ーーー錆兎と義勇が最終選別を突破したーーー
その事実に内心ホッと息を吐く私は、今目の前にいる錆兎と義勇に視線を向けた。
「二人とも、よくぞ無事に戻ってきてくれた。お前達ならば心配はいらんとは思っておったが、
そのことについては私も左近次から聞いていた。聞くとどうやら今まで左近次は数多くの弟子達を指導していたようで、胸を張らせながら最終選別へと送り出していたらしいのだが、その弟子達は誰一人として最終選別から帰っては来なかったらしい。その事もあって、初めて自分の弟子が自分のもとに戻ってきたことに感極まったのか、左近次の瞳から涙が溢れでていた。
「それは鱗滝さんの指導あってこそですよ。貴方の厳しい指導が無ければきっと・・・・・・俺たちはあの鬼に殺されていたでしょう。ですが、今俺はこの場にいます!それは紛れもない事実です!なので・・・・・・笑ってくださいよ、鱗滝さん。一緒にこの喜びを噛み締めましょう!」
「錆兎の言う通りです。今の俺たちがあるのは鱗滝さん、貴方のおかげです。これからは鬼殺隊としての任務がある為、ここでの修行は望めませんが、それでも!貴方はこれからもずっと俺たちの師範です。・・・・・・ありがとうございました」
「錆兎・・・・・・義勇・・・・・・」
左近次はゆっくりと二人の元へと行き、静かに抱きしめた。その光景はまるで親が子供の帰りを迎えるかのようだった・・・・・・。
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「それで昌継さん。貴方にもお礼を言わなくては・・・・・・」
「礼には及ばん。私の身勝手故に二人に教授したまでだ。気にするでない」
「そんなこと言わないでください。鱗滝さんはもちろんのこと、今回の最終選別を突破できたのは昌継さんのおかげでもあるのですから」
「ふっ・・・・・・そうか」
異論は認めない。と言った口調で話す二人に私は素直に応じた。
「貴方に伝授された【光天の舞(劣)】・・・・・・あれが無ければ少なくとも一人は殺されていたことでしょう。それだけあの鬼は強かったです。ですが、その鬼さえも破って最終選別を突破した俺たちならどんな鬼とも立ち向かっていける!そんな気がしてならないのです!」
「凄い自信だな・・・・・・錆兎は」
「うむ。その自信はいずれ己に更なる力をもたらすことであろう。だが、だからと言って力に溺れ慢心する事は決してしてはならぬぞ?一時の気の油断でも命取りになる場合もあるのだからな。・・・・・・そのことをゆめ忘れるな」
「うっ・・・・・・は、はい・・・・・・」
それを忘れなければ、きっとこの少年達は私をも凌ぐ剣士となれる。そう確信した私は、静かにその場を去ろうとした。
「・・・・・・行くのですか?」
ふと義勇がそう呼び止める。
「うむ。私は鬼殺隊では無いが、鬼狩りであることに変わりは無い。こんなところでじっとしているわけには行かぬのだ。・・・・・・錆兎、義勇よ・・・・・・」
「「はいっ」」
私は二人の返事を聞くと同時にゆっくりと微笑んだ。・・・・・・そして・・・・・・。
「縁があれば、また会おう・・・・・・」
そう言い残し、私は今度こその場を後にした。若き剣士、錆兎、義勇の健闘と無事を祈って・・・・・・。
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「・・・・・・」
静かなる夜の中、無惨はどこか訝しげな表情をして青い彼岸花の調査を続けていた。無惨がその表情になるような出来事が最近頻繁に起こっているが為である。
「なぜこうも簡単に下弦の者どもは倒される?・・・・・・しかも、倒された相手は同じ者だと言うでは無いか・・・・・・ちぃっ!!」
思わず持っていた本を握り潰してしまった無惨。そう、ここ最近起こっていること・・・・・・それは下弦の鬼・・・・・・つまり鬼の中でも高い能力を持った精鋭達、”十二鬼月”が次々と”名のしれぬ鬼狩り”に仕留められていることだった。その数は、既に”三”にまで上っていた。
「全く何と言う愚かさだ・・・・・・。これが鬼最強と曰う十二鬼月か?・・・・・・そうは思わぬか?・・・・・・黒死牟?」
「・・・・・・はっ」
いつの間にか、後ろに控えていた黒死牟と呼ばれた鬼は平伏する。鬼だと言うのに見た目はどう見ても人間にしか見えない背格好をしており、鬼でありながら剣技と呼吸を使えると言う、何とも異質な鬼である。顔には目が何と”六つ”もあり、そのうち二つに”上弦の壱”と刻まれていた。
「私の言いたいことが分かるか?黒死牟?」
「出る杭は早めに打て・・・・・・そう仰りたいと?」
「その通りだ。さっさとあの忌々しい鬼狩りを始末して来い。してきた暁には私の血をふんだんに分けてやろう・・・・・・」
「・・・・・・御意に」
音も無くその場を去った黒死牟はすぐさま件の鬼狩りの元に向かった。だが、この時黒死牟は知らなかった・・・・・・。自分にこの後起こるとても悲惨で絶望的な出来事が迫ってきていることに・・・・・・。
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「・・・・・・いつ見ても、この世の月は美しい」
ある海辺で私は月を眺めていた。あれから私は幾多もの鬼を狩り続けてきた。とは言いつつも家を留守にしているわけでは無く、一通り鬼狩りが終われば家には戻っている。なにぶん心配性な私であってあまり寿々と可奈とは離れていたくは無かったのだ。・・・・・・話がずれたが、今日も私は鬼を狩った。つい最近ではまた”十二鬼月”を名乗る鬼が私の前に現れたが、その鬼も私がすぐさま滅した。未だにその”十二鬼月”の意味がよく分からぬが、鬼であることに変わりはない。私の目の前に立ちはだかるならば斬り捨てるのみである。
「さて、そろそろ・・・・・・っ?」
「貴様があの方の仰っていた鬼狩り・・・・・・か!?」
「この気配・・・・・・やはり鬼である・・・・・・か?」
後ろに鬼の気配を感じた私は、鞘に手を掛けつつゆっくりと振り返った。振り返った先にいたのはどこか私の時代にいたような格好をした鬼がいた。だが・・・・・・私はその姿を見た途端、息が止まったかのようにしてその場に佇んでいた。・・・・・・それはどうやら向こうも同じのようであった。私たちがこのような状態になった原因・・・・・・それは・・・・・・。
「ま、昌・・・・・・継・・・・・・?」
「巌勝兄上・・・・・・」
その相手が自分の知っている・・・・・・いや、むしろ知り過ぎてしまっている”兄弟”だったからだ。かくして私と巌勝兄上は四百年以上の年月を経て、最悪の形で再会を果たしたのだった・・・・・・。
いきなり実の兄との再会!?ここからの展開はいかに!?
【大正コソコソ噂話】
昌継は月を見るのが好きだが、場所として好きなのは一番は山の頂上、次に海辺となっているらしい。
炭治郎の家族は助ける?助けない?
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助けて!
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助けないで!
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禰 豆子以外助けて!