝ち取れ! この俺のように!」

「うぉおおおおおおおお!」

「ゴリラ! ゴリラ! ゴリラ! ゴリラ!」

 

 やる気のある一部の衛兵が盛り上がるが、町民の反応は薄い。ただの町民には戦闘でのし上がるという気概はなかったか。まあどうだっていいか。逆らいさえしなければ。

 

「ちなみに貴族制を廃止したことで税は90%以上安くなる。この俺も着飾らんしな」

「きゅ、90%!?」

「そんなに溜め込んでやがった!? 貴族のやつ!」

「うぉおおおおおおおおお!

「ゴリラ様ばんざああああああああああああい!」

 

 今度は町民の反応がよかった。重税には怒っていたようだ。

 その後も貴族の財産を没収して平民に分け与えたり、貴族の船を公共の物にしたり、山賊討伐を発表したり、通貨バナナ制を発表したりした。今回、町民達は自分達の財産が増えたことに手放しで喜んでいる。しかし、俺は権力を廃し、弱肉強食の世界に変えたのである。努力しなければどんどん奪われる可能性を、危惧した方がいいかもしれないぞ。

 

「新王に反対する者は拍手」

 

 ぱちぱちぱち、とごく一部の貴族や頑固爺から控えめな拍手が響く。

 

「新王に賛成する者は拍手」

 

 どんっ、と豪勢な拍手が鳴り響く。これは、決まったな。思ったより楽勝だった。やはりパワーこそ正義か。

 

 ドーン島ゴア王国がゴリラ王国に生まれ変わった。新王は海軍と戦闘経験もあるゴリラの子どものミンク、のような気もするし違う気もする微妙なゴリラ(人間に子どものゴリラが成長した姿を見分ける能力はありません)。この何かの間違いか冗談じゃないかという謎の一報は世界政府へと届けられたことだろう。さて、ここが正念場である。本当に何も問題ないのか否か。バスターコールとか大将が飛んできたりしたら、さっさと逃げよう。まあ、俺の能力ならば負けてもぶっ飛ぶだけだから勝手に逃げられるんだけどね。

 

 俺を嫌う貴族や衛兵は離反し、山賊や海賊と化した。逃げて海軍に報告しに行ったやつもいた。また、貴族が雇っていた使用人や私兵達は、俺に反逆する気がないとしても仕事がなくなった。放置して山賊化されるのも面倒なので国が雇うことになった。戦える者は新兵に。戦えない者は雑用に。雑用と言っても突然仕事を探せと言われてもないし税金を減らしたので支払うお金もない。だが、この国には新しくできた通貨バナナ制があった。雇った国民に仕事として食糧を取りに行かせ、その取った食糧でもって通貨として配給する。この方法が使えるのである。完璧な自給自足であった。これが自然界のあるべき理であった。こうして国は上手く回ったのである。また、現実の日本と違いこの世界には大らかな人間が多かった。多少の失敗には目を瞑ってくれた。

 特にサリー・ナントカネットが思ったよりも大らかだった。というかこの女、実は平民に対する差別意識が全くなかった。自分は王族出身で、出自のよく分からないステリーをちゃんと王として敬っていたことからも、その点はうかがえる。俺は彼女の評価を大幅に引き上げた。バカなだけという気もするが。

 彼女は好奇心旺盛で、新政府の議論に積極的に入ってきて、言いたいことをどんどん言ってくる。かと言って押し付けるわけではなく、それではダメだろうと言うと素直に聞く。この腐敗した国では奇跡のようなやる気のあるいい権力者だったのだ。ただバカなだけの気もするが。

 彼女は俺が暇そうにしていると、買い物や旅行と言ってすぐ町や村に出かけようとした。お金がないと言っても「譲ってくださいな」「安くしてくださいな」などと粘り、かと言って押し付けるわけではなく、楽しむだけという感じだった。彼女は勉強はあまりしないが、身体を動かすことは好んだ。俺が訓練していると「私もやりたくなくもないってよ」とか言って真似する。できなくても、できないなりにやる。筋は非常によかった。この世界ではバカほど強くなりやすいという法則がある。そのためなのかは知らないが、ゴリラ的な成長スピードで強くなっていった。トレーニングの成果は肉体にも現れる。ほっそりとした全身に程よく筋肉がつき、放漫な表情筋はスッと引き締まり、朗らかに笑うようになった。以前よりもずっとかわいらくなった。夜の方もどんどん元気になり、野性味溢れるプレーをするようになっていった。

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