風が吹けばクズ男が儲かる〜犯罪を働くだけで感謝されるとか人生イージーモードだろ 作:或売奴千刺
公安と一言で言っても先程あげた情報課のように様々な課が存在する。
警護課、一般公務課、一般事務課、司令統括課、サイバー課、外部協力課、情報課、人事課……。
ポルトンエヘクトルはエリート階層である司令統括課、サイバー課、外部協力課、情報課を抑え一部、人事課ではないにもかかわらず人事にも口を出している。
ここで全く関係がないのが警護課や一般公務課、一般事務課である。
警護課は皇族や要人を警護する課、一般公務課は警察では手に負えない凶悪事件の捜査、一般事務課は公安警察に関わる情報の整理や資金の管理などを行う課である。
これらは一般公募から選ばれた人間を採用しており、法の範囲内でしか捜査を行わない。
情報課のとんでもない強権を見るに公安=悪と思ってしまいそうになるが一般公募からなる公安の表層はとってもクリーンだ。
そもそも公安自体、軍事政権化の秘密警察のような過激さはなく、一般の警察の手に負えない危険度の高い事件を調査したり、情報収集をしたりする健全な組織なのだ。
アメリカの機関と違って無差別に攻撃する危険なコンピュータウィルスをネットに散布したり、都合の悪いことを書き込む人間を追いかけて国家反逆罪で捕らえたりとフィクションであるような危険な組織ではないのだ。
法を守らない奴は法に守られないをモットーに令状どころか証拠もろくに集めず捜査をするのが情報課という部署であった。
情報課に最近配属された新人がいる。
彼女の名前は八次鈴香(やつき すずか)、谷口旭の元に部下として派遣されたのであるがまさかパパ活みたいだな……と思われているとは考えもしないだろう。
情報課というロクでもない組織に入ったのだからどんな性格破綻者かと思えば彼女は至極まっとうな人間だ。
一般公募枠出身で、一般事務課で働き、その中で情報課の存在を知りキャリアを積んで移動を希望したくちだ。
情報課にまともな人間はいない。
皆、何処かヘラヘラしていて人間性が薄っぺらいのだ。それでいて仕事をするときは、血に染まりながら満面の笑みを浮かべ、奇声のような声をBGMにディナーを楽しむのだ。
スカウトされて入った訳でもなく、情報課の方が自分に合いそう、そんな理由で来た八次鈴香がこのキチガイども真相にたどり着くことはなかった。
彼女にとって世界とはとても優しいものだった。
優しい父、綺麗な母、優秀な兄、ステキな友達。
裕福な家に生まれ、容姿端麗で、悪意にさらされることなく育った。
だから、テレビで流れる殺人事件が何処か遠くの国の話のように感じていた。
警察に入ろうと思ったわけではなかったが、兄が警察官になったのを見て自分なりの正義を見つけたいとその道へ進んだ。
兄と同じところでは兄と同じものしか見えない。
そんなことを考えて公安警察に応募した。
容姿端麗で成績優秀、家柄もよく態度もいい。
当たり前だが合格だった。
一般事務課に配属されてからは、情報の整理、給料や資金、備品の管理、レポートの作成など精力的に取り組んだ。
彼女にとって公安警察という場所も優しい世界に見えた。
情報課に移ってからもそう思えた。
"情報課の皆さまはいつもにこやかでいい感じ"であったし、"辛い様子も見せずいつも楽しそう!"、"凄く人当たりが良くてとってもいい職場"。
"男性職員も清潔感あるし……"
なんて思っていた。
正直言おう、彼女の頭はお花畑だった。
"情報課の皆さまはいつもにこやかでいい感じ"
違う。
獲物を追い詰めた蛇のような冷たい目と弱者を痛みつけることが楽しくてこみ上げる笑いを隠すために貼り付けた胡散臭い笑顔だ。
"辛い様子も見せずいつも楽しそう!"
違う。
人を痛めつけるのが趣味であり性欲の捌け口であり、人の悲鳴で腹が満たされる彼らにとって仕事ではなく、生きるために必要なことだ。
人が水を飲んだり息をするのが疲れたと言わないように、彼らにとって悪人を取り締まり治安を守るという建前の元人を痛めつけることができる環境は最高だった。
"凄く人当たりが良くてとってもいい職場"。
違う。
彼女を見る目はどう堕としてやろうかと獲物を見る目だった。
空門剣城が手を出すなと注意しなければ今頃、人肉パーティでも開催され悲鳴と絶望とバラバラにされた肉体が彼らの腹に収まっていただろう。
"男性職員も清潔感あるし……"
違う。
清潔感があるのではない。
拷問を加えて汚れた身体を念入りに洗っているだけだ。
ほんとうに酷い勘違いだった。
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