パンを貪りしカップル   作:ああああ

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評価貰った...我、嬉しい。

『tamukazu』さん、『よっぴぃ』さん

ありがとうございます♪︎


※この話を読む前にガルパ☆ピコを見た方が分かりやすいかも?


我憧れしは異名也

何故か、と問われると答えられないが、ガールズバンドに類される彼女達には所謂『二つ名』が存在する。彼女達が自ら名乗ったのか、将又各バンドのファン達が広めたのか。詳細は不明だが、兎に角彼女達には『二つ名』が存在するのは事実だ。

 

 

Afterglowを例に出そう。

 

美竹蘭は『反骨の赤メッシュ』

 

――彼女の反骨精神に個性的な外見的特徴の赤メッシュを足しただけの割とシンプルな二つ名だ。

 

青葉モカは『ゴーマイウェイ』

 

―― "我が道を行く" を意味するこの言葉。何処までもマイペースな彼女らしい二つ名だ。

 

宇田川巴は『豚骨しょうゆ姉御肌』

 

――豚骨しょうゆラーメン好きであり、頼りになる姉御肌。そんな彼女の表しでもある二つ名だ。

 

上原ひまりは『不発の大号令』

 

――何故か彼女が "えいえいおー" をやっても誰も反応しない。これぞ不発の極み。そんな悲しさの二つ名だ。

 

羽沢つぐみは『大いなる普通』

 

――普通。それ以上でもそれ以下でも無く、普通なのだ。覗く深淵すら無く、何処までも単純で普通な二つ名だ。

 

 

少年は思う。自分もカッコイイ『二つ名』が欲しいと。

 

其れは純粋な幼き頃の欲求に似通っていた。友人達にはあるのに自分には無いのは寂しい、という仲間はずれ的な気持ちと共に特に理由は無いけどカッコイイから欲しいと言う少年心と好奇心、探究心諸々が存在した。

 

知識はあれど経験はない中二病が今更ながらに発動したのだろうか。現在の学年を考慮するならば高二病と称したくもなるが、其れは答えの無い問いだろう。結局は自分の症状なのだし、体に害がある訳でも無い。健康そのものでも探究心と誇張の真髄であるカッコイイを求めて止まない衝動に駆られる。似たような症状を持つのは宇田川あこ。自称『混沌を司る魔王』だったり『聖堕天使あこ姫』と名乗ったりするのと彼の衝動は同類となる。

 

 

「――――つまり、カッコイイ二つ名が欲しいから考えてくださいってことだよ」

 

結局はこれに尽きた。自分で考えるのはクールでは無い。自分の生きてきた軌跡を辿って他人から称される。これこそが醸し出させる "カッコイイ" を形にする方法なのだと少年は得意げに語る。

 

「ハーくん、そんな事であたし達を集めたの〜?」

 

「あたし達も暇じゃないんだけど?」

 

遥斗が己の呼称を考えるのに相応しいと思い集めたのは反骨の赤メッシュを初めとするAfterglowの全員だ。開始前から赤メッシュさんはご機嫌斜めの様だった。

 

「いやいや、全員暇だっただろ。俺はこの日の為に全員のスケジュールを調べてるんだからな。Afterglowの練習が休みで、尚且つアルバイトや家の手伝いが無い日を調べた結果、この日が空いていたんだ。この怠惰主義者自称代表がわざわざ労力を費やしたんだ。否定なんてさせないからな?」

 

「...遥斗、言ってることがストーカーみたいだよ?モカだけならまだしも、何で私達のスケジュールまで把握してるの?」

 

「秘密」

 

ひまりの問い対して一言で答える。勿論非合法的手段は用いていない。限りなく黒に近いグレーゾーンを保っているので、一応と頭には付くが合法的手段だ。何処ぞのニャルラトホテプ星人の名言で有名な『バレなきゃ犯罪じゃないんですよ』も全く適用せれない。バレても一応犯罪にはならないのだから。

 

「んで、アタシ達に遥斗の二つ名を考えろって?アタシは面白そうだから付き合ってやるけど...他はどうする?」

 

「巴ちゃんが参加するなら私も参加しようかな?何で知ってるのかは分からないけど...暇なのは事実だし」

 

「おお...!ありがとう、姉g...巴につぐみ!!」

 

「今、姉御って言いかけたか?」

 

「はははっ、そんなわけないじゃん!」

 

最近の姉御は『姉御』と呼んだら怒る。言いかけただけでも過剰に反応するのだ。遥斗にとっては敬称として呼んでいるので、理解し難い感性だった。其れは置いといて、先ずは二人の参加を承諾してもらった。残りは三人だ。

 

「あたしは勿論参加するよ〜。こんな面白イベント、逃す手は無いよね〜?」

 

「勿論私も!理由はモカと同じだけど、面白そうだからね!!」

 

モカは当然参加する。だが...上原ひまり、この女は嘘をついた。参加する理由は『面白そうだから』では無いのだ。普段から揶揄われているので、そのリベンジの為に参加したのだ。面白おかしい二つ名を考え、相手を馬鹿にしたい。そんな低俗な理由は決して口にはしなかった。

 

「じゃあ全員参加だな」

 

「...あたし、参加するだなんて言ってないんだけど?」

 

「えっ、しないのか?」

 

「...するけど」

 

こうして蘭も参加を承諾する。

 

――全部遥斗の計算通りだ。この作戦の最大の壁は美竹蘭だった。彼女がわざわざこの様なイベントに参加すると考えずらい。だが、他の四人が参加するならこの女が参加しないハズが無い。彼女の根本的な部分は寂しがり屋なのだ。幼馴染全員が参加するのに自分は参加しない、そんな仲間はずれを味わいたくはないのだ。なんと可愛らしい性格なのだろうか。一番面倒臭いが、状況が整えば一番扱いやすいというのが美竹蘭に対する遥斗の感想だった。

 

「じゃあ早速、なんか良い案ない?」

 

この問いに対して集まったのは一人一つの答え。つまりは五つの『二つ名(仮)』だった。其れが下記の五つだ――

 

美竹蘭より、『グラトニー』

 

青葉モカより、『無限パン喰い機』

 

宇田川巴より、『怠惰の権化』

 

上原ひまりより、『欲望の奴隷』

 

羽沢つぐみより、『パン好き』

 

 

「...蘭から順番に説明してくれる?」

 

「あたしのは暴食を英語にして、Gluttonyをカタカナにしただけ。その結果、『グラトニー』になったけど、パンを無駄に食べ続けるアンタにはちょうどいいんじゃない?」

 

蘭は面倒臭そうに語った。発想はシンプルだが、響きがカッコイイ。シンプルイズベストと言うヤツなのだろう。これ以上の良案が無ければ採用しようと思える程までに、遥斗は気に入った。

 

「次はモカ」

 

「あたしも蘭と殆ど同じ理由だね〜。天才美少女のモカちゃんはね、食欲だけは誰にも負けない自信があったんだよね。其れこそ成人男性よりもね〜。でも、ハーくんはパンに関してはあたしよりも食べ続けることが出来る...無限だって思えるまでに。だから、『無限パン喰い機』だよ〜」

 

名称に『パン』という単語が入っており、尚且つ『無限』という何故かカッコイイと感じてしまう魅惑的な単語も含まれている。その結果、中々の高得点を叩き出した。

 

「じゃあ...次は巴だな」

 

「おう!アタシは二人とは違って性格面に関して考えてみた。やっぱり遥斗といったら『怠惰』だ。本人も怠惰主義者を名乗ってるくらいだし。まあ、なんて言うか...遥斗が怠惰なんじゃなくて、怠惰が遥斗なのでは?って逆説的に考えた訳だ。その結果、『怠惰の権化』になった」

 

怠惰は説明するまでまもないが、ここで重要なのは『権化』という単語だ。権化とは、ある抽象的な特性が具体的な姿をとったのか、と思われるほど、その特性の著しいもの。つまり、狩凪遥斗を怠惰の具現化と言っているようなものだ。端的にいうと、すげーカッコイイ。

 

「ひまりは?」

 

「読んで字の如く!欲望に素直だから『欲望の奴隷』だよ!!素直って言うか、何処までも欲望には従順なその姿が奴隷のように見えたからかな?あと、『奴隷』って単語が遥斗に似合うと思ったからね!!」

 

遥斗は一言、『却下』と呟いた。途中までは良かっのに、最後の一言で台無しだ。何度も語るように、彼は怠惰主義者なのだ。そんな彼に社畜上等の奴隷だなんて似合うハズがない。少なくとも彼自身はそう自負した。よって失格としたのは言うまでもない。

 

「最後はつぐみだな」

 

「う、うん。やっぱり遥斗君って言ったら最初に浮かんだのが『パン好き』だったの。我ながら普通だとは思うけど...凝りすぎて痛々しいのは困るんじゃないかなって思った結果、シンプルに『パン好き』ってなっちゃいました」

 

遥斗は最初に普通過ぎないか?と思ったことを後悔する。確かに普通なのだが、そこには優しさが詰まっていた。遥斗とつぐみには性別や価値観など、数多の違いがある。その為、遥斗には痛々しい二つ名は可哀想だと思った結果が、遥斗が普段から怠惰主義者自称代表の次に多く名乗る『パン好き』だったのだろう。

 

 

「さてさて、どうするか。人を馬鹿にするために参加したバカピンクの案以外は全部採用したいくらいだ。バカピンク以外はね」

 

「に、二回もバカって言った!てか、何で参加の理由がバレてるの!?私、一度も本当の理由なんて口にして無いのに!!」

 

「...へ〜、そうなんだ。皮肉のつもりで言ったんだけど...はははっ、ひまり。ちょっとだけお話しようか」

 

「えっ...お、お話って?」

 

「HAHAHA!勿論比喩的表現さ!!悪い子にはお仕置が必要だってお母様から習わなかったかい?あ、そういえば最近、おばあちゃんの家から大量の椎茸が届いたんだ。だから...椎茸パフェってのを作ってみたんだよね。正直、椎茸風味が強すぎてお世辞にも美味しいとは言えないけど。俺の記憶が正しければだが、ひまりって椎茸が苦手だったよな?だったらお仕置には丁度いいと思うんだ。なあ、勿論食べるよな?いや、拒否しても構わないぞ?その場合は俺がお前の口に詰め込んでやるから。ほら、ひまりって少女漫画的な所謂食べさせてもらうのに憧れてたってモカから聞いたんだよ。相手が俺で悪いとは思うけど、頑張って相手を努めるよ♪︎」

 

「...た...た、助けてぇぇぇぇぇぇーー!!!!」

 

「おいおい、何処に行くんだよ♪︎」

 

ひまり、逃げ出す。後を追うのは狂気の笑みを浮かべる遥斗だ。彼がこの世で最も嫌うのは馬鹿から馬鹿にされることだ。その馬鹿筆頭格の上原ひまりから馬鹿にされたのだ。無意識なら許していたが、彼女は意識して、計画して、企んで馬鹿にした。そして遥斗はキレた。

 

「お、おい...モカ。お前の恋人、止めなくてもいいのか?このままだとひまりが椎茸の過剰摂取で死ぬぞ?」

 

「其れはそれで面白そうだね〜。まあ、多分ハーくんも致死量くらいは弁えるでしょ。あの椎茸パフェの材料五割は椎茸だけどね〜。ひーちゃんか耐えれば良いだけだよ〜」

 

「は、はは...これで椎茸嫌いが悪化しなきゃいいけど...」

 

巴は苦笑いでモカに問い掛けた。だが、モカは現状を楽しんで傍観する。唯一心配していたのは優しさの塊とも称せるつぐみだけだった。因みに、一言も発さない蘭は既に興味無いと言いたげにボーッと二人の追いかけっこを眺めていた。

 

 

――数十分後

 

倒れている少女――上原ひまりは口から白くてドロっとした液体(椎茸エキス入りクリーム)を零しながら、光の無い眼で風景では無く空気中を見つめていた。正気かどうかは置いといて、一応生きてはいたのは喜べる事実だろう。

 

「......遥斗が...無理矢理......私の中に...あんなに...」

 

「ふっ、悪は滅びた」

 

「どっちかと言うとアンタの方が悪役っぽいけど」

 

倒れ伏す少女の前に遥斗は堂々と立つ。自分が絶対正義と言わんばかりに勝利宣言をする少年に対し、蘭は見たままの事実を口にした。

 

「ああ...ひーちゃんは星になったんだね。きっと、あの空の何処かであたし達を見守ってくれてるよ」

 

「そうだな...さて、時間は掛かったけど、皆の案の中から俺の『二つ名』を決めました!!」

 

「話題切り替えるの早くない!?」

 

つぐみの鋭いツッコミを受け流し、遥斗は本日の議題の結果を発表する。尚、ひまりはピクピクとしか動いていない模様。

 

「俺が気に入ったのは――――――蘭の『グラトニー』です!!おめでとう、蘭!君には商品として我が家に有り余っている椎茸をあげよう!!」

 

「いや、いらないんだけど。てか、結構適当に考えたのに、良いの?」

 

「大事なのは過程じゃなくて結果なんだよ。蘭が適当に考えたとしても、俺が気に入ったんだよ。『グラトニー』...ああ、いい響きじゃないか。俺はこういうのを待ち望んでいたんだ!!」

 

 

 

 

――この日以降、狩凪遥斗は『グラトニー』と名乗ることになった。もっとも、普段の生活では名乗るタイミングが殆ど無いのだが。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆オマケ◆◆◆◆◆◆◆

 

――とある紫ツインテールの中二病少女と怠惰主義者自称代表の会話。

 

「あこもはっくんの『二つ名』とか考えたかった!!」

 

「いや、あこには向かないだろ」

 

「なっ!あこは...言わばはっくんの求めるカッコイイに関するセンパイなんだよ!!もっともっと敬ってよー!!」

 

「殆ど燐子さんが考えてるだろ。俺は知ってるからな?語彙力不足なあこを燐子さんが後ろで支えて助けているのを」

 

「ぐぬぬ...!正論ばかり言ってたら正論お化けになるんだからね!!やーい!はっくんの正論お化け!!」

 

「...ほう、言ってくれるじゃないか。俺が正論お化けなら、あこは怪人語彙力不足だな。やーい、怪人語彙力不足!!」

 

「「ぐぬぬぬ...!!」」

 

 

知能レベルが同等な遥斗とあこだった。

 




ふっかふか枕が欲しいの〜。......ついでに布団も。

何を読みたいですか?

  • パン好きカップルのイチャイチャ
  • 混沌と書いてカオスと読む系の夢落ち
  • 幼き日の記憶(遥斗)
  • 意味もなく思い付いただけのバトル展開
  • それとも――ぜ・ん・ぶ♡
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