お姫ちゃんは引き篭もりたい ~TS系オタク転生者美少女の生存戦略?~   作:とんこつラーメン

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前回、まさかの一誠死亡のお知らせが入り、おっきーは呆然自失状態に。

直接的に手を下したのはレイナーレ達ですが、どうして原作通りに彼の元にリアスが来なかったのか、その理由が明らかに。







偶然こそが一番残酷だ

 テレビから流れる兵藤一誠が死亡したという報道が、その場に座り込む(わたし)の耳に無情に聞こえてくる。

 未だに、現実を上手く受け入れられないが、自分の左手にある真紅の籠手がそれを全て否定する。

 

「ねぇ……一つ聞いてもいいかな……?」

『なんだ?』

「あの時、彼は『悪魔の召喚チラシ』を持ってた筈だよね? なんでそれは発動しなかったの?」

『召喚チラシ? それは、少し前に街中でお前が受け取っていた黒い紙の事か?』

「そうだけど……って、なんで姫が街中にいた事を知ってるの?」

『あの時、あの小僧も同じ場所にいたからだ』

「えぇっ!?」

 

 あの日…彼も街中にいた? って事は、彼もチラシは受け取ってる筈…だよね?

 

『奴は赤龍帝として覚醒はしておらず、俺の事も認知出来ていなかったが、それでも俺と奴とは視界の共有ぐらいは出来るからな。だから、あの時に小僧の5メートルぐらい前を歩いていたお前の事は見えていたぞ』

「そんなにも近くにいたのッ!? しかも、なんで姫の事をピンポイントでッ!?」

『他の有象無象の人間達と違い、お前の体からは濃密な魔力が溢れ出ていた。魔力を持たない人間達は気が付いていないだろうが、俺のような存在には丸分りだ。あれだけ街中が喧騒に溢れていても、一発で分かるぐらいにはな』

「う…嘘……」

 

 姫…こう見えても、プライベートで外出する時や学校に行く時は、頑張って魔力の流出を抑えてるつもりなんだけど……天下の二天龍さんには無意味だったって事なのかな……。

 

『それで、さっきお前が言っていたチラシとやらの話だがな、小僧はそれを受け取ってはいないぞ』

「は…はぁっ!? なんでぇっ!?」

 

 姫の近くにいたんなら、その流れで貰っているんじゃないのッ!?

 

『これは、あの時に俺が見ていた位置から見えていたのだが……』

「な…何?」

『お前が貰っていたチラシな、多分だがあれが最後の一枚だったぞ』

「え…? あの一枚がラストだった……?」

『そうだ。事実、お前が去って行ってから、チラシを配っていた使い魔は大人しく、その場から消えたしな』

 

 その『最後の一枚』が…彼の命を繋ぐ最後の希望だった……?

 それなのに、姫はそんな事だなんて全く気が付かずに受け取って…しかも、それをよりにもよって、あんな事に使って……。

 

「ぎにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 姫の史上最大空前絶後前代未聞のバカァァァァァァァァァァァァァッ!!!!

 どんな二次創作でもやった事のない、とんでもない事をやっちまったぁああぁあぁあぁぁぁぁぁぁっ!!!!!

 

「お…オワタ……」

『だ…大丈夫かッ!? しっかりしろっ!?』

 

 あぁ…なんかマダオが姫の事を心配してる……ははは…ちょーおもろー……。

 

「この世界は…もう終わりだよ……」

『なんでそうなるっ!? まさか、奴が死んだことに責任を感じているのか?』

「そりゃ感じるでしょっ!! 物語の主人公が物語が始まる前に死ぬとか普通に考えて有り得なさすぎるし!! 主人公がいない世界とかもう終わってるじゃん!! 終焉の銀河待ったなしジャン!!」

『物語とは何の事だっ!? なんで銀河が終焉するっ!? 本気で何を言っているのか意味不明だぞっ!?』

 

 姫は大馬鹿です……救いようがないアホアホ星人です……。

 何が『神様転生』だよ……転生したって何も変わってない……。

 容姿と性別が変わっただけで、中身は何一つとして成長してないし……。

 

『はぁ……どうして、お前がそこまで取り乱しているのかは知らんが、これだけはハッキリと言える』

「何よ……」

『お前は何も悪くない。奴が死んだのは、単純に異常なまでに性欲を渇望していたが故の致命的なまでの警戒心の欠如と、偶然が重なった結果に過ぎん。別にお前だって、何かを企んで街に繰り出したわけではあるまい?』

「うん……あの時は、本当に買わなきゃいけない物があったから……」

『ならば、気にする事は無い。本当に悪いのは犯人である堕天使共だ。違うか?』

「そう…かもだけどぉ~……」

 

 それでも、彼が悪魔に転生する切っ掛けを奪ったのは事実なんだし……。

 あの時、せめて一日だけ姫が我慢をして、次の日に街に行っていれば、こんな事にはならずに済んだかもしれないのに……。

 

『そう言えば、まだ自己紹介がまだだったな。俺は……』

「知ってる。二天龍の一角にして、赤龍帝と呼ばれていた伝説のドラゴンの『ドライグ』でしょ?」

『し…知っていたのか? では、今現在、自分の左腕に装着されている物は……』

神器(セイクリッド・ギア)赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)。全部知ってるよ。姫、こう見えても(裏側の)サブカルにも割と詳しいから」

『今や、俺達の存在もサブカル扱いなのか……時代、移り変わりすぎだろ……』

「人の世なんて、そーゆーもんだよ」

 

 けど…まさか、ドライグが姫の事を慰めてくれるとは思わなかったな……。

 原作じゃとにかく可哀想なドラゴンってイメージが先行してるけど、実際には意外と紳士的な一面があったりするのかな?

 

「せめて…彼の家の様子とか見に行った方が良いかな……」

『お前がそれを望むのであれば、俺はそれを尊重しよう』

「ドライグ……♡」

 

 ヤバ……普通に今の姫の心に彼の気遣いが染みる……。

 

『もしも、これが罪悪感なんて微塵も感じない外道ならば俺も即座に見捨てるが、お前は必要以上に責任を感じて体調まで崩している。それ程までに責任感の強い人間ならば、流石の俺とて協力しようという気になる』

「おぉぉぉぉぉぉぉぉ~!! ドライグの優しさに全米中の姫が号泣&スタンディングオベーションだよぉぉぉぉぉぉっ!!!」

『お前…意味分って言ってるか?』

 

 涙がちょちょぎれて止まらんのじゃぁ~!!

 こんなにも泣いたのは、少し前に知り合った海外から出稼ぎに来ていた工事現場で働いていたペドロさんの話を聞かされた時以来だよぉ~!!

 あの人、唯一無二の親友にいつの間にか奥さんを寝取られてるんだよぉ~!

 マジで可哀想な人なんだよぉ~!!

 

『さっきも言ったが、俺と奴とは視界を共有していた。だから、アイツの自宅の場所ならば分かるぞ』

「今日は体調的な意味で無理だけど、今度の休みの日とかには絶対に見に行こう……絶対に……」

 

 ご両親に話しかけるとかは不可能だとしても、遠目から見るぐらいはいいよね?

 というか、それぐらいはしないといけないよね?

 今の姫に出来る事なんて、それぐらいだし。

 

「お墓が立てられたら、ちゃんとお墓詣りにも行かないと……」

 

 君の墓前には、姫が前にゲットした巨乳系のR-18の同人誌を手向けておくよ……。

 姫が厳選した一品ばかりだから、きっと気に入ってくれる筈だよ……。

 

『というか、堕天使共を自分の手で倒して敵討ちとかしようとは思わないんだな』

「50メートル走の記録が11秒台で握力が10キロ以下の姫に、そんなことできるわけないじゃない。何言ってんの」

『少しは予想していたが、幾らなんでも運動能力無さすぎないかっ!?』

「別にいいのっ! 姫はインドア派だから! 頭脳労働派だから!」

『物はいいようだな……。魔力の量も質も歴代の連中と比べても申し分ないのに……完全に宝の持ち腐れだ……』

 

 そんなのは姫自身が一番理解してるよ。

 でも、平和に過ごすにはそんなのは無用の長物だから結構なの!

 

「はぁ……姫の平穏が音を立てて崩れていく……。激しい喜びはいらない。その代り、深い絶望も無い。植物のように穏やかな生活を送りたいという吉良吉影みたいな人生を目標にしていたのに……」

『俺を宿してしまった以上、平穏とは程遠い日常になる事は間違いないだろうな。龍の放つ燐気は良くも悪くも様々な物を引き寄せるからな』

「冗談抜きで迷惑極まりない性質だよね…それ」

『本能的に闘争を好む龍としては最高の性質なのだがな。人間と価値観が違うのは当然か』

 

 あ。なんか色々と重要な事を思い出してきたかも。

 今の内にちゃんと聞いておかないと。

 もう後悔するのは嫌だから。

 

「そう言えば、死んじゃった一誠くんは歴代の意志の一つとして籠手の中にいるの?」

『いや? 奴は覚醒する前に死んだから、歴代の赤龍帝とかカウントされていない。故に、奴の魂はそのまま涅槃に旅立っている筈だ』

「そうなんだ……」

 

 もしも意志だけでも残っていたのなら、全力で土下座をして謝るんだけどな……。

 なんなら、姫の胸を見せる事も辞さなかった。

 自慢じゃないけど、現在進行形で成長中だからね。

 マジで大台である3ケタに突入する日も近いかもしれない。

 

「もしも白龍皇にどこかで襲われたらどうしよう……。呆気なく負けて、そのまま姫…薄い本みたいなことをされるんじゃ……」

『いや…自分の欲求に忠実であるとはいえ、そこまで酷い目には遭わされないとは思うが…白いのがどこかでブレーキを掛けるだろうしな』

 

 確かに…原作でも良くも悪くも『闘争バカ』なイメージしかないしね。

 性欲に溺れるなんてことは……無いと信じたい。

 なんか、彼と言えば『お尻大好き』なイメージもあるから。

 姫、割とヒップも大きい方だし。

 

「ねぇ…ドライグは本当に姫で良かったの? 自分で言うのもアレだけど、姫って相当にヘッポコだよ?」

『そうかもしれん。だが、同時に可能性も感じている。それだけの魔力があれば、やってやれない事は無いだろう』

 

 ドライグの評価が必要以上に高い件。

 その高評価も姫にとってはプレッシャーなんだよ~!

 

『それで、本当に今日は休むのか?』

「うん。少し冷静になって考えたいし、普通に体がキツイ」

 

 学校に電話しておかないとにゃ~。

 でも、変に『お腹痛いので休みます』って言ったら、どこかで聞きつけた姫島さんが『もしかして昨夜の料理が…』的な感じに勘違いしそうだし、ここは無難に『女の子の日なので休みます』って事にしておきますか。

 

 はぁ……心を癒す為にも、もう一眠りしよ。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 朱乃が姫子の家から帰ってきた翌日。

 彼女は親友にして同級生、そして自分が仕える主でもある『リアス・グレモリー』と一緒に並んで廊下を歩いていた。

 

「昨夜から機嫌がいいみたいだけど、何かあったの?」

「特にこれといった事は無いけど…強いて挙げるなら、新しい友達が出来た…かしらね?」

「それって、昨夜に呼ばれたっていう子の事?」

「えぇ。まさか、同級生の子に呼ばれるとは思ってなかったけど……あら?」

 

 朱乃が何かに気が付いたのか、通りがかった教室の中を覗き込んでから、キョロキョロと見渡していく。

 誰かを探すような様子の朱乃が気になって、リアスは彼女の隣に並んで立った。

 

「どうしたの? 誰か探してるの?」

「いないのよ……刑部さんが……」

「刑部姫子…例の彼女ね。このクラスなの?」

「そうだと噂では聞いてるわ。ねぇ、ちょっといいかしら?」

 

 どこを探しても姿が見当たらない事に心配になってきた朱乃は、近くにいた生徒に話しかけた。

 

「あ…姫島さん。うちのクラスに何か用事?」

「用事というほどじゃないんだけど…刑部さんはどこかに行っているの?」

「刑部さん? 彼女なら、今日は体調不良でお休みしてるって聞いてるけど……」

「た…体調不良…?」

「余り大きな声じゃ言えないんだけど……今朝になって急に生理痛がきたんだって。先生もすぐに納得して、今日一日はゆっくりと休むように言ったらしいわ」

「刑部さん……」

 

 自分でもよく分からないが、猛烈に姫子の事が心配になった。

 許されるなら、今すぐにでも彼女の元まで飛んで行きたいと思うほどに。

 

「そんなに心配なら、放課後にでもお見舞いに行ってみる?」

「勿論よ。このまま放ってはおけないわ」

 

 その瞬間、朱乃は頭の中でお見舞いの品を何にしようか考えた。

 果物もいいけど、やっぱりここは食材を買ってお粥でも作ってあげた方が……。

 

「けど、まさか朱乃がたった一回話しただけの女の子に、そこまでご執心になるとはね。意外だわ」

「あら、確かに話したのは昨夜が初めてだけど、興味自体は前々から持ってたのよ? 色んな噂も聞いてるし」

 

 その『噂』の内容を敢えて話さない所を見ると、その内容は彼女達に関する噂と五十歩百歩のようだ。

 

「なんだか私も興味が湧いてきたわ。一緒に行ってもいいかしら?」

「そうね……一人ぐらいなら構わないんじゃないかしら。流石に大人数で行くのはアレだと思うけど」

「そうね。じゃあ、小猫と祐斗には『事件』の方の調査を引き続き頼んでおこうかしら」

「それがいいわ。そっちの方も気になるし。まさか、今朝のニュースであそこまで大々的に流れるなんて……」

 

 こうして、本人が知らないままに、またもや新しい出会いのフラグが立ったのであった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 何も無い真っ白な空間。

 上下左右の感覚も、地に足が着いている感覚も無い。

 そんな場所で『彼』は目を覚ました。

 

「あれ…? 俺は確かあの時…変な格好になった夕麻ちゃんに刺されて…それで……」

 

 頭を押さえながら立ち上がるが、そこには見渡す限り何も無い。

 文字通りの無だった。

 そこにいきなり、自分とは違う声が聞こえてきた。

 

「やっと目を覚ましましたか」

「えっ!?」

 

 声のした方へと慌てて振り向くと、そこには純白のローブを纏った一人の少女が杖を持って立っていた。

 

「だ…誰?」

「そうですね…取り敢えずは『女神さま』とでも名乗っておきましょうか」

「め…女神さまぁ?」

「そうです。そして、ここは貴方たち人間で言うところの『あの世』です」

「あ…あの世って……んなこと急に言われても……」

 

 戸惑う彼を無視して、女神を自称した少女は明らかな作り笑いを受けながら無情な現実を言い放った。

 

「死後の世界へようこそ。兵藤一誠さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さぁ~て、次回のお話は~?

『おっきー。原作メインヒロインに出会う』
『一誠。あの世からこんにちわ』
『ドライグ。過保護になる』

の三本でお送りします! お楽しみに!

これからの展開に関する質問です。

  • 逆ハーレム!
  • 百合ハーレム!
  • どっちもありのドタバタ系ラブコメ
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