「こうなったら異世界を満喫するしかないでござるな」
とはいえここは砂漠のど真ん中、周りを見ても砂しかありません。
オタクが途方に暮れていると遠くから茶髪の美しい女性がかけてきました。
「この付近で大きな音がしたから様子を見に来たのだけど、あなたがやったの?」
オタクは異世界召喚されたことと何か関係があるのではないかと察しひきつった顔でごまかします。
「せ、拙者は道に迷っていただけでござる、音のことも何が何やら…。」
「ふーん?そうなの。あなた何もわからないのね!でも、たまたま私に会えるなんて運が良いわ!私はマチルダ・ビューティーよ。あなたの名前は?」
「拙者の名前は……た、
オタクは名前を聞かれ、咄嗟に元のオタクたちの名前を合体させ答えました。
「田中元筋というのね、よろしく。私のことはマチルダって呼んで!それじゃあ、あなたは静かにこの場を離れてね。危ないわよ!」
「えっ?」
ヒャッハー! オラオラオラオラオラ!
マチルダの周囲に筋骨隆々な上に、肩パッドと棍棒を装備したゾンビが五体現れました。
「ふんっ、早速お出ましね…!」
獣のように体制を低くしたマチルダは、懐から小型の棍棒を取り出しゾンビに飛びかかりました。バランスを崩したゾンビの頭に棍棒を打ち付けます。
ゴン!ゴン!ゴン!ゴン! グシャッ!
ゾンビは頭を失い、力なく地面に倒れました。
「ヒィッ」
「まずは一体ね!元筋、もっと後ろに下がって!」
マチルダは元筋を死体の方へ下がらせ、再びゾンビの群れに飛び込んでいきました。
「マ、マチルダ殿だけに戦わせるわけには…。そうだ!転生したからには拙者にも何か能力があるはずでござる!」
元筋は体に力をこめたり、謎の呪文を唱えたり、色々なことを試しますが何も起こりません。
「二体!まだまだ!」
マチルダは順調にゾンビを倒しています。
ゴン!ゴン!ゴン!ゴン! グシャ!
「三体目!次は四体目よ!」
バキッ!
「ああっ!」
マチルダは次々とゾンビを倒していましたが、棍棒がゾンビの肩パッドに当たり折れてしまいました。
「キャーーーーーー!」
マチルダの悲鳴が辺りに響き渡りました。
(能力が出せないなんて情けないでござる。マチルダ殿を助けたいでござる!)
元筋はマチルダの前に飛び出し、両手をゾンビたちの前に突き出しました。
ドバババババババ!
「な、なんでござるか!」
元筋の両手から大量の砂が噴き出し、ゾンビたちに直撃しました。砂の量が多く瞬く間にゾンビたちの体は砂に埋まり、圧死してしまいました。
「助かったわ!元筋、あなたって強いのね!」
マチルダはほっと息をついて、ゾンビの肩パッドと棍棒を回収しつつ元筋に話しかけました。
「マチルダ殿を助けられてよかったでござる」
「本当にありがとう元筋!助けてくれたお礼をするわ。ここは危ないから町に行きましょう!」
こうして元筋とマチルダは近くの町へと向かうことにしました。
元の世界と違う景色に、見たことのない魔物……異世界に転生した元筋は期待に胸を膨らませるのでした。