お姫ちゃんは引き篭もりたい ~TS系オタク転生者美少女の生存戦略?~ 作:とんこつラーメン
駒王学園旧校舎。
ここは普段は、リアス達『オカルト研究部』が活動する部室がある場所なのだが、今は彼女達がいないのでもぬけの空になっている筈の場所だった。
だが、今はそうではなく、一人の女子の制服を着た一人の小柄な男子が怯えながら潜んでいる場所になっていた。
そんな彼の名は『ギャスパー・ヴラディー』といって、リアスの眷属『
だが、気弱な彼にはその能力は強力すぎたのか、自信で上手くコントロールできないでいる。
己の意志とは関係無しに周りの時間を止めてしまう。
そんな事が頻繁に起きてしまった為、いつしかギャスパーは人間不信になって引き篭もりとなってしまう。
今回も、本来ならばリアス達と一緒に会談に出席するはずが、本人がまだまだ怯えた状態なので、無理強いは出来ないという事で旧校舎にある部屋で待機をしていたのだが……。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!? な…なんなんですかぁぁぁぁぁっ!?」
彼は、カテレアの部下である女魔術師達による襲撃を受けていた。
彼女達の目的はたった一つ。
それは、ギャスパーの神器を意図的に暴走させて、周囲一帯の時間を停止させてから強襲を仕掛ける事。
だが、彼女達はまだ知らない。カテレアがもう既に敗れ去っている事。
そして、自分達の作戦がこれから失敗することを。
「ギャーギャーと五月蠅いわね。猿轡でも噛ませてから大人しくさせましょうか」
「そうね。静かにしてから、ゆっくりと準備を始めれば……なに?」
突如、後ろにいた筈の仲間達の気配が消えた。
何事かと思って後ろを振り向くと、そこには紅く無機質な目を向ける刑部姫と、そんな彼女に寄り添うように立っているオーフィスの姿が。
「また出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
再びの侵入者に怯え捲るギャスパーだが、そんな事に構っている暇は無い為、彼女達は淡々と動き始める。
「な…なんなのよ、お前達はッ!?」
「…こいつら、君の事を知らないの?」
「我、会っていたのは英雄派や美猴とかだけだった」
「成る程」
要は、名も知らぬ戦闘員とは会う必要すら無かったということか。
なんとも虚しい事だが、それはそれで都合がいいので、ここにいるのが自分達の嘗ての大ボスであったことは黙っておいた。
「どうする?」
「取り敢えず、あの子を助ける。こいつらを蹴散らすよ」
「ん。殺す?」
「そうだね。本当は
「分かった。姫」
「どうしたの?」
「トラウマ、なに?」
「………あとで教えてあげる」
「ん」
なんだか、世話の焼ける妹を持ったような気分になってしまった。
けど、今だけはそれを振り払ってから前を向く。
「何者かは知らないけど、たった二人だけならば我々の敵ではない!! やれ!!」
「はぁ……」
知らぬが仏とはよく言ったものだ。
これから彼女達は、その言葉を身を持って思い知る事になる。
「えい」
オーフィスの服の袖から黒い蛇が勢いよく飛び出してきて、それらが易々と魔術師達の張った障壁を貫通して、彼女達の首や腕などに噛み付いていく。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「ぐぁぁっ! は…離れないっ!? い…意識が朦朧としてきて……」
普段から魔術や魔法のような攻撃の事しか想定していないツケがここで支払われる事になった。
次々と女魔術師達は倒れていくが、それでもまだ全てを倒したわけではない。
オーフィスの露払いをする為に、今度は刑部姫が外套を広げて、中から複数の折り鶴を展開する。
「アンタ等みたいのには、これで十分だよね。……行け」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
ギャスパーの利用を企んだ者達は、その全てが悉く倒された。
全員が床に倒れて身動き一つしないか、ピクピクと痙攣しているかのどっちかだ。
後に残ったのは、傷一つなく部屋の端の方で蹲っているギャスパーと、これまた傷一つなく悠々と立っているオーフィスと刑部姫の二人だけ。
「これ、どうする?」
「ほっとこ。後でお偉いさんに報告すれば、勝手に連行してくれるよ」
よくやったね。
そういう意味を込めてオーフィスの頭を撫でると、彼女は目を細めて気持ちよさそうな顔になる。
どうやら、いつの間にか刑部姫に懐いてしまったようだ。
「さて…と」
未だに全身を震わせながら段ボールに隠れているギャスパーに向かって、警戒させないように注意しながら静かに接近していく。
オーフィスはそんな事なんて微塵も考えていないので、普通に歩いているが。
「もう大丈夫だよ」
「あ…あなた達はなんなんですかぁぁぁぁぁぁっ!?」
「君を助けに来た元先輩って所かな」
「も…元先輩…?」
一応、ギャスパーは駒王学園の一年生なのだが、前述の通り、ずっと引き篭もっていたので学園内の実情なんて全く知らない。
当然のように、いつの間にか有名人となっていた刑部姫の事なんて知る筈も無い。
「取り敢えず、無事に間に合ってよかったよ」
「う…う……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
精神の限界が来てしまったのか、ギャスパーは泣きながら刑部姫の体に抱き着いた。
少しだけ驚いたが、すぐに彼女もギャスパーの頭を撫でて宥める事に。
「怖かったですぅぅぅぅぅぅぅっ! 僕一人で…いきなり怖い人達が来て……」
「そうだね。怖かったね。うん。でも、もう大丈夫だよ」
「はい…はい……」
「お前、えらい。がんばった」
「うわぁぁぁんっ! 僕よりもずっと小さい子に慰められたぁぁぁぁっ!」
「いや…見た目はそうだけど、実際はずっと年上だから……」
その幼女の様な姿に騙されがちになるが、オーフィスは悠久の時を生きる存在なので、彼女に年齢の事を尋ねるのは無粋だ。
「取り敢えず、今はグレモリーさん達の所に行こう。君の無事を教えてあげないと」
「分かりました……」
刑部姫に手を引かれるようにしてから立ち上がって、ギャスパーは彼女の腕に抱き着くような形で一緒に歩くことに。
本当は離れて歩いてほしいが、まだ完全に恐怖が拭い去れていないのだろうと思った刑部姫は、仕方なくそれを許して黙っている事に。
因みに、オーフィスは空いていたもう片方の手を繋いで歩いていた。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
刑部姫(分身体)とオーフィスがギャスパーの救出に成功した頃、外でカテレアを倒した刑部姫(本体)は瀕死の重傷になっているカテレアを美猴に運ばせながら、黒歌と一緒に校舎の中を歩いていた。
「悪いね。そんな『荷物』を持たせちゃって」
「気にすんなよ。目の前でいい戦いを見せて貰った礼変わりだ」
「まさか、あのカテレアを単独で倒しちゃうとは思わなかったにゃ……流石は大妖怪の刑部姫様にゃ……」
「姫はそんなに大した存在じゃないよ。何もかもが借り物ばかりの情けない女だよ……」
ふと、自分の腕と完全に一体化した、黒く染まった『
自分の事を慰めてくれた彼にも、非常に悪い事をしてしまった。
その罪もまた償わなければいけないだろう。
「ん?」
「お? どうやら、向こうも無事に終わったようだな」
自分達の進行方向。
丁度、目的地となる職員会議室前にて、自分の分身とオーフィス、それから救出目標であるギャスパーが歩いてきた。
「終わった?」
「もち。連中は生かしてるけどね」
「今はそれでいいよ。後でどうにでも出来るし」
「だよね」
まるで鏡合わせのように、自分自身と普通に話す。
よくよく考えれば、奇妙奇天烈この上ない光景だ。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!? 同じ人間がもう一人いるぅぅぅぅぅぅっ!? ドッペルゲンガァァァァァァァァァァッ!?」
当然、臆病なギャスパーがそんな光景を見れば、驚くのは当然な訳で。
「…そういや、俺達は普通にこの光景に慣れちまって、全く変に思ってなかったな……」
「これこそが普通の反応にゃのよね……」
二人とも揃って立派な人外ではあるが、それでもこれが異様な光景であることは自覚していた…が、それでも慣れとは恐ろしいものである。
「戻っていいよ」
「そうする」
ギャスパーの腕から離れた分身体は、そのまま泥のように溶けてから本体と融合し一つに戻った。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
「つまり、あれは姫が作った影分身みたいな物って事。分かった?」
「ひゃ…ひゃい……」
本能的な恐怖は無くなったが、それとは別の驚きが立て続けに来るため、ギャスパーは鼻声になってしまった。
「じゃあ、入ろうか。黒歌さん、心の準備はいい?」
「オ…OKにゃ!」
「開けるよ」
刑部姫は、何の躊躇いも無く職員会議室の扉を開けた。
これからの展開に関する質問です。
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逆ハーレム!
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百合ハーレム!
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どっちもありのドタバタ系ラブコメ