お姫ちゃんは引き篭もりたい ~TS系オタク転生者美少女の生存戦略?~ 作:とんこつラーメン
それから、今回は少し注意点が。
とあるキャラだけ別の作品の容姿と設定に変更していますので、お気に召さない方はここでブラウザバック推奨です。
北欧 アスガルド
自身の持つ光り輝く宮殿『ヴァーラスキャールヴ』にある玉座から遠く空を見上げている一柱の神がいた。
その顔は憂いに満ちており、何かを嘆いているかのようだった。
「なんとも…やりきれんものじゃな。こればかりは……」
その神の名は『オーディン』。
北欧神話の主神にして、戦争と死の神であり、同時に詩文の神でもある。
魔術に非常に長けており、知識に対して非常に貪欲で好奇心が強い。
時には自らの目や命を代償に差し出す事もあったという。
「なにがだ、オーディンよ」
「ロキか」
物思いに耽っている彼に話しかけてきたのは、オーディンの義兄弟であり巨人の血を引く悪戯好きの神と伝えられている神『ロキ』。
実際には、北欧の行く末と民たちを慈しむ立派な神である。
見た目的には、黒い髪を持つ好青年である。
「つい先程…一人の少女が死んだ。たった一人で世界の命運と人々だけでなく、全ての神話の未来すらも救ってみせた少女が」
「…そのような者がいたとはな。お前がそこまで言うのであれば、今頃はヴァルキリー達がその魂をヴァルハラへと送り届けている最中だろう」
「そう事が上手く運べばいいのじゃがな……」
「どういうことだ?」
いつもはハッキリとした物言いをするオーディンが、今日は妙に歯切れが悪い。
珍しい出来事に、ロキも思わず疑問に思った。
「少女の魂は、この世のどこにも存在していない」
「なんだと? ギリシアの冥府タルタロスにも、日本神話の黄泉比良坂にもいないのか?」
「そのようじゃ。まぁ、どこにいるのかの大体の想像はついているがな」
「それはどこだ?」
ロキが聞き返したところで、宮殿内に突如として強大な力と共に何者かの声が聞こえてきた。
反射的に身構えるロキとは対照的に、オーディンはまるでその訪問者の事を最初から知っていたかのように悠然と佇んでいた。
『英霊の座だ』
「な…何者だっ!?」
「お主は……」
二柱の神たちの前に、うすぼんやりとした幻影が姿を現す。
その相手をオーディンは良く知っていた。
「転生神カーネルか」
『うむ。久し振りだな、オーディンよ』
どうして二人は最初から知っている仲なのか。
それは単純に、よくプライベートで一緒に遊び回っているから。
俗にいう『悪友』というやつだった。
「転生神…だと? こいつが……」
『お初にお目にかかる、ロキ神よ。我が名はカーネル。転生を司りし神の一柱なり』
「一柱…ということは、他にも転生神がいると言う事か?」
『いかにも。だが、今はそのような事を話している場合ではないのでな』
「う…うむ……」
本当は色々と聞きたい事はあるが、オーディンとカーネルのただならぬ空気に、ロキは仕方なく引っ込む事に。
「英霊の座とは、アレの事か? ブリュンヒルデやスルト、ヴァルキリーにシグルドの魂たちが刻まれているという……」
『そうだ。その英霊の座に、彼女の魂は訳あって半ば引き込まれるような形で導かれたのだ。ヴァルキリー達がその魂を引き連れていないのはその為だ』
「成る程のぅ…。それならば、一応の納得するが……」
それは決して、カーネルがアスガルドに幻影を送り込む理由にはならない。
オーディンは知っていた。カーネルが数ある転生神の中でも主神に近い存在であることを。
立場だけで言えば、自分やゼウスと比肩する程だ。
その彼が、どうして幻影とはいえやって来たのか。
『お主の言いたい事は分かる。故に、こちらも単刀直入に答えよう。我々は、例の少女を転生させようと考えている』
「なんじゃと?」
『だが、彼女の魂は我等が確保するよりも前に英霊の座へと行ってしまった。いかに我等とは言えども、そう簡単にあそこにアクセスする事は出来ない。だから、そなたに助力を頼みたいのだ』
「この儂に? 何をさせる気じゃ?」
『導いてほしいのだ。彼女の魂を我等の元まで』
「なんじゃと?」
『あそこから魂だけを出させるのは大変だが、それはそれでまた当てがある。問題はそこからなのだ。彼女の魂は幾多の戦いによって疲弊し、いつ消滅してもおかしくない状態になっている。下手に彷徨えば、最悪の事態になりかねん。故に……』
「儂の手によって、お主らの元まで導けと…いう訳じゃな」
『その通りだ。これは、幾多の勇士の魂たちをヴァルハラへと導く役目を持つヴァルキリー達を統括しているお前さんにしか頼めない事なのだ』
そこまで聞かされて、オーディンは少しだけ考える振りをする。
どうして振りなのかと言うと、彼の中ではもう答えは決まっているからだ。
ついさっきまで、件の少女の事を憂いていたばかりなのだから。
オーディンとしても、たった一人で全てを投げ打って戦った少女の事を救ってあげたいという老婆心ぐらいはあった。
「よかろう。儂としても、その少女の事はずっと気になっておった。本来ならば我等がしなければいけない事を、彼女は人知れず肩代わりをしてくれおった。ならば今こそ、神として無垢なる魂を救わなければなるまいよ」
『感謝する』
「ところで、一体どうやって英霊の座から少女の魂を連れてくる気じゃ?」
『冥府の創造主…冥王に頼もうと思っている』
「冥王…あ奴か。素直に聞き入れてくれるかのぅ……」
『聞き入れてくれるまで、何度も頼み込むつもりよ』
「…そうか。どうやら、決意は固いようじゃの」
『あぁ。では、頼んだぞ。我が友よ』
話が終わり、カーネルの幻影は静かに消滅していった。
それと同時に、場に漂っていた力も雲散霧消した。
「終わったか?」
「うむ。よもや、向こうから来るとは思わなんだが……」
「少女の魂を転生させる…か。そう簡単にいくものなのか?」
「それは分からぬよ。じゃが、カーネルたちはその手のプロじゃしな。問題は無かろうて」
友だからこその信頼。
口にしなくても不思議と頼れる存在。
それがカーネルだった。
「それはそれとして、誰かを転生した彼女の元に派遣するのもいいかもしれんな。これまで頑張ってくれた、せめてもの褒美として」
(…誰になるかしらんが、そいつには激しく同情しよう……)
神として人助けは大いに結構だが、それに巻き込まれる『誰か』の事を考えて、ロキは密かに同情した。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
場所は変わり、ここは冥界の果てにある『嘆きの壁』を越えた先にある楽園『エリシオン』にある『冥王神殿』。
文字通り、ここには冥府の創造主にしてギリシア神話における大神の一柱が住んでいた。
「……ままならぬものよな」
この神こそが、大神ゼウスや海皇ポセイドンの兄であり、冥府の王でもある神『ハーデス』だった。
黒く長い髪を持つ美青年であるが、厳格で堅物ながらも優しさを併せ持つ神である。
「いかがなされました、ハーデス様」
「何かお気になる事でも?」
ハーデスの気落ちしたような表情が気になって尋ねるのは、彼の臣下にして双子神である、死を司る神『タナトス』と眠りを司る神『ヒュプノス』。
同じ神でありながらも、自らの意志でハーデスの臣下となった者達である。
「…タナトスよ。死を司るお前ならば分かるな。今しがた、とある少女が死んだことを」
「少女…でございますか? お言葉ですがハーデス様。地上では毎日、幾多の人間どもが死んでおります。私はどの少女の事を言っておられるのか分りません」
「そうだな。お前の言う事も尤もだ。だがなタナトスよ。我が言っているのは普通の有象無象の人間の少女ではない」
「…と申しますと?」
「その者は、人の身でありながらたった一人で奮戦し、その身と引き換えに見事に地上から『諸悪の根源』を滅ぼしてみせたのだ」
「なんと…!」
「そのような人間が……」
人間に対して寛容なヒュプノスはともかくとして、普段から人間を激しく見下しているタナトスが驚くのは珍しかった。
「それ程の者ならば、このエリシオンに来ていてもおかしくは有りませんな。ここは死後に神々に選ばれし者のみが辿り着くことを許された楽園の地。多少の罪は、その偉業によって洗い流されるでしょう」
「…かもしれんな。彼女の魂が本当に我の統括する冥界に来ていれば…の話だが」
「それはどういう…?」
「まるで、その者の魂が死した後も冥界に来る事無く、別の場所にいるような言い方ですが……」
「我の予想が正しければ、恐らくは……」
ここで、またもや幻影が出現する。
勿論、その正体はカーネルである。
『お主の思っている通り、英霊の座よ』
「…お前か。転生を司る神よ」
玉座の肘宛に頬杖を付きながらハーデスは、カーネルの幻影を見つめていた。
一方、カーネルの事を全く知らない双子神は思い切り驚愕していた。
「げ…幻影なのに、ここまで強大な力を感じるとは…!」
「転生を司る神…だと? 話だけならば聞いたことはあるが……」
どうやら、神としての格はカーネルの方が上のようで、タナトスとヒュプノスはその威容に圧倒されていた。
「しかし、そうか…英霊の座か。ギリシアを代表する幾多の英雄達の魂があると言う、時の概念の無い場所…それならば納得出来る。あれ程の偉業を成したのであれば、英雄として座に登録されても不思議ではあるまい」
『その事で、そなたに頼みたい事があるのだ』
「この我に頼みごとだと? 転生神であるお前が、冥王である我に?」
『そうだ。この世に幾多の神有れど、これは恐らくそなたにしか頼めぬことだ』
「……言ってみよ。まずはそれからだ」
『感謝する』
カーネルは、オーディンの時と同じ内容の話をした。
気怠そうにしつつも、ハーデスはちゃんと耳を立てていた。
「かの少女を転生させる…か。死した者を蘇らせるのは冥界の掟に反するが、生まれ変わらせるのであれば話は別か。考えたな」
『彼女の境遇を考えれば、それこそが最も最適だと判断したまでよ』
「そうか。で、我に何をさせる気だ?」
『お前には、英霊の座に行ってしまった彼女の魂を一時的でもいいから現世に戻して欲しいのだ。あの場所には我等とてそう簡単に干渉することは出来ないが、全ての死と魂の統括者であり冥府の王でもあるハーデスならば可能だろう?』
「ふっ…簡単に言ってくれる」
『やってくれるか?』
「…条件がある」
『条件?』
「かの場所に干渉するという無理難題をしようと言うのだ。それ相応の報酬ぐらいはあってもいいだろう?」
『これだからギリシアの神は……。何が望みだ?』
「『この世全ての悪の泥』。我はあれに興味がある。我の見立てでは、まだ魂までは奴に干渉されていない。だが、滅した肉体にはまだ泥が残っている筈だ。それを寄越せ」
『よもや、あの泥を欲するとは…。お主も相当にアレだな』
「抜かせ。で、返事は?」
『…好きにするがよい。どのみち、彼女にはもう不要のものだ』
「決まりだな。フッ……英霊の座とギリシア神話とは何かと縁が深いからな。我以上にあそこに干渉しやすい神もそうおるまいて。それに……」
ハーデスは徐に、傍に会った杯からリンゴを一つ取り出してから、じっくりと撫でまわすように眺めた。
「神々が本来しなければならなかった仕事を自らの意志でやってくれたのだ。神として、ちゃんと褒美をやらねばな」
『ハーデス……』
まさか、ハーデスの口からそんな言葉が飛び出すとは思わなかった。
これにはカーネルだけでなく、タナトスとヒュプノスも驚いていた。
『…やってくれるという事でいいのだな?』
「あぁ。後の事は我に任せておくがいい」
『…では、頼んだぞ。こっちはこっちでやらなければならぬことがあるのでな』
幻影は消え、元の空気が戻ってきた。
相当に空気は張りつめていたようで、双子神も大きく息を吐いた。
「ハーデス様。本当によろしかったので?」
「構わん。先程も言ったであろう? 神として褒美をやらねば…と。それ以上に、英霊の座に合法的に干渉する機会なんて滅多にあるまい。ゼウスやポセイドンの悔しがる顔が目に浮かぶ」
「「あぁ~…」」
少女の事を考えての事だと思っていたが、結局は自分の為だった。
それでも最終的には助かるのだから、神の干渉力とは本当に恐ろしい。
こうして、全ての準備は整いつつあった。
ロキ:CV関智一
ハーデス:CV大塚明夫
私の言いたい事…分かりますよね?
つまりはそーゆーことです。
次回は久し振りに主人公の登場です。
彼女は今、どうなっているのでしょうか?
これからの展開に関する質問です。
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逆ハーレム!
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百合ハーレム!
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どっちもありのドタバタ系ラブコメ