先程の家まで戻ってきた私は、兎にも角にも家内の者の身の安全を確認しなければと踏み、中へと入った。だが・・・・・・中に入ると違和感を覚えた。見たところ、女性が一人と、その子供たちが複数人いることが確認出来たが・・・・・・あの”鬼舞辻無惨に切り裂かれ、血を与えられていた女子”の姿が見えないのだ・・・・・・。
「一体どこに・・・・・・?」
「あ、あの・・・・・・さ、先ほどは助けて頂き、有難うございました。おかげで助かりました・・・・・・」
「む?・・・・・・それは何よりである。・・・・・・して、少々聞きたいことがある。先程の女子は何処に?」
「女子?もしかして、禰豆子のことですか?・・・・・・禰豆子は今、炭治郎が麓の医者に連れて行ってるところです。・・・・・・あのままでは、そのまま死んでしまいそうでしたので・・・・・・」
その女子の母親と思わしき女性は、そう言いながら小さく震えていた。無理も無い・・・・・・自分の娘が死するやもしれぬこの状況なのだからな。私も、もし可奈がその禰豆子(?)とやらと同じ状況にあったとするなら、冷静になどいられなかっただろう。
「炭治郎とは、其方の息子であるか?」
「はい。ちょうど炭売りから帰ってきたところで、血塗れの禰豆子の姿を見て、大急ぎで麓まで駆け降りて行きました」
・・・・・・?だが、待て。もしそれが本当の事だとすると・・・・・・・・・・・・っ!炭治郎が危うい!
「っ!しばし待たれよ!すぐに戻る故!」
「っ?は、はい!」
確認をとった私は、すぐさまその炭治郎の後を追った。幸いにも、足跡がまだ残っていたため、追うには容易かった。だが、問題はそこでは無い・・・・・・。
「(むぅ・・・・・・私が向かうまでに、”鬼”になってないと良いが・・・・・・)」
そう、私が懸念している問題がまさにそれだった。鬼舞辻無惨に血を与えられ、生き延びていると言うことは、その女子の向かう先は一つ・・・・・・鬼への変貌しかなかった。時間的にも、いつあの女子が鬼になっていても不思議では無い。鬼になってしまえば、生身であろう炭治郎などすぐに喰われて終わりとなってしまう。・・・・・・それだけはなんとしても防がねば!
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「くぅ・・・・・・禰豆子、安心しろ。兄ちゃんが必ず助けてみせるからな!」
オレの背中で血塗れとなって意識を失っている妹の禰豆子にそう優しく囁く。オレ、竈門炭治郎はさっきまで麓の村まで炭を売りに行っていた。だが、帰るや否や、血塗れになった禰豆子が倒れているわ、家がボロボロにされているわ、正直色々ありすぎて頭の中が混乱している。幸いにも、母さんや他の兄弟たちは無事だったけど、禰豆子が無事でなければ意味が無い。だからオレはこうして、禰豆子を担いで麓の医者にまで歩いているんだ。それにしても・・・・・・いったい誰があんなひどいことを・・・・・・っ!
「うっ・・・・・・ぐぅっ・・・・・・」
「禰豆子っ!?気が付いたか?」
「うぅぅ・・・・・・・・・・・・」
意識を取り戻した禰豆子にオレは喜びを覚えた。・・・・・・だが、どうにも禰豆子の様子が不自然に映った。なんだろう?この匂い・・・・・・禰豆子の匂いは勿論するんだけど、それと同時に違う妙な匂いが・・・・・・。
「うがぁぁっ〜〜!!!!」
「っ!!禰豆子、暴れるな!傷が開くぞ!!」
「がぁぁっ〜〜〜!!!」
オレの声が届いていないのか、禰豆子は暴れるのを止めようとはしなかった。むしろさらに暴れると、オレの背中から雪の道へと転げ落ちていった。
「禰豆子!どうしたんだ!?」
「うぅ〜〜・・・・・・」
やっぱり妙だ・・・・・・。普段の禰豆子とは思えない程に落ち着きが無い様子だし、それにこの禰豆子にまとわりつく妙な匂い・・・・・・絶対におかしい!禰豆子に何が起きてるんだ!
「がぁっ!!!」
「待て、禰豆子っ!(くっ・・・・・・下が雪だから、思うように動けない!)」
今度はオレに向かって掴みかかって来ようとする禰豆子。オレはなんとか躱そうとしたが、足場が雪で糠っていたため、その場で態勢を崩してしまった。・・・・・・まずいっ!
「させるかっ!」
「・・・・・・へっ?」
やられるっ!そう思った時だった。どこからともなく現れた、宍色の髪をした人が、オレを抱えて飛び退いて、禰豆子の攻撃から守ってくれたんだ。この人は?
「義勇!こっちは問題ない!お前はそこの鬼を仕留めろ!」
「ああ、任せろ」
「ま、待ってください!」
もう一人現れた、黒髪の人が、刀を片手に禰豆子を斬り捨てようとしていた為、オレは抱えられながら必死に引き止めた。
「オレの妹なんです!だから、殺さないでください!」
「残念だが、こいつはもうお前の妹では無い。・・・・・・ただの、鬼だ」
「・・・・・・はっ?」
黒髪の人が淡々とそう言う。・・・・・・言っている意味がよくわからなかった。あれは、紛れもなく禰豆子だ。間違う筈もない。なのに・・・・・・どういうことなんだ?
「おそらく、傷口から鬼の血が体内へと入ってしまったんだろう。そうなって仕舞えば、人は人を喰らう鬼へと変貌する。鬼になって仕舞えば、”現段階”では元に戻す事は不可能だ。だから、今できる最善の対処は・・・・・・この鬼を今この場で仕留めることだ。それが、俺たちの仕事でもあるからな」
「待って下さい!禰豆子は人を喰っていません!喰おうとしても、オレが引き止めます!だから、どうか妹を助けて下さい!」
「つい先程まで、お前自身が喰われそうになっていたのに、よく言えたものだな?・・・・・・錆兎」
「ああ・・・・・・」
オレを雪道にそっと降ろした宍色髪の人は、そのまま刀を抜いて禰豆子へと迫っていった。まずいっ!このままだと禰豆子がっ・・・・・・。今のオレにできる事は・・・・・・これしかない!
オレは冷たい地面に額と両手をつけた・・・・・・。
「お願いします!妹を殺さないで下さい!!どうか・・・・・・お願いします・・・・・・」
心からの懇願に、オレの瞳から涙が溢れ出てくる・・・・・・。頼む・・・・・・禰豆子をどうか助けてくれっ!!
「錆兎・・・・・・」
「はぁ・・・・・・義勇、お前はこの鬼を見張ってろ」
どこか呆れたような声でそう言った宍色髪の人は、刀をしまうとオレの元まで歩み寄ってくる。・・・・・・助けて、くれるのか?・・・・・・と思った、その時だった。その人は、オレの髪を乱暴に掴み上げると、オレをそのまま力一杯近くの木へ投げ飛ばした。
「がはっ・・・・・・な、何を・・・・・・」
「男なら、何故俺たちに向かって来ない!妹が危機に晒されてると言うんだぞ!!そんなとこで惨めにうずくまってる暇があるなら、俺たちから妹を守って見せろ!それが兄であり、男であると言うことではないのか!!?情けない!!」
「・・・・・・っ!!」
「俺たちが人間であったからまだ良かったものの、相手が鬼であったのであれば、貴様はとうに殺され、喰われていたんだぞ!!鬼どもに情や情けなど微塵もない!女子供であろうと容赦なく喰らい尽くす!それが鬼だ!もちろん、貴様の今言った願いや意見が、鬼どもに尊重されると言うことも断じて無い!当然俺たちだって貴様のことを尊重したりしない!それが現実だ!それを否定したいのであれば足掻け!食らいつけ!それが出来ぬのであれば今世で生きながらえることなど出来ん!妹を殺されかけて何が『助けて下さい!』だ?笑わせるな!恥を知れ!!」
「っ・・・・・・」
その口から出て来る次々の言葉に、オレは言葉が出なかった。・・・・・・そうだ、オレは何をやってたんだ。妹が殺されるかも知れないんだぞ?それを・・・・・・何でオレはまるで愚者みたいにこの人たちに縋っているんだ・・・・・・この人の言う通りだ。なんて情けないんだ、オレは・・・・・・。
「義勇!その鬼を殺せ!」
「やめろーーっ!!!」
気がついた時には、オレは懐に忍ばせていた斧を手に取り、禰豆子を救出するべく、二人へと斬りかかっていた・・・・・・。
待ってろよ、禰豆子。兄ちゃんがきっと、助けてやるからな・・・・・・!
やっと炭治郎を出せました。今回はシチュエーションが第一話と同じですが、原作とは違い、錆兎が生還してますので、今回は義勇と一緒に来て貰いました。錆兎がいることで、今後はどんな展開になることやら・・・・・・。
【大正コソコソ噂話】
錆兎や義勇は、昌継との鍛錬のおかげもあってか、雪道でも足を取られることなく鬼と戦うことができる(柱はみんな同じ)。
原作編ではどのように書いて貰いたい?
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昌継無双で原作無視で上弦や無惨を蹂躙
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昌継が強くした柱達と共闘して無惨達を倒す
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原作に沿って地道に書いていってほしい