私がこの時代に来て鬼を狩り始めて二年が経とうとしていた。正式にこの時代の鬼殺隊には所属していない私だったが、そんな私でもこの時代の御館様は私の事を受け入れてくださり、共に鬼を駆逐するという旨を固めたのだった。
それから私たち家族は御館様が用意してくださった一つの屋敷に住むこととなり、今はそこに身を寄せている。ここら一帯は鬼が苦手とする藤の花が一面に咲き誇っており、鬼による襲撃は皆無に等しいのだと言う。ここならば安全に過ごせると喜んでいた寿々や可奈の笑顔が今でも尚私の脳裏に焼き付いていた。無論それは私も同じ気持ちだった・・・・・・。
そんなある日だった・・・・・・。私は突如、御館様の屋敷に呼ばれた為、屋敷に赴いていた。そこにいたのは御館様だけかと思っていたのだがその予想ははずれ、屋敷には数人の鬼殺隊の隊員と見える者達が私に訝しげな顔を見せつつ佇んでいた。
「御館様・・・・・・継国昌継、参上つかまつりでございまする・・・・・・。・・・・・・して?今日はどのようなご用件で?」
「あぁ、よく来てくれたね昌継・・・・・・。今日はね?君のことを私の可愛い子供達に紹介したくて来させたんだ。君は正式な鬼殺隊じゃ無いけど、今後彼らと共に戦う仲間だからね。顔合わせぐらいはさせたいと思っていたんだよ」
「そうでございますか・・・・・・」
私はそっと御館様から目を逸らし、隊員達の方に視線を向けた。どの者もかなりの才を持った者だと言うことはひと目見ただけでわかった。若い者が多く、まだまだ未熟なところもあるがその分伸び代も計り知れない。そのような者がこの場に行く人も存在している事実に自然と私の口角は吊り上がっていた。この時代にもまた、私を凌ぐ才や剣技を持つ未来ある若者達が多く存在しているのが嬉しかったのだ・・・・・・。(←22歳)
「昌継さん!」
「お久しぶりですね」
「其方達・・・・・・久しいな。息災であったか?」
「「はいっ!」」
私に声をかけてきたのは、以前よりも更にたくましくなり、纏う雰囲気も一端の剣士となっていた錆兎と義勇だった。
「俺たちあれからさらに修行を積んで、鬼を狩り続けたんですよ!昌継さんの教えを基にし、自分を磨き直したところ、苦戦はしましたが十二鬼月に一人を二人で倒すことが出来たんですよ!」
「ほう?十二鬼月を・・・・・・」
「はい。それとかなりの鬼を狩っていた事もあって一ヶ月前に俺たち二人は晴れて”柱”になることが出来ました」
「む?”柱”・・・・・・とな?」
聴き慣れぬ言葉に私は疑問を抱いた。
「簡単に言えば鬼殺隊の階級の最上位のことを表しています。全部で十階級あり、下から・・・・・・癸・壬・辛・庚・己・戊・丁・丙・乙・甲・・・・・・そして最後に”柱”となっています」
「今の世の鬼殺隊は階級という概念があるのだな・・・・・・」
「はい。柱になる条件として、まず階級が甲であることと、十二鬼月もしくは鬼を五十体倒すことが絶対条件です。ですので、この柱になるということはかなり難儀なことなんです・・・・・・」
「そうか・・・・・・」
何故難儀なのかは敢えて聞かなかった。大体は私は想像がついたからだ。つまりその条件を満たす前に大半の隊員達は鬼どもに命を奪われてしまうのだろう・・・・・・。いくら鬼狩りを仕事としていて一般のものと比べて鍛え上げられた隊員達であっても人間であることに変わりはない。急所を疲突かれたり、不意を突かれたりしたら簡単に命を落としてしまう。まして鬼などという愚物共なれば卑劣な手段など当たり前のように使うだろう。そのような手で殺されてしまったこれまでの隊員達のことを思うと私は悲しくなってくると共に怒りが伴ってきた。
「・・・・・・やはり鬼共は許してはおけんな」
「「「「「・・・・・・っ」」」」」
私の出した一瞬の殺気に気がついたのか、錆兎と義勇を含めた隊員達は体を硬らせながらも腰を落として身構えていた。・・・・・・何故か申し訳ない気になってしまったな。
「すまぬな。脅かしてしまったか?」
「い、いえ・・・・・・大丈夫です・・・・・・(一瞬呼吸ができなかった・・・・・・)」
「も、問題ありません・・・・・・(鬼達でさえ、こんな殺気出してきたこと無いぞ・・・・・・?)」
二人はこう言っているが、見たところ呼吸が乱れている。やっぱりまだ完璧な呼吸と使い方は会得できてないようだな・・・・・・。そこもまた今度教えてみる事もまた良いだろう・・・・・・。私はまたふと笑みを浮かべると、今度はまた違う二人が近づいてきた。・・・・・・む?その二人は男女の様であるが、彼奴らはどこか見覚えがあった。
「お久しぶりですね昌継さん。一年半ぶりくらいですか?」
「其方は・・・・・・確か無一郎であったな。其方も息災であったか・・・・・・して、兄である有一郎はどうした?」
「兄さんは今は任務中なんですよ。今度昌継さんに会いに行く様伝えますので楽しみにしてて下さい!それと、僕もまた柱になりましたよ!」
「そうか・・・・・・」
二人のうちの男の方は、以前山の中の家で世話になった無一郎だった。以前と比べて顔が引き締まっていたが、それでもまだ子供っぽさが残っていて、なんとも可愛らしかった。無論”柱”となっているだけあって、剣技も相当なものとなっている事だろう。まだ見ぬ有一郎もまたそうなのであろう・・・・・・。
「ほら、カナエさんも挨拶しなよ。ずっと会いたかったんでしょ?」
「ええ、そうね。・・・・・・お久しぶりですね、昌継さん。私のこと・・・・・・覚えていますか?」
「其方・・・・・・確か鬼に襲われているところを助けた女子であったな。名前は・・・・・・カナエで良かったか?」
「まぁ、覚えていてくださったんですね!あの時は本当に・・・・・・」
「礼には及ばぬ。其方の様な未来あるものを死なすにはいかなかったのでな・・・・・・」
「ありがとうございます。あの時から自分の無力を知った私は必死に努力しましたよ。逃げ出したくなるくらいに・・・・・・。でも、それを成し遂げて今私は”柱”として貴方の前に立つことが出来ています。それもこれも昌継さんがあの時私のことを助けてくださったおかげです。・・・・・・もう一度言わせていただきます。あの時は本当にありがとうございました。そして今後は私たち鬼殺隊と共に鬼と戦っていきましょう」
あの時助けた女子がここまでの成長を遂げているとは・・・・・・。この者とは二年近く会うことは叶わなかったが、その間にこの者は本当に壮絶な修練を積んで来たのであろう・・・・・・。体のあちこちが目に見えぬほどの傷で覆われていることが何よりの証拠だった(昌継は”透き通る世界”で傷が見えているだけであって、他の人たちからは傷一つ見えない)。
「あぁ、其方達の様な者達と共に戦えること、光栄に思おう。そして我が身にかけて誓おう。私も全身全霊をかけて其方達と共に鬼共を駆逐することを。そしてこの美しい世に平穏をもたらすために戦おう・・・・・・」
「どうやら自己紹介は済んだみたいだね。仲良く出来そうで安心したよ。それじゃあそろそろ・・・・・・」
御館様が、そろそろ次のことへと移ろうと話を切り出そうとした・・・・・・その時だった。一人の隊員から制止の声が上がったのだ。
「御館様、暫しお待ちを・・・・・・。この俺はこの者は信用できませぬ・・・・・・」
和やかに終わるかと思われたが、どうやらそれは叶わぬやもしれぬな・・・・・・。
次の話は少しゴタゴタがある?
【大正コソコソ噂話】
産屋敷の館には目隠しをして通されるが、昌継の場合、”透き通る世界”が使えるため、意味がない。
炭治郎の家族は助ける?助けない?
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助けて!
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助けないで!
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禰 豆子以外助けて!