パンを貪りしカップル 作:ああああ
評価...嬉しい...!
『Kousuke 0720』さん
ありがとうございます♪︎
その日、今井リサと湊友希那は遥斗の家に向かっていた。リサは遥斗、モカと遊ぶ約束をしており、どうせならと思って友希那を引っ張ってきたのだ。社交性の欠片も持ち合わせていない幼馴染はこうでもしないとRoseliaメンバー以外の友人と遊ぼうとすらしないのだ。困ったものだとリサは思う。
「着いたよ、友希那!いつまでも頬を膨らませてたら遥斗に変な顔だって言われるよ♪︎」
「...リサが無理矢理に連れてきたんじゃない。今日はなんの予定も無いから家で寝るハズだったのに...台無しだわ」
「最近の友希那って遥斗に似てきたよね...主に怠惰的な面が。少し前だったら、『音楽以外の事で時間を使いたくない』って言ってたのにねぇ。成長とも退化とも言えない変化だね...」
「何事も体力が無いと成り立たないわ。その根源は全て『睡眠』から来てるの。古来から『睡眠』は不変な人間の特性なの。つまり、私が寝るのは無駄では無く、音楽のために力を蓄えているのよ。決して無駄な時間じゃないわ」
口だけは良く回る、そんところも彼に似てきてる。そんな事をしみじみ思うリサだった。善し悪しは置いておき、親友が変化したことをリサは嬉しく思う。後は社交性が見に付けば言うことなしなのだが...それは期待するだけ無駄というものだ。何故なら、なんやかんやで直ぐに甘やかしてしまうリサの存在が有るからだ。甘やかす本人は気づく様子は無い。
「さあ、入ろっか☆」
「インターホンを鳴らさなくても良いのかしら?不法侵入で訴えられたら困るのだけど?」
「大丈夫大丈夫♪︎どうせ鳴らしたって出てこないし!遥斗って極度の面倒臭がり屋だから。それに、本人には勝手に入っても良いよっていわれてるし☆」
「そう、ならいいわ」
本人から許可を得ているということで、二人は躊躇なく狩凪家に入り、何度か来たことのあるリサが先導して遥斗の部屋を目指す。目的地は狩凪家の二階にあり、ドアの前に着いたリサはある事を思い付く。
「ねぇ、友希那。アタシ、良いこと思い付いちゃった☆」
「良いこと?」
「うん!遥斗とモカを驚かさない?こう...ばっ!っていきなりドアを開ける形で。遥斗の驚く顔なんて新鮮だよ♪︎たまに町中で見かけるから、後ろから驚かそうとしてそーっと忍び寄っても後一メートルくらい前で見つかるんだよね〜。普段はボーッとしてるのに勘だけは人一倍鋭いんだよ」
「...私を巻き込まないで欲しいわ。リサ一人で十分でしょう?」
「こういうのは複数人で実行するから楽しいんだよ!ほらほら、友希那もやってみたら分かるって☆」
乗り気では無い友希那を無理矢理巻き込む。遥斗の部屋も前に音を殺して忍び寄り、状況を確認するためにドアに耳を当てる。友希那は後ろで呆れながら見てた。
「さてさて〜、何が聞こえるかな〜♪︎」
ドア越しに遥斗とモカの話し声が聞こえてくる...が、普段とは様子が違った。
『っん...気持ち...いい...///』
『これには自信あるからな。ほら、モカの
『んはぁっ...そこ......そこ、気持ちいいよぉ...』
聞こえるのは友人である青葉モカの嬌声。リサは一瞬、あの行為をしている姿を想像してから否定するが、彼女達は恋人同士なのだ。そのような行為に至っていても変ではない。寧ろ、年頃の二人が常時と言っても良い程共にいるのだ。その可能性は限りなく高かった。
「な、ななななっ!?///」
「?...リサ、どうかしたの?ドアに向かって赤面させて...奇行が目立つわよ?」
「ふ、二人が...遥斗とモカが...!!」
「遥斗と青葉さんが?」
何度問うても納得のいく答えは帰って来なかった。要領の得ない説明ばかりのリサを無視し、友希那はドアに耳を当てる。
『っん...あっ......ハーくん、同じ所...ばかり...///』
『だって、ここが良いんだろ?』
『...うん...どうせヤるなら、気持ちよくなりたいからね〜』
『じゃあ、次は別のところを攻めてやるよ』
『っ!?ち、ちょっと...!いきなり激し...んあっ...!』
以上が友希那がドア越しに聞いた内容だった。それに対して友希那の反応は――
「あら、遥斗ったらまたヤってるのね」
「ま、また!?」
「ええ、私もヤってもらったことあるわ。中々上手いから、リサもどうかしら?クセになるわよ?」
「は、遥斗にはモカがいるのに!?ゆ、友希那がいつの間にか大人に...!」
「...はぁ、もう良いかしら?驚かすって言いながら全く実行する気配すら無いじゃない」
「...今はそんな雰囲気じゃあ...って!友希那!今入ったら――!!」
少女の止める手も届かず、友希那は躊躇なく部屋に入る。リサは目の前に広がるであろう生々しい状況に備えて両手を顔の前に翳す。
「あ、来てたんですね。リサさんも友希那さんも」
「いらっしゃいませー、その辺に座っても良いですよ。まあ、あたしの家じゃないですけど」
「ええ、そうさせてもらうわ。ほら、リサも早く入ったらどうなの?」
「......えっ?ど、どういうこと?」
「「「...え?何が(ですか)?」」」
結果だけを言うならば、『勘違い』だった。リサは『そういう行為』に及んでいると思っていたのは、ただの肩もみだった。肩の凝り固まった部分を遥斗が解しているだけの、何の変哲もない健全な場面だった。
「...リサさんって変態ですね」
「わー、リサさんったらエチエチですね〜」
「...いつからこんな淫乱になったのかしら」
「い、淫乱じゃ無いよ!!だ、だって...男女を二人っきりにしている部屋から嬌声が聞こえてきたら誰でも勘違いするでしょ!?アタシは普通だもん!淫乱じゃないもん!!」
遥斗は無表情で『変態』と称す。モカは揶揄うようにニヤける。友希那は幼馴染の有様を残念そうに言い放つ。三人の多種多様な反応に対して流石のリサも涙目だった。尚、その表情を見て遥斗とモカが悪魔のような笑みを浮かべたのは誰も見ていない。偶然の産物とはいえ、リサの珍しい表情を見れたのだ。写真を撮って揶揄わないだけマシと言えよう。
「それで、何して遊びますか?淫乱リサさん」
「モカちゃんはゲームを提案するよ〜。淫乱リサさんはどうですか〜?」
「うわぁ〜ん!友希那ぁぁ!!女装癖のある遥斗とモカが虐めるよぉぉぉ!!」
「貴様ぁぁぁ!!何処でその情報を!?奴か!?また日菜さんが写真をばらまいているのかぁぁぁ!!」
「...私を挟んで口喧嘩しないでちょうだい。淫乱リサも女装好き遥斗も、声が大き過ぎるわ」
「「モカぁぁぁ!友希那(さん)が虚言を用いて虐めるよぉぉぉぉぉぉ!!」」
混沌と書いてカオスと読める状況だった。最終的には恋人とバイト先の先輩をあやす銀髪少女がそこには居た。因みに、リサはモカにも『淫乱リサさん』と呼ばれたことは完全に忘れている模様。なんと都合の良い脳なのだろうか。友希那は相変わらず呆れていた。
これ以上はお互いに傷付くので話題を変えることにした。若干の手遅れ感はあるが...
「...それで、その女装については誰から聞いたんですか?どうせ日菜さんでしょうけど」
「ううん、紗夜から。ヒナから写真を貰ったって言ってたよ。なんて言うか...ドンマイ?」
「......いっそのこと消すか?日菜さんの存在自体を...!そしたら俺の黒歴史がこれ以上広められなくなるハズだから...!!」
「ハーくん、殺人は犯罪だよ?てか、実行する前に意地でも止めるけどね〜」
「大丈夫よ、遥斗。私も最初は普通の女子だと見間違うレベルで似合ってたもの。自信を持っていいわ」
湊友希那による精一杯の慰め。相手を気負わせずに、尚且つ女装の事実を黒歴史にさせないためと心のケアも怠らない自称完璧。遥斗の反応は――
「うわあぁぁぁぁぁぁ!!」
泣いた。その一言に尽きた。男としてのプライドや尊厳を関係ないと言わんばかりに踏み躙る目の前の悪女に対しての恐怖によってモカに泣きつくその姿は、まるで幼い子供そのものだった。
「友希那、それ慰めになってない。寧ろ傷口を抉ってるから。ほら、遥斗が泣きながらモカに抱きついてるじゃん」
「よしよし、大丈夫だよ〜。ハーくんはちゃんと男の子ですよ〜。男の子なら、簡単には泣かないよね?」
「...うん、頑張る」
「「子ども...?」」
青葉モカと狩凪遥斗の関係は恋人同士だったハズだが...目の前の男女は完全に親子だった。心のダメージが大き過ぎる遥斗は幼児退化し、実は彼の女装を広めた日菜の第一協力者であるモカは何となく大人に見える。単に幼子と高校生を比べただけだが。
「さて、これは由々しき事態だ。リサさんは兎も角、社交性の欠片も持ち合わせていない友希那さんが俺の黒歴史を知っている。つまりは俺の知り合い全員に広まる可能性が大きいんだ」
「...リサ、何故遥斗は己の長所を隠そうとしているのかしら?」
「友希那、男子によっては女装が似合うって事実を短所だったり、黒歴史って認識する人が多いんだよ?アタシは女装が似合う系の男子の方が好みだけどね☆」
「少々お黙り下さいりやがれ。今はリサさんの好みなんて道端の小石程度にどうでもいいんですよ。そんな事よりも女装写真の流出を防ぐ方法を考えてください」
この男、頼む立場でありながら上から目線だ。尚、碌なアイデアが出ない場合は元凶を消すという物理的且つ強制方法に出るとの事。返り討ちにされる可能性が三分の一、相打ちが三分の一だ。残りは成功の可能性となる。
「本人を止めるのは〜?定期的な女装の撮影会と取り引きしたら、ほぼ確実に止めてくれるよ〜?これがあたしの思い付く最善策かな〜」
嘘である。遥斗同様無駄に頭の回るモカには別の方法が浮かんでいる。だが、モカは日菜と契約している身だ。つまりは、定期的な女装の撮影会を日菜にやらせたらモカにも写真が送られてくる。それが腹黒いパン好き少女の考えだった。
「却下。俺の精神が死ぬ」
勿論却下だった。これでは黒歴史を黒歴史で上塗りするだけの愚策だ。生憎と遥斗の精神力は大して残ってはいないのだ。
「地道に写真を回収して周るのは?芽が出る前に種をどうにかしようって考えだよ☆」
意外と良い案を出すのはリサだった。だが、流失防止を目標とするなら流失後の対策では手遅れなのだ。飽くまでも最終手段としたいものだ。それが遥斗の答えだった。
「諦めるのはどう?もう手遅れなのだし」
「却下に決まってるだろ。頭にスポンジと猫の毛しか無いんじゃないですか?策を欲してるに諦めろと?寝言は寝て言えってやつですよ。根本的な話の趣旨を理解出来ていないようですね。リサさん、貴女の教育不足ですよ?」
「...いつから私の教育係がリサになったのよ」
本日の良案はリサしかいなかった模様。結局は別の良案が思い付くまで写真の回収を心掛けることになったらしい。
(紗夜さんに頼めば一瞬なのに)
それはモカが口にはしない案だった。
◆◆◆◆◆◆◆オマケ◆◆◆◆◆◆◆
詠唱の時間、はっじまーるよー
〘ブリーチより、千手皎天汰炮〙
――パンの涯
―届かざる店のパン
―空かざる腹の擬者
―美を魅せる食
―飢餓を煽る音
―悔いて喰うな我が技を魅よ
―麵麭・油脂・食塩・水麗・小麦・酵母・空腹の饗、
―飢えし彼方、憂悶として消ゆ
〘魔法少女まどか☆マギカより、鹿目まどか〙
「食べたいパンとか、私には難しすぎてすぐには決められないけれど、でも、満腹のためにがんばるマミさんの姿は、とても素敵で...こんな私でもあんな風に誰かのパンに食べれるとしたら、それは、とっても嬉しいなって思ってしまうのでした」
友達にLINEで『にゃー』と『わん』だけで会話を試みたら、『頭大丈夫か?』って言われた...何故?
何を読みたいですか?
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それとも――ぜ・ん・ぶ♡