今回は前半が昌継、後半は錆兎、義勇の視点での場面になっています。最終選別の模様を見ていただきます。
「・・・・・・お主か?二人に剣を教えていたと言われる者は?」
錆兎と義勇が最終選別に向かったのを見送ると同時に、近くの小屋から天狗の仮面を被った男が出てきた。見たところ、かなり出来る者の様だ。
「すまぬな。勝手に其方の弟子に指導をしてしまった・・・・・・」
「それは構わぬ。それであの子たちも強くなってくれるのであればなにも言わぬ。・・・・・・紹介が遅れたな。わしは鱗滝左近次という者だ。・・・・・・お主は?」
「・・・・・・継国昌継と言う。未来ある者達のため、鬼を狩る者だ・・・・・・」
「継国・・・・・・!?日の呼吸の開祖の・・・・・・」
この者はどうやら縁壱兄上のことは知っている様だ。ならば、話しても問題はなさそうであるな。
「うむ。其方の知っている継国縁壱は、私の兄であるのだ・・・・・・」
「兄?・・・・・・どういうことなのだ?継国家はずいぶん前に潰えたはず・・・・・・だというに、何故お主がこの様なところにいる?」
私は簡単に事情を説明した。時代を飛ばされたなど、簡単に納得してくれるはずもなく、始めは疑い深く見ていた左近次であったが、最後には納得してくれた。
「なるほどな。つまり今はお主の時代に帰る方法を探っているのと同時に、この時代の鬼どもを駆逐している・・・・・・と言ったところか?」
「そういうことである。それでなのだが、私が教えた技というのは・・・・・・」
そこから少し、私は左近次と話をした。私がふたりに教えた【光天の舞】について、私の呼吸について、私の時代の鬼どもの話など、話題が尽きなかった。ここまで人と語り合ったのは縁壱兄上以来であるな・・・・・・。
「ふっ・・・・・・なろほどのぅ。それならば、あの二人は問題なく最終選別を突破するであろう。仮に・・・・・・異形の鬼と出会ったとしても、あのふたりならばきっと無事に帰ってくる。わしはそう信じておる。なにせ、開祖の弟君の技を伝授して貰ったのだからな・・・・・・」
「・・・・・・そうであるな。錆兎と義勇とはまた改めて語り合いたいものだ。だからこそであるが・・・・・・錆兎、義勇よ・・・・・・」
「無事に帰ってこい・・・・・・」
––––––––––––––––––––––––––––––––––
「?今、昌継さんの声が聞こえた気が・・・・・・」
「かもしれないな。あの人も鱗滝さんも俺たちも無事を祈っていてくれているんだろう。ならば、男ならばそれに応えなくては恥だろう。義勇!一気に鬼どもを駆逐するぞ!」
「ああ!」
最終選別で藤襲山に入った錆兎と義勇は、他の仲間立ちには目もくれず、目の前に現れた鬼どもを片っ端から仕留めていった。その鬼を狩る速度は今までに類を見ない程の速さであった為、初日が終わる頃には山にいるほとんどの鬼を片付けてしまっていた。・・・・・・実は、昌継には【光天の舞】の他にも剣技などを学んでいて、さすがに”光の呼吸”が出来る訳では無かったが、出来る範囲で水の呼吸の強化、刀の使い方、受け身の取り方、”全集中”【常中】、その他諸々を教授してくれた事もあって、そこらの人を一人二人喰った鬼では相手にもならないほどの実力に二人はなっていた。
「・・・・・・弱いな」
「昌継さんと比べれば・・・・・・それはな・・・・・・」
二人はちょくちょくであるが、昌継と立ち合いをしていたが、今のここまで一太刀も浴びせる事は出来なかった。昌継の攻撃を躱そうとすれば、先を読まれ面を打たれる。かと言って受け止めても力ずくで押し切られ、結局面を打たれる。こちらから攻撃を仕掛ければ簡単に躱され、動きが読めない為読み合いも通用しなかった。・・・・・・現状として二人が昌継に一太刀入れる事は不可能だと考えている。
「あんな凄い人にご教授してもらえたんだ。ここで落ちては面目が立たん。さっさと決着をつけよう!」
「・・・・・・そうだな」
二人は再び、残り少ない鬼を狩りに動こうと地面を蹴ろうとした・・・・・・その時だった。
「ふふふふっ・・・・・・来たなぁ、俺の可愛い狐がぁ〜・・・・・・」
「「っ・・・・・・」」
慌てて二人は臨戦態勢に入った。そこにいたのは明らかに今まで戦ってきた鬼とは違う雰囲気を纏った鬼だった。大きな巨体を持ち、何本もの腕を持った何とも気味が悪い鬼だと二人は戦慄した。
「十・・・・・・十一・・・・・・お前達で”十二”と”十三”だ」
「・・・・・・なにを言っている?」
「俺が今まで喰ってきた鱗滝の弟子どもの数だよ〜。あいつの弟子はみんな殺すって決めてるからな〜!」
「っ!!貴様!!」
それを聞いた義勇が珍しく怒りに震え、その鬼に向かって斬りかかろうとした。
「落ちつけ義勇。鱗滝さんと昌継さんに言われた事を忘れたのか?」
「!?・・・・・・すまない。熱くなった・・・・・・」
錆兎に促され、冷静になった義勇は再び錆兎の隣に戻り、警戒を強めた。
『錆兎、義勇。お前達は良い腕を持っているがまだまだ青い。一時の気の乱れが命とりとなる事を心がけよ!』
『其方達は常に心を冷静にする事を心がけるのだ。そうすれば自ずと活路は見えてくる・・・・・・」
これが二人に言われた言葉だった。昌継と左近次に共通しているのは、”どんな時にも熱くならずに冷静でいること”だ。どんなに優れた剣士であっても気が乱れてしまってはその腕を鈍らせる。それがわかっている二人だからこそ言える言葉だ。
「こいつは今までの鬼とは違う・・・・・・。気を引き締めていくぞ、義勇!」
「ああ、錆兎!」
二人は、颯爽と鬼に向かって行った。直後、何かを感じ取った二人は、急遽横に飛んだ。そして、すぐに・・・・・・
「ちぃ・・・・・・外したか・・・・・・」
「やはり地面から来たな・・・・・・。もう少し遅ければ不味かったな・・・・・・ふっ!!」
錆兎は躱したと同時に体の向きを変え、”地面から出てきた手”を斬り刻んだ。
「今だ!行けっ!義勇!!」
「はっ!!」
錆兎が切り開いた道を義勇が進んでいく。そして射程圏内に入ろうとした時だった・・・・・・目の前の鬼から新たなる複数の手が現れた。
「水の呼吸・・・・・・!?」
「ふふふふっ〜〜、俺の手は今あるのだけで全部じゃないんだな〜これが。お前達は今まで戦ってきた狐の子の中で一番強かったが・・・・・・ここまでだ〜、死ね!」
新たに現れた手が二人に襲いかかる。目の前の鬼は勝ったと勝利を確信した笑顔をしたが、それはすぐに崩れ去った。
「「光の呼吸【光天の舞(劣)】!!」」
「なっ!?躱した!?それに俺の攻撃を受け流しただと!?お前達の様な餓鬼にそんな力が・・・・・・」
驚愕の表情へと変貌を遂げた鬼が嘆いた。義勇は迫りくる鬼の手をまるで先が読めているかの様に軽々と躱していき、鬼との距離を詰めていった。錆兎は同じ様に相手の手の動きを読み、手が自身の体に接触するというところで自身の刀を使って防ぎ、そのまま後ろへと受け流して行き、同じ様に距離を詰めて行った。
「「死ぬのは・・・・・・貴様だ!!」」
距離をつめ、間合いに入った二人は高々と跳躍し、鬼の頸目掛けて一直線に突っ込んでいく。
「(大丈夫だ!俺の頸は硬い。今まで誰にも斬れ無かった頸なんだ。頸を斬ろうとして刀が折れた時が、お前達の最期の時だ!)」
「”水の呼吸”・壱の型・・・・・・」
「”水の呼吸”・肆の型・・・・・・」
二人は鬼の思惑も知らずに、関係無しに刀を振った・・・・・・そして。
「【水面斬り】!!」
「【打ち潮】!!」
二人が放ったその斬撃は、目の前の鬼の頸に炸裂した・・・・・・。そして鬼の頸は・・・・・・ゆっくりと
「義勇!」
「錆兎・・・・・・」
鬼が消滅したのを確認した二人は、笑顔で拳を合わせるのだった・・・・・・。
これにて錆兎生還です!というか、この時点で光の呼吸を使えてること自体凄い気がしますね・・・・・・。今後が楽しみです!
【大正コソコソ噂話】
錆兎が生還したことにより、この年の最終選別は誰も脱落者がいないと言う事態になりました。
炭治郎の家族は助ける?助けない?
-
助けて!
-
助けないで!
-
禰 豆子以外助けて!