私達は山を降りた後、近くの街に来ていた。その街を見て私達は改めて未来に飛ばされてしまった事を自覚したのだった。私たちがいた世には無いような物、召し物、建物などがそこに存在しているのであれば自覚せざるを得ないだろう。
「私たち・・・・・・これからどうなるのでしょうか?」
「私にもまだ分からないのだ・・・・・・。ともかく、どこか落ち着ける場所を確保せねばな」
それから私達は当てもなく街を彷徨い、暫くして人気のない静かな平屋の元にたどり着いた。見たところ、外見こそボロボロなれど、居座るには申し分なさそうな家ではある。人の気配も感じぬ故に、私達はここで暫く休ませて貰おうとしたのだ。・・・・・・何やら妙な気配を感じるのだがな。
「・・・・・・ぅぅ」
「っ・・・・・・ごめんね。起こしちゃったかしら?」
「寿々よ、少しここで待っていてはくれぬか?妙な気配を感じるのでな・・・・・・」
「・・・・・・分かりました。どうかお気をつけて・・・・・・」
寿々の頭に手を乗せ、「すぐに戻る」と言い残し私はこの平家の中に入った。中に入った途端に、私が感じた妙な気配はさらに強くなることが身に締めてわかった。そして、それに続いて私は気づいた・・・・・・。
「”血”の匂い・・・・・・もしや?」
嫌な予感がした私は、すぐさま匂いの発生源の部屋に向かった。すると、そこにいたのは二体の鬼と内臓から何まで無残に食い散らかされた人の姿だった・・・・・・。
「お?この家にはもう一人人間がいたんだな!いいね〜!まだまだ食い足りないとこだったんだよな〜!!」
「てめっ!また横取りする気かよ!今度の獲物はこの俺に譲りやがれってんだ!!」
「・・・・・・」
鬼どもは何やら言い争っているように見えるが、私にはもはやそんなことはどうでも良かったのだ。
「いつの世も・・・・・・鬼は尊い命を奪い尽くす・・・・・・。この者がお前達に何をしたというのだ?」
「「はっ?何言って・・・・・・」」「お前達は滅すべき存在だ・・・・・・」
私はそのまま二体の鬼の頸を即座に斬り落とした。”人の命を蔑ろにする者に情けは不要”・・・・・・縁壱兄上からの教えである。
「助けられず・・・・・・すまなかった。せめて・・・・・・来世では平穏な時代を過ごしてほしい・・・・・・」
遺体となった男に黙祷を捧げ、私は寿々達のもとに戻った。
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「今戻った」
「ご無事で何よりです。それで・・・・・・」
「鬼がいたが先ほど始末してきた。だからもう心配はせずとも良い」
「そうですか。良かった・・・・・・」
それから私は寿々に暫くこの平家に居座る旨を伝え、部屋に案内した。寿々は可奈を産んでまだ一月と経っていない。移動をさせ無理をさせるわけにはいかないのだ。それに加え可奈、生後間もない可奈に負担をかけるのもまず無い。だからこそ私はこの平家で暫く生活する事を話したのだ。
「ともかく今は、私たちの世に戻る手を考えるのが最善であるが、その前に寿々よ・・・・・・聞いてもらいたい話がある」
平家の一角の部屋に可奈を寝かしつけた後、私と寿々は別の部屋の移り今後の話をしていた。
「はい、なんでしょう?」
「先ほども言ったように、先ほどこの家には鬼がいた。ここに住んでいたであろう男は既にその者らに食い尽くされていた・・・・・・」
「はい・・・・・・そのようですね」
暗く悲しい顔をする寿々。私は寿々にはこのような顔をして欲しくは無かった。いつも笑っていて、いつも通り私と可奈と共に平穏な生活を送っていてもらいたいのだ。・・・・・・それをあの鬼どもが邪魔をし、寿々を悲しませる。許すべからずな存在なのだ。
「鬼がいるということは、三百年経った今の世であっても鬼の始祖、鬼舞辻無惨が生きているということになる。あやつが生きている限り、幾度となく人は襲われ、命を奪われていく・・・・・・。私にはどうしてもそれだけは捨て置けぬ・・・・・・だから寿々・・・・・・」
「この時代でも鬼狩りをすると仰りたいのでしょう?・・・・・・昌継様がやりたいことならば、私は何でも肯定します。・・・・・・ですが、やはり無茶はいけませんよ?私は、昌継様と可奈が何よりの宝物なのですから・・・・・・」
「・・・・・・すまぬな。必ず鬼どもを駆逐させる。そして・・・・・・終わった暁には、三人でどこか旅に出るのも良いやもしれぬな。寿々の好きな所でも行くのも良い」
「ふふ・・・・・・楽しみにしてますね」
私は寿々を抱きしめながら決意を固めた。この手で・・・・・・鬼舞辻無惨を滅して見せると・・・・・・。
短めです。これ以上はものすごく長くなりそうなのでカットしました。
次回に期待してください。
【大正コソコソ話】
昌継の妻である寿々は、家事は得意でも裁縫は苦手らしい。
炭治郎の家族は助ける?助けない?
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助けて!
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助けないで!
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禰 豆子以外助けて!