パンを貪りしカップル   作:ああああ

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一話目から二人の方に評価を頂けました!
『ミレイン』さん、『むら24』さん
ありがとうございます!!


セグウェイ欲しくない?

 

「やっぱりセグウェイだよ」

 

唐突な発言の元は狩凪遥斗だった。彼の口にした『セグウェイ』とは、簡単に言えば電動立ち乗り二輪車のことである。 立ち乗りで車輪が2つ並んだ「並行二輪車」の一種であるが、アクセルハンドルなどを備えず、操縦は乗り手が体重移動によって行うという特徴がある。

 

「因みに何で?」

 

「モカ、普通に考えれば分かるでしょ?セグウェイに乗れば歩かずに移動できるんだ。理由なんてそれだけで十分過ぎないか?」

 

「ふっ...まだまだ若いね、ハーくん。あたしも過去に一度だけ同じことを考えたんだけどね...セグウェイは値段高すぎるんだよ〜!」

 

「なっ!?そ、そんな落とし穴が......クソ!現実はなんて残酷なんだ!!俺達はただ、怠惰な日常を送りたいだけなのに!!」

 

遥斗の感情を言葉で表すとしたら、それは間違いなく『絶望』だ。目の前にある楽する手段を手を振って見送るしかない現状。自分の無力さに打ちひしがれてるのだろう。

 

「ハーくん、そんなことよりも早く出掛けようよ。待ち合わせに遅れたら蘭に殺されちゃうよ〜?主にハーくんだけが」

 

「ああ、確かに。あのツンデレ赤メッシュ...何故か俺だけを攻撃するんだよな。俺はただ、ちょっとだけ悪戯したりからかったりしてるだけなのに」

 

「蘭って不思議だよね〜」

 

この二人、決して惚けている訳では無い。本当に原因が分かってないのだ。原因を口にして尚分からないのは天然なのか、鈍感なだけなのか...因みに、二人には悪戯心はあっても悪意はない。

 

 

雑談を重ねながら目的地へと到着する。デパートの入口だ。目的地と言うよりは待ち合わせ場所と言った方が正しかったのかもしれない。ここで狩凪遥斗、青葉モカ、美竹蘭、上原ひまりの四人が待ち合わせをしているのだ。何故女子三人に対して男である遥斗が居るのかと言うと、ひまり曰くナンパ防止のためらしい。遥斗は面倒臭いからと断ったが、蘭の無言の圧力に負けた。

 

待ち合わせ場所にはまだ蘭とひまりが来てないので、雑談で時間を潰す。

 

「やっぱりセグウェイ欲しい...」

 

「誰かに背負ってもらうのは?ハーくんって割と小柄だし、多分いけると思うよ〜?」

 

「ふむ...あ、蘭を筋骨隆々にするなんてどうかな?そしたら俺を運んで貰えると思うんだ」

 

「あ、名案かも〜。じゃあまずは蘭のマッチョプロジェクトを組んで...」

 

雑談よりも戯言と称した方が良い会話だった。そんな戯言でも時間は消費され、十分弱で待ち人二人が到着した。

 

「やっほ〜、蘭にひーちゃん」

 

「おはよ、二人共。そして...突然だけど蘭、筋トレに興味無い?今ならジム代は俺とモカで払うけど」

 

「は?出会い頭に何言ってんの?」

 

「遥斗、今度は何企んでるの?」

 

この後、『美竹蘭マッチョ化プロジェクト』についての詳細を説明する。結果、ひまりには笑われ、蘭には怒りを通り越して哀れみの目で遥斗を見つめる。勿論遥斗はその視線の意味を理解してない。

 

「まあまあ、ハーくんも反省してますから〜」

 

「反省?モカ、俺は何を反省したら...」

 

「後でパン奢るから、今は反省してるフリでもしてよね」

 

「ごめん、蘭。心の底から反省してるよ」

 

「さっきの会話全部聞こえてるから。遥斗が反省してないことも、モカが反省してるフリをしろって言ってたことも」

 

「あははっ、遥斗は相変わらずだね」

 

反省はしてないが、何時までもデパートの入口で騒ぐのも迷惑なので、建物内へと移動した。遥斗とモカはデパート内のパン屋へ向かおうとしたが、ひまりに無理やり服屋へと連れられた。このメンツで服に興味があるのは上原ひまりだったのだが。

 

「ねーねー!遥斗!モカにこのパーカー似合うと思わない?」

 

「おお、良いんじゃないか?」

 

「この黒いジャケット、蘭にピッタリでしょ?」

 

「おお、良いんじゃないか?」

 

「...全部同じ反応じゃん!!」

 

この男、ファッションに対しては全く興味が無い。それでも似合っているとは思っているため、良いんじゃないかと返しているが、言葉が一言一句同じだったのがダメだったらしい。

 

(もっとバリエーションを増やしたら良いのか?)

 

「ハーくん、そういう問題じゃないよ」

 

「俺の心読むなよ」

 

「遥斗、ちゃんとひまりの相手してよ。じゃないとこっちにまで飛び火するから」

 

「だったら蘭が相手してあげろよ。男の俺にファッションについて聞かれたって答えようが無いんだよ。蘭なら反骨精神だが何かで黒系の服とか集めてるんだし、俺よりは詳しいだろ?」

 

「嫌だ。ひまりって話長いから」

 

「うぅ〜、遥斗も蘭も酷いよ!」

 

これには上原ひまりも涙目だ。遥斗と蘭の両者をポカポカと殴ってくる。まあ、ポカポカという効果音で分かるように、大した威力もないので全然痛くない。

 

「まあまあ、ひーちゃん。蘭も遥斗も反省してるから」

 

「「反省?」」

 

「蘭、後で好きなビター系のお菓子買ってあげるから。ハーくんもパン買ってあげるからさ、フリでも良いから反省してね」

 

「「ごめん、ひまり。心の底から反省してる」」

 

「そのくだりさっきもやったよね!?」

 

この四人の中でひまりは唯一のツッコミ役だった。パン好きカップルは言うまでもないが、蘭は面倒臭いからという理由でツッコミを放棄する。この場に金髪ツインテやふわふわピンク担当のアイドルが居たらツッコミ役を担うのだが、居ないのでひまりが担当するしか無いのだ。

 

その後、アクセサリーショップや雑貨屋などを周ったが、遥斗の興味をそそるような出来事は無かった。遥斗は飽くまでも『ナンパ防止』でしか無かったのだ。まあ、同時に荷物持ちも担当していたが...

 

 

数時間デパート内を周った後、モカが提案する。

 

「お昼食べに行かない?モカちゃんはお腹ペコペコだよ〜」

 

「まあ、確かにそろそろお昼だね。蘭も遥斗も、次はお昼ご飯でも良いよね?」

 

二人は無言で肯定を表す。遥斗と蘭の二人は既に精神的に疲れていた。そもそも、今日集まって遊ぼうと言い出したのはひまりだ。それに無理やり連れてこられたのが遥斗と蘭だった。それでも暇だったのは否定できないが...

 

「あ、俺トイレ行ってくる。先にパン屋に入ってて」

 

「了解!...って、お昼ご飯がパンなのは確定なの!?」

 

ひまりのツッコミを後にし、遥斗は自身の目的地へと向かった。

 

 

男子である遥斗が居なくなったことで、女子三人になる。ひまりがチャンスと言わんばかりにモカへ問う。

 

「それで、モカ!遥斗とどこまで進んだの?」

 

「と言いますと〜?」

 

「ほら、恋のABCってあるじゃん!どこまで進展してるのかなって気になるじゃん!ね、蘭もでしょう?」

 

「...少しだけ」

 

ひまりは頭ピンクの恋愛脳だった。身近にカップルが居るのだから、この恋愛脳が動かないわけが無い。カップルの片割れが居ない絶好チャンス、逃す手はない。

 

「気になっちゃう〜?」

 

「もちろん!私の好奇心が答えを聞きたいって騒いでるもの!」

 

「ならば答えよう。あたしとハーくんは――」

 

「「ゴクリ...!」」

 

「ひ・み・つ♪」

 

結局答えはしなかった。普段からマイペースなモカにも羞恥心があるのだ。こんな人通り多い場所では言えない。

 

「あ、でもね...キスはもうしてるよ?」

 

「「き、キス...!」」

 

彼女達は恋人のいた事がない恋に恋する少女たちだ。恋愛における行為に興味はあるが、耐性はない。『キス』を想像するだけで顔を赤面させる程だ。

 

そんな最中、遥斗が戻ってきた。

 

「...モカ、なんで二人共顔赤いの?」

 

「ふふっ、蘭とひーちゃんが純粋だったってことだよ〜。可愛いね〜」

 

「まあ、確かに可愛いな」

 

「「か、かわっ!?」」

 

無意識の追撃。その肯定は男子に言われ慣れてない二人をショートさせるには十分だった。その後、比喩的表現ではあるが、頭から煙を出している二人を引っ張ってパン屋へと向かった。

 

 

――時刻は夕方。

 

結局遥斗は丸一日付き合わされた。普段から限りなく怠惰な生活を満喫している遥斗は肉体的にも精神的にも疲労状態だ。

 

「じゃーねー!モカ、遥斗!今日一日ありがとうね〜!!」

 

「ひまり、声でかい」

 

蘭とひまりが帰り、モカと二人っきりになった。遥斗は手に持った袋のうち一つをモカに手渡す。

 

「モカ、これあげる」

 

「プレゼント?...おお、ひーちゃんがあたしに似合いそうって言ってたパーカーだ」

 

袋の中身は空色のパーカーだった。服屋に行った際にひまりがモカに似合いそうだと言っていた物をそのまま買ってきたのだ。

 

「悪いな、俺はファッションとかに疎いから、人に勧められたモノをそのまま買うしか出来ないけど...」

 

「ううん、嬉しいよ〜。でも、いつの間に買ってたの?」

 

「昼ごはんの前」

 

それは丁度遥斗がモカ達と別れた時だった。恋人の前で堂々と『プレゼント買ってくる』なんて言える訳もなく、トイレを言い訳にして服屋へと走ったのだ。幸い荷物持ちをやらされていたので、袋が一つ増えたところで気付かれることは無かった。

 

「別に特別な日だとかでは無けど...まあ、日頃の感謝的な?」

 

「ハーくん、ありがとう...!」

 

少女は抱きつき、少年の唇に己の唇を重ねる。遥斗の唇には柔らかい感触が伝わり、顔の熱を持つ。唇が離れた後、少年と少女は共に紅潮していた。

 

「か、顔赤いぞ?///」

 

「は、ハーくんだって...///」

 

恥ずかしいけど甘酸っぱい日々。こんな日常が何時までも続けばいいなと遥斗思う。

 

「ハーくん、大好きだよ」

 

「俺もモカが大好きだよ」

 

 

二人の顔が赤いのは夕焼けのせいだ。羞恥心を隠すため、自分自身についた嘘だった。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆オマケ◆◆◆◆◆◆◆

 

主人公の交友関係

 

Poppin’Party

・沙綾との繋がりで全員と友達になった。特にりみとはチョココロネについて語り合ったりしてる。

 

Afterglow

・全員と仲が良い。出会った当時は蘭に警戒されていたが、モカが仲介してくれたので仲良くなれた。

 

Roselia

・モカと付き合ってることでリサから良く揶揄われる。燐子とは気が合うため、共にゲームをしたりしているらしい。

 

Pastel*Palettes

・ふわふわピンク担当の彼女をツッコミ役に抜擢した。遥斗曰く、麻弥の『ふへへ』が好きらしい。

 

ハロー、ハッピーワールド!

・遥斗の怠惰な日常を脅かす変人集団。三バカは言うまでもないが、美咲も生贄にしようとしてくる。癒しは花音だけだった。

 

 





書こうと思いながらも眠気に負けた午前中...

何を読みたいですか?

  • パン好きカップルのイチャイチャ
  • 混沌と書いてカオスと読む系の夢落ち
  • 幼き日の記憶(遥斗)
  • 意味もなく思い付いただけのバトル展開
  • それとも――ぜ・ん・ぶ♡
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