今私はとある山に来ている。無論鬼を狩るためにだ。寿々には少し留守にするとだけ伝えここまで来ていた。そして、今目の前にいるのは、既に私に斬り刻まれ息絶えそうな鬼だった。
「・・・・・・」
「き、貴様は一体何者なんだ!?”十二鬼月”であるこの俺が、こうも・・・・・・」
「知らぬ。お前がどんな鬼であれ関係は無かろう・・・・・・」
「お、おのれ〜〜!!!血鬼術ーーー」
「光の呼吸・・・・・・【輝月蓮華】」
「なっ!?・・・・・・そんなばか・・・・・・な・・・・・・」
私の斬撃は、目の前の鬼の頸を最も簡単に斬り裂いた。例によって件の鬼は頸が地面に落ちると同時に静かに塵となって消えていった。
「何やらほざいておったが、大したことは無かったであるな。”十二鬼月”・・・・・・であったか?それが何かは知らぬが、私にとってそれはどうでも良い。どんな鬼も私が全て滅ぼす・・・・・・それだけである」
この鬼とは偶然出会っただけなのであるが、どうにもこの鬼は近くの民家・・・・・・鬼が言うにはまだ幼い”双子の兄弟”が住んでいる民家に押し寄せようとしてた様だった。それを聞くと同時に私は何も言わずに刀を抜いていた・・・・・・。また罪もない者・・・・・・ましてや子供を食らい尽くそうとしているこの鬼を滅すために・・・・・・。
結局何事もなく鬼を滅した私は、完全に死体が無くなる前に血を採取し、その場を去ろう・・・・・・としたのだがその時不意に誰かに呼び止められた。声をした方へ視線を向けてみると、そこに居たのは歳十・・・・・・に行くか行かないかと言うほどの子供が立っていた。
「あの・・・・・・お兄さん誰?」
「ただの鬼狩りである。其方は、この先の住人の者か?」
「はい。時透無一郎って言います。・・・・・・え?お兄さんの後ろのってもしかして・・・・・・?」
無一郎といった少年は、視線を私から後ろの鬼に変えると、少し怯えた表情をした。
「無論鬼だが、心配はせずとも良い。既に息はない」
「・・・・・・そうですか。よかった」
安堵の表情を見せる無一郎。その表情を見て私も改めてこの少年を守れてよかったと思えた。もし、私が来るのがもう少し遅かったらと思うと・・・・・・考えたくも無かった。
「この辺りの鬼は全て片付けてある故、問題はないが少ししたら住む場所を移す事を勧める。いつまた鬼が出てくるかわかったものでは無いからな(・・・・・・それにしてもこの少年はどことなく巌勝兄上の様な血液の流れ、身体つき、呼吸、そして顔をしているな)」
私が少年を見たときにまず始めに思った事がそれだった。全く同じと言うわけでは無いが、確かに巌勝兄上の面影がある。だが、少年は”時透”と言った。ここは三百年以上・・・・・・いや正確には四百年以上だと珠世が教えてくれたが、それ程先の未来であるが、どうやら継国の名は潰えてしまった様だな・・・・・・。だが、それでも僅かだが巌勝兄上の血が混ざっているのだろう、この少年もまた兄上の様に刀を持てば凄まじい剣客となる事を私は確信した。
「何から何まですいません・・・・・・あの、良ければ家に来ませんか?お礼の意味も込めて何かさせて下さい!」
「そうか・・・・・・では、水を貰えぬか?少々喉が乾いていてな」
「わかりました!では行きましょう!」
笑った無一郎は私の手を引き、家に案内した。少し歩けばその家が姿を現した。特段大きな家では無いが兄弟二人で過ごすには申し分ない家だった。
「兄さん、帰ったよ!」
「・・・・・・遅かったな。どこに行ってたんだよ?」
「ちょっと外まで出てただけだよ。それでさ、お客さんが来てるんだ!」
「は?誰だよ?」
「どうぞ、入ってください」
「うむ・・・・・・」
私は無一郎に促され、家の中に入った。中にいたのは無一郎と瓜二つの少年がいた。どうやら無一郎とこの少年は双子の様だ。この少年にも同じ様に巌勝兄上の血が紛れていることもあるため、間違い無いだろう。
「邪魔をしてすまぬな。先ほどこの家を狙う鬼と遭遇したものでな、早急に滅したところ偶然通りかかったこの無一郎にお礼として招かれたのだが・・・・・・迷惑だったか?」
「鬼がっ!?・・・・・・そうか。貴方には俺たちの命を救われた様だ。迷惑などありません、丁重にもてなします。俺は時透有一郎で、そこにいる無一郎の兄です」
「感謝する。私は継国昌継、しがない鬼狩りである」
居間に腰を下ろした私は二人の様子を観察していた。見ているとわかったがどうにも二人・・・・・・特に無一郎の方がぎこちなかった。何やら仲に問題がありそうだ・・・・・・。どこか剣呑な雰囲気の中、私に水が差し出された。
「どうぞ」
「すまぬ。ところで一つ聞きたい。有一郎よ・・・・・・」
「はい?何でしょう?」
「・・・・・・何故お前は無一郎に辛く接している?」
「っ!?」
そう聞くと同時に有一郎は肩を震わせた。よほど聞かれたく無かったことなのか、俯いたまま言い澱んでしまっていた。無一郎もまた、兄の答えを待っていた。
「・・・・・・貴方には関係のない話です」
「確かにそうであるが、このままではずっと無一郎と仲違いをしたままであるぞ?お前はそれを望んでいるわけでは無かろう?」
「それは・・・・・・」
どうやら私のいってることは真の様だ。いまだに歯切れの悪い有一郎が、視線を私にではなく隣に座っている無一郎に変えたことから私は何かを悟った。
「・・・・・・お前は弟思いであるな」
「っ!?何を・・・・・・」
「誤魔化さずとも良い。お前は親の代わりにたった一人の家族である無一郎を守ると言う事を心に決めているのであろう?」
「え?」
「!!?」
二人して驚きを隠しきれずにいた様子だったが気にせず私は続けた。
「だがいつも余裕がないせいか、心にもない事を無一郎に対して言ってしまう事をいつも悔やんでいるのではないか?どうして優しくできない?どうして一緒に笑い合えない・・・・・・と」
「・・・・・・」
「兄さん・・・・・・」
「余裕がないのもわかるが、それでは互いの溝が深まるばかりであるぞ?過去に何があったかは知らぬが、その過去を一人で背負う必要はないのではないか?無一郎もそれを望んでいないはずだ。・・・・・・そうであるか?無一郎?」
「はい・・・・・・兄さん何で言ってくれなかったの?僕だって兄さんと一緒にーーー」
「お前に何ができるってんだっ!!一人じゃ何もできないお前にっ!!」
部屋内に有一郎の怒声が響き渡った。
「一緒に背負う?それが出来ないから俺が背負ってるんだろうが!それに前お前言ってたな?あの白髪の女から言われた事を間に受けて剣士になって人を救うってな・・・・・・。寝言言ってんなよ!人を守れる奴なんて選ばれた人間にしか出来ないんだよ!先祖が何だってんだ!?いくら先祖が凄くったって、子孫の俺たちに何ができる!刀を握ったところですぐに鬼に喰われておしまいだ!わかったならーーー」
「それは違うぞ有一郎・・・・・・」
「「!?」」
話を遮られたことに憤りを覚えたのか、怒りの表情のままこちらを睨んできた有一郎に私は優しく語りかけた。
「お前達二人には凄まじい程の才を持っている。私には分かる。お前達は人を守るに値する選ばれた人間であると言うことは、その血が証明している・・・・・・試しにこの刀を振るってみるが良い」
「・・・・・・」
訝しげな表情をした有一郎だったが渋々私の刀を持った。すると・・・・・・。
「(!?何だこの感じ?手に馴染むって言うか・・・・・・なんか変な感じだ)」
持つと同時に、まるで体と手が覚えているとでも言わんばかりに流れる様にして刀を振っていた。有一郎は何が起こってるのか分からず困惑していた。
「どうだ?」
「刀を持った途端、体が勝手に動いた・・・・・・。違和感もなしに・・・・・・」
「先祖の血がそうさせるのやもしれぬな。せっかくだ、無一郎も振るってみるが良い」
「はい」
無一郎も同じ様に刀を持ったが、やはり同じで流暢な刀さばきをしていた。やはり、この兄弟は巌勝兄上の血を受け継ぎ、才も私や縁壱兄上以上のものを持っておるな・・・・・・嬉しい限りである。
「これで分かったか?お前達は決して選ばれなかった人間などでは無い。人間を守る権利を持った選ばれた者だ。・・・・・・よく聞くと良い二人とも。お前達は今後、人を守るため、人を導くため、そして・・・・・・人に優しくするために刀を振るのだ。今も昔もこの美しい世を乱す悪鬼どもが生息しておる。その様な世では一向に平穏は訪れぬ。だからこそお前達の様な選ばれた者達が人々の灯火となるべく鬼を狩るのだ。鬼を狩れば、いずれはお前達二人も何にも恐れることなく二人で平和に暮らせるだろう・・・・・・。だからこそ、今は鬼を狩るために尽力するべきだ・・・・・・」
「「・・・・・・」」
私の言葉を一音一句聞き逃さないと言った表情のまま二人は静かに聞いていた。後、私から言えるのはこれだけであるな。
「私も鬼を狩り、人を守る。無論お前達のこともだ。ここまで私が焚きつけたのだ、死なすわけにはいかぬ故にな。お前達の様な子供に鬼狩りをさせるのは酷であるが・・・・・・もし嫌であるならば断っても良いぞ?」
「僕はやります!選ばれた人間であるなら、僕は人々のために戦いたい!」
「そうか・・・・・・俺は選ばれた人間だったか。今まで俺は、何も守れないと思ってた・・・・・・誰も救えないと思ってた・・・・・・無一郎でさえも・・・・・・だけど、刀を持てば、誰も悲しませることはない。誰も苦しませることはない。無一郎のことも守ってやれる!・・・・・・なら!」
何かを決意した有一郎は目をギラギラさせながら言った。
「俺も、無一郎と人々を守るために、鬼と戦います!そして平和を掴み取って見せます!」
「うむ。よくぞ言った。ともにこの世に住う悪鬼どもを駆逐しようぞ」
「「はい!!」」
その後、私は軽く刀の振り方、呼吸法を教え、その家を後にした。いつか共に肩を並べて鬼を滅そうと言う約束をして・・・・・・。
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「何だか凄い人だったな・・・・・・」
「うん・・・・・・僕たちもいつかはあんな風になれるのかな?」
「きっとなれるさ。俺たちなら・・・・・・・・・・・・そうだ、今まですまなかったな無一郎・・・・・・」
「うん、気にしてないよ。これからは一緒に頑張って行こうね!兄さん!」
「ああ、お前とならどこまでもやっていけそうだ!何たってお前の無一郎の”無”は・・・・・・」
「”無限の無”・・・・・・なんだからな!」
有一郎君生存決定ですね!彼が無一郎君とどこまで上り詰めるのか楽しみです!
【大正コソコソ噂話】
この時、昌継に呼吸法を教わったことにより、少しだけ原作よりも二人が強くなっていく。
光の呼吸【輝月蓮華】
嵐の様に斬撃を飛ばす技。一つ一つの斬撃が強力であり、広範囲を攻撃できるため、複数の鬼を相手にするときに有効な技である。
炭治郎の家族は助ける?助けない?
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助けて!
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助けないで!
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禰 豆子以外助けて!