「黒死牟・・・・・・お前ともあろう者がなんたる無様な姿を・・・・・・」
「くっ・・・・・・もうしわけ・・・・・・ございませぬ・・・・・・しかし、あの者は間違いなく私の弟、昌継であります!貴方様を追い詰めた縁壱と同等以上の力を持つ剣士でございます!このままでは私たちはいずれ・・・・・・」
「誰が口を開いて良いと言った!!」
「ぐっ!」
無惨は鳴女(無惨の近くにいつも居る琵琶の力によって対象の者を転送させることができる力を持つ女の鬼)の力によって無様な姿で戻ってきた黒死牟を自身の爪で切り裂きながら見下ろしていた。だが、気丈に振る舞って見せている無惨も内心では今までに無いくらいの焦りを見せていた。
「(私の次に力があるであろう黒死牟をこうも簡単に退けるとは・・・・・・っ!?なんだ?)」
ふと自分の異変に気付いた無惨は異変を感じた
「(私が・・・・・・震えているというのか・・・・・・?たかが一人の人間の剣士如きに・・・・・・)」
その日、無惨は一頻り継国昌継という鬼狩りに恐怖し、それ以降青い彼岸花の調査にありつくことは無かった・・・・・・。
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「昌継様・・・・・・お客様が見えております」
「客?わかった。すぐ向かおう」
巌勝兄上を取り逃した数日後、我が家で刀の手入れをしていた折、寿々から来客の知らせを受けた私はすぐさま外に出た。外にいたのは雪のように白い髪をし、何とももの静かそうな雰囲気を醸し出した御人だった。・・・・・・このような御人が私に何用か?
「初めまして。私は産屋敷当主、産屋敷耀哉の妻のあまねと申します・・・・・・」
「産屋敷・・・・・・今の世でも受け継がれているのだな・・・・・・」
私の時代からその名は存在していたほど、産屋敷の名は歴史がある。私が知っているのは僅か六つで当主の座についた当時の御館様だけだ。あのお方がその後どうなったのかは知らぬが、四百年経った今の世でもその名があることからどうやら子孫を残せたようであるな。だが、今の世で私は鬼殺隊に入っているわけでは無い。産屋敷の者共と直接的な関与は無いものと思っていたが、どういうことなのだろうか?
「それで・・・・・・産屋敷の者が私に何か御用であるか?」
「はい。実は貴方様に御館様からの伝言を伝えるべく参りました」
「ふむ。・・・・・・して、伝言とは?」
今の世の当主が私に伝言とは・・・・・・。私は続きを促した。
「『私の屋敷に来てもらいたい。そして私と話をしよう・・・・・・』・・・・・・これが伝言です」
「ほう?話とは具体的に何を話すのだ?」
「そこまでは伝えられておりません。それは御館様に直接会われてから問うべきかと・・・・・・」
「・・・・・・」
私は迷っていた。特段断る理由も無いのだが、一途の不安が募っているためであった。それは、寿々と可奈の存在だった。私が一人赴けばその間二人を守る者が居なくなってしまう。今までは一晩の短い間のみ鬼狩りをしてすぐ様家に戻ってくるというやり方をしていた為、問題なかったが、産屋敷家の館が私たちのいた時代と相変わらずの場所であるのならば丸二日はかかる。その間二人を野放しにすることなど私には到底出来ないのだ。
「貴方様のご家族に関しましてはご安心を。お二人は貴方様とともにこちらに来てもらい、産屋敷家の管轄内で保護をさせてもらいますので・・・・・・」
「・・・・・・それは真か?」
「はい。鬼は近づけない作りの場所となっていますので襲われる心配もありませんし、少なくとも今いるこの場よりも安全ではあります。・・・・・・どうでしょうか?私と共に来てもらえますか?」
再びあまねは問うてきた。確かに私はいずれ、この場を離れようとは考えていた。鬼狩りをする以上一時も二人から離れずに守るということは不可能に近い。いつ鬼に襲われるか分からない状況で二人だけにするのは危険である。だからこそ二人だけで置いておいても安全な場所を探し求めていた。そして今、その場所が目の前にいるあまねから渡されようとしている。・・・・・・もはや私に選択肢は無かった。
「・・・・・・わかった。ともに行こう。しばし待たれよ、家内に支度をさせてくるのでな・・・・・・」
「ご理解、感謝いたします・・・・・・」
私はそのまま家に入り、寿々と可奈に先程あまねから伝えられた事をそのまま話した。渋るかと思われたが、実際そうでもなく『昌継様がそう決めたのならば、どこまでも私たちはついて行きます・・・・・・』と承諾してもらえた。可奈も静かに微笑みながら私の手を握った。あぁ・・・・・・私は本当に良い妻と娘に恵まれたのだな・・・・・・この笑顔を絶やさぬためにも、私は鬼を狩らねばな・・・・・・。
そして、私たちはその土地を離れ、産屋敷の館に向けて歩みを進めた。・・・・・・産屋敷、今の世ではどの様な者であろうか?
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「やぁ、待っていたよ・・・・・・」
産屋敷の館の静寂・・・・・・正確には鹿威しの音のみが大きな庭に静かに鳴り響く中、物腰柔らかく消え入りそうな声が響いた。
「お初にお目に掛かります。私は継国昌継という者・・・・・・しがない鬼狩りでありまする・・・・・・」
「うん、昌継だね・・・・・・。私は産屋敷当主、産屋敷耀哉。よろしくね。それじゃあ、早速だけど私と話をしようか・・・・・・」
私は平伏した姿勢をとき、その場に座った。今この場にいるのは私と御館様のみで、寿々と可奈は今は産屋敷家の部屋で休ませてもらっている。丸二日かけてここまできたのだ、それくらいはさせてもらおう。
「昌継は以前、上弦の壱の鬼と遭遇してその鬼を撃退した・・・・・・これは事実でいいかな?」
「さて?その上弦?とやらの鬼は存じ上げてはおりませぬが、少し前に鬼になられていた我が兄を逃しましたな・・・・・・」
「うん、その鬼であってるよ。君が逃したその鬼は・・・・・・鬼の始祖、鬼舞辻無惨の次に力がある上弦の壱の鬼だったんだ。まさかその鬼が君の兄だとは思いもしなかったけどね・・・・・・」
「そうでありますか・・・・・・」
私はいまだに巌勝兄上が鬼になられた事に納得がいっていなかった。私が知っている巌勝兄上は誇り高くどこまでも真っ直ぐで私の目標としていた御人だったからである。そのような御人が何故鬼という醜い存在に・・・・・・?巌勝兄上の考えが理解できない私に、御館様は今度は違う話題を持ちかけてきた。
「で、昌継はこの時代の人じゃ無いよね?雰囲気とかで見てもとてもこの時代の人とは思えない。それに何百年と生きてる上弦の鬼に兄弟がいる時点でおかしいよ・・・・・・。聞かせてくれるかな?君が・・・・・・いや、君たち家族がいつの時代から来たのか・・・・・・」
「御館様にはかないませぬな。わかりました・・・・・・すべてお話しいたしましょう」
それから私は自分たちのみに起こった事を全て話した。納得して貰えるかは未知数であったが、全てを聞いた上でも御館様は何も疑うそぶりを見せずに相槌を入れつつ、私の方を見ていた。
「そうか、それは災難だったね・・・・・・。でも、私は嬉しくも思っているよ」
「・・・・・・?それはどういう意味でしょうか?」
「この時代で、鬼を絶やすことができる・・・・・・。昌継ほどの力を持った子が居れば、きっと鬼舞辻無惨を倒すことができるし、私の子供達も無闇に死ぬこともなくなる・・・・・・。だからこそ嬉しく思っているんだよ・・・・・・君がこの時代に来てくれて・・・・・・」
御館様の言葉に途中から力がこもっている事を実感した。無理もない・・・・・・ようやく長年続いた鬼との因縁を断ち切れる好機が来たのだから。・・・・・・だがそれは私とて同じ事、私もこの美しい世、そして人々の平穏を守る為に戦っているのだから・・・・・・。だから私は・・・・・・。
「御館様・・・・・・この時代を、鬼舞辻無惨の・・・・・・鬼の終焉とさせましょう。その為とあらば私はいついかなる時も修羅となる覚悟がございます。どうか私も共に戦わせてくださいませ・・・・・・」
「ありがとう。もともと私がお願いをする予定だったんだけどね・・・・・・。改めて昌継、この世の未来のため、私たち鬼殺隊と一緒に戦おう。これからよろしくね?」
「・・・・・・おまかせを。必ずや日の本に平穏を・・・・・・」
こうして私は鬼殺隊と共に戦う事となった。これから先幾度も死線を潜ることとなるだろう。だが私に不安は無かった。なぜならば、こちらには頼もしい味方、鬼を滅する集団・・・・・・鬼殺隊がいるのだから。
やっと産屋敷さんと会わせることができました。ここから鬼殺隊との関わりも増えてくるのでお楽しみを!
【大正コソコソ噂話】
昌継のことに関して鬼殺隊では、柱と同等の権力を持つ者として伝わっている(一部で)。
炭治郎の家族は助ける?助けない?
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