「っ!?・・・・・・なんだ?今の寒気は・・・・・・?」
誰に発したでも無い声がどことも分からない部屋の中にこだまする。その声を発した人物、鬼舞辻無惨は何故か全身が凍ったかのような寒気を覚え、みじろんでいた。
「この感覚・・・・・・大昔、あの”耳飾りの男”に出会した時と同じ・・・・・・どういうことなのだ?あの男は既にこの世にはいない・・・・・・はず」
だが実際にそのような寒気と強い殺気を肌で感じた無惨は困惑を隠せないでいた。自分の中で唯一、恐怖の対象としてみているのがその”耳飾りの男”なのだから、それに似たような殺気と寒気を覚えれば誰でも恐怖するものだ。
「あの時私は、あの”耳飾りの男”に追い詰められ体を分裂させることでなんとか逃げ出すことができたが、それ以来奴とは会っていない。そして・・・・・・奴の血縁であるもう一人のあの”首飾りの男”も既に私の配下によって時空の彼方へ飛ばしたはず・・・・・・もはや私の対抗しうる存在などありはしないのだ・・・・・・」
その後無惨は考える事をやめ、再び自分の目的、太陽の克服のために青い彼岸花を探すべく調査を続けるのだった。だが、無惨はこの時気づくべきだったのかもしれない。時空の彼方に飛ばしたその”首飾りの男”が今、自分と同じ時代に飛ばされてきているということに・・・・・・。無惨がそのことに気づくのはまだ先の話だった。
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「・・・・・・のどかであるな」
鬼との一件から少し経った。あれから私達は古くなった平家を掃除し。床に穴が空いたところなどは近くに住んでいる者に材木などを譲って貰い、継ぎはぎをした。嫌な顔をされると思っていたが、意外にも優しい者であった為、快く譲って貰えたのだ。後で何か礼をせねばな・・・・・・。
今は特に何もする事がなく、家の縁側に腰を座らせ外を静かに眺めていた。寿々は可奈とともに床についている為、現状私は今一人である。こうして一人で過ごすというのは久々でもあり、少し物寂しさが出ていた。
「寿々よ、少々外に出てくる。夕刻までには戻る・・・・・・」
寝ている為、聞こえているかは分からぬが寿々にそう伝えた私は家を出て、近くを歩いた。やはり何度見てもこの時代の物や建物には慣れなかった。仕方がないことかもしれぬな。未来であるならばこれだけの街並みになっても納得であるし、物の価値も変わっていることだろう。
「わかってはいたが、本当にこの時代は・・・・・・む?」
街並みを見つつ、感激を覚えていた私だったが背後から妙な気配を感じ刀に手を添えつつ、私はゆっくりと振り返った。
「・・・・・・何奴だ?」
「そのように言う貴方の方こそどちら様ですか?どうにも貴方からは昔会った恩人の方と似たような雰囲気が感じられますが?」
そこにいたのは黒い着物を羽織ったなんとも儚げな女と顔が妙に青白く、同じように袴を着ていてなぜかこちらを睨んでいる男だった。だが、一見人間のように見えるがこの者たちはおそらく・・・・・・。
「・・・・・・鬼か?」
「見抜かれるとは思っていましたが、まさかこんなにも早く勘付かれてしまうとは思いませんでした・・・・・・。・・・・・・はい、私たちは鬼です。ですが、私達は人を無闇に食べたり傷つけたりしているわけではありません。私たちはある事を目的として行動をしているのです」
「ほう?・・・・・・あることとは何だ?」
「貴様!不躾だぞ!誰とも分からぬような輩に珠世様の目的など教えるわけがないだろう!」
隣の男がいきりたって私に言った。確かに不躾であったな。せめて名乗っておこう。
「すまぬな。・・・・・・私の名は継国昌継。しがない鬼狩りである」
「継・・・国?貴方はまさかあの恩人を、縁壱様を知っておられぬのですか?」
名を名乗った途端、珠世と呼ばれた女は血相を変えて私に詰め寄ってきた。
「兄上を知っておるのか?」
「兄上・・・・・・そうですか、あの時縁壱様が言っていた『私の下に私よりも強さも才もある弟がいる』と言うのは貴方様のことだったのですね。・・・・・・?ですが、待ってください。その貴方が何故ここに?貴方は本来、戦国の世にいる身のはず・・・・・・何故?」
「信じられぬ話かも知れぬが私は・・・・・・」
「時代から飛ばされたのだ・・・・・・」
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「・・・・・・そのような事が。それで今は、あのば・・・・・・鬼舞辻無惨を倒すべく鬼狩りを続けてると言う事で間違い無いですか?」
「そうだ。私がこの手で倒す・・・・・・」
それから私は事情を説明し、珠世達に私の目的は無惨の討伐であると話した。どうやらこの二人はあるものを調査するためこの地に来ていたようだった。この女は珠世、隣の男は兪史郎と言うらしい。
「先ほど、昌継様は私たちの目的が何かと聞いてきましたね?」
「話す気が無いのであれば詮索するつもりはないが?」
「折角珠世様が話してくださると言うのに話を遮るな!」
「兪史郎・・・・・・。昌継様に無礼は許しませんよ?」
「はい!わかっております!(怒った珠世様もまた素敵だ!)」
・・・・・・話が進まぬな。早く本題に入って欲しいものなのだが・・・・・・。
「それで、私たちの目的と言うものですが、一つは昌継様と同じく、”鬼舞辻無惨を倒すための薬”を作ると言う事。二つ目は、鬼を人間に戻すと言う薬を作ると言う事。この二つの目的のため、私たちは行動をしているのです」
「この俺も元は人間で病のせいで余命いくばもなかったんだが、珠世様の医術によって鬼にしてもらったんだ。鬼であるなら病など関係なしに吹き飛ばせるからな。だからと言って無理やりならされたわけじゃ無いからな?俺は自分の意思で鬼になると決めたんだからな」
「その話は関係ない気もするが・・・・・・まあ良い。鬼を人間に戻す薬が作れるのであれば、私も出来る限り其方たちに力を貸そう。それとだが、先ほど話した”鬼舞辻無惨を倒すための薬”は必要ない。私が直々に倒す故にな。だから其方たちは人間に戻す薬の方に尽力して貰いたいのだ。・・・・・・構わぬか?」
「それほど心強いことはありません。ありがとうございます。では、鬼舞辻無惨と鬼に関しましては昌継様に任せます。その際になのですが、この血液採取計を使って鬼の血を採取して貰いたいのです。その血を使って研究を重ねたいので」
なるほど。血を使って薬を作ると言うことはいい考えであるな。ならば私はそのためにたくさんの鬼から血を採るとしよう。
「承知した。では私はそろそろ行くが、最後に少し聞きたい事がある・・・・・・」
「?何でしょう?」
「縁壱兄上を知っていると言うことは、其方は戦国の世から存在している鬼ということになる。だが、それから今の世まで、鬼舞辻無惨の監視下を逃れ続けるということは容易いことではない。・・・・・・いったい何をしたのだ?」
「何もしていませんよ?ただ、あの大ば・・・・・・鬼舞辻無惨に対する憎しみが、何故かその時に強くなっていって、次第に無惨の支配から逃れられるようになっていったんです。おそらくですが、その時から・・・・・・」
「そうか、つまらぬ事を聞いたな。では、さらばだ」
その場で二人と別れた私は家に戻った。さて・・・・・・これからは少し忙しなくなるが、これもこの美しい世を守るため。そのためならば私は迷わず修羅と化そう・・・・・・。
ここから私の鬼狩りの日々が始まるのだった・・・・・・。
珠世さんと兪史郎との邂逅です。やっぱり鬼と戦う目的等があったほうがいいと思ったため先に邂逅させました。ようやく次から本格的に鬼狩りの様子を書けます。
【大正コソコソ噂話】
昌継の首から下げてる勾玉は以前に寿々から貰ったものである(その際、普段無表情な昌継が顔を紅潮させてたのは秘密の話だ)。
炭治郎の家族は助ける?助けない?
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助けて!
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助けないで!
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禰 豆子以外助けて!