お姫ちゃんは引き篭もりたい ~TS系オタク転生者美少女の生存戦略?~ 作:とんこつラーメン
更には、にゃんと『アイツ』まで登場します。
人気…は、あるのかなぁ~…?
其処ら辺はよく分からないですけど、とにかく登場です。
そこは、風一つない枯れ果てた荒野。
夕日が世界を照らし、生き物の気配すらない。
そんな場所に『彼女』が静かに横たわっていた。
「う~ん…むにゃむにゃ……今月の推しアニメは……」
前言撤回。全く静かに寝てない。
思いっきり寝言を言ってました。
「こんな所で寝てやがったか……」
そんな彼女の傍に一つの人影が迫る。
夕日に背を向けているので姿は分かりにくいが、その体系的に男性で、どうやら子供のようだ。
やって来た彼は、地面で呑気に寝言を言いながら寝ている彼女に向かって、大きく足を振り上げて……。
「いい加減に起きんかい! このボイン眼鏡腐女子がっ!!!」
「ふぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」
遠慮なく、その顔を踏んづけて地面とキスをさせた。
何かに罅が入るような音がした気がしたが、きっと気のせいだろう。
「な…なになになにっ!? いきなり物凄い衝撃が
急いで起き上がって眼鏡をかけ直しつつ周りを見渡すと、そこは彼女にとって全く見覚えのない場所で、目の前には始めて見る少年が立っていた。
「……え? ここはどこ? 姫はあの時、確かに……」
「死んだはずだ…ってか? その通りだよ、アサシン」
「ふぇ?」
自分の事を『アサシン』と呼ぶ少年を見上げると、そこで彼女はハッとなって立ち上がる。
赤いバンダナに褐色の肌。そして、全身に書かれている幾何学模様のナニか。
彼女は彼を知っている。非常によく知っている。
「自己紹介の必要はないよな? お前は俺の事を知ってるんだろうし」
「アヴェンジャー……アンリ・マユ…」
「御名答。少し前まで、お前さんが好き勝手に使っていた力の源的な野郎だよ。刑部姫。いや…刑部姫子って呼んだ方が良いか?」
「…別にどっちでもいいよ」
「そっか。んじゃ、刑部姫って呼ばせて貰うわ」
「お好きにどうぞ」
平静を装ってはいるが、実際には刑部姫はかなり混乱していた。
死んだはずの自分が生きている上に、なんでか目の前にはアンリ・マユがいるのだから。
こんな状況で混乱しない方がおかしい。
少なくとも、刑部姫は頭の上に何個もハテナマークを浮かべている。
因みに、今の刑部姫は黒化してはおらず、皆が良く知っている、あの恰好をしている。分かりやすく言えば、第一再臨の姿だ。
「あの…聞きたい事が山ほどあるんだけど……」
「だろうな。時間はたっぷりあるから、好きに聞いてもいいぞ」
「んじゃ…ここはどこ?」
「英霊の座だ」
「え…英霊の座ぁっ!?」
「んだんだ」
どうして、自分のような憑依型転生者が『英霊の座』なんて大層な場所に飛ばされているのか。
本気で訳ワカメだ。ごめんなさい…多分死語です。
「英霊の座って…なんで?」
「いやいや…あんだけの事をすれば、そりゃ英霊認定されても不思議じゃないだろ?」
「えーれーにんてー?」
「お前…全くの自覚なし?」
「自覚も何も……」
そこまでの事なんて全くしてないし。
そう言おうとしたところで、先にアヴェンジャーに台詞を言われた。
「別の世界での話とはいえ、お前は世界存亡の危機を戦争が始まる前に防いでみせたんだぞ? んな大偉業、それこそ神話級の英雄クラスでもないと成し遂げられない程の事なんだぜ?」
「マジで…?」
「マジだよ。それまでの過程で『どんな力』を用いたとしても、その事を『あの世界』の意志は『人類史における多大な貢献』と認めた。だから、マキリの聖杯を介して、死後のお前さんの魂をここまで連れてきたって訳だ。あのままほっとけば、ヴァルキリー達によってヴァルハラに連れて行かれてたかもしれねぇからな」
「んきゅ~?」
「名探偵な電気ネズミみたいな顔をして悩むんじゃねぇ。思わずツッコんじまうだろうが」
一人のオタクとして、それ系の情報にはかなり詳しい自信はあるが、いきなり怒涛の余り知らない単語連発攻撃に顔がシワシワになってしまった。
二頭身になれば完璧かもしれない。
「というか…ここが英霊の座…なんだね」
「ん? どんな場所を想像してたんだ?」
「なんつーか…辺り一面が真っ青で上下左右の感覚が無い電脳虚数空間的な場所を想像してた」
「それはアレだな。ムーンセルの方だな。残念だが、ここはマキリの聖杯に通じてる場所だからな。こんな殺風景な場所なんだよ。もっと奥まで行けば、まだマシなんだけどな」
「ふ~ん……」
ムーンセルの事は知ってるけど、そこまで詳細は知らないし、それはマキリの聖杯に対しても一緒。
ぶっちゃけ、何を言われても適当な返事をするしかないのだ。
「しっかしよ、幾らなりふり構わないつっても、限度ってもんがあるだろ。どうして、よりにもよって俺の力なんて借りようと思うかね?」
「姫に言われても困るんですけど。こっちだって、どうして『この世全ての悪』の力が流れ込んできたのかサッパリなんだし」
「だろうな。そこら辺の事を詳しく話すと、めっちゃ面倒くさい上に長くなるから絶対に話さないけど」
「いや、そこは普通に話す場面でしょ」
「誰が話すか。俺はな、基本的に毎日グータラして原っぱとかに寝っ転がって過ごしたいタイプのサーヴァントなんだよ」
「それでいいんかい……」
ヘラヘラとしながら体をフニャフニャと動かすアヴェンジャー。
この少年、全身からやる気の無さをアピールしている。
「さっきの話の続きだけどよ、相手が人間だったから良いけど、他の連中だったら普通に危なかったからな?」
「え? 堕天使相手には普通に勝ててたけど?」
「そ・れ・は! お前の潜在的なスペックが高かったお蔭だ! ったく…どうして名前の後に『オルタ』って付くサーヴァントは、どいつもこいつもこうなんだよ…! あの腹ペコ王然り、ツンデレ聖女さま然り、おでん大好きな天然サムライ然り。挙句の果ては、あの真面目一辺倒の授かりの英雄サマは自分がいる神話体系の神を全部吸収して最強チート仕様になるとか反則だろうが! どんだけ強くなれば気が済むんだって話だよ! 俺なんてザコは溜息一つで消し飛んじまうよ!」
近年になって急激に増えてきているオルタ系サーヴァントに思っていることがかなりあったようで、肩で息をしながら全力で愚痴を零しまくった。
なんかもう人生相談室みたいになっている。
「ほんと、今回はマジで相性に助けられてるよ。お前さんは。英霊や人外相手には最弱だけど、人間相手なら誰にも負けない自信があるからな。例え、相手がどんなに超常の力を持ってても」
「直死の魔眼でも?」
「それは無理。普通に木端微塵です。調子こきました、ごめんなさい」
早口で謝られた。彼にも苦手な事はあるようだ。
「なんか、お前さんと話してると、どうも横に逸れちまうな…」
「えっと…ごめんね?」
「別にいいよ。どうせ、お前はここで足止めだしな」
「足止め? なんで?」
「後ろ…見てみ?」
「後ろとな?」
言われるがままに背後を振り向くと、そこにはオルタ仕様の真っ黒な自分が、どんよりとした雰囲気を醸し出しながら立っていた。
「うひゃあっ!?」
「このままずっとシカトされ続けるかと思ってた……」
オルタ姫、ちょっと涙目。
幾ら、自分相手だとはいえ悪い事をしてしまった。
「英霊の座に行くのは、こっちの刑部姫オルタだけで、お前さんはこのままUターンだ」
「そっか…もう既に『刑部姫』は座に登録されてるもんね。となれば、座に行くことが可能なのは、未だに未登録なオルタな私だけ……」
「まぁな。それ以前の話でもあるんだが」
「へ?」
アヴェンジャーが姫の足元を指差すと、爪先から光に包まれて消滅しようとしていた。
姫はこの現象を知っている。これは、英霊が消滅して座に帰る時の現象だ。
「ちょ…これなにぃ~っ!?」
「お前は皆に愛されまくっているって事だよ。転生神…だったか? そいつらが、お前を転生させようと必死に頑張ってるんだと」
「転生神って……」
嘗て、自分が狂ってしまう直前に聞いた少女の声。
彼女達が自分を生まれ変わらせようと奮闘しているというのか?
「しかも、ただ転生させるだけじゃないみたいだぜ? お前さんと仲のいい連中や、深く関わった連中も一緒に転生させるつもりみたいだぞ」
「それって……」
朱乃や黒歌を初めとする原作メンバーも自分と同じ世界に転生する…という事なのか?
どうして、自分なんかにそこまでするのか、姫は本気で分からなかった。
「ついでに言っちまうと、えっと…なんつったっけ? お前に憑りついてて、一緒に仲良く黒化までした真っ赤なドラゴン……」
「ドライグの事?」
「そうそう! そんな名前だったな! ドラゴンなんて俺にはどいつもこいつも同じにしか見えないから、名前なんて分からねぇよ」
もしも本人に聞かれれば、出会って数秒で灼熱のブレスで消し炭にされるか、全力のフットスタンプでぺっちゃんこ確定だ。
ここが英霊の座で本当に良かった。
「そいつもまたお前さんと一緒に行くつもりらしいぜ。いい相棒を持ったじゃねぇか」
「ドライグ……」
その気になれば、別の宿主の元に行くことも出来るのに、それをしないで再び自分を選んでくれた。その事が普通に嬉しかった。
「それと、お前がずっと気にしていた『人間のガキ』も一緒に転生するんだとよ」
「い…一誠くんもっ!?」
「名前までは知らねぇよ。けど、あっちもお前を死なせたことをめちゃくちゃに悔やんでたみたいだな。似た者同士だよ、お前らは」
「そっか…彼も……」
自分の無知と不注意によって死なせてしまった本来の主人公。
彼に第二の生が与えられるというのであれば、これ以上に嬉しい事は無い。
「けど…いいのかな。姫は……」
「沢山の人間を殺したのに…か? んなの気にすんなよ。あれは立派な大義名分がある戦いだった。それによって救われた命が沢山あるんだぞ? どこに後悔する理由があるんだよ?」
「…………」
彼なりの慰めの言葉だろうか。
けど、それを聞いても姫の顔は暗いままだ。
「大丈夫だよ」
「もう一人の姫…?」
そう言いながら肩を叩いたのは、もう一人の姫…刑部姫オルタだった。
彼女の顔は嘗てのような焦燥に駆られた表情ではなく、優しく慈愛に満ちている。
「貴女の罪も、その業も、全て姫が持っていく。だから、安心して転生して」
「で…でも……」
まだ決意が出来ない姫を、オルタ姫がギュッと抱きしめる。
頭を撫でながら、静かに言い聞かせるように。
「転生したら、姫島さんや一誠くん達によろしくね…?」
「うん……うん……!」
姫も彼女を抱きしめ返し、やっと泣くことが出来た。
今までずっと我慢をしてきた分、彼女の涙は止まる気配が無い。
暫くして落ち着いてから、オルタ姫はそっと離れる。
「……いってきます」
「いってらっしゃい」
姫の身体はもう太腿まで消滅しかけていて、話せる時間は少ない。
そのままの勢いで、一気に下半身から胸辺りまで光に包まれた。
「ギリシャ神話の冥界の神サマが、お前を此処から連れ出してくれる! その後は、アスガルドのお節介な大神サンが導いてくれるだろうよ!」
「そう…。最後に一つだけ聞かせて。どうして君は、そんなにも色んな事に詳しいの?」
「んなの決まってんだろ。俺サマだからだ!」
「全く答えになってないから。ふふ……それじゃあね」
「おう! 達者でな!」
元気に手を振りながら、刑部姫は光の中へと消えていった。
残されたのは、アヴェンジャーと刑部姫オルタのみ。
「これから姫はどうなるのかな?」
「さぁな。どこぞの聖杯戦争に召喚されるか。それとも、例のカルデアとやらに呼び出されるか……」
「どうせ行くなら、姫はカルデアがいいな。あそこにはオリジナルの姫がいるから」
「そういや、そうだったな。ま、精々そうなるように祈っときな。行こうぜ」
「うん」
夕日に向かって二人はゆっくりと歩き出す。
オルタ姫の顔にはもう迷いも後悔も無い。
一人の英霊として、前へと進むだけだ。
「バーサーカー……刑部姫。君が私のマスターかな?」
次回、遂に…遂に真の救済の第一歩が踏み出されます!
ついでに、どこかでオルタな姫がサーヴァントとして活躍している姿も描ければいいですね。
これからの展開に関する質問です。
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逆ハーレム!
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百合ハーレム!
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どっちもありのドタバタ系ラブコメ