風が吹けばクズ男が儲かる〜犯罪を働くだけで感謝されるとか人生イージーモードだろ   作:或売奴千刺

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※胸糞表現あり
※この物語の主人公はクズです。同情する点がありません。
※クズでゲスで犯罪者が主人公でもいいよ、という人はゆっくり見ていってね!


第三章 五味秋人の日常
1-1◇ミカギリ大学愉悦サークル


 

【挿絵表示】

 

 

 最強無敵の大学生、五味秋人はエージェントである。単にして最強の個である彼にとって未来予知など子供の戯れのようなものだ。

 彼は最強ゆえ外に出ればありとあらゆる組織に命を狙われる。鍛え様にも一般市民を巻き込まない様、外に出ないようにしているかれが考えついたのがバトルロワイヤルゲームを用いたイメージトレーニングであった。そうして類稀なるエイム力を身につけ百発百中の腕と弾を回避するチート級の反射神経を得た彼は久しぶりに外へ出たのであった。

 彼は朝早く街へ繰り出し何かないものかと考えていると遠くの方、具体的には4km先から殺気を感じた。しかも自分を狙っているようではないらしい。目の前を歩く美少女を誰がか知らないが目をつけているらしい。助けてあげよう、そう考え近づいた瞬間4km先から高速で弾丸が撃ち込まれた。しかしそれを対処出来ない最強エージェントではない。謎の美少女をお姫様抱っこしながら飛び上がり近くのビルの屋上に上がるとその軌道を追う様に続けて撃たれた弾丸を目にも留まらぬ早業で掴み取った。

 大丈夫かい?最強エージェントである五味秋人がニコリと微笑むと美少女は顔を赤くして即堕ちした。

「フフフ、俺って罪な男だぜ」

 どうせ堕ちてるならこの勢いで口まで奪ってやろう。

 目をつぶり秋人に抱きついてきた謎の美少女にキスをしようと迫る。

 その瞬間美少女の身体が膨れ上がり骨格がメキメキと中高年の男性のものに変わる。一瞬で加齢臭漂うおっさんに変わった美少女は「わたしもすきよ〜」とおねぇ口調で言いよりながら後退りする秋人に迫った。

「ま、まて、まて落ち着け。」

「んー、無理よ、本当に可愛い子♡食べちゃいたいくらい」

「や、やめろっ!そうだ!見逃してくれるなら世界の半分をやろう!お前と俺で半分ずつだっ!どうだ!」

「それもいいけどぉ〜やっぱ貴方がいいわ!!」

 目を見開き巨体を揺らしながら襲い掛かってきたおっさんに腰から取り出したショットガンを撃つ。

「いいわぁ、いいわぁ」

 身体が傷つくたびに喜びの声を上げる変態。そういえばこのおっさんがドMだったと今思い出した。

 そして、後退りし過ぎた秋人はビルの屋上から真っ逆さまに落下し地面に思いっきり叩きつけられ真っ赤な花を咲かせて死んだ

 

 

「ひいいいぃいぃぃぃぃ!!!!!」

 

 五味秋人は引き攣った声を発して飛び起きた。汗で体はぐっしょりとしていて部屋に効いたクーラーが湿った身体を嫌にひんやりとさせた。覚えていないが何かとんでもない夢をみた気がする。秋人は見慣れないベッドで寝ていた。周りはカーテンで仕切られている。病院だろうか……否、大学の保健室である。

、授業がだるいという理由で仮病を使って保健室のベッドで横になっていたようだが最近の徹夜が存外、疲れにつながっていたのだろう。もちろんゲームである。

 声を聞きつけてだれかがカーテンの前まできた。

 

「えーっと、五味、五味秋人くん……だよね?大丈夫かしら」

 

 どうやら保健室の先生みたいだ。

 

「あ、あー……たぶん大丈夫です。なんか悪夢見た?みたいな」

 

 悪夢を見た気はするしとんでもない話だったはずだが、思い出せなかった。健忘症ではない。SAN値は削れたかもしれないが忘れるのが夢というものだ。

 

「そう、疲れてるのね。私はキミは仮病かと思ったのだけど本当に具合悪かったのね。ごめんなさいね、勘違いしてたわ」

 

 保健室の先生である彼女はとんでもない勘違いをしていた。仮病である。

語り手であり神視点である私が保障しよう!五味秋人は具合い悪くてきたのではない、仮病なのだ!

 

 

 彼は、仮病できたのになんだか知らないが具合が悪かったという嘘を信じてもらえたことに、感謝していた。

 

 ……そして秋人はカーテン越して邪悪な笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 優しいお姉さん系先生から心配され熱さまシートまでもらった彼は久しぶりに授業に出ることにした。実は少しどころかかなり出席数がギリギリなのだ。

 仕方ないと大学1年生は全員強制で法律や英語の授業を受講しなければならなかった。しかし、この大学。かなり甘かった。東京という好立地にありながら大学生というステータスにあやかりたい人間が入る最高の馬鹿大学なのだ。その名も美香技術理工大学……略してミカギリ大。見限られた馬鹿が集結するお馬鹿大学であるが、そんなことは秋人は知らない。高校3年生の頃、毎日非行ばかりしていた秋人少年に進路指導の先生が東京の大学に行きたいという彼の要望を交えて入れる大学を探した結果なのだ。

 

 ミカギリ大のキャンパス3階のホールに遅れてやってきた五味秋人に先生や生徒たちはチラリと視線を向けたが札付きのヤベーやつが来たとすぐに目線をそらしたこともあり、注目されることはなかった。

 講義場に入ってわずか10分、法律の授業を受けながら爆睡していた。何をしに来たんだお前は。

 彼は片耳にはイヤホンをさし、右手を枕にして机に突っ伏していた。

 

「おーい、聞いてるかそこ?」

寝ていることをいいことにちょっかいをかける教師。

 

「はい! 聞いてます!」

 まるで起きてるような大声で返事した。

 突っ伏してヨダレを口元からダラリと垂らし白目を向いてブサイクさを増した顔で答える。まあ、なんと器用なことで。

 もちろん寝言である。

 

 が、教師はそれ以上突っ込んで起きてしまったら面倒なのか、それとも教師をちゃんとやってるよアピールでただ寝ているっぽい奴を指名したのかわからないがどうやら注意する気は無いようだ。

 ちなみに世界の全ての人間が、秋人の素性を知ればこの授業をちゃんと受けろと100人中100人がいうだろう。この世で一番法律の授業が必要な男である。

 だが寝ていた。何故高校を卒業できたのかわからない馬鹿には法律の授業どころか大学生レベルの日本語は難し過ぎたようだ。

 

 ぐーぐー寝ていた彼だったが隣で真面目に授業を受け一言一句聞き間違えないと言わんばかりにノートを書き殴っていた男の肘がぶつかってしまう。

 だがノートを書くことに夢中になり隣にいた不真面目な少年のことなどどうでも良いというか視界にすら入っていなかった男はひたすらにペンを持ち続けた。

 

 ぶつかったことに謝ればよかった。

 が、謝らなかった。

 そして男の運命は決まった。

 

 さっきまでぐーすか寝て授業妨害をしていたくせに怒り心頭ぶっ殺すぞテメェと顔に書かれたような表情を浮かべ飛び起きる秋人。悪意に敏感なのである。

 "悪魔"というものがいるのならば隙を見せれば悪意を持った行動で相手を貶めようと虎視眈々と狙っている彼のような人間をいうのだろう。

 酷い、いや、謝らない方にも少し原因がある気もするがイチャモンのつけ方が一流のいじめっ子のようだ。

 素晴らしい手際で自分を正当化した秋人にはこれからしようとしている悪行に対する罪悪感などなかった。

 

 垂らしたヨダレを放置して、左の口の端から少し漏れていたものはパーカーの袖で拭き取った秋人は授業中にもかかわらず、携帯を起動しLIMEで誰かにメッセージを打ち出した。

 本人は上、下、横、後ろ、前と全方向から隠せていると思っているが、斜め後ろから見ると携帯を使っていることがバレバレである。

 ついでに言わせてもらえば、プロジェクターを使って授業をしているこの学校では当然の如く講義室は薄暗く、液晶画面など使った日にはそこだけ明るくなってバレるのが落ちだということに気づいていない。

 気づいていないのは使っている本人と隣で猛勉強しているガリ勉くんである。

 ガリ勉くんというのは隣でガリガリと音を立ててノートを結構な筆圧で書き込んでいたから付けたあだ名だった。

 秋人のネーミングセンスはちょっと昭和が入っているようだ。

 ガリ勉くんは隣がモゾモゾ動いていて鬱陶しいから邪魔するなら教室から出てやってくれと思っていた。

 いや、なんと常識人。

 だが世の中は理不尽に満ちている。

 正義が負け、弱者は弾圧される。

 金がモノをいい、よってたかって自分達と違う者をいじめる。

 面白ければ何をやってもいい……特にそう思いがちな年頃の少年達にとって"正当な理由"が出来た男は格好の的だった。

 男は留年したのかそれとも編入したのか、高校からそのまま大学へ進学した秋人たちと4、5は年が離れているように見えた。

 手入れされていないもっさりとした髪の毛に、曇った眼鏡。

 秋人は本当は人の事を言えないが、まさに棚に上げたように、ガリ勉くんの服装をオタクみたいで『うぇ……ダッセェ』と思っていた。

 『ブーメランだこのイキ者が!粋がってんじゃねーよ!』と言いながら殴ってやりたくなる。

 

 アマゾンに住む雄鳥の尾羽のような退廃的な髪型をして家畜のようにピアスをつけた顔面、意地悪そうなのが滲み出た笑顔。なんかムカつく奴である。

 

 誰もが一度は考える妄想といえばテロリストが学校に来てそれを退治する、透明になってムフフなことをする、時間を止めてやりたい放題する、あとは超能力を得てヤンキーをぶん殴るとかだろうか。

 おそらく秋人とすれ違う人達のほとんどは、超能力に目覚めて念力パンチで殴り飛ばしているだろう……妄想の中でだが。現実でやれば身体能力と凄まじいラックにより挑戦者は負けるだろう。

 多分秋人は、グラビアアイドル並みに様々な人の中であれこれされているランキング上位に食い込める才能を持っていると思う。

 あれこれの意味は少し違うが、そんなこと言わなくてもわかるだろう。

 

 ガリ勉くんは先生の無駄話までもキッチリとノートにまとめ、同時に蛍光ペンを使いこなし綺麗にまとめて行く。

 中学、高校時代はこういう奴は沢山いるのに大学入ると途端に減る中でこんなに真面目な生徒は珍しいだろう。

 先生もこんな真面目に話を聞いてくれる生徒がいるならば頑張れちゃったりするだろう。

 大学生の鑑である。

素晴らしい大学生のお手本といけない大学生のお手本が二人揃って座っているのは何か運命を感じさせる。

 本来なら何も起こらない。

 

 いや、その運命を五味秋人が変えた。

 

 LIMEでメッセージのやり取りをしていた相手との話が終わったのか携帯をズボンのポケットにしまう秋人。

 さすがに尻ポケットにしまうほど馬鹿ではない。

 ペットボトルの蓋を開けっぱなしにしたお茶を机におき、垂れたままになっていたヨダレを拭くフリをしてわざと中身がガリ勉くんの方に向かって倒した。

 

 ビチャッ!

 

 机に広がる琥珀色の液体。

チャプチャプと音を立てて、波打つように容器から流れ出す。

 広がる液体は机に留まらずノートを水浸しにした。

 

"は、ははははははははははは!!"

 

 心の中で大爆笑する秋人。

 黒いノートで人を殺して黒い笑みを浮かべてるあの人に劣らない悪い笑顔をしていた。

『お前が謝ればよかったんだ、お前が悪い』

 その言葉が僅かに残った罪悪感という人間性を薄くさせた。こうして正当化は終わった。

 

 お前が悪いなどと心の中で呟いているが、例え腕がぶつからなくても自分からぶつけて難癖をつけていただろうによく言ったものだ。

 それから食べ物は大切にしようと親に習わなかったのだろうか。

 これは飲みm……黙れ。

 食べ物を粗末にしたものは永遠に飢えに苦しめられるという地獄に行くらしいが是非今からでも行って欲しい。

 

 お茶でひたひたになったノート。

 書いている途中だった紙は柔らかくなり、止めきれなかったシャーペンの細い芯がページを破いた。

 僅かに溶け出したインク、ジワリと沁みて文字が潰れ、懸命に書かれた努力の結晶は、ゴミへと変わった。

 

 放心状態のガリ勉くん。

 早く拭けば何とかなったかもしれないノートはもはや修復不可能。

 先生も先生で保身に走ったようで見なかったことにしていた。

 五味秋人本人は髪の毛を染めて大学生をエンジョイしているだけとか考えていたが札付きの悪として学内の生徒や職員から恐れられていた。

 

 いくらミカギリ大学といえこんなやばいやつを置いておくつまりはなかったしかし、退学させようとも、上の圧力によって退学させられないというジレンマに陥っていた。

 こんな一人を退学させないことに強大な権力を持つ組織が複数関わってくるともはや金とか他の生徒のことを気にしてられない。

 

 色々な意味で恐ろしくなった経営陣は秋人を完全に無視することに決めた。

 

 数ヶ月前に赴任してきた体育会系の融通が効かない正義感に溢れる教師が、一人に向かってボールを投げつけて笑う姿に激怒して叱ったあと行方不明になったのが決めてだろう。

 

 なんかヤバイ動きがある、アイツに関わったら生きて帰れない。

 そんな奴と同じ学校に通わせられるか!と経営陣は親戚や友人、子供達を何だかんだ理由をつけてほかの学校に転入させたくらいだ。

 

 それについては、何も言われなかったことにホッとしていたが職場を辞めることに対してはゴロツキを雇って脅迫を受けたものも多く、毎日ヒヤヒヤしながら、精神的にも命を削って職場に通っていた。かわいそうな教師達だが、慕ってくれている生徒を助けないというのも酷い話だ。

 

 こういう場合、大概元凶よりも仲間を恨む。何故助けてくれなかったんだ!と。

 いやいや、よく考えて欲しい。

 被害を受けた貴方も可哀想だが、お仲間さんも人間だ。あまり危なさそうなところに身を突っ込むなんてやらない。

いくら口で助けるなんて言われても実際にやる奴なんてほぼ居ないし、いたとしたら聖人である。

 今回の場合は教師がこれに当たる。

 慕っていたのに助けてくれない。

 チラリと見た先生は、非常に面倒くさそうな、それでいて憐れみを浮かべて何事もなかった化のように授業を再開したのだ。

『なんで、どうして!先生、"なんかあったら俺を頼っていい"って言ったじゃないか』

 自分の命惜しさに保身に走り生徒を見捨てた教師。

 信頼して先生、先生と慕っていたのにもかかわらず無慈悲にも裏切られ絶望するガリ勉くん。

 

 教師の方をジッと見ていたからチクるのかと思いきや無視されてうな垂れた様子を見て「いひひひひ」とドス黒い笑いを漏らす秋人。

 何が面白いのか、非常に不愉快な事情であるが、秋人の仲間なのかそれとも傍観者気取りなのか。

 何人かは項垂れ震えるガリ勉くんを見てニヤニヤ笑ったり、中には動画を撮影しているものまでいた。

 

 いつのまにか机一杯に広がり、机からはみ出して置かれていたノートの端を伝って落ちる琥珀色の液体は絶望でもはや何も見えていないようだった。

 垂れた液体は彼のズボンを濡らしまるで漏らしたかのような模様を描いて行く。

 

 理不尽……今まで味わったことのないような酷い仕打ちに涙をにじませるガリ勉くんは、必死に泣くのを堪え代わりに顔を赤くした。

 




解説1
頭の中で色々されている
グラビアアイドル→エチエチ
主人公 五味秋人→ボコボコ

次回予告
その青年は真面目だった。しかし神は二物を与なかった。賢い彼代わりに幼くして数多くの不幸に見舞われた。
幼くして父が蒸発し女手一つで育ててくれた母親が病気になった。母の医療費を払うためバイトに明けくれ大学どころでないと一度退学した。母の病気は治らぬ高卒では賄えない、ならば大学を卒業し何処かへ就職する。決意を固め以前は全く考えもしなかった底辺大学へ進学する。しかし不幸にも、黒塗りの不良に追突してしまう。
後輩をかばいすべての責任を負った青年に対し、車の主、暴力団員五味が言い渡した示談の条件とは…。

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