お姫ちゃんは引き篭もりたい ~TS系オタク転生者美少女の生存戦略?~   作:とんこつラーメン

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いきなりで申し訳ありませんが、この作品について非常に重要な報告があります。

最近の私のメンタルが色んな意味でボロボロになっている上に、なんだか話の流れ的に『このままハッピーエンドにするのは不可能じゃね?』と思い至り、少しタグを追加した上で、本当の意味で皆が笑えるような話にする為に、ちょっとした『反則』染みた事をしようと思っています。
ある意味で『禁じ手』のような事だと思っているのですが、それでもよろしければ、これからもどうか読んで下さると嬉しいです。

なので、ここから暫くは暗くシリアスな話が続くと思います。
今までの様な明るい要素は皆無になり、救いすら無いような話になるかもです。








崩壊の足音

 いきなり自分の目の前に現れた『女神』を自称する謎の少女。

 一誠は、余りにもいきなり過ぎて混乱していた。

 

「な…なんで俺の名前を知ってるんだよ……」

「女神さまは何でも知っているのです。だって女神ですから」

「はぁ……」

 

 深く追求しても意味がなさそうだと思った一誠は、適当に返事することで誤魔化した。

 

「兵藤一誠さん。あなたは堕天使に刺されて死にました。ここは人間達が言うところの『あの世』です」

「あの世…か。じゃあ、やっぱりあの時……」

「あれ? 思ったよりも冷静ですね。大抵の人は、ここに来るや否や激しく取り乱すのに」

「なんとなく予想はしてたし。体中が冷たくなって急に眠たくなるような感覚は、よく漫画やラノベで見る、キャラが死ぬ表現と酷似してたしな」

「だからと言っても、それなりの反応ぐらいはあってもおかしくは無いのですが……伊達に『主人公』じゃないって事ですね」

「は?」

「いえ。こっちの話です」

 

 想像以上にメンタルが強かった一誠に驚きつつも『どうして、この冷静さを生きている内に発揮出来なかったんだろう?』と疑問に思う女神だった。

 

「それで、本来ならばこのまま『賽の河原』にでも行って貰うつもりだったのですが……」

「『賽の河原』って、親よりも先に死んだ子供が供養の為に石を積むって所か……でも、あそこって確か幼い子供限定の場所じゃ……」

「おや。よく御存じで」

「漫画知識だよ」

「最近になって制度改正がありまして、今は対象年齢が18歳まで引き延ばされてるんですよ」

「制度改正って……」

 

 あの世なのに、妙に人間臭い部分が露出して思わず呆れた一誠だった。

 

「実は、あなたにどうしても頼みたいことがあって、女神権限で特別にここまで来て貰いました」

「頼みたい事?」

「はい。今現在、現世にて本来、あなたが本来するべきだった事、目覚めるべき能力に代わりに覚醒した少女がいまして。その子が『兵藤一誠が死んでしまったのは自分のせいだ』と思っていて、激しい罪悪感に襲われているのです」

「お…俺がするべきだった事? 目覚めるべき能力ってなんだよ……。しかも、俺が死んだことを自分のせいだと思っている女の子? 誰だよそれって?」

「彼女です」

 

 女神が手に持った杖を軽く振ると、一誠の目の前の空間にモニターのような物が出てきて、そこにはベッドの上で顔を青くして寝ている姫子がいた。

 

「お…刑部先輩ッ!? なんでこの人がっ!?」

「おや。お知り合いですか?」

「知り合いって言うか…学校の先輩だよ。美人でスタイルもいいから、皆から憧れられてる。『駒王三大お姉さま』の一人でもあるしな」

 

 かくいう一誠もまた、彼女に対して強い憧れや欲情などを抱いていた時期があるのだ。

 当の姫子本人は全く知らない事だが。

 

「って、もしかして刑部先輩が、さっき言ってた……?」

「そうです。本人の意志とは全く関係なく、あなたの後継者となってしまった女の子です」

「マジかよ……」

「彼女は今、たった一人で苦しんでいます。これから先の事、自分がしてしまった事を後悔して」

「なんでだよっ!? 先輩は何も悪くないだろッ!?」

 

 生来から正義感の強かった一誠は、当然のように激高する。

 何の関係も無い彼女が、どうして自分の死で苦しまないといけないのか。

 

「そうですね。今ならば話しても問題無いでしょうから、特別に教えてあげましょう」

 

 女神は静かに語り出す。

 一誠が本当は辿る筈だった運命を。

 そして、『ある出来事』によって、それがずれてしまった事を。

 

「あ…悪魔に堕天使に天使? 俺が住んでた世界にそんなのがいたのかよ……」

「いますよ。実際、君はその堕天使に刺し殺されてるんですから」

「夕麻ちゃんか……」

「本名はレイナーレ。下級の堕天使で、大した力はありません。それでも、何の力も無い人間達には十分に脅威ですけどね」

 

 自分に告白してくれた相手が人外で、しかも己を殺害した。

 こうして実際に死んでも、いまいち実感が無かった。

 

「彼女の目的は…どうでもいいですね。重要なのはそこじゃないですから」

「そうなのか?」

「はい。重要なのは姫子さんの方です」

「刑部先輩が……?」

「兵藤さん。あなたは『転生者』って知ってますか?」

「転生者…って、あれだろ? よくある『なろう系』の小説によくある、死んだ人間が生まれ変わって異世界に行くっていう……」

「そうです。そして、彼女…刑部姫子さんも、その転生者の一人なのです」

「はぁぁっ!?」

 

 まさか、憧れの先輩が転生者だった。

 普通ならば絶対に信じない事だが、現在進行形で非現実的な事が起きているので、一誠はすぐに信じた。

 

「因みに、彼女を転生させた神は私の祖父であるクソジジイです」

「ク…クソジジイ……」

 

 自分の祖父をクソ扱い。

 この女神、見た目に反して口が悪い。

 

「どうやら、兵藤さんの能力を彼女に移植したのもジジイの仕業のようですね。多分、面白半分で」

「マジでクソジジイじゃねぇか……」

 

 人間の事を玩具のように見ている神。

 流石の一誠も悪態をつきたくなる。

 

「ジジイは私の方で制裁をしておいたので問題は有りません。問題はここからです」

「な…なんなんだ?」

「先ほども言いましたが、姫子さんはメンタルが紙装甲です。そのくせ、内包している魔力などは桁違い。もしも、このまま彼女が病んでいったら……」

「いったら……?」

「最悪、彼女が闇堕ちしてしまう可能性が濃厚です。というか、マジでギリギリの状態です」

「せ…先輩が……」

 

 後輩たちに慕われ、自分も密かに憧れていた女性が闇に堕ちる。

 一誠は顔を伏せ、体を震わせた。

 

「今は籠手の中に宿っているドラゴンが慰めた事で辛うじて保っていますが、何が切っ掛けとなって再び闇に引きずり込まれるか分かりません。なので……」

 

 女神は一誠の目をじっと見据え、はっきりと言った。

 

「ここから、あなたの言葉で彼女を慰めてください」

「お…俺がッ!?」

「そうです。他の者が何を言っても、それは所詮、赤の他人の言葉に過ぎません。ですが、被害者であり当事者である兵藤さんの言葉ならば、或いは……」

 

 これはある種の賭けだった。

 普通に考えても、何の許可も無しに死者の言葉を生者に届けることは絶対に違反行為だが、今はそんな事を言っている場合じゃない。

 本当に世界が崩壊するかのどうかの瀬戸際なのだから。

 

「もしかしたらダメかもしれない。けど、もうこれ以外には彼女の心を救う方法を思い付かないのです。ですので、お願いです。どうか…彼女の心を助けてください」

 

 女神が頭を下げて懇願してくる。

 目の前でそこまでされて、首を縦に振らない一誠ではなかった。

 

「…分かったよ。俺にどこまで出来るかは分からないけど……」

「ありがとうございます。では、早速……」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 (わたし)が自分の部屋にあるベッドで休んで暫く経った頃、いきなり家のチャイムが鳴った。

 別に最近は通販なんて頼んでないし、手紙なんて届けられるような相手もいない。

 誰だろうと怪訝に感じながら、姫は気怠い体を動かして玄関まで向かった。

 

「は~い…?」

 

 今は誰にも会いたくはないけど、癖でチャイムが鳴ったら反射的に玄関を開けてしまう。

 いつの日か必ず、姫は詐欺とかに引っかかると思う。

 

「刑部さん!」

「ひ…姫島さん?」

 

 そこにいたのは、つい昨日会ったばかりの姫島さんだった。

 けど、今回は彼女だけでなく、もう一人いた。

 赤い髪が特徴的な美女。

 魔王の妹であり、グレモリー眷属の王である『リアス・グレモリー』その人だ。

 

「貴女が刑部姫子さんね。私は……」

「リアス・グレモリーさんでしょ。知ってる。学園中の有名人だし」

「あら。そうなの?」

 

 白々しい…なんて言わない。言う勇気が無いから。

 これが彼女のキャラなのだと思って諦めよう。

 優雅に見えて、意外と中身がヘッポコなのは分かってるし。

 

「刑部さん、具合は大丈夫なの? お腹空いてない?」

「姫なら大丈夫だよ。少し休んだら、随分とよくなったし」

「本当に? 無理してない?」

「してないから」

 

 どうして彼女はこうも絡んでくる?

 まだ一度しか話したことが無いのに。

 

「貴女の場合、例えキツくても無理をして『大丈夫』とか言いそうだから心配なのよ」

 

 ……図星だから何とも言えない。

 女の勘って恐ろしい。今は姫も女だけど。

 

「刑部さん、お世辞にも顔色が良いとは言えないわよ? 本当に大丈夫なの?」

「うん。まだ少しフラフラするだけで、明日にはきっと良くなってるよ」

「そう……」

 

 というか、二人とも別のクラスなのに、なんでここまで姫の事を気にするの?

 特に、グレモリーさんなんて今日が初対面なんだよ?

 

「っていうか、よく姫の家の場所が分かったね」

「昨日の時点で覚えましたわ」

 

 凄いなオイ。なんなのこの人、ストーカー?

 

「同じ女として、刑部さんの辛さは理解出来るつもりだから、何かあったらすぐに知らせてね?」

「え? あ…うん」

 

 そうだった。今の姫は生理痛で休んでる事になってるんだった。

 割と素で忘れかけてた。

 

「本当は、また何か食材でも買ってきて料理でも作ろうかと思ってたんだけど……」

「そ…そこまでしなくてもいいよ。姫はこの通り、元気だから」

 

 右腕を曲げてから力こぶを作るような動きで元気をアピール。

 本当は、元気は元気でも『空元気』なんだけど、元気である事には違いないからいいよね?

 

「そう…分かったわ。余りお邪魔しても困るだろうし、今日はもう帰るわね。体を暖かくして、安静にしてるのよ?」

「は~い」

「それじゃあ、また明日。学校で」

「うん。また明日」

 

 言うだけ言って、二人は大人しく帰って行った。

 姫島さんはなんとなく分かるけど、マジでグレモリーさんは何の為にここまで来たの?

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 

 なんとも疑問が残る訪問だったが、深く気にすることなく、姫はリビングにあるソファに座ってから、冷蔵庫から持ってきた烏龍茶を飲んでいた。

 

「早く…調子を取り戻さないとね……」

 

 姫が休んだ本当の理由は話せなかったが、それでも、二人が来てくれた事は普通に嬉しかった。

 誰かと話すだけで、、ここまで精神的に安らぐとは思わなかった。

 これからは、もっと積極的に色んな人とも話すべきなのかな……。

 

 窓の外を眺めながら呆けていると、いきなり左手に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が現れた。

 

「え? なに?」

『俺にもよく分からん。こっちの意志とは関係無しに、いきなり表側に出された』

 

 何それ普通に怖い。

 

『こ…これはっ!? 何か強大な意思が籠手に介入してくるッ!?』

「ちょ…ちょっと?」

 

 なんかマジで怖くなってきたんですけど? 本当に大丈夫?

 

『せ…ぱい! 刑部先輩!』

「この声は……」

 

 この、物凄く聞き覚えのある声って、まさか……。

 

「兵藤…一誠くん……?」

『はい! 駒王学園2年の兵藤一誠です!』

 

 な…なんで彼の声が籠手から聞こえてくるのっ!?

 彼は死んで、その意思はそのまま、あの世に行ったんじゃないのッ!?

 

『もしもし? 聞こえますか?』

 

 今度は女の子の声が聞こえてきたっ!?

 

『初めまして。私は貴女を転生させた神であるクソジジイの孫娘にあたる女神です』

「あのジジイ…孫とかいたんだ」

 

 いや、別にどうでもいいけど。

 

『今はあの世から、その籠手を通じて念話通信的な事をしています』

『あ…あの世? 転生だと? 何の事を言っている?』

『ドライグさんは気にしなくても大丈夫ですよ』

『俺の事まで知っているだと…?』

 

 なんか話が進まないので、ドライグの事は一先ずは無視しよう。

 

「籠手から一誠君の声が聞こえてきたって事は、もしかして彼もあの世とやらにいるの?」

『はい! 女神さんの力で、そっちの事が見えてます!』

 

 なんか盗撮されてるみたいでイヤだな……。

 

『あ…あの…刑部先輩…』

「なに? こうして話してるって事は、全てを聞かされてるんでしょ? 姫に恨み言でも言うのかな?」

『ンな事なんて言わないっすよ!!』

「おう…?」

 

 いきなり大声を出さないでよ…ビックリするじゃん。

 

『俺が夕麻ちゃんに殺されちまったのは、全て俺の自業自得です! 先輩が気に病む必要は何処にも無いんですよ!』

「でも、姫があの時、街に行ってチラシを受け取っていなかったら、君はまだ生きてたんだよ?」

『そうかもしれないけど! でも、違う未来もあったかもしれないじゃないスか! 先輩が気に病む必要は何も無いですよ!』

「……その男気を、どうしてもっと生前に発揮出来なかったのかな」

『え?』

 

 はぁ…今なら、なんか彼に惚れたヒロイン達の気持ちが分かるかもしれない。

 変態って部分さえ取り除けば、普通にカッコいいじゃないか。

 

「けど…ありがとう。気休めかもしれないけど、なんか心が軽くなったような気がする」

『そ…そうっすか?』

「けど、これだけは言わせてほしい。……本当にゴメンなさい。ちゃんと知っていた筈なのに、姫は全てを軽く見過ぎてた……」

『そんな……仮に俺が先輩と同じ立場でも、同じように自分の行動を軽く見てたと思いますよ。まさか、街に買い物に行っただけで誰かの死亡フラグが立つなんて予想出来ませんって』

「そうだよね……ハハハ……」

 

 もしも、彼が悪魔に転生をして生き延びてたら、本当に一誠君に惚れてたかもしれないな……。

 もう、そんな未来は絶対に訪れないけど。

 

『む…そろそろ限界ですね。許可も無くこちらから通信を送るのは、本来ならば違法行為に等しいので、そろそろ通信を切らないと』

「そうなんだ……」

 

 あのジジイの孫娘なだけあって、無茶をする子なんだな……。

 

『では、これで失礼します。話す事は難しいですが、様子ならずっと見ていますので』

『先輩…俺、凄く嬉しかったです。俺って学園の女子達からは嫌われてるから、まさか、ここまで俺の死を悼んでくれてるとは思ってなくて……』

「姫も最初は、そんなにいい印象は無かったけどね」

『マジっすかっ!?』

「でも、今の会話で印象がガラリと変わったよ。何とかやってみる」

『その意気っすよ、先輩! 俺も、あの世から応援してますから!』

「うん…ありがとね」

 

 そうして、籠手からの通信は終わった。

 自分の手と話しているようで不思議な感覚だったけど。

 

『お…驚いた……本当になんだったのだ……』

「あの世からの応援メッセージだよ」

 

 正直、まだ完全に立ち直ったわけじゃない。

 少しでも気を抜けば、またすぐにでも気が重くなって死にたくなるけど、でも……もう少しだけ頑張ってみようって気にはなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 姫は本当に馬鹿だった。

 ほんの少し慰められたからといって、自分のした事は永遠に消えない。

 そんな当たり前の事に気付かされたのは、通信が終わってから十数秒後。

 気紛れにテレビをつけた時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『本日未明。駒王町○○番地にある民家にて、夫婦の遺体が発見されました。夫婦は先日、中央公園にて遺体で発見された兵藤一誠さんの両親であり、遺体に傷が見当たらず、尚且つ遺体の近くに二つの瓶があったことから、夫婦は大量投薬による自殺を図ったと見て捜査が進んでいます。ご近所の人の話によると……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 姫は、取り返しのつかない事をしてしまった。

 一体、何を浮かれていたのか。

 現実逃避をして何が楽しいのか。

 自分の犯した罪と向き合わずに忘却するなど論外だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時、姫の中にある決定的な『何か』が完全に壊れた。

 同時に、どこかで運命の歯車が外れる音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一時凌ぎの励ましでは応急処置にもならない。

次回から本格的にシリアスが始まります。

終わりまでは、ジェットコースターのように進んでいくと思います。

これからの展開に関する質問です。

  • 逆ハーレム!
  • 百合ハーレム!
  • どっちもありのドタバタ系ラブコメ
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