「”水の呼吸・弐の型【水車】”!」
「む?あれは・・・・・・」
この時代で鬼狩りを始めて一年近くが経とうとしていた。いつもの様に私は鬼を狩るべく近くの山に入ったのだが、その時若い男の声が聞こえてきた。声のした方へ向かってみると、そこには、二人の少年が立ち合いをしている姿があった。先ほどの声はどうやら宍色の髪をした少年からだった様だ。
「負けるか!・・・・・・”水の呼吸・肆の型【打ち潮】”!!」
「まだまだっ!”水の呼吸・壱の型【水面斬り】”!!」
「ほう・・・・・・?」
中々に筋がある少年たちの様だ。筋の良さでは宍色の髪の少年の方が上の様にも見えるが、黒髪の少年もまた劣ることのないほどの腕を持っている。中々に面白い・・・・・・。
「(あれは”水の呼吸”か?確か縁壱兄上が自分の呼吸を違う形で教えた時に出来た呼吸だと聞いていたが、どうやら四百年以上たった今でも呼吸は継承されてきている様であるな・・・・・・)」
縁壱兄上は自分の”日の呼吸”を継承させるのは難しいと考えたのか、それを少し変え、その人物に適応した呼吸の仕方をさせることで派生の呼吸を後の者達に体得させたのだ。確かそれは・・・・・・炎・水・雷・岩・風の五つだったはず。私もその様に呼吸を教えるべきだとは思っていたのだが、生憎それをする前にこの時代に飛ばされてきてしまったのだ。・・・・・・なんとも嘆かわしい・・・・・・。
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・!?なに奴だ!」
「!!・・・・・・人?」
「む?・・・・・・すまぬな。邪魔をしてしまったか?」
考え事をしているうちに、どうやら二人が私のことに気づいた様だ。二人とも抜き打ちの姿勢のまま私を警戒していた。
「貴様は何者だ?」
「・・・・・・通りすがりの鬼狩りと言っておこう。ふっ・・・・・・そう警戒せずとも良い。私は其方たちを斬る気など毛頭ない。ただ、其方たちの剣技に惹かれ、つい見入ってしまっていただけなのだ」
「「・・・・・・」」
私の言葉に納得したのか、二人は警戒を解き刀をしまった。
「かたじけない。・・・・・・して、其方たちは何故ここで刀を振っているのだ?」
「まじかに迫った最終選別に向けての特訓です。鬼に遅れを取るわけにはいきませんからね。だから今ここで義勇と共に己を鍛えていたところなんですよ」
「最終選別・・・・・・そうか。其方たちもまた鬼を滅ぼす為、鬼殺隊に入ろうと言うのか・・・・・・」
「・・・・・・?どうかしたか?」
無一郎や有一郎の時にも思ったことだが、やはりこの様な少年たちに刀を握らせるのは不快である・・・・・・。本当であれば、この様なことはせずに自分のやりたい事をやっている年頃なのである。・・・・・・鬼がいる限り、それは叶わぬ夢やもしれんな・・・・・・よし。
「すまない。少々考え事をな・・・・・・。して二人とも、其方たちは今の実力でも充分最終選別を突破できるだけの力は持っている」
「?そうでしょうか?」
「・・・・・・」
「だが、念には念をと言う言葉もある。最終選別の時に思わぬ敵と出会した時も想定し、其方達には私の”技の一つ”を伝授してやろう」
「「技の一つ?」」
私が自分の呼吸を教えるなど初めての経験だが、それでもこの少年たちの将来のため、私も精一杯やらせてもらおう。
––––––––––––––––––––––––––––––––––
「まず、手本を見せる。二人とも容赦はいらぬ。かかってくるが良い・・・・・・」
「はぁ・・・・・・?よくわかりませんが、わかりました!行くぞ義勇!」
「ああ!錆兎!」
二人は刀を抜くと、素早い足の運びで私に迫ってきた。ちょうど私と二人の距離が人一人分ほどの距離になり、二人が刀を振り下ろしてきたところで私は技を使った。
「・・・・・・”光の呼吸”【光天の舞】」
「えっ!?消えたっ!ど、どこにっ・・・・・・」
「・・・・・・後ろである」
「っ!?いつの間に!?」
二人の刀が私に届きそうになった刹那、私は目を閉じ心を落ち着けた後、一瞬で二人の背後へと回り込んだ。二人は私の姿が捉えられなかった様で唖然としていた。
「どうした?もっとくるが良い・・・・・・」
「くっ!はぁっ!!」
「っ!!」
振り向きざまに再び二人は攻撃を仕掛けてきたが、私は流暢な流れる様な足運びで軽快にその剣撃を躱していき、二人を翻弄していた。
「くそっ!何で当たらない!何でっ・・・・・・」
「受け止めさせも出来やしないのか・・・・・・」
「・・・・・・受け止めて見せよう。来い」
この技は相手の攻撃を躱すことだけに特化したいわば防御の技である。軽快な足の運びと、心を無にしたことによる相手の読みを遮断する技術、そしてもう一つ・・・・・・
「せやぁっ!!!」
「ふっ!!」
「・・・・・・」
私は、迫りくる二人の刀を峰の部分で軽く受け止めた。・・・・・・そして。
「「なっ!!?」」
「勝負あり・・・・・・であるな」
二人の刀をそのまま横へと受け流し、勢い余った二人はそのまま私の横をすり抜けるかの様にして倒れ込んだ。そしてゆっくりと二人の喉元に刀を突きつけた。
「「・・・・・・参りました」」
「ふむ。これでわかったか?この技が出来れば大抵の攻撃は凌ぐことが出来る。其方たちにはこの技【光天の舞】を伝授したいのだが・・・・・・この技を習得するのにはかなりの苦労が待っている。・・・・・・それでも伝授して欲しいと言うのであればそうしよう・・・・・・いかようにする?」
「「・・・・・・」」
二人は顔を見合わせ、頷き合った。そして改めて私の方を向いた。・・・・・・そして二人は言った。
「「どうか!俺たちにその技を伝授してください!」」
「ふっ・・・・・・よかろう。私も全力を持って伝授しよう・・・・・・」
それから私は、二人に技を伝授する為、毎日そこに通う様になった。最終選別までそこまで長くはなかったが、できる限り完成形に近い形をふたりには習得してもらいたく、私は必死になって伝授をした。この【光天の舞】を習得する上で最も重要なことは、心を無にできるかどうかである。これが出来なければこの技の習得は望めない。それが一番難しいことなのであって、二人もやはりかなりの苦戦を強いられていた。だが、それでも二人の少年、錆兎と義勇はめげずに何度も何度も繰り返し励んだ。その姿に私も心を打たれたのだった・・・・・・。
・・・・・・結局最終選別当日まで完璧な形の【光天の舞】は伝授することはできなかったが、ある程度の鬼であれば今の二人が使える【光天の舞(劣)】でも充分対応できるだろうと私は合格を出した。
・・・・・・今、二人の最終選別が始まろうとしていた。
錆兎、義勇との邂逅です!【光天の舞】を覚えたことによって二人の運命をどう変わるのか?
【大正コソコソ噂話】
【光天の舞】を使っている際は、心が無になっている為、何をしても表情や心が乱れない。
光の呼吸【光天の舞】
自分の心を無にすることで相手の読みを阻害し、攻撃を躱す防御型の技。時には受け流しも使う為、それをカウンターがわりに使って攻撃を加えることもできる。光の呼吸の中で最も習得するのが難しく、習得できるのは昌継や縁壱くらいしかいない。他の者は出来ても下位互換の【光天の舞(劣)】が限界とされている。
炭治郎の家族は助ける?助けない?
-
助けて!
-
助けないで!
-
禰 豆子以外助けて!