ARIA The PIACERE 1 その輝かしい船出を祝して   作:neo venetiatti

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第11話

「はっ、はっ、はっくしょん!」

藍華は大きなくしゃみをすると、むずむずする鼻を伸ばした人差し指でこすった。

「藍華お嬢。大丈夫すか?」

あゆみ・K・ジャスミンは、心配そうに藍華に声をかけた。

「ダイジョウブ」

そう言いながら、またくしゃみが出そうになっていた。

「今日はなんだかやたらとくしゃみが出ますねぇ。風邪じゃないすか?」

「だから、その〈ないすか?〉ていうの、なんとかならないの?」

「これはウチのクセみたいなものですから」

あゆみは明るく答えた。

「なんか、あっけらかんとしてるわねぇ」

「さっぱりしてていいねって、よく言われるっす」

「わざとじゃないわよね?」

「なにがっすか?」

「もう別にいいわ」

藍華はカンナレージョ支店のエントランスであゆみと落ち合う約束をしていた。

「あゆみ、あんたの今日の予定は?」

「お嬢も知ってるはずじゃないすか?ウチはトラゲット専門だって。だから今日も本当は、こんなところで油を売ってないで、バリバリ働くつもりだったんですけどね」

「こ、こんなところで悪かったわねぇ。あんたもこの支店の従業員なんだからね」

「わかってます。だからこそ、藍華お嬢の頼みとあらば、駆けつけないわけにはいかないっす」

「それはそれでうれしいけど」

「それで話って言うのはなんですか?」

「あんたも知っての通り、このカンナレージョ支店の一周年記念のイベントが中止になったじゃない?」

「はい、そうですねぇ」

「だけどわたしとしては、本店とは関係なく、ここで長くやっていくためにも、このカンナレージョ地区の人たちと何か交流の場を持てないかって思ってるの」

「へぇ~、それはいいアイデアですねぇ。ウチもそういう地元密着っていうの好きです」

「あゆみはそう言ってくれると思ったわ。だからといって、ここの人たちも忙しくしてる訳だし、今さらながらちょっと考えが煮詰まってるのよね」

「ウチとしては、とにかくみんなで集まって、ぱぁっと盛り上がればそれいいんじゃないかと思いますけど」

「聞く人を間違えたのかも・・・」

藍華はイスの背もたれにダラーンともたれ掛かった。

「私たちウンディーネなんだから、やはり遊覧観光がいいんじゃないかっていう人もいるんだけどね」

「ダメなんすか?」

「それだとある程度の数のウンディーネを確保しないといけないじゃない?でも、今は姫屋あげてマンホームの賓客のおもてなしに比重をおいてるし、それが終わったら、これまでの分を挽回するために、いっそう忙しくなって、おもてなしパーティーなんて言ってられなくなるのも、目に見えてるのよね」

「そういうもんすかねぇ」

「そういうもんすよ。だからやるんだったら、この期を逃すわけにはいかないのよ」

藍華は困った表情で天井を仰ぎ見た。

「それならなおさら、集まれる人にはどんどん集まってもらって、ぱぁっと盛り上がるのがやっぱり一番いいんじゃないかと思いますけど・・・」

「そうねぇ。言われてみると、そういうのが一番無難な方法なのかもね」

「それだけじゃ何かまずいとか?」

「まずいというわけじゃないわよ。何か物足りないというか・・・」

「物足りないですか。やっぱりここは盛大にぱぁっと・・・」

「それもちがうのよねぇ」

あゆみは思わずガクっとリアクションをとってみた。

「お嬢の考えてることは、今一つ理解しずらいところはありますけど、やっぱりウチはみんなで楽しく過ごすことが一番のような気がします。とくにウチはシングルですから、出来ることは限られてきます。プリマならいろんなおもてなしが考えられるのかもしれないっすけど」

「シングル・・・」

藍華は、あゆみが言った言葉が何か気になった様子だった。

「シングルが何か?」

「あゆみ、シングルよ」

「はあ?どうゆうことすか?」

「そうよ。シングルよ。シングルだからできることがあるはずだわ!」

藍華は、いいアイデアを思い付いたと言わんばかりに大きく声をあげた。

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