パンを貪りしカップル 作:ああああ
評価が...増えてる!
『公のひと』さん、『タン塩レモンティー』さん、『やまけん』さん
感想ありがとうございます!!
学校から帰ってくると、自分のベッドでモカが寝ていた。
「...Zzz〜」
「...またかよ」
なんと安らかな寝顔だ。恋人とはいえ、男の部屋に忍び込んで熟睡するなんて相当神経が図太いのだろう。この出来事は今日だけではない。寧ろ頻繁に起こっている。一週間のうち、学生が学校へ通うのは月〜金曜日の五日間。その五日で最低でも二回は今回と同様の事が起こってる。
(...ぐっすり眠りやがって...これじゃあ起こすの躊躇しちゃうだろ)
今すぐ叩き起すことも可能だが、モカの安らかな寝顔を見ると躊躇ってしまう。普段はマイペースでゆったりと生きている彼女だが、学校生活以外でもコンビニアルバイトや幼馴染で組んでいるバンドの練習等があるのだ。そのため、見かけによらず疲れが溜まっているのかもしれない。そんな彼女を起こすなんて無情な行い、とてもじゃないが遥斗には実行出来なかった。
「うぅ〜ん...」
「ん?......ただの寝言か?」
「蘭と...つぐ...が...筋骨隆々に......!」
「...どんな夢見てるんだよ」
「トモちんが......ハーくんを撥で......!」
「.........えっ、撥でどうしたの?撲殺されたとか言わないよな?まさかの予知夢だったとかいうオチなら笑えないからな?......暫くは巴を怒らせないようにしよう」
巴の殺人の風景を軽く想像出来てしまうことが何よりも怖い。きっと勘違いだ。そうに違いない。そう自分自身に言い聞かせる遥斗。決して赤く染った撥を狂気の笑顔で振り下ろす巴の顔なんか想像出来てないんだからね!と気丈に振る舞いながらも恐怖に震える現状だ。
「本当に寝ているのか?実は起きてるとかないよな?」
「んん〜...ハーくん五月蝿い。せっかく気持ちよく寝ていたのに...」
「モカ...どんな夢見てたんだ?寝言が多すぎて逆に気になるんだけど」
「夢?あー...夢ね〜。確か――」
モカは夢について語り始める。
気が付いたらそこに居た。場所は遥斗の部屋、時間は不明だ。何故ここに居るのか、何時から居るのか、全部分からないのに違和感を感じない。何故なら夢だからだ。いつも通り彼の部屋に合鍵を使って忍び込み、怠惰を貪る。そんな日常の夢なのだが...
―― 一つだけ違いがあった。
「「マッスルマッスル!!今宵は筋肉パーティィィィィ!!!」」
「蘭とつぐが...筋骨隆々に...!!」
遥斗の部屋で筋肉の鎧を纏った美竹蘭と羽沢つぐみが筋トレしているのだ。キャラ崩壊もいい所だ。傍らにプロテインを置き、己の筋肉をいじめ抜く。全ては筋肉の成長と発達のためだと言わんばかりに。
「「これぞ筋肉の力ァァ!ヒャッハァァァー!!」」
「二人とも笑顔だ...こんな晴れやかな笑顔なんて見たことない...!」
「「筋トレサイコォォォォ!筋肉が騒ぐ...!まだまだ鍛えたりないって!!ヒャッハァァァァァァー!!これぞマッスルゥゥ!これこそマッスルゥゥゥゥゥー!!!」」
もはや別人の域だ。筋肥大を果たした筋肉に更なる成長を求めて飽くなき筋トレへと駆ける。そんな暑苦しい部屋にモカが居続けれる訳がない。限界へと達したモカはドアを開けて遥斗に助けるために駆け出す。この素早さは普段の生活からは想像もできない速さだった。
「ハーくん!ヘルプミーー!!」
一番信用でき、頼れると感じている恋人へ助けを求める。遥斗を探して家の中を走り回る。すると、台所から声がする。ああ、そこに居たんだ。そう安心したモカは台所へと向かったのだ。
「オラァッ!これが欲しいんだろォォ!!」
「アヒンッ!もっと...もっと甚振って!!もっと乱暴に扱ってェェェ!!」
「えっ...トモちんが......ハーくんを撥で......!あ、でもハーくんが笑顔だ。寧ろ痛みを求めてるドMさんになってる」
そこで繰り広げられていたのは恋人と幼馴染のSMだった。と言っても色気等は全くなく、巴が両手に持った和太鼓の撥で遥斗を叩きのめし、恋人である遥斗は叩かれる度に快感の喘ぎを漏らす。誰得な場面を無表情で見つめるモカ。
そこで夢は覚めた――
「最悪の夢だな。蘭とつぐみが筋骨隆々になるまではいい。でも、なんで俺が巴とSMしてるんだよ!?俺はMじゃないからな!痛みに対して恐怖しか感じないからな!?」
「まあまあ、夢での出来事なんだから。そんなに叫んでたら幸せが驚いて逃げちゃうよー?」
「その原因がお前の夢だって理解してる?」
モカの夢に呆れ果てた遥斗だった。
◆◆◆◆◆◆◆
狩凪遥斗は人を揶揄うのが好きだ。
その対象は多々居るが、その中でも今回取り上げるのは市ヶ谷有咲だ。常識人でありながら津○タカ○シと同等のツッコミ力を持つ少女。そんな逸材を遥斗が放っておく理由がない。
「つまり、俺が有咲を揶揄うのはツッコミ力を認めているからだよ。ガールズバンドのメンバーの中では随一だ。誇るべきだと思う」
「まったく嬉しくないからな!?そもそも、ツッコミ力ってなんだよ!」
「ツッコミを入れる速さ、的確さ、勢い...それ等を総合した力だよ。有咲はその全カテゴリーで高得点を叩き出している。この狩凪遥斗が見た中で一番のツッコミ役だ!」
遥斗は讃える。ツッコミ役は他にも居るが、彼女と同等レベルまで辿り着けた猛者は今のところは確認できてない。ベ○ータも『がんばれ有咲...お前がナンバー1だ!!』と言うに違いない。
「そんなツッコミナンバーワンな有咲に相談があるんだよ」
「まずはその屈辱的な称号を取り消せ。相談に乗るのはその後だからな?」
「ふっ、一応相談には乗ってくれるんだ。有咲はツンデレだなぁ。金髪ツインテールでツンデレで巨乳って...典型的なヒロインかよ。是非とも結婚したい」
「け、結婚!?いやいやいやいや!遥斗にはモカちゃんが居るだろ!?」
「冗談も通じないって...どんだけ純粋なんだよ。ますますヒロイン力が上昇してる。ぐっ...モカが居なかったらプロポーズしたいところだよ!!」
「だ・か・ら!結婚とかプロポーズとか言うな!!一番恥ずかしいのは言われる側なんだからな!!///」
有咲は揶揄えば揶揄う程可愛くなる。それが遥斗の出した結論だった。よって遥斗は有咲を揶揄い続ける。有咲も表面上は嫌がっているものの、負の感情は込められてないことは理解してる。
「そ、それで...相談ってなんだ?」
「......ハンバーガーってさ、パンに分類されるのか?」
「............えっ、それだけ?」
「それだけとは失礼な!確かに俺はパン好きだ。でも、ハンバーガーも大好きなんだよ。理由は具材をパンで挟んでるからだ。それをパンと呼んでも問題は無いのかって...」
「心底くだらない相談だな!?」
少しでも真面目に聞こうと思った数秒前までを後悔する。だが、最初から冷静に考えていれば分かったことだ。普段からマイペースでゆったりと生き、困り事は殆どは自己解決が可能なスペックも持ち合わせているのが狩凪遥斗という男だ。それに、本当に困ったら自分では無くモカに相談するはずだ。
「...お前、本当になんで
「暇だから構ってもらいに来た」
「私は遥斗の飼い主じゃないからな?そんなに暇なら香澄の場所に行けよ。アイツも暇してると思うぞ?」
「はぁ...有咲って本当に鈍感だな。俺が本当に暇だから来たと思ってるのか?俺は香澄じゃなくて、有咲に会いたかったんだ」
この男、再び揶揄いにきてる。ニヤけそうになる表情筋を必死に固定し、頭の中では有咲に掛ける言葉を考えている。常に臨機応変に、ワンパターンは駄目だ。遥斗はそんな無駄なことに関しては誰よりも前向きだった。
「有咲、迷惑だったか?」
「また揶揄おうとしてるだろ。何度も騙させる私じゃないからな?」
「...はぁ」
「お、おい...なんだその反応!何時もみたいに軽口叩いてこないのか?変な反応されたら逆に気になるだろ!」
「俺は本気だ。この言葉の意味が分からないほど鈍感じゃないよな?俺は本気で――」
「な、なななな!?お、お前には恋人が居るだろ!?変な気は起こすな!ちょ、近い!顔近いって!!///」
『赤面』、今の彼女を表すならこの二文字だ。顔をトマトのように赤らめて恥ずかしがる有咲。ああ、この純粋無垢な反応が見たくて毎回揶揄ってしまうんだ。というか、この表情を見て『もう一度』と思わなければ男じゃない。つまり、自分は男として当たり前の行動をしているに過ぎないのだ。それは自身の正当化が得意な男の思考だった。
「有咲、よく聞け。俺は本気で――」
「だ、ダメだ!それ以上は言ったらダメなんだ!!」
「有咲を揶揄っているんだ!!」
「だからダメだって............は?」
「やーい!有咲また引っ掛ったー!!恋愛脳の有咲ちゃんは学ばないですねぇ?あれあれ、有咲の顔が赤いぞ?なんで赤いんだろー?僕気になるなー?」
煽る。一周まわって幼稚とも捉えられるような煽り方だが、今の有咲には効果抜群だ。この一連の流れは毎回の恒例だったりするのだ。
「......う」
「う?」
「うがあぁぁぁぁ!!」
「ヒェッ...有咲が壊れた。お、おい!暴れるなって!ツインテール振り回すな!!」
この後、有咲を落ち着かせるのに十分以上掛かったらしい。
◆◆◆◆◆◆◆オマケ◆◆◆◆◆◆◆
主人公情報!
・遥斗の部屋の本棚には『HUNT○R × H○NTER』や『ニセ○イ』、『ドラゴ○ボール』、『○イの大冒険』などがある。だが、それは表面上だけだ。奥の方には『ToL○VEる』とか『ゆ○ぎ荘の幽○さん』、『終○のハーレム』などの一応十八禁では無いえちえちな漫画が隠れている。本人は隠せているつもりだが、モカは全て把握している模様。
Lチキ旨辛味を食べながらモンスターエナジーを飲む。これが今のマイブームだったりする。
何を読みたいですか?
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パン好きカップルのイチャイチャ
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混沌と書いてカオスと読む系の夢落ち
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幼き日の記憶(遥斗)
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意味もなく思い付いただけのバトル展開
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それとも――ぜ・ん・ぶ♡