パンを貪りしカップル   作:ああああ

24 / 35

アンケートの結果、全部書くことにしました!ご協力頂きまして、ありがとうございました♪

あ、ifルートに近いものだと考えてくだされば。本編には関係ございません系のお話しです。


■■■■■~ヤンデレ青葉モカ~

 

――■■■■■

 

 

その言葉が呪いのように耳を通して精神を蝕む。繰り返し繰り返し囁かれるこの言葉は、最早苦痛でしか無い。

 

「ねぇ、どうして他の女の子ばかり見るのかなぁ〜?こんなに好いてるのに...こんなに我慢し続けたのに...!君が謙虚な女の子が好きだと思って、ぜーんぶ我慢してきたんだよ〜?蘭と相棒みたいに話してても、二人の時間だと思って触れないでおいた。ひーちゃんの胸を見てても、思春期だからと自分に言い聞かせた。トモちんと軽口を言い合ってても、最後は自分の元に戻ってくると信じ続けた。つぐで癒されてても、その感情は恋じゃないと理解してきた。......でもさぁ、あたしね...もう限界なんだよ?疲れちゃったの。ぜーんぶ、ハーくんが悪いんだからねぇ?」

 

ねっとりと絡みつくように沈んだ声。口調とは裏腹に変化の少ない声の高揚が不気味に感じる。言葉を一つ一つ紡ぐ彼女の目は虚ろだ。何時からか、もう覚えていない。いつの間にか歪んでいて、自分は彼女の表面上しか見えていなかったのだろうか?

 

遥斗は後悔する。

 

何を後悔したらいいのかも分からない。そう、自分はわからないのだ。だから、敢えて後悔しよう。後悔することしか出来ない自分自身を嫌い、無知な自分を後悔の念で埋める。

 

 

 

 

 

――■■■テ■

 

モカは思う。

 

彼をこんなに憎いのに...自分に対してこんなに辛い思いをさせているのに...変わらずに彼を好きな自分がそこには居た。何故なんだ?どうしてなんだ?と己に問い掛けても答えは返ってこない。

 

「どうして?どうしてなの?...ねぇ、どうしてなのかなぁ〜?...............あ、そっかァ〜」

 

少女は悩み、果てには嗤う。

 

「ぜーんぶ、ハーくんが悪いんじゃなかった。周りに蔓延る奴らが悪いんだね〜。あはははっ!!そうだ、そうだったんだ〜!アイツらが...アイツらがあたしとハーくんの仲を引き裂こうとしてるんだよね」

 

違う。其れは自分が作った虚言だ。分かってる。...分かってるハズなのに、止まらない。もう、自分では止めることが出来ない。

 

嘘から始まる偽った価値観。それは留まり所を知らずに膨張し続ける。友達を、親友を、相棒を信じたいのに、其れを否定するのは他でもない自分自身。

 

「アハハハハァァァ!!」

 

狂ったように嗤う。

 

もう分からない。何一つ理解できない。

 

 

――だから、もう全部どうでもいい。

 

 

 

 

 

――ア■■テ■

 

遥斗が目を覚ますと、耳元でまた呪いの言葉が囁かれる。幸せな夢から過酷な現実に戻される合図だ。

 

縛られた手足。

 

何度も逃げ出そうとした証の縄の痣。

 

窓に四六時中かかってるカーテン。

 

自分と彼女の体液が混ざりあった異臭。

 

隣でスヤスヤと穏やかに眠る少女。

 

 

それは遥斗が対象の監禁生活だった。常に耳元で愛を囁かれ、彼女が寝ている間も体液の匂いが鼻を犯す。意識がある内は彼女しか感じれないし、他を感じることは許されない。

 

(...何時から...だ?......今日で...何日なんだ?)

 

体内時計などとうの昔に狂ってる。助けを求めようにも手元にはスマホどころか、連絡手段すらない。ベッドに縛り付けられてるので外に逃げ出すことも不可能だ。

 

彼女が起きれば性行為を強要され、寝れば逃げられない現実を叩き付けられる。そんな日が、もう何日続いただろうか?

 

愛しかった彼女は、もはや恐怖の対象でしかない。

 

(...縄抜けか...映画とか漫画なら、手の関節を外したりしてたけど...やり方、知らないんだよなぁ)

 

敢えて楽観的に考えて現実逃避をする。逃げ道の無い現状では現実逃避をしてないと気が狂いそうだった。

 

 

「んっん〜、おはよー。ハーくん♪」

 

――再び心が冷え切るのを感じた。

 

 

 

 

 

――ア■シテ■

 

彼を守るために、同居することにした。

 

彼の不注意で危険が及ばないように、ベッドに縛り付けた。睡眠薬をパンに入れたのはちょっとだけやり過ぎかな?って思ったけど、守るためだから仕方が無い。

 

監視されないように窓には四六時中カーテンをして、彼と自分だけの空間を作り出した。

 

「...モカ、何のつもりだ?」

 

「これはね、ハーくんを守るためなんだよ〜?外にはハーくんを狙う奴らが多過ぎるから、こうするしか無かったんだよ?ふふふ、これが二人のランデブーってやつなのかな〜?ちょっとだけ恥ずかしいね〜。でもね、モカちゃんは幸せだよ〜?勿論ハーくんもだよね?あはは、聞くまでもないね〜。だって、あたしだけがハーくんを守れるもん。あたしだけがハーくんの理解者なんだもんね。安心して、ハーくん。ぜっっったいに、ハーくんを守るから♪」

 

「っ...!」

 

彼は押し黙ったが、自分には理解出来た。きっと彼は嬉しすぎて言葉にできないのだろう。そんなシャイな一面も可愛いし、保護欲を湧かせる。

 

 

「俺は...モカに守ってもらう必要はない...」

 

「...遠慮しなくても良いんだよ〜。男の子だから守られるのがカッコ悪いって思うのも分かるよ?」

 

「そうじゃない。蘭たちは危険じゃないし、俺を狙ってもない。モカなら分かるだろ?こんな事しても意味が無いってことくら」

 

「うるさいなぁ」

 

「んぐっ!?」

 

モカは遥斗の言葉を遮り、口で口を塞ぐ。

 

「あたしがハーくんを守りたいの。それとも...ハーくんはあたしを拒絶するの?」

 

「...違う。こんなの間違ってる...!」

 

「ううん、何も間違ってないよ。あたしがハーくんを求めて、ハーくんを手に入れるだけ。それ以上でもそれ以下でも無いんだよ〜?」

 

全然論理的じゃない。そんなのは自分が一番理解してる。でも、人間の感情全てを論理的に説明なんて出来ない。

 

――だから、いつか伝わるのを待つ。待ち続ける。

 

今は無理矢理拘束した悪女に見えるだろう。でも、いつかこの愛情が伝わる筈だ。だって、こんなに好いているのだから、報われないハズがないじゃないか。

 

彼は何時だって自分を理解してくれた。今回はちょっとだけ鈍くなってるだけなんだ。熱心に体を重ね続けたら、きっと伝わるだろう。例え何日何週間何ヶ月何年掛かろうとも、愛し続ける。

 

「...もう、やめてくれ...」

 

「だいじょーぶだよ。ハーくんが理解できるまで、あたしは諦めないから」

 

 

――それが、遥斗に対する地獄の始まりだった。

 

 

 

 

 

 

――ア■シテル

 

怖い。愛しかった彼女が怖い。

 

遥斗を支配するのは無償の愛ではなく、単純で純粋な恐怖のみ。愛の囁きが呪いの言葉にしか聞こえない。もしも手足が自由ならば、喉を掻きむしって死にたくなる。

 

限界だ。

 

恐怖心は膨張し続ける。恐怖の対象は呪い()を吐き続ける。もう嫌だと泣き叫びたいが、それで彼女を刺激したくないから押し黙る。自分の目は、とっくの昔に曇ってただろう。

 

何も聞きたくない。何も見たくない。何も食べたくない。何も感じたくない。何も触れたくない。

 

――もう、生きたくない。

 

生きることが苦痛だ。彼女が存在するこの世の中が恐怖に塗れて見えるからだ。

 

かつては愛しかった彼女を、今では悪意無しで嫌いだと言える。

 

「ハーくん、大好きだよ♪ずっと一緒にいようね」

 

「モカ...大嫌いだ。お前と生きるくらいなら死んだ方がマシだよ」

 

お互いに言葉は通じない。

 

暴言を受け入れずに耳を塞ぐ。それが今の青葉モカだ。そんな彼女が――

 

 

――怖くて嫌いだ

 

 

 

 

 

 

 

――アイシテル

 

伝え続ける――

 

 

――アイシテル

 

囁きかける――

 

 

――アイシテル

 

信じ続ける――

 

 

――アイシテル

 

曝け出し続ける――

 

 

――アイシテル

 

願い続ける――

 

 

――アイシテル

 

愛を込める――

 

 

アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル、アイシテル――――

 

 

何度目かも分からずに、モカは囁き続ける。決して伝わらないし、遥斗は受け入れない。それでも、紡ぎ続ける。

 

 

「ハーくん、アイシテル♡」

 

 

今も、明日も、これからも――

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆オマケ◆◆◆◆◆◆◆

 

『ヤンデレモカちゃん』

・病んだモカ。遥斗が女の子と話す姿で傷つき、我慢の限界を迎えた姿でもある。目は虚ろで、精神が歪みに歪んでたりしてる。勿論本編では病む予定は無い。ヤンデレモカちゃんは愛しい彼を監禁して体を重ね、愛という名の呪いを囁き続ける。何日も何週間も。努力家......なのかな?

 

 

『今回のハーくん』

・全ルート初のモカちゃん大嫌い系の遥斗。愛が重すぎた模様。恐怖心と諦めからか、目が曇ってる。薄い半透明な膜が貼ってるみたいにも見える。所謂レ○プ目。尚、本編の遥斗は眠そうな半目で、一話前のifルート遥斗は心做しか目が死んでいるらしい。ルートごとに目が違うのは作者も予定外というか...予想外?だった。

 

 

 





次回、『変わり果てし我が体~TS狩凪遥斗~』
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。